普通の人
たぶん、彼は変わっていると、私は思う。
変人と言っても差し支えないはずだ。私もその類かもしれない。
今日はその彼との会話だ。しかも、変人に関する。
「『普通の人』っていると思うか」
いるかもしれないしいないかもしれない。そっちは?
「いないな、絶対に。絶対にどこか他人と違う部分があるからな。」
しかし普通は、一応曖昧でも平均を取って、それを『普通の人』とするんだろ。
「俺はそう考えない。『普通の人』というのは、他と大して差が無い人だろ。俺はたいした差が無い人なんていないと思うぜ。むしろ、違わないなんて滅多に、いや、殆ど、むしろ全くに近いぐらいいないと思う」
というのは。
「スポーツができれば、できない奴と差がある。頭がよけりゃ、そうでない奴と差がある。絵が描ければ、楽器が演奏できれば、やっぱし、そうでない奴と差がある。お互いに長所も短所も違う。もちろん趣味も違う。差が無いなんて事は無い。全く同じ奴なんていないだろう。居るわけが無い。たとえクローンだって、全く完全に同じ環境で育たなきゃ、たぶん同じじゃないし、仮に同じ奴がいたとしても、それは『普通』と言えるほどの人数にはなりえない」
だろうな。そうだろう。ならば、人数を減らして、友人や共通の趣味を持つ人の間で定義するなら。『普通』はありえるか?
「それもありえない。」
なぜ。仲間内で『普通』を作る人間もいるだろうに。
「そうする人間もいるだろうが、実際に付き合って、差が無いと思っていても、そいつの何を知っているわけじゃないし、分かるわけでもない。そいつが、どんな趣味を持とうと、他の場面でどんな性格だろうと、知りようが無いし、知れるはずも無い。普通の人って言う風に型にはめる方が、たぶん、安心するし、楽なんだろう。そういう連中には」
実際に過ごさないと差が分からない事もあると思うがな。それで?
「だから思うんだ。今さっきの理屈でいけば、『普通の人』はいない。それだったら、その平均をとっても、『普通の人』にはならずに『変人』になると思うんだ。だとすれば、みんな変人だろ」
いや、そもそも、平均を『普通の人』の定義とするんだろ。ならそれは成り立たない。
「矛盾はほっとけよ。でも、やっぱし、『普通の人』なんていないな」
いや、その差を、変人とするか、個性とするか、だろ?見解の違いは。
「でもやっぱ、変人だな」
こんな話をしている時点で、変人であろうか。
最終更新:2010年03月14日 18:46