二分とそれと
その人物は、二分を好まない。
曰く「白か黒かだけじゃつまらないし、理解もできない」からだそうだ。
「正義か悪かとか、白か黒かとか。そんなのは意味がないよ」
どうしてさ。
「だって結局、どちらかの要素のみ、なんてありえないでしょ」
そうかな?たとえば?
「白人と黒人。あるいは黄色人種。だって、そんなの『だからなに?』って思わないわけ?いや、少しはいろはちがうかもしれないよ、でも白人と黄色人種の間には色がそんなに違わないのだっているし、黒人って一口に言っても、色なんか人によるもの。白人って言ったって、真っ白じゃなくて赤いでしょ。まさかおしろいを塗りたくったような真っ白な顔の人なんていないよ」
それもそうだ。白人至上主義なんてのもあるが、あれも曖昧だ。ユダヤ人だって白人だろうに。むしろ、日光への耐性がある点で、黒人の方が生物学的に良いといえるかもしれない。オゾン層だって壊れてくる、と件の白人も言っていることだし、オーストラリア人は実際に紫外線で困ってるだろうし。ああ失礼、もちろん全ての白人やオーストラリア人が悪いわけではないと思うよ、それは確かに、確実に、その主義でない人間もいるだろうから。
「でしょうね。日本人が他の国から来た人間を見て『ああ外人だ』って言うのと同じ。日本人を白人に置き換えて、他の国から来た人間をネグロイドとかユダヤ人にして、外人を黒人に置き換えれば一緒でしょ。まあ日本人の外人を考える気持ちと、その主義の白人が黒人を思う気持ちは、感情も理由も違うと思うけど」
結局、偏見の線を引くのは、人間だと言いたいのか?
「としか思えないね。止める事も無理だけど。今さっきの話で『日本人は外国人をある意味で同じに見る傾向があるらしい』ってのと同じで、極端な話、宇宙人が何も知らずに地球に来たとしたら『ああ、なんかいる』思うだけで、『あれが白人で、あれが黒人で、あれが黄色人種か。差別しよう』なんてきっと思わないね」
宇宙人か。そうかもな。特に最後のは、思わないだろう。そういう文化があれば別だが。
話と話し方は面白いが、例えに、人間の社会でそれが確実に存在すると公言されていないものを、使うのが玉に瑕かもしれない。私は、分かりやすく、愉快なのでかまわないが。
余談
「白か黒かっていう二択はつまんないよね」
どうして。それが楽だっていう人もいるじゃないか。
「だって、真ん中がない。それに、それ以外の選択が存在しないじゃない」
確かに不公平だな。
「それに私はだいたい、真ん中を取りたいし」
公平じゃなくて、中間か。中々ない考え方だな。
最終更新:2010年03月30日 14:35