需要
たまには、出かけてみるのもいいのかもしれない。
奇妙な、話を聞いた。
「こう思わないかね。話したい人間と話されたい、つまり聞きたい人間がいなければ、会話は成立しないと」
まあ、場合によりますがね。よく見かけるのは、上の人間がいて、下の人間が、『教えてくれ』っていい加減に頼むけれど、上の人間は義務も興味もなく、あちらに礼儀もないから、無視か却下、もしくは相手にしないってのですから、分からなくも無いですけど。
「そうか。でもその場合、もし仮に、高みの人間がどんな内容でもいいから話をしたいと思っていて、下の人間に礼儀正しくされなくとも、最低限あれば、話に応じるとは考えないかね」
私は、そのような高みの人間ではございませんので解りかねます。しかしながら、そのようにも思われますね。
「気軽に、肩の力を抜いた口調にしてくれたまえよ。こっちまで疲れてしまう」
失礼、いや、そんなつもりではなかったんですがね。何しろこういった場ですから。なんとなくそうなってしまいまして。
「なら仕方ない。それで、こんな時代だからだな、分野によるが、昔ほど、高みの人間は良いものとみなされなくなり、むしろ見向きもされなくなった人間もいる。それで、簡単に、素人に玄人が話をしたりするようになった。こうは思わんかね」
私も当然玄人などではない。あらゆる面で、確実に、素人側だろう。
しかしながら、あの話は、そこまでの玄人ではなく、偽者の、永遠の中級者、少しは知っているがまだまだでありしかも続けようという気もなく、何かの事情もないのに、怠惰でやめるような者、というような人間の方がより当てはまるのではないか、という、気にもなる。
俗に、素人は何も知らないのに首を突っ込みたがる、というのも、あるが、あれも、その永遠の中級者の話かもしれない、とも思う。あるいは、ほんの少し話を聞いただけで何も知らないような者が、面白半分でやるのかもしれない。
あるいは、場合によっては、善意の第三者かもしれないが。その場合、咎はないのかもしれない。
いや、その道を登る道程にある者が、その下を登る者に手を差し伸べる事は決して悪い事ではなく、ありがたく大切なことだと思うが、永遠の中級者の様な偽者が何かを騒ぎ立てる事は良くない。
とはいえ、私は何も、人に言えるほど、あるいは自らそう思えるほど、何かをやった事が無いし、やっているわけでもないので、完全に全くの素人であるので、このような話は理解できない、というだけかもしれない。しかしながら、『中途半端に知っている素人ほど、口を挟みたがる』というのは当たっている、とのように思う。
私も気をつけなれければ。
最終更新:2010年03月30日 15:35