敬うか
彼は、噂に聞くところによれば、教師である。
しかし、どこで働いているのかはわからない。
公の機関かもしれないし、私的な学習塾かもしれない。
そんな彼が言った話。
「敬語とはなんぞや」
内容以外はふざけてるな。相手を敬う言葉だろ。基本的には。
「では、基本的でなければ」
冷たく皮肉でも言う時にも使われているだろう。あまりよくない意味で使われることもある。
「大体、私の言いたいことはわかっていそうですね。よろしい」
いちいちその口調に戻るな。それで?
「いいじゃありませんか、癖なんですから。それで、私が思うのは、敬語には二種類の敬語があるという事です」
相手を敬う言葉と、遠巻きにする言葉か。あまり、表記的には違わないが、声の高低や表情、また雰囲気で差異が作り出される。
「いいでしょう。私も専門ではないのでね、分からない所はあるが、いいと思います」
それで?
「あなたはあまり敬語を使う場面に遭遇しないでしょうが、敬語を使っている人々は、どちらを多く使うと思いますか」
人それぞれだ。
「それもいい。ただ、場面に分けたほうが分かりやすいですよ。人に何かを教えるときは、状況によって異なる、では困るんです。知識面のことを教える場合はそうなることもあるんです」
部分を削る、型にはめて、実際と離れているものになっても?
「そうなんですよね。まあそこまで実際とかけ離れてはいない様にしているつもりではありますが、私の力量も足りず、かな、限られた時間では全ては教えられないのが残念です」
試験用の知識だけじゃ、つまらないからな。今思えば、あれは本当のそれではなかった気がする。特に偽物の科学と数学というのはあったかもしれない。
「暗記に力点を置くから、つまらないんですよ、多分。どこかでは実際にそれで成功しているようですし」
現場は気づくが、上はどう変えていいか分からない。もしくは見ないことにしている。
残念なことだ。まあ全てが上のせいではなくて、その逆もあるのだが、彼はどうだろうか。
言える立場ではないが、少し言えば、自分が思っているのと、他人からの評価は異なる。
大丈夫だとも思えるが。いや、思いたいが。
最終更新:2010年04月11日 07:46