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『血塗れ』(条件2)

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血塗れの両手。
血塗れの胸元。
そして──血塗れの、竹刀。

【吉澤ひとみ】
【04:44:44】
【雫ヶ原高校/視聴覚室】

剣道部員のクラスメートの持ち物だろうか。しかし、これを使ったのは明らかに自分だ。
「──私は、誰かを殺したの?」
鉄の臭い。血の臭い。普段の生活とは無縁のもの。
とにかく洗い流したい。
ひとみは廊下に出た。向かいにあるトイレに入り、電気を点ける。

「──あぁ」
それ以上の言葉が出なかった。
一番奥の個室から、おびただしい量の血液が流れ、床を赤く染めていた。
扉は閉まっている。中に、誰かがいる。
生きているのだろうか。それとも……。

竹刀をしかと握り締め、ひとみは個室に近づいた。

「──うぅっ!?」
頭を押さえる。誰かの視界が飛び込んできた。
血塗れの扉が見えた。場所は──目の前。
「あぁぁっ!」
扉が開くと同時に、中にいたそれに対して竹刀を振る。何度も、何度も。
動かなくなるまで。

床に崩れたそれは、死体だと認識した。しかし、動いている。
「ぐ……ぉお……」
目を閉じる。赤く染まる視界にあるのは、ひとみ自身だ。
目を開けて、ひとみは竹刀を振り下ろした。

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