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『連鎖』

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耳を塞いだ手を、ゆっくりと離していく。
もう、あの忌々しい音は聞こえない。
「くそっ」
彼女は近くにある木を殴った。
痛かったが、生きている実感があった。

飯田圭織
【00:03:48】
【湖蝶の森/遊歩道】

竹内ゼミに入ったのは、友人である安野依子に誘われたからでもあるが、一番は古い風習に興味があったからだった。
そして、夜中に密会をしている竹内先生と依子を見つけてしまい、後をつけた末路がこれだった。

数分前の事だ。
激しい揺れ。それと同時に鳴り響くサイレン。
気が付けば乗っていた車は制御がきかなくなり、そして橋に激突していた。
最小限の荷物を手にしたはいいが、今いる場所がわからなかった。

森の遊歩道を進むと、あったのは休憩小屋だった。
ベンチに腰を下ろし、一息つく。

「……?」
何度も、同じ行動をしている気がする。おぼろげではあるが、しかし何か引っ掛かる。
このままだと、この場所から抜け出せない──そんな気がしてならなかった。

何かをしよう。
何かを見つけよう。

手にしたものは、懐中電灯である。周囲を照らし、見回す。

「……これは……?」
転がっていたのは、錆びたドライバーだった。
きっと、これが重要な役割を果たす──そう信じて、圭織はそれを手に取った。

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