timers -TIME IS ……-
狂気の章 1
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匿名ユーザー
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雲はどす黒く、いつ雷雨が始まってもおかしくはなかった。
霧雨村へと続く道を歩きながら、小早川椿は、何故自分がここにいるのかを考えていた。
霧雨村へと続く道を歩きながら、小早川椿は、何故自分がここにいるのかを考えていた。
隣を歩く少女。
出会ったときに彼女は「美しいに貴いと書いて、美貴」と名乗った。名字はわからなかった。
美貴は霧雨村に行かなければいけないらしく、それは小早川も同じであった。
出会ったときに彼女は「美しいに貴いと書いて、美貴」と名乗った。名字はわからなかった。
美貴は霧雨村に行かなければいけないらしく、それは小早川も同じであった。
「キミは、電話をくれた人とは違うのか?」
「違うよ。電話をしたのは、私の大切な人」
「違うよ。電話をしたのは、私の大切な人」
小早川に電話があったのは、数時間前のことだった。
知り合いが倒れてしまったが、周囲に医者がいないという。
救急車も来れないくらいの山道で、かといって動かすと危ないから──小早川が向かうことになった。
知り合いが倒れてしまったが、周囲に医者がいないという。
救急車も来れないくらいの山道で、かといって動かすと危ないから──小早川が向かうことになった。
しかしずっと小早川は疑問に思っていた。
『霧雨村』という地名は、確かに知っている。しかし──既に、存在していないはずだが。
自分が医師になるよりずっと前に、山奥の小さな村は消えてなくなっていたと聞いている。
『霧雨村』という地名は、確かに知っている。しかし──既に、存在していないはずだが。
自分が医師になるよりずっと前に、山奥の小さな村は消えてなくなっていたと聞いている。
「──ねぇ、キミは本当に、霧雨村──」
「あれが、霧雨村です」
「あれが、霧雨村です」
美貴が指を差す。
橋の向こうに見える村は、まるで昭和の中期かそこらで進化するのを止めたような、そんな外観であった。
──雨が、降ってきた。
橋の向こうに見える村は、まるで昭和の中期かそこらで進化するのを止めたような、そんな外観であった。
──雨が、降ってきた。
「ねぇ……急ぎましょう? 先生」
美貴は微笑んだ。