名前:ハインツ・カントル
称号:『魔神殺し』『聖人』『聖☆ハインツ』
種族:マテラ/ワイト
アルカナ:Ventus=Axis=Mater
性別:男
生没年:1035~
聖痕:脚、鏡に映る、髪
容姿:褐色の肌に金髪、濃紺の瞳をした細身の青年。独特な前髪。
天慧院の紋章の入った豪華な法衣には魔神退治の様子が描かれている。
経歴
エステルランド王国王都フェルゲンのフェルゲン学芸院(プリモ・ユリダス)にて神学と魔術を担当する講師であり、裏では新派真教の司祭をやっている。
童話にもなった聖人『聖グータ』の血を受け継ぐマテラの名家、カントル家出で司祭をしていた父と、エクセター王国の吟遊詩人でウェルティスタントの母の間で一夜の戯れの末に生まれた妾腹の子。
彼が生まれた事を父は知らず、幼い頃から母と共に暮らしていた。
彼は吟遊詩人の子として旅芸人をしながら旅から旅へ各地を放浪する内に、エステルランドにおけるウェルティスタントの立場の弱さに直面する。
当時、未だブレダ王国は存在せず、新派真教に対するハイデルランドでの反発はエクセター王国に対する敵愾心もあり根強かった。
この現状を変えるには彼は余りにも無力だったのだ。
ハインツが12の時、母が流行り病にて死去。
母の遺言に従い、父の元へ向かう事となる。
父は既に婚姻していたが、母の形見の指輪を見せると一筋の涙をこぼし彼を抱きしめた。
程なくして彼は妾腹の子として認知され、学芸院に通い始める事になる。
頭こそさほど良くなかったが、神学や弁舌、魔術に天賦の才を発揮した彼はめきめきと頭角を現し現地の学芸院を首席で卒業。誘われるままに天慧院の門をくぐった。
15の時にはフィールドワークとしてケルバーに遠征。
付近の子息息女を教えつつ、
ニコル傭兵団と共に魔獣の封印に一役買った。
ハインツが20の時、とうとう天慧院を卒業。未だ若い事もあり、コネクションを作る為にフェルゲン学芸院に講師として赴任する。
フェルゲンを中心に『花と鳥の都』エーデルハイムなど周辺都市に積極的に足を伸ばし、
エーバーハルト方伯子息とその妹やヒルデガルト王女を始めとした周辺領地在住の貴族子息、王族などに講義をしつつ着々と顔を売っていった。
その頃、カントル家では一人息子コンラートが粗暴である事もあり、天慧院を出たエリートであるハインツに家督を相続させてはどうか?という意見が出始めていた。
それに憤ったのが当の次期当主コンラート。妾の息子風情に家を継がせてなるものかとその後三年間に渡り、大なり小なりの嫌がらせを仕掛けてきたのだ。これは、最終的に彼が父の下で証拠をそろえ、コンラートを弾劾するまで続いた。
自業自得の面があるとはいえ本流の義兄を排斥し、次期当主となってしまったハインツは一度ペネレイアに戻り、家督相続の手続きを開始。生まれや育ちから反対する連中を2年かけて粘り強く説得。
最終的に、カントル家から失われたグータの聖衣を取り戻す事で家督を相続する事を承認する事で合意した。
かくしてハインツは旅に出た。
数々の出会いと別れがあった。
若き教え子を導き、道を誤った教え子を滅ぼし、才ある者を引き立て、
ついに全ての聖衣を取り戻したハインツは、見事カントル家の相続権を得た。
しかし、彼の旅はまだ終わらない。
暗躍するロリコンガチレズストーカー『イルルニィ』
戦乱深まるハイデルランドの地
旅をするうち徐々に形になってきた夢
混迷深まる情勢はハインツに休息の時を許さなかった。
皆の期待をその背に受けて、ハインツ・カントルは今再びの旅路へ向かった。
ヴォルケラング卿にイルルニィの真の死の印についての情報を聞き出し、同期のナタリアと再会出来たのは良かったのだが。
最近、教え子がはっちゃけだした気がする。ヤケになっているのかもしれない。
まあ、大丈夫。彼にはナタリアが仕える。
なぜなら彼女もまた、天慧院出のエッリートだからです。
そう思っていた時代が・・・彼にもありました。
忌まわしき、そして聖なる『悪魔の棲む森』ザーレムにて、母との邂逅を経て迷いを打ち払い、
ついにイルルニィの真の死の印を突き止めたハインツ。
浚われたコンスタンツェの事はローラントに任せ、エーバーハルト領の事はジグムントに任せ、彼自身は戦後の詰めに向かった。
激動の時代の中、幼き教皇が擁立され新派旧派の緊張が緩和したこの時に、自領で新派信徒の保護を始めたのだ。
時は1064年、少女ミランダが教皇アンゲリア7世として擁立されまだ一年も経っていなかった・・・。
時は流れ、季節は巡る。同年冬。今後の協力を取り付けつつ潜伏場所を探すべくケルバーブルク城下に滞在していたハインツの元に急報が入る。
代官ヘルムートが自領オストアルプに帰国している隙を突き、イルルニィ配下と思われる軍勢がエーバーハルト本城を占拠。
領軍は北方砦に詰めており、留守居の僅かな私兵のみが駐在している時を狙った電撃的な侵攻だったという。
クレメンス修道院長より報せを受け取ったハインツはすぐさま急行。
音に聞くエーバーハルト領の特殊部隊と闇の力を宿したイルルニィの闇兵が戦えば必ず被害は大きくなる。
治療が出来る人間が少しでも多く必要になるだろう。そう考え、昼夜兼行で向かった先にいたのは・・・3人だった。
攻城戦を予期していたが潜入戦となり、首を傾げつつも槍兵と宿将の決闘を尻目に内部に潜入することと相成った。
かつての『仮面の公子』が仮面の男と、堕ちた謀将が静寂の指し手と、新郎が花婿と争い合う中、
彼の目の前に立ち塞がったのは・・・何処かで見たことのある魔剣。
二人の騎士を翻弄し苦しめ、『剣の護り手』を滅した魔剣エルヴィルバルト。再びの邂逅である。
争い会う中で城教会に出で、ローラントと背中合わせでコンスタンツェ奪還の為に闘うこととなる。
支援と攻撃と回復を両立させながら滅び際の一太刀以外、一撃も浴びずに殲滅した彼は、
愛弟子と長きを生きた岩人の最後を静かに見送った。
先代領主クロル・エーバーハルトとジグムントとの邂逅を母との事を思い出しながら静かに見届けた彼等はとうとう決戦へと向かう。
未だこの『金城は落ちず』
『女人烏の最期』を齎さんが為、いざ。
激戦。ただその一言に尽きた。
何度傷を癒し、何度敵を凍りつかせただろう。
炎は揺らめき、大気は凍てつき、聖光は幾度と無く煌いた。
幾度と無く絶望に呑まれかけ、しかし彼等は諦めなかった。
手を変え、品を変え、次々と絶望を送り込んでくるイルルニィ。
尽きる事無き烏兵、蘇る双子、そして荒れ狂う女人烏。
だが、だがしかし!最後に立っていたのは、そう。彼等であった。
人類はとうとう魔神に打ち勝ち、ハイデルランドの歴史に新たなる、輝かしい1ページを残すことになる。
その後の彼の話を少しだけ語ろう。
魔神を討ち果たし、家系の宿命を遂げ聖グータの聖衣を天に返したハインツは、教皇庁に魔神討伐の旨を報告する。
一時、騒然となった教皇庁だったが、教皇の一声で静まり返る。
「真偽を明らかにせよ。真実であれば列聖に値する」と。
前代未聞の生ける聖人。しかし、魔神を討ち果たした聖職者もまた前代未聞。
一年間、様々な準備や調査、報告に駆けずり回り、とうとう列聖。『聖・ハインツ』の誕生である。
しかし、その後、彼が表舞台に立つ時は、再びの戦乱がハイデルランドを襲う時であった。
人柄
- 元の社会的立場が低かったせいか、極めて上昇志向が強く、強烈なエリート意識と自意識を持つ。天慧院卒だという事を鼻にかける事が多い。
- 特に家柄や血筋に対する反発が強く、特権意識と世襲性の強い現在の正真教教会には不信感すら覚えている。
- 反面、自らが努力によって道を切り開いた為か、賢明な学生には親身になって助言をする。例え間違った方向への努力でも何かしらの形で実を結ぶことは尊いと思っている。
- ナルシスティックな面もあり、一房だけ飛び出た前髪をくるくると弄る癖がある。
- エステルランドで禄を食んでいるが、ブレダ建国時にわざわざブレダ王国を訪れ、新派の司祭位を拝領している。
- コンスタンツェに講義した内容は、『神学』『魔術』『一般教養』『世界情勢』『新派宗教について』『エステルランド王国の政治体制における長所と短所』・・・革命家でも育てる気だったのかもしれない。
- 内政に強いが外交に弱く、戦術眼はあるが戦略眼に欠け、楽観主義的な未来予測は必ず外れる。極めて歪な能力の持ち主。
- 生きながらにしての列聖を遂げたが、人間的にはまるで進歩していない。幸いなのは、危険視もされにくいところだろうか。
最終更新:2013年11月10日 01:58