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― Paludisme / 3 ―



火は揺ら揺らと惚けていく。


ハッキリ言って何も考えていなかった。
適当に歩いていけば適当にイベントに出会えるもの。そんな人生を送ってきた自信がある。
だから本当に適当に歩いて、適当に出会った人に、適当に話しかけた。見当違いだった。
マジか。俺の勘もアテにならないなぁ。
割と深刻なこの街の現状を物凄い軽い気持ちで適当に忠告しておく。薄い内容。説明不足には自信がある。
さて、もう要は無いから速攻で立ち去る。誰かが騒いでいたような気もするが、はて。
学生のように思えたけど。男だっけ、女だっけ、ハテ。本当に学生だっけ。
サラリーマンだったような気がしてきた。
いや、今ピザ屋のバイトがバイクで通り過ぎたから、そういった宅配業の店員の可能性すら出てきた。
マジで記憶に残ってない。俺のブレインが覚えるという行為を放棄してる。
あと、さらっと機密を一般人に話したような気がする。まぁいいか。
機密を話して何か問題になるのか・・・?。いや、無い。(※大問題です)
雑事なので記憶から抹消する。さー、仕事だ仕事。足を動かして仕事を熟す事に力を注ぐ。


突然だが正直、法律とか守れる気がしない。自信がある。
自分の中での犯罪というものに関しての忌避が薄いというか、罪という概念が育ってない感じ。
やってもいいんだろうというタイミングでやる。ちょっと拝借。返さないけど。
抵抗が無いというか、そもそもできることをやって何が悪いのかがよくわからない。
なのでFHに属することになった。しかたがないね☆

こう、某大型犯罪シンジケートとかに所属するのも悪くなかったんだけど。
大したことをやるつもりは無いのがあそこへ行かなかった要因。
殺しとか嫌だし、暴力はあんまり好きじゃないし、盗みとかは軽いものに留めている。
罪への抵抗というわけじゃなく、重い展開が苦手なのだ。

誰かが不幸になったりするのは別にかまわない。それはただの結果だし。
誰かが傷ついても構わないし、誰かが死ぬのも構わない。それはただの不幸なんで。
ただ、負の感情に囚われるのが嫌だ。負の感情に囚われている人を見るのも嫌だ。空気が重くなる。
あれが嫌だ。負の感情の空気感染。被災地の避難所とかに行ったらすぐに自分が壊れてしまう自信がある。
ああいうのが嫌なので、別ベクトルでの仕事が豊富なFHで働いてる。割と、働くのは好きなのだ。
仕事をこなすこと自体は割と楽しいし、解りやすい達成感を得られる。
FHはテロ屋としては二流以下な気がするが、金回りは割と悪くないので不平不満なく仕事できる。
人間関係とか面倒くさいものは完全に切り落とされてるしね。実力主義だし。
表面上の交渉とかはそれなりに得意なので小回りの利くエージェントとして重宝されてる。
半分くらいが研究組織なので研究資料の奪取とかはいい小遣い稼ぎになる。
まぁ、酒と煙草と博打に消えるんですけどね。

ところで。思うんですよ。レネゲイドウィルスに侵された後ってジャームになるじゃないですか。
その時に"わざわざ暴走してまでも罪を犯す"というのは、趣味なのだろうか。
ジャーム共通認識の趣味。殺人だのそのあたりの行動に至るまでの動機は判る。理由は判る。
レネゲイドを利用して~、から発生する話の展開はほとんどこれだ。
基本的に犯罪、もしくはそれにかかわることを成すのが目的になってるんだけど。
やればいいんじゃないのかな。ジャームになってまででもやらなきゃいけないようなこと?
いや、ビーイングとかは別の思惑で暴れてるんだろうけど。
ナニカを求め、ソレを誇示し、ソレを維持し、ソレを使い、ソレに振り回される
力、愛、夢、望み、理想、野望、信念。

その崇高さが判らない。流行曲に流れるような感じなのだろうけど。

果たしてその力というものは持っていなきゃダメなものなのか。
それらは見せつけなきゃいけないものなのか。
夢というものは、望みというものは、理想というものは。
本当に必要なのか。
そこが、未だに、何度考えても判らない。


さて、考え事をしながら寄り道してぶーらぶら歩いていると、イベントに出会えた。
ぎゃーぎゃー誰かが喚く声。繁華街のど真ん中。衆人環視の中。蛋白質が燃える匂い。
まるでショーを見ているかのような野次馬の群れの中心で、誰かが燃えている。
のた打ち回り炎を消そうと努力している。しかしあまりにも炎の勢いは強く、無駄だと一目でわかった。
その火はどこか特定の部位で燃えているのではなく、"全身から噴き出るように"出ていた。
誰も助けない。助けられない。あまりにも突然の出来事。
今、ショーの中心で踊っている道化が独りでに燃え出したのだ。
道化にさせられた人はとても不幸だなぁ。と、無味無臭の感想を述べ、胸で十字を切った。


FHエージェント"ノイリ―・プラット"は都合よく炭化した焼死体が出来上がる瞬間に出会った。



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梅酒 SS
最終更新:2013年05月07日 23:59