朝になり、日の出を見させてもらってから村紗に船から降ろしてもらった。朝食を食べさせてもらってた時にぬえに色々と聞かれたが、村紗のもの凄い視線によってぬえは途中で押し黙らされていた。あの時の村紗の視線はまさに人をコロセル位のレベルだと感じた。あんなんで睨まれたら卒倒しちまう。そういえば、船から降りる時に村紗から小さなアンカー型のアクセサリーを貰った。所謂お守りだと村紗は言っていたが、首にアクセサリーを着けるみると妙にチクチクする・・・。嫌がらせかとも思ったが、渡した後の村紗の顔は無垢100%の笑顔だったので、多分大丈夫なはず。

俺は握手をして別れようとしたが、差し出した手を村紗が握らずに俺に抱き着いてきたので少し戸惑った。何時からそんなにアグレシップになったんだ!なんとか引き離すが、何だかとても寂しそうな顔をしていた気がする。まぁ、多分そんなふうに見えただけだろう。俺は手を振りながら村紗と別れた。


ぶらぶらしながら散策していると、岩場の方に穴があったので興味本意で覗いてみた。すると突然下から熱湯が噴き出してきた。

○○「あちゃちゃちゃ!」

一瞬でも回避するのが遅かったら今頃は火傷していただろう。どうやらこれは間欠泉の出口だったらしい。好奇心は猫をもコロスという言葉があるが、多分本当の事だな。こんど橙に好奇心は持ちすぎるなと言っとかなきゃ・・・。

猫で思い出したが、お燐は元気にしているだろうか?さとりやお空、こいしの事も気になる。

○○「そうだ、地霊殿に行こう」

そんな突拍子もないような考えと思いつきで地霊殿への道を歩きだした。



中々時間が掛かってしまった。前来た時には魔理沙に地底に面白い物があると聞いて一緒に連れて行ってもらったが、今回は徒歩だ。俺に空を飛べる能力があったらいいなと考えながらとぼとぼ道を歩いていく。もうそろそろ見えてきてもおかしくないんだが・・・。

○○「おっ!」

間違い無い。あの大きくて立派な建物は地霊殿だ。俺はさっそく地霊殿の入口に向かった。

○○「誰かいますかー?」

居ないという事は無いだろう。ここに住んでいる地霊殿の主はあまり外に出たがらない。ある意味引き込もりだ。理由が理由だから何も言えないが・・・。とにかく居るだろう。俺はもう一度呼ぶために大きく息を吸った。

さとり「誰が引き込もりですか?○○さん」

○○「!?、げほっ!ごほっ!」

息を吸っている時にいきなり声を掛けられたので驚いて咳込んでしまった。しかし、気配も無しに後ろに居るとは・・・。こいしじゃないんだからびっくりさせないで欲しい。

ある程度落ち着いてきたので下げていた頭を上げようとする。

こいし「こんにちは○○」

○○「うわっ!」

頭を上げたところにちょうどこいしの顔があった。こいしはにっこりと笑っていたが、予想していなかった俺としては、心臓が飛び出る思いだった。その勢いでバランスを崩してしまい、後ろのめりに倒れそうになる。

○○「おぉ!?」

衝撃を覚悟しながら目を閉じて身構えが、その衝撃はいつまで経ってもこなかった。それどころか柔らかい感触さえする。目を恐る恐る開けてみると・・・

お空「○○危ないよ?」

後ろからお空が俺を抱えるように持っていてくれた。感謝しつつも若干恥ずかしさがあり、離してくれるように頼む。

お空「大丈夫だよ○○。私が運んであげるから」

あれ?離すどころかなんか体が浮いてる。ちょっ!?歩けるから!歩けるから!お姫様抱っこだけは!


結局お姫様抱っこで運ばれた・・・。滅多に出来ない体験だったんだろうが、出来ればしたくない体験だった・・・。話をしていて思ったが、皆相変わらずで良かった。最初に会った時にはかなり警戒されていたが、四回も会うと流石に馴れてくれたようだ。さて、いい感じに喋れた事だし、そろそろ帰るかな・・・。

さとり「○○さん。帰るつもりですか?一ヶ月も来なかったくせにもう帰るんですか?そんな事ありませんよね?○○さんの事ですから泊まってくれますよね?」

三つの目で見つめられる。俺の返答は「YES」か「はい」に限らてしまった。

部屋は何処かと聞いたら、今は客室は物置になっているから使えないらしい。その代わりに自分とお空とお燐、そしてこいしの部屋を使っていいと言われた。別に部屋が無くてもいいと言ったらお燐から

お燐「止めといた方が良いとあたいは思うけどねぇ。明日○○が誰かの横で裸で寝てる事になるよ?」

と言われた。どういう事だろうか・・・。恐ろしいので 誰かの部屋は確実に使わなければならないだろう。

ここはお空の部屋にするかな。一番緊張しなくてすむだろうし。変な事も起こりにくいだろう。

寝る時にお空が布団をくっつけたがっていたが、過ちが起きないためにも断っておいた。今日は歩き疲れたらぐっすりと眠れるだろう。

俺は重い瞼を閉じた。


○○がいびきをかき始めた頃にゆっくりと布団から出る影があった。

お空「・・・」

○○を起こさないように○○の布団の中に入っていく。ゆっくりと・・・慎重に。

お空「・・・」

丁度○○の胸板の所で止まる。そのまま鼻で匂いを嗅ぐ。すると○○の匂いで満たされる。

お空「はぁぁ・・・」

あぁ、○○の匂いだ。私がどんな匂いよりも大好きな○○の匂い。嗅いでるだけで頭がボ~っとなる。

そのまま○○の服に手をかけようとしたけど、さとり様の言葉が思い出される。
「いきなり関係を迫るのは駄目よ。まずは相手の不信感を取らなくちゃ。そうね・・・五回目くらいに此処に来た時ぐらいが良いかもしれないわ」

そして今日で四回目。あと一回来てくれれば、私は○○とフィージョン出来る。そうだよね?四回も此処に来てるんだからもう信頼してくれてるよね?

私は○○の胸板に手を這わせて探る。すると鼓動が伝わってきた。これが○○の心臓・・・。そのまま自分の心臓にも手を合わせる。同じリズムで動いてるのが伝わる。

やっぱり○○もフィージョンしたがってるんだ!だってこんなに一緒のリズムで動いてるんだもん!

嬉しくなってついつい力を解放しそうになるけど何とか抑える。でも、少しでもフィージョンしてる気分を味わいたくてそのまま重なって寝る事にした。

お空「お休み○○・・・」

同じ鼓動を感じながら・・・

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最終更新:2011年05月06日 04:12