メガゾーン23を観て
(※注:アニメ部会後レビュー)


 どこから述べていけばいいものやら。とりあえず受けた印象は「80年代の若者と大人の対立をSFの世界に昇華させて表現した」ということだった。(パートⅢは「人とシステムの対立」という側面が強かったが。)といっても、若者と大人の対立がうまく描けているわけでもなく、SF世界がうまく描けているわけでもない。中途半端な印象が強かった。また、バーチャルアイドルという発想にしても、特に出す必要性は見当たらない。ただ、美樹本晴彦の歌姫(マクロスのミンメイのような)が出して、目新しさを狙ったとしか思えない。きっと、当時はこれで納得できたんだなぁと思うと時代を感じる。バイク乗りの少年(暴走族不良少年)を主人公にして、その主人公が世界の秘密を知ったこときっかけに世界が動き出すという流れには「AKIRA」に通ずるもの感じた。・・・・褒め過ぎだな。あと、OVAの先駆けだったからでしょうか、無意味にグロい場面やHな場面が多用されていた。仕方ないのか。スタッフが好きだったのか。では、各パートごとの感想を。

 パートⅠは「メガゾーン23」という作品の感動の源泉である。これは間違いない。あのタルい展開、ストーリーの無理やりさ、絵の雑さ、声優のミスマッチ、などなどⅠの全てを耐え切ったからこそ、後のⅡ・Ⅲを見終わった後の感動が得られる。Ⅰは突っ込むところ満載なのだが、特に出会いはむちゃくちゃだと思う。矢作<主人公>がユイ<ヒロイン>と出会うシーン(バイクがぶつかりそうになって、バックを落としてという展開は80年代では正統だったのか。)、矢作が変形バイクを乗ることになるシーン(友達が盗んできたって、お前どんな機密管理体制だ。)、矢作と軍との初戦闘のシーン(いきなりロボットに変形したのに何でお前そんなに普通なの。)、矢作のバイクの私的使用のシーン(八つ当たりにロボットは使うな、危ない。)などなど、むちゃくちゃ。B.D<敵のボス>と矢作の戦いで、お約束どおり矢作が生き残る展開に必然性がない。(バイク取り戻せればよかったんじゃないのか。矢作は殺しておくべきでは。)まぁ、こんなところでしょう。

 パートⅡは別な作品だった。絵も展開も主人公の声優も変わっていたから。ストーリーの無理やりさは変わってなかったけど。全体的にレベルアップはしたね。Ⅱの設定は嫌いじゃなかったから、もう少し設定を活かしてほしかった。あの暴走族と政府との戦いを軸にもっと感動的な展開に出来そうだった。政府弱すぎるけど。矢作とB.Dの対面の場面の必要性がさらにない。B.Dは矢作を気にしすぎ。和解の展開おかしいし。B.Dがロボットで宇宙に行く必要もない。やっぱり、ストーリーはわけわからん。周りの絵とイヴの絵が明らかにミスマッチでした。Ⅰよりひどい。イヴがかわいそうだ。せっかくの美樹本の絵なのに。ゲストデザインなんだから、もっと配慮しろよ。あの虫みたいな気持ち悪い奴って一体なんだったんだ。(もうひとつの宇宙船からきたの?)イヴに宇宙船の明暗を分けるような判断を任せるプログラムを与えちゃいかん。イヴの感情1つで宇宙船の未来が決まってしまうシステムなんて危なすぎる。戻った地球が緑でいっぱいなのもどうなのか。説明不足。SFとしてのイマイチさがでてるな。

まぁ、こんなとこですか。

 パートⅢはイヴの絵変わりすぎ。自分は好みなので、いいけど。なんで声優が高岡早紀なの。素人声優で上手くいった例は少ない。せっかくの可愛いイヴが台無し。主人公はどことなく「F91」のシーブックに似てた。シオンはシャアに似てたな。(ガンダム系の人が作画をやっていたせいか?)Ⅲは声優はまずまず良かった気が。(高岡早紀を除いて)ちょくちょく、有名声優が出てたのには驚いた。(林原めぐみ等)ストーリーの無理やりさは相変わらず。システムと人間の対立をやるにはちょっと設定が弱すぎた。電脳システムは「攻殻機動隊」の流れなのか。(言い過ぎかも)ロボットの出てくる必要性が見えない。Ⅲが一番ロボット要らない話だと思うが。このイヴの絵は「マクロス2~Lovers Again~」のヒロインとすごく似てる気がする。(見てないので詳しくは分からないが)美樹本さんも忙しかったのか、めんどくさかったのか。それにしても、矢作は浮かばれないなぁ。最後の最後であの役回りでは。矢作がシリーズの主人公なら、もっと説明してやってもよかったのでは。レベル7Gのオペレーターという設定を引き継いでいるのには驚いた。もう、無理ありすぎ。エデンシティの説明も皆無に等しかったなぁ。特にエデンシティの起源の説明が。やっぱりSFとしてイマイチ。こんなところでしょうか。

 だんだん悪文になってきたので、そろそろまとめよう。「メガゾーン23」の価値はSFアニメのレベル向上の歴史をたどれるところにある。これを見とけば、他の80年代以降のSFアニメを見て絶望することはなく、むしろ、褒めたくなること間違いなし。その点、「メガゾーン23」はかなり有益なアニメだ。SF好きにはぜひ、おすすめしたい。友達にも是非この4時間半の感動を味わってほしい。(夏休み借りていいですか?)「メガゾーン23」よ、ありがとう。メガゾーン万歳。(メガゾーンという名前に何か意味はあったのだろうか。)

2019.02.24 Yahoo!ジオシティーズより移行
http://www.geocities.jp/tohoku_sf/dokushokai/megazone23.html
なお、内容は執筆当時を反映し古い情報に基づいていることがあります by ちゃあしう
最終更新:2019年02月24日 11:47