1月27日読書会レジュメ
「私家版鳥類図譜」作:諸星大二郎 講談社モーニングKCDX
作者について
諸星大二郎(もろほし・だいじろう)。1949年7月6日生まれ。長野県軽井沢出身。都立江北高校卒業後、都立の電気研究所に就職。
公務員を3年程つづけた後、突如 「マンガ家になろう」と決意する。 1970年5月「硬貨を入れてからボタンを押して下さい」が
「ぐら・こん」(COMの新人漫画家発掘コンテスト)佳作第5席入賞作として頁数を縮小して掲載(COM5・6月合併号)。
同年12月に「ジュン子・恐喝」(COM12月号、「ぐら・こん」入選作)にて正式デビュー。
その後いくつかの短編を経て、1974年に発表した「生物都市」で第7回手塚賞(集英社主催)を受賞。
その独創的な筆致とユニークなアイディアは、並み居る作家・批評家を驚倒させたと言われている。
以後、従来の漫画では殆ど描かれることのなかった舞台・時代・テーマに材をとり、独自の漫画領域を切り拓く。
1992年「異界録」「ぼくとフリオと校庭で」で第21回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。
2000年6月「西遊妖猿伝」で第4回手塚治虫文化賞マンガ大賞(朝日新聞社主催)を受賞。
現在は「ネムキ」(朝日ソノラマ)で『栞と紙魚子シリーズ』、「小説現代増刊メフィスト」(講談社)で『妖怪ハンターシリーズ』等を連載中。
「メフィスト」では氏自身が執筆した短編小説も数回掲載された。
代表作は「西遊妖猿伝」「妖怪ハンター」「暗黒神話」「孔子暗黒伝」「マッドメン」「諸怪志異」「栞と紙魚子」「海神記」等、多数。
作品について
「鳥を売る人」
落語とかでありそうな話の作り。
最後だけ決めて無理やり構築したような印象。
「鳥探偵スリーパー」
ハードボイルド風味。
水飲み鳥は、アインシュタインが日本に来たとき見て不思議がったということで有名。
原理は乾湿温度計。
「鵬の墜落」
あくまでギャグです。
古典を換骨奪胎するのは作者の得意技。
着地点は全く異なります。
「塔に飛ぶ鳥」
無限に繋がった世界というのは、よく見られるモチーフ。
元ネタとしては、どこまで遡れるのだろう。
ちなみに、以前にも「夢の木の下で」に出てきている。
「本牟智和気」
「鳥を見た」
ありがちな話。20世紀少年のてるてる坊主もこんなんでした。
給水タンクを覗くシーンが山場ですな。
全体的に
諸星大二郎の秀でた所は二つある。一つは、「よくわからないもの」を描くということで、もう一つは、寒さを通り越して一回転したところにあるギャグの可笑しさである。
言語に還元できない存在、というのは怖いのである。今月のアフタヌーンをご覧あれ。
古典に対する造詣も凄いとは思う。しかし、同じ様なくくりに入る「宗像教授伝奇考」と比べてみるとその差は歴然としていて、あくまで「よくわからないもの」を表現する為の手段だと思うがどうだろう。
ギャグマンガ家としての持ち味が一番出ていると思われるのが「栞と紙魚子シリーズ」である。一応掲載誌が少女誌であることに配慮した結果らしい。とはいってもその絵でという気がしなくもない。
料理に隠し味をつけるのと同じで、恐怖と笑いに差があるからより味わい深くなるのではないかと思う。
出ていた意見
「鳥を見た」の元ネタは「仄暗い水の底から」ではないか。
絵と作品内容が不可分。
フォロワーがいない。
推理作家への影響。
エヴァへの影響。
の1月10日を参考のこと。
最終更新:2019年02月24日 11:59