SF研読書会 『太陽を盗んだ男』(映像作品) byO林
1 作品について
スタッフ
監督:長谷川和彦
→76年に「青春の殺人者」で颯爽と監督デビューし、 79年に自らの被爆胎児体験をバネに製作したのがこの作
品。 当時の鑑賞者のコメント・・・
『「勝手にしやがれ」「ダーリング」「カサブランカダンディ」をカッコ良く歌いつつ「ムー」や「スーパーモンキー孫悟空」「8時だよ全員集合」などでは笑いもきっちりきめる。渋谷のパルコには化粧と半裸の巨大ポスターが掲げられNHKのニュースでももとりあげられたが、その性別も人種も超えたような妖しい美しさは、藤山直実の「ボウイをこえたな」という感想が大袈裟でないくらいではなかったか。今の木村くんと比較しては酷だな、当時の郷が才能的には近いものがあっただろうが、到底かなわなかった。とにかくすごかった』
脚本:レナード・シュレイダー、長谷川和彦
キャスト:沢田研二、菅原文太、池上季実子、水谷豊、風間杜夫、ほか。
2 あらすじ
孤独な青年教師・城戸(沢田研二)はプルトニウムを強奪し、原子爆弾の製造に成功した。使い道がわからない城戸はとりあえず、山下警部(菅原文太)相手に「ナイター中継を終了まで放映しろ」「ローリング・ストーンズの日本公演を実現せよ」とムチャな要求でマスコミや国家を翻弄し始める…。そんな彼も突然手に入った絶大な力をもてあますようになり、ついには「5億円よこせ」と月並みな要求に落ち着く。
そして5億円引渡しの当日、捜査に当たった山下警部の執念がついに犯人の居場所を逆探知することに成功、東急ビルに警察の包囲網が敷かれる。
絶体絶命の犯人。
しかし、彼の体にはそのときすでに被爆の後遺症が現れていた、、、
3 感想
この映画を見かけたのは確か、高1の夏くらいだったと思う。奇抜なカバーには正直ひいたが、あらすじに強く引かれ借りてみたのだが、とても印象に残ったので今回の鑑賞作品に選んだ。このレジュメを作るにあたり、ネットでいろいろ調べてみたが、どうやら当時からかなりの評価を受けているようで驚いた。
ごくごく普通の中学生教師が爆弾を、それも原爆を製造するという奇抜な着想と、その強大な力を明らかに持て余す主人公の描写が面白い。皇居、首都高、メーデーのデモ隊に紛れてのゲリラ撮影、渋谷(銀座)の東急デパートを使った大掛かりな撮影スタイルには大きな驚きを感じる。
4 考察
この映画の注目点は先に述べたように「強大な力を明らかに持て余す主人公の描写」であると思う。
主人公はいわゆる平凡で、孤独な日々に身を沈める、多分どこにでもいる教師 城戸誠。70年代の終わりという、なんとなく生ぬるい?時代の影がそこには見て取れる
主人公はいわゆる平凡で、孤独な日々に身を沈める、多分どこにでもいる教師 城戸誠。70年代の終わりという、なんとなく生ぬるい?時代の影がそこには見て取れる。
「TVでの野球中継を試合終了まですること」
「現金 5億円」
「ローリングストーンズの来日公演!!」}
と、場当たり的なもので主人公、城戸誠にとっては本来、どうでも良いものとして位置づけられていることからもそれが言える。
原爆の製造へと邁進する城戸。爆弾本体は市販のもので何とかなるが、肝心のプルトニウムが手に入らない。結局、東海村原発から盗みだす。
いがどうしていいか解らない」とい実に用意周到に手際よく実行されていくのです。これほどまでに計画的な犯行をする男が「原爆を作ったはいうのがやや不可解。
最終更新:2019年03月26日 00:21