2007.11.9
映画「プライマー」徹底解析 by 東北大学SF研究会 ちゃあしう&一同
この映画に関しては、今でも公式フォーラムを始め多くの場所で議論が行われています。おそらく一人ひとりで解釈はまったく異なるはずです
この解釈はあくまでわれわれの想像の息を超えませんが皆さんの理解の一助になれば幸いです。
またこのレジュメは多数のネタバレを含むので自分で推理をしようという方は十分注意の上お読みください。
映画について
あらすじ(公式サイトより):
アメリカ、郊外の平凡な街。
エンジニアのアーロンは、さまざまな機材に溢れる自宅のガレージで友人のエイブたちとともに、オフタイムを利用しオリジナル製品の開発を行っていた。しかし、彼等の主力商品は大量注文の望めない代物で、ビジネスと呼ぶには程遠く、研究も次第に行き詰まっていった。
そんなとき、エイブは起死回生のアイデアを思いつく。超伝導を利用する事で重力を軽減させる装置。もし成功すればノーベル賞も夢ではないというものだ。大きな投資が見込める可能性もある。そんな“夢物語”の開発に仲間は反対するが、アーロンとエイブはこの研究をふたりだけで推し進める。
開発費の調達もままならない中、ダクトテープに覆われた“箱”型の装置を作り出す。この実験の過程で、ふたりは思いもよらない発見をするのだった。“箱”は一度起動するとバッテリーを外しても、自然に稼動し続けること。たまたま“箱”に混入したカビが、通常の数十倍の早さで培養されること。
そしてアーロンとエイブは、ある驚くべき結論に至る。“箱”の中は、時間の概念が変わる“ワームホール”なのだと。(焼豚注:本人たちは否定している)つまり、タイムトラベルが可能になるのだ。
アーロンは、人が入ることができる大きさの“箱”の開発をエイブに提案する。ふたりは“箱”の保管場所として、住宅地から離れた貸倉庫へ下見に向かう。しかし、エイブは車を、なぜか貸倉庫が望める空き地に止めた。そして、エイブに渡された双眼鏡でアーロンが見たものは、酸素ボンベを手に倉庫に入ろうとしているもうひとりのエイブの姿だったのだ!そう、既にエイブはタイムトラベルを経験し、未来から戻ってきたのである。ふたりが目にしているのは、タイムトラベル直前のエイブだった。
貸倉庫に設置された、タイムトラベルのためのふたつの“箱”。エイブに促され自らもタイムトラベルを体験するアーロン。ふたりは酸素ボンベを抱え6時間、“箱”の中で過ごす。6時間後、ふたりは“箱”に入った時点からさらに6時間前の世界へとタイムトラベルする。
未来を知るふたりは株価の情報を事前に仕入れ、過去に戻り、大金を手に入れる。アーロンとエイブは、すべての欲望を満たす力を手にしたかのようだった。
しかし、タイムトラベルには、絶対的に避けられない問題があったのだ。それは、分身(ダブル)の存在。タイムトラベルのタブーとされる“分身(ダブル)との遭遇”を避けるため、外界との接触を断ち、ホテルに身を潜める。だが、自らの欲望を実現するため、そして過去と現在との整合を得るために、倉庫とホテルの往復を繰り返す必要があった。その繰り返しの中で徐々にさまざまな矛盾が露呈し、アーロンとエイブの未来が歪み始める。
公園で話をするアーロンとエイブ。アーロンの耳から流れる、夥しい血。両腕が麻痺し、字が書けなくなるエイブ*1。ロバートのホームパーティに出かけ、レイチェルの元恋人と格闘するアーロン。自宅で食器を洗うアーロンとエイブ。どれが本来のアーロンとエイブで、どれが分身(ダブル)なのか?
そんな中、何回目かのタイムトラベルを実行するため、倉庫に向かうアーロンとエイブを尾行する不審な男の姿があった。その男は投資家グレンジャーに瓜二つだった。不信に思ったエイブがグレンジャーの自宅に電話をすると、受話器の向こうにはグレンジャー本人がいる。「グレンジャーがふたり存在する。グレンジャーもタイムトラベルを行っている。」そう直感するアーロンとエイブ。なぜ、グレンジャーもタイムトラベルが出来たのか?
“箱”は、ふたりだけの秘密のはずだった。それを知っている誰かがいるという事は、どちらかが裏切ったという事だ。アーロンなのかエイブなのか? それともどちらかの分身(ダブル)なのだろうか?
(*1 焼豚注:字が書けなくなるのはアーロンである)
現在DVD販売中
「プライマー」 株式会社バップ
制作・監督・脚本・編集・主演・撮影・音楽 シェーン・カルースについて(公式サイトより):
1973年、サウス・キャロライナ州マートル・ビーチ生まれ。
『プライマー』が初監督作品となる。空軍の曹長の息子として、少年時代を全米各地で過ごす。大学で数学の学位を取得し、ソフトウェア・エンジニアとしての仕事に就く。
しかし、エンジニアとしてのキャリアを捨て、子供のころから魅了されていた映画を学び始める。3年間の映画制作のための独学後、約1年かけて脚本を執筆。
主演・監督のみならず、撮影・編集・音楽など映画制作に関わるすべてのパートを自ら受け持ち、『プライマー』を完成させる。
登場人物:
アーロン(シェーン・カルース):黒髪・主人公で語り手(電話の主)。妻・娘がいる
エイブ(デヴィッド・サリバン):金髪・アーロンと一番親しい 今は独身だがレイチェルという恋人がいる
ロバート(ケイシー・グッデン):ガレージを共有している研究者 上二人との意見の相違が目立ってきている。超伝導をやりたいと言い出したのは元はといえばこの人。
フィリップ(アナンダ・アダヤヤ):黒人で同じくガレージを共有。どちらかといえばフィリップと行動をともにしている。
レイチェル(サマンサ・トンプソン):エイブの恋人でグレンジャーの娘。まだ「それ以上」の段階には達していない。
カーラ(キャリー・クロフォード):アーロンの妻。夫に理解はあるが本当に何をしているかは知らないようだ。
グレンジャー(チップ・カルース):二人が目をつけている投資家。 一人娘レイチェルがいる。
プラッツ(登場せず):かつて協力し合っていたようだが特許を持ち逃げ?ガレージ4人組からは恨まれている。
その他 インタビューなどから:
シェーン本人は映画中のアーロンのようなハードというよりはソフトのほうの技術者であるという。脚本自身は大学中から短編という形で暖めていたもの。しかし、どのような形で
まとめるかはなかなか思いつかず、やがて高等数学の研究中、それまで自分が書いたものにモノローグ(というか登場人物の内面)がまったくないということから映画にすることを思い立ったという。
映画製作を決めてから仕事をやめ、ためた金で3年間を製作に費やした。映画製作術は専門学校のものを二週間受けただけ(しかも、自分好みのコースでなかったためにやめた)。
Super16での撮影に5週間、その後Mini-DVから取り込んでAdobe Premiereで編集に2年かけている。一人が多数を兼任しているのは資金の問題と本人の希望の両方。
エイブ役のサリバンはオーディションで選んだ。
タイトルの「Primer」は不意に出現した装置により、倫理的問題等をとびこして過去改変を行っていき、次第に世界観を狂わされていく二人の科学者のさまを
まだ未熟な子供・学生とみなしているところから付いたという。映画の中では直接触れてはいない。
以下意訳
彼らは戻った過去で「primeとなるかprimerとなるか(to be prime or primer)」を選ばなくてはならない。彼らは確かに技術では一級品、頭も冴える筈である。
しかし、それは自分の運命をいかほどに変えるものなのか・・・???彼らはそれを制御するすべを知らないのだ。
ここでの二単語の使い分けに注意したい。
- prime =最高位の 主要な 重要な 素数の 互いに素の
- primer = 同種の分子が複製される時、元になる分子。または、入門 (下塗り)
ここは日本語でも解釈は分かれるところだろう。
新たな発見とその登場による互いの友情・信用の「やりとり」というテーマは過去のさまざまな発明・発見の伝記やノンフィクションからインスパイアされたという。
また、映画の形式としては、ウォーターゲート事件を追う二人の若手記者を描いたアラン・J・パクラ「大統領の陰謀」やスティーブン・ソダーバーグ「イギリスから来た男」
テレンス・マリック「天国の日々」など意識していると本人は語る。シェーンはSFとしてはクラーク、ブラッドベリ、フレデリック・ポールが好みと語っているが、
今作品でとくに参考にしたり影響を受けたものはないという。
現在は2作目に取り掛かっているそうだ。内容はアフリカ~南アジアを舞台にした天才海洋学者(あろうことか設定は18歳)と貿易商の娘たちのロマンスと、
これまたすこし「理系」話らしい。今度は音楽にこだわりたいのだとか。
(※2019.02.24追記:2013年に独立作品『アップストリーム・カラー』が公開され これも難解との評価を受ける。のちに今や大量の邪悪なフォースを集めてしまっているライアン・ジョンソンによるタイムトラベスサスペンス『LOOPER』にも関わったようだが、わかりやすさ重視の制作と対立しスペシャルサンクス名義での登場にとどまる)
基本事項
解釈のポイント
アーロンはすべてが始まった日(これを月曜日:一日目とする)から、黒いイヤホンをしている。本人は大学バスケの試合を聞いているといっているが
後のシーンで分かるように、これは「3秒後の世界」を録音したものを聞いている。過去を何度も行き来する過程でアーロンが矛盾の発生を防ぐために
用意したものだと考えられる(どうやって録音したかは不明だが)
イヤホンは後にエイブもつけるようになる。イヤホンをつけている人物はその時間軸上のオリジナルの人物でなく、箱から出てきたダブルである可能性が高い。
ロバートの誕生パーティーはのちの展開から考えると月曜日の夜にあったはずである。しかし、映画一番最初の「月曜日」の夜、パーティーに参加したという
描写がない。参加していないとするなら、フィリップとロバートが見たパーティーに出席したアーロンは誰なのか?
「箱」タイムマシンの基本:
原理は不明。超伝導と振動だけでタイムマシンになりゃ世界の大勢の科学者が苦労しないです(アタリマエ)
- 箱の中で一定時間を過ごすと、箱の中の主観時間は外の時間の約1300倍になる
- これは電源をONにした時点(時空におけるA地点)とOFFになる点(時空におけるB地点)を何らかの形で往復するため
外の世界での1秒間に600回近く往復し、内部ではそれだけの時間が経過する。
ちなみに一番最初に入れた「ウィーブル」とは一種の起き上がりこぼしのようなおもちゃのこと。
表面に生えていたカビ(染料の含有物?)がこれに気がつくきっかけとなった
- 電源をOFFにする直前にマシンの中に入ることで、ONにした時点に移動する。
ただし、その移動には、ONにしてからOFFになるまでの時間がかかる(一往復分と考えればよいか)
- もし、そのまま中にい続けると入った時点に戻る。以下繰り返し。
- ON・OFF以外の時間で箱を出ようとすると体に負荷がかかるらしく、体の痛み・めまいなどをひき起こす。
- そのままではダブル(自分の「その時間における」状態。分身)と遭遇し、矛盾が生じてしまうので
1・ 「箱」はタイマーにより、任意の時間にON・OFFができる これにより、電源をONにした「瞬間」に出てくる未来の自分(ダブル)との接触を防ぐ。
2・ タイマーでスイッチが入り、タイムマシンがONになっている間はホテルにこもってすべての情報を遮断する。
「ダブル」との間の矛盾を防ぐだけでなく、周りの人間を混乱させない(バレさせない)という理由もあるだろう。
- 「ダブル」の立場は相対的。 つまり片方にとって片方は「ダブル」である。
- 箱一つにつきタイムトラベルできるのは一人(無理やり二人はいることはできなくはないのだろうが、基本的に一人が利用できる。
また一人が利用中は他人が入って過去に戻ることは出来ないと思われる)
これらの事項を元にエイブが考え付いたのが映画で行われるタイムトラベルである。
点線部分ではエイブはホテルですべての情報を遮断して矛盾を防ぐ。ホテルから戻る前に株価を調べ、ボンベを持って倉庫に到着
倉庫内のマシンをOFFにして箱に入る。箱から定刻どおりに出ればそこは過去であり、ダブルはホテルで謹慎中なので自由に行動できる
そこで株の取引を行い、値上がり後に売り払って利益を得る。ダブルはその後、箱に入って過去に向かうためこれ以後は出てこない。
以後は通常生活に戻れる。
これを図にするとこのようになると思われる。
図1:箱によるタイムトラベルの解釈(理論上)
箱によるタイムトラベル(矛盾のない場合)
通常の無矛盾なタイムトラベルがこうなるはずだが、この作品では「ダブル」が消滅しないというやっかいな事態が起こるため、
この解釈をそのまま当てはめることができない。
もしこの映画がすべて図1のタイムトラベルならば同じ事件での別の事象の発生は起こりえない。
(例:公園の会話シーン エイブがしっかり話を聞く場合と途中で倒れる場合がある)
そこで、タイムトラベルをすると「無条件で時間軸が分岐する」と考えてみる。箱に入ってから出た先はそれまでと「よく似てはいるが別の世界」
であり、その世界で自分と同じような行動を取っている自分の分身・ダブルが存在する。もしダブルが(もう一人の自分と会ったりせずに)
先の世界と同じ行動を取るならばダブルは箱に入ってこの世界からは消滅(別の時空に移動)するため、それ以後矛盾は生じないと解釈可能になる。
図2:箱によるタイムトラベルの解釈 (解釈)
これだと「ダブル」が自分の予期したとおりに行動しない可能性が出てくる。これが矛盾や混乱の元になる。
例: もしダブルと出会って箱に入らないよう説得する
(もちろん殺す・監禁するでも同じ)
自分が出た後に箱を破壊する
こうなると、ダブルは箱に入って消えてくれないのでダブルは残ってしまう。これが永久に残り続けるダブルであり、
映画のラストではダブルがダブルを監視しながら生活を続けようとするさまが描かれる。
以後はこの解釈を元にして考えていく。
アーロンの発言の真意:
プラッツを殴る殴らない論争、そしてタイムパラドックスへ触れた後アーロンはこういうことを言っている
「今この瞬間が2度目でも3度目でも―
もう確定済みだと納得することだ」
「"人生こんなはずじゃない”と思ったことは?
なぜこんなハメになった?””どこで狂った?”と。」
「だが人生の狂う理由が分かったとしたら?」
(”What if you knew this is not the way things are supposed to be?” )
「頭がイカれると事前に分かったら?」
(”Thinking you're being paranoid or knowing you should be?”)
また、電話の主(やはりアーロン)もパーティーを振り返りながらこう発言している
「その夜の僕の行動を話すことはできるが―
だが無意味だ
人の記憶に残るのは出来事の最終版という”現実”だからだ」
前者の意味合いはすこし言葉そのものとは異なる可能性がある。
エイブにアーロンが時間改変を繰り返していることを勘繰られたくなかったためにとっさに出た言葉なのかもしれない
ヘタに過去にもどり続けているといずれ矛盾からエイブにコトの真相がばれる。そうならないよう
エイブに非常用マシンを使わせないように考えていたのかもしれない。
後者は世で言うところの現実とは最後に多数の人間に観測されたもののみを示し、
映画の最後に登場したパーティーが、周りの一般の人に見えた「事実」として残るのみであること。
「事実」の背後の真相を知っているのは結局ダブルのアーロンとエイブの二人のみであること、が示される
疑問点と考察
Q:アーロンが二日目に耳から出血しているのはなぜか
A:アーロンがすでに何回もマシンを利用していることの証拠。マシンには戻る日数だけ入らなければならないから体には悪いと思われる。
また、アーロンはパーティーに何度も参加してレイチェルを救おうとしているため、それなりに荒事を経験している可能性がある。
まともな字が書けなくなるのもおそらくそのため。相手に指を折られたとか?
Q:結局アーロンがしたいことは?
A:一番は「レイチェルを救ってヒーローになる」ことであると思われるが、そこに至るまでの経緯は不明。
可能性・レイチェルが元カレによって「なにかされた」された世界を知っているから?
ショットガンを持ってくるぐらいだから殺気満々ということは明白。適切に手を打たなければ死人とまでは行かなくとも
けが人が多数出た可能性はある。そんな一節にでくわしてからその対策を考えて行動していた?
あわよくばヒーローに?
アーロンがどの時点で非常用マシンの存在を知ったかは詳しくは触れられていない。上のような事態が発生していた場合、
疑いを持ったアーロンがすべてを洗いざらい調べなおす過程で発見したと考えるのが自然か
Q:「マシンに折りたたみマシンを持って入る」の意味は?
A:自分専用マシンの確保。
たしかに非常用マシンを使って過去にはもどれるが、その後必要になったときには自分のマシンが使えるほうがよい。
また、エイブがふとしたことから非常用マシンを使う・自分のダブルが非常用マシンを使う危険性もある。
Q:「また彼がもどってきた」でアーロン同士が争っているシーンの意味は?
A:エイブが非常用マシンで一日目にもどったときにはすでにアーロンは録音会話を繰り返していた。これはヘタに過去を変えてしまわないため。
しかし、エイブは(マシン使用による疲労のためか)そこまで頭が回らず、会話が成立しなくなっていた。
これではせっかく成功させたパーティーその他の未来をブチ壊されるので、アーロンは自分用マシンでまた過去へもどってなんとかしようとした。
ところがもどったころにはすでにダブルはオリジナルを屋根裏に閉じ込めた後だったので、ダブル同士で鉢合わせしてしまった。
タイムトラベル後だったので一方的にぶちのめされたようだが、ダブルに事情を説明して和解し、エイブの件をよろしくと頼んでどこかへと去った
Q:エイブが亜酸化窒素のボンベを持っているのは?
A:一日目に戻るとエイブのダブルが存在するので、しばらくの間「彼」にはお休みしていただくため。亜酸化窒素には麻酔作用がある。
Q:エイブはどうしたいのか
A:グレンジャーの一件のあと、非常用マシンを使って一日目に戻っていることから、すべてをやり直す覚悟があった?
可能性・「あの時アーロンにマシンのことを教えなければよかったのに」とすべてを無にする気だった?
Q:プラッツを殴りに行く案とは?
A:エイブの説明どおりであるが、具体的に図にするとこうなる
自分たちはスッキリした気持ちになる一方、プラッツは「殴られた事実そのものが存在しない世界」にいるのでバレないし問題ない・・・となるはずだった。
また、自分たちのダブルはまさかこちらがそんなことをしているとは露知らず、次の日にマシンを普通に利用して消滅
これでダブル無限増殖の問題も回避できる。(おそらく、マシンから出た後タイマーをセットしなおすのだろう)
しかし、ここにグレンジャーという困った因子が登場して事態が混乱してくることになる。これについては次の項目で
Q:グレンジャーはなぜ登場し、タイムマシンに入っていたのか?
A:「プライマー」最大の謎。これがなければエラー要素は排除できるのだが・・・・
まさかグレンジャーが偶然見つけた、とは考えにくい。
可能性・グレンジャーにタイムマシンの存在を話さなければならなかった時間軸が存在する
アーロンがレイチェル(グレンジャーの娘)が危ないからと説得し、マシンの存在を存在を教えた。
しかし、それでは解決にならなかった もしくはグレンジャーの助けは結局必要なかった。
映画での4日目、アーロンは独力でパーティーのトラブルを解決する。 ただし「マシンの存在を知るグレンジャー」
のダブルは残ってしまい、あの晩にマシンを使われてしまったと考えることができる。
またはアーロンが先にマシンの実用化を考えてグレンジャーに話を持ちかけたかもしれない。
とりあえずエイブにとってはまったく予想外の事態だったことから考えると、エイブが教えたということはないだろう。
また、「グレンジャーはどういうタイミングでマシンに入って出てきたのか」「どっちが先に生じたダブルなのか」というのも
分かりにくい。整理して考えてみる
・グレンジャーその1 ヒゲ面で二人をつけるようにふらふらと歩いていたが、追跡に気づいて逃走
滑って転んで意識不明 二人がどこかへ運んで隔離
・グレンジャーその2 家族とともに行動中 おそらくそれ以後もその世界の「グレンジャー」として活動し続けるのだろう
ヒゲはそっている。
ポイント
ヒゲをそるタイミング。20時間あればヒゲは伸びると考えることもできなくはないがちょっと不自然。ヒゲをそったほうがタイムトラベルをし、
剃る前の自分と遭遇してなんらかの行動を行った、と見るのがよいのではないだろうか?
フォーラムでの議論ではグレンジャーが倒れたのは「グレンジャーはマシンから早く出すぎた」からという仮説が出ている。しかし
それに関する映画内での説明はない。
推測される事象
推測される時間の流れ
(非決定版 参考程度にどうぞ)
これまでに分かっていることなどから推測される流れ
時間軸1
エイブ1、非常マシンを製造したうえでアーロン1に話を持ち掛ける
パーティーでレイチェル関連の悲劇発生
アーロン1、エイブ1の行動に疑いを持つ
アーロン1、非常用マシンを発見 自分用折りたたみマシンを携帯して入る
時間軸2
アーロン1、隠れてダブルの会話を録音して整合性をとることを考える
アーロン1、録音データを持って自分用マシンで過去に戻る
時間軸3~n-1
(以下完璧になるまで繰り返し)
アーロン1、ダブルをぶちのめして屋根裏に隠しすり替わる
アーロン1、パーティーを成功させるべく四苦八苦する
アーロン1、失敗したので自分用マシンで過去に戻ってやり直す
その過程で以下の事態が発生する
※アーロン1、体調異常をきたす
※グレンジャー、マシンの存在を知る
※グレンジャーが過去に戻り、結果グレンジャーのダブルが発生する
時間軸n(映画内前半)
アーロン1、苦心の末パーティーを成功させるもグレンジャーの一件などでエイブnに疑念を抱かせてしまう
エイブn、非常用マシンで過去へもどることを決意する
時間軸n+1
エイブn、非常用マシンでもどってくる
エイブn、寝室にダブルを閉じ込めてすり替わる
しかし、会話の整合性が取れず アーロン、エイブのすり替わりに気がつく
エイブがいじった過去を修正するためアーロン1、自分のマシンで過去にもどる
時間軸n+2(映画内後半)
アーロン1、過去にもどるもダブルの始末にてこずる
アーロンダブル同士の遭遇 その後和解し去る
エイブに事情を説明し、録音した会話を渡す
事情を知ったエイブとの共同戦線でパーティーを成功させる
しかし、エイブと相容れず
アーロン1、海外へ逃亡 電話(通常生活している自分のダブルへ?)
エイブ、ダブル監視生活を開始
(終了)
参考資料等
「プライマー」の考察や参考になるサイトなど。
- IGN シェーン・カルースへのインタビュー(英語)
- Science Fiction Weekly シェーン・カルースへのインタビュー(英語)
- DVD RE-RUNでのシェーン・カルースへのインタビュー(英語)
- ウィキペディア(英語版) 映画「プライマー」について
日本語での「プライマー」に関する考察をのせているサイト等
どのサイトも時系列や人物等を細かくまとめてあり、解釈があります 必見
おまけ
DVD版ならびに映画パンフレットに付属する「配給会社の解釈」
レンタルなどで手に入らなかった方向け(ただし、ネタバレを一部含むため注意)
あくまでこれは「配給会社の解釈」なので、字幕や日本語音声はおそらくこれに基づいているのだろうと推測される
原文そのままなので、矛盾点等は修正していない点に注意。
部会メモ
最終更新:2019年03月24日 15:00