SF研読書会 『デスノート The Last Name』(映像作品)  byO林


1 作品について


スタッフ

原作:大場つぐみ、小畑健
監督:金子修介・・・もともとは、ポルノ映画監督としてデビュー。押井守の直接の後輩にあたる。商業デビューは、押井の手がけていた『うる星やつら』テレビシリーズ版第3話の脚本(1981年)だった。その他の作品としては、ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年)、ガメラ 2 レギオン襲来(1996年)、学校の怪談 3 (1997年)など。
脚本:大石哲也・・・1994年、オリジナルビデオ「ひき逃げファミリー2」で脚本デビュー。1995年、「乙女のみこころ」で第一回讀賣テレビシナリオ大賞優秀賞受賞。そのほかにも、テレビドラマ金田一少年の事件簿(2001年、日本テレビ)、逮捕しちゃうぞ(2002年 テレビ朝日などの作品も手がける。)

キャラクター:キャスト

夜神月:藤原竜也
L/竜崎:松山ケンイチ
弥海砂:戸田恵梨香
高田清美:片瀬那奈
出目川裕志:マギー
夜神幸子:五大路子
夜神粧裕:満島ひかり
リューク(声):中村獅童(特別出演)
レム(声):池畑慎之介
ワタリ:藤村俊二
夜神総一郎:鹿賀丈史

製作エピソード

 当初の予定では、上映時間・約2時間の1作のみが制作されるはずであったが、監督である金子修介が2作にすることに変更した。そのため脚本は大幅に変更されることになり、脚本家の大石哲也は早急にそれを直したが、結局撮影中に金子が次々と脚本を変えてしまった。そのこと自体はどの映画でもよくあることだが、それによる批判の多くが大石のもとに届いたため、第2作で大石は出来上がった脚本を金子にだけ先に見せ、金子からの変更を全く聞き入れず、ぎりぎりまで脚本を渡さなかった。金子はその脚本をほとんど変更できずに撮影を終えたらしいが、それでも「2作目の方がいい形で終わった」と語っている。 なお、脚本家大石のインタビューでは、「初期の設定(2時間で完結)では、レイ・ペンバーは、(Lからの指示により)偽名としてレイ・イワマツと名乗ることで月を追い込む一因となり、その後月に殺されるという役割であったが、監督の意向で映画を前後編とすることとなり、多くの設定がプラスされたが逆に月を追い込むという当初のレイの設定は減ってしまった」などと明かしている。
 2006年12月29日、亀山千広映画事業局長はじめフジテレビが日本テレビに対し、抗議をしていると日刊ゲンダイにて報じられる。本来映画は公開の半年後にDVD化し、更に半年後にテレビ放送するというのが暗黙の鉄則となっており、日本テレビはこの鉄則に反しているという主張である。本作の成功により、他の映画会社も同様の戦略をとる可能性が高く、それまで成立していた邦画全体の映画興行、DVD売上、テレビ放映視聴率のバランスが崩れる危険性がある。日本テレビ側は「本作は邦画初の2作連続公開など、異例尽くめなので特例としてほしい」と弁明していると報じられた。

2 あらすじ



このノートに名前を書かれたものは、死ぬ。

 退屈な死神が人間界にノートを落とした…それは文字通り、人の死を決定づける“デスノート”。そして、世界に退屈しているエリート大学生・夜神月(藤原竜也)がそれを拾い、危険な答えをはじき出す。「これで凶悪犯を粛清し、理想世界を作るんだ」…。そして登場する、キラを追う天才探偵・L。
 デスノートのルールを駆使した衝撃の戦略。天才たちの計算をも狂わせる予想外の展開。それでもすべてを見通しているのは? そして「the Last name」となるのは…?

3 総評


 前後編とも、原作をうまくまとめ、さらに一捻り加えたといった感じだった。映画化と聞いたときには、どうやってまとめるものかと思ったが、原作中の複数の人物を、一人にまとめて、効果的に表現していた。そのせいか、やはり原作を読んだものには、展開がなんとなく読めてしまうところも多々あったのではないかと思われる。
 しかし、原作では、あれ?これなんかLの直感で決めてんじゃねえか?と思われるような強引な決めつけが、対数論や、統計分布的な手法を用いて判明したものとされていて、原作の補足的な側面もあったように思う。
 最後のノートの使い方には舌を巻いた。Lが死んだ(ふり)ときには、原作とは違う結末として、ライトの勝利として締めくくるものかと一瞬思ったほどだ。ノートに自身の名前を書いて、無効化するというのは原作にはない使い方だ。
 他にも、原作には居ないオリジナルキャラ、秋野詩織が登場する。この役は、バスジャック遭遇、そしてラストの南空ナオミとの対決と物語の中核に居座っている。前半ではライトとキラについて議論をするが、法律を学んでいるからこそ起き得る自然な会話が成立していた。原作では、父や妹といった家族をはじめ警察関係者やLが負っていた、キラに反感を持つ人間の存在を、恋人に分担させることで、詩織の言動が常に月を責めているような緊迫感を醸し出していたように感じた。

 最後にどうでもいいことだが、個人的にはリュークはCGなどで無く、ぜひともデーモン小暮閣下にやってもらいたかった。あとデスノートってA4サイズだったのか?原作ではB5サイズに見えたんだが・・・。

●質問したいトピック
映画で、キャストについてどう思うか?
映画で、ノートの使い方を原作と比較してどう思うか?

自分がデスノートを拾ったらどうするか?

2019.03.19 Yahoo!ジオシティーズより移行
http://www.geocities.jp/tohoku_sf/dokushokai/deathnote.html
なお、内容は執筆当時を反映し古い情報・元執筆者の偏見に基づいていることがあります by ちゃあしう
最終更新:2019年03月18日 23:32