SF研読書会 『EVER17 』  by 掘江弘巳


1 概要


  infinityシリーズとして、ギャルゲー御三家のKIDが2001年に出したノベルゲーム。
今回は紙面に興したノベライズ版。ページ数の都合で本来の約5%というコンパクトさを発揮。 気になった人はゲーム版をプレイしてみよう。
謎の大半(特にココ編)は小説には書ききれなかった模様。

【infinityシリーズ】

 infinity、Never7(infinityの完全版、つまりinfinityは今やいらない子)、 Remember11、そして本作EVER17からなる一連のシリーズ。
 全文を読んでも尚謎の全てが解ける訳ではない難解なシナリオ、複雑に組まれた伏線等、 主にシステム面での共通点が多く、中身は特に共通項はなく別々の作品と捉えて良い。
現在、スタッフによる新シリーズ『Integral』が開発中。何とも数学的なシリーズである。

【KID】

 御三家のくせに先日倒産した。現在は業務の全てをサイバーフロント社が引き継いでいる。 が、まだ通販だけは復活していない。代表作はMemories Offシリーズ。
他の御三家はNECインターチャネル(KanonやAIR)、アルケミスト(Wind -a breath of heart-)。

2 作者紹介


日暮茶坊先生
  KID発のギャルゲーを、特にメモオフシリーズを片端から(キャラごとに)ノベライズする 凄腕小説家、脚本家。他にも『Rozen Maiden』や『ひだまりスケッチ』等の小説版も担当。

   ……あれ、書くこと少ないぞ?

3 登場人物


少年:記憶がないため周りから『少年』と呼ばれる少々難儀な人。
 実は記憶がないのも当たり前で…… 未来予知なんかもさりげなくこなしちゃったり、幽霊らしき女の子が見えちゃったりと、 トンデモな一面も併せ持っている。残念ながらCV不明。まぁ2ch探せばすぐ分かるでしょう。

:少年と併せて、メインの男は以上。
 何ともギャルゲー然としているメンバーの揃え方である。 行動で示すタイプの漢。でも冒頭でいきなり溺死するなどショッキングな人生を送る大学生。 ゲーム版では彼と少年と、二人の視点を選んで進んでいく。 CVは保志総一朗。……あー、これは死が運命づけられた声優ですね(ぁ

田中優:本名は長いので省略(酷)。所謂普通でメインなヒロイン。
 父が死んだ秘密を探りにLeMUにバイトとしてスネークのごとく潜入。客にタメ口を聞くなど、バイトとしては甚だ頼りない。 しかしそれは同時に皆の張り詰めた空気をを和らげるムードメーカー的存在に。 ニーソ穿いてるのもポイントが高い。CVは下屋則子。

松永沙羅:忍者言葉で会話する変人その一。
 。母親に教わった歌を口ずさんだり、 ブルーになって一室に篭ったりする普通の少女の一面を見せる一方、 冷凍マグロを担いで来て名前をつけたり、 国防クラスのセキュリティをDDoSで破ったりする天才クラッカーでもある。……やっぱり変人だ。 劇中で流れる「月と海の子守唄」は絶品。というか編者は曲から入りました。 CVは植田佳奈。

八神ココ:自称「ちょーのーりょくしょーじょ」。ロリ担当の変人その二。
 めがっさ影が薄くてラストの数ページしか目立てていない。 ゲーム版ではトゥルーエンドに繋がるキーキャラクター。 でもやっぱりそのルート以外では目立ち度は低い。CVは望月久代。

茜ヵ崎空:常識人。というよりは常識AI。
 LeMU中に張り巡らされたホログラムシステムでどこからでも現れる。 停電で居なくなる死亡フラグをも非常電源で盛大に叩き折るスーパーコンピューター。 おまけにコンピューターは人格交代も容易という事か、沙羅がLeMUをクラッキングした時には 洪水のビジョンを脳内に流し込んだり高周波を鼓膜に流し込んだり酷いこともする。  尚、ホログラムが使えない上に管轄が違う研究所内部には行くことができない。 一方ホログラム故に服は脱がせられ脱げないので、そっち方面のセキュリティもバッチリ。 CVは笠原弘子。

小町つぐみ:ツンデレ、或いはクーデレ担当。
 不老不死の肉体を呪う一面の裏でペットのハムスターに可愛い名前をつけるなど、 根までは暗くない。濁流が襲うフロアに沙羅を助けに行ったり、 感電の危険を厭わずして非常電源を付けに行ったりと自ら周囲を助ける存在。 でも口先はそんなに宜しくないので誤解を与えがち。なんというツンデレ。 ややゴシックな服飾がその手の人々を惹き付ける。CVは浅川悠。……なんか納得。

3 用語解説


【LeMU】

竣工が2007年4月だそうです。因果律が狂い始めてるので早く誰か着工して下さい。  海中に沈むテーマパーク。物語が始まって直ぐ本格的に沈み始める因果な建物。 六気圧に保たれているので急に外に出ると減圧症(潜水病)で倒れてしまう。 事故により浸水し施設内の気圧が低下、圧潰まで119時間という限られた時間の中で、 主人公たちはここから脱出を図っていく。それにしても某ヤマトの残り365日といい、 某奇跡のヒロインで誕生日までといい、なんで滅亡までの日数って計算しやすいんでしょうか。 ちなみに、海中119mにはIBFというヤバいバイオ研究室がある。下記に詳しく。 こっちはもっと気圧が高い。建造費用ももちろん高い。

【IBF】

一見、製薬会社が税金逃れで造ったかに見えるLeMUだが、実はもっと国家レベルの 検閲から逃げるために建造されたバイオ研究所。つまり上層は丸ごとカモフラージュ。 下記のキュレイウイルス等、悪用すれば世界征服権力者がいつまでものさばったりできる、 危険な代物を研究している。結局のところTBの出所だったり勝手に自滅した。

【キュレイウイルス】

数行だけ出てくる症候群[シンドローム]とは別物。早い話が不老不死になれる。 でもまぁどうせ人間なんて高々100年生きればやるべきことなんて全部終ってしまうもの。 上の通り、某北の国の人がこれに罹患したら酷いことになる。  TB対策で皆感染することに。赤信号皆で渡れば何とやら

【TB】

ティーフ・ブラウ。英語でDeep Blue。
血を吐き、喉を掻き毟り、そして顔を真っ青に染めて死んでいく。某富竹の死因も多分これ。 水か空気かは不明だが、どっちかで感染する極悪ウイルス。 これさえ退治するキュレイとは何とも高性能(ついでに御都合主義)なウイルスである。

4 少年の正体


 4次元生命体として、時間を自由に移動できる。この力を使って過去を変え、 冒頭で溺れた武や、救助船に乗せ忘れたココを助けに行く。 沙羅の名前や灼けたハンドルを知っていたのはその名残。 未来世界で目覚めてから能力が覚醒したようだが、その辺の事情が一切合財何も書いていない。 後書きを読む限りは仕様だそうだが(どうみても職務放棄です本当にありがとうございました)。

   尚、ラストでは名前がコロコロ変わる。これに関しては君の目で確かめて欲しい!!
    ……すみませんゲーム全部終りませんでした。詳しくは編者でも未知の領域です。 先輩方の尽力によりPS2版が棚にあります。興味がある方は是非。 又、PC版もありますので欲しい方はどうぞおっしゃって下さい。

5 経緯とか感想とか


 シナリオ重視にノベルゲームを漁っていた掘江がこのゲームに出遭ったのは3年前。某台湾の情報サイトで『月と海の子守唄』が配布されていたのをDLしたのが始まり。 以後PC版を手に入れるも積みに積み続け高校卒業、現在に至る。

 最初にシナリオに触れた時は「おお、何だかSF然としてて面白い」だったが、 段々とサスペンス部分に引き込まれ、気が付いたらキャラクター皆が大好きになっていた。 最後に待つのは何なのか、どこまで謎が解け、どこからが個々人に基づく推量の領域なのか……

    それを知るのは積みゲーが罪ゲーに変った時です(汗



部会メモ





2019.03.22 Yahoo!ジオシティーズより移行
http://www.geocities.jp/tohoku_sf/dokushokai/ever17.html
なお、内容は執筆当時を反映し古い情報・元執筆者の偏見に基づいていることがあります by ちゃあしう

最終更新:2019年03月21日 22:53
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