「火の鳥」手塚治虫
本レジュメでは20世紀を代表する漫画家である手塚のライフワークとも言われる「火の鳥」の角川版の1~3巻にあたる「黎明編」、「未来編」、「ヤマト編」、「異形編」の四つの中短編を扱う。
著者紹介 「手塚治虫」
1928〜1989(60才没)。言わずと知れた「マンガの神様」。代表作には「鉄腕アトム」、「リボンの騎士」、「ブラックジャック」などがある。1946年のプロデビューから1989年に胃がんによって亡くなるまでに数多くの漫画、アニメ作品を残した。wikipediaによると「作品化されたのは全604作で、その内分けは少年向け341作、少女向け36作、大人向け110作、低年齢向け32作、絵本39作、4コマ漫画17作、1コマ漫画29作。」(手塚治虫の作品一覧 - Wikipedia)とのこと。これだけ作品を出しているのだから手塚によって開拓されてないジャンルは存在しないという言説があることにも納得がいく。
黎明編
あらすじ
3世紀の倭(日本)、ところは熊襲。主人公のナギの姉ヒナクは破傷風にかかり、生死の境をさまよう。ヒナクの夫であるウラジは妻を助けるため火の鳥の生き血を求めて火の山に入るが、火の鳥の炎に包まれ死んでしまう。そんな折、村の海岸に漂着した異国の医師グズリが現れ、最新の医学知識でヒナクを救う。やがてグズリとヒナクは恋に落ちる。ところが婚礼の夜、グズリの手引によって、多数の軍船から猿田彦率いる防人の軍団が上陸。グズリはヤマタイ国のスパイであった。村人は虐殺され、ひとり生き残ったナギは猿田彦を襲撃するも捕えられる。猿田彦はナギの勇気を称え奴隷としてヤマタイ国に連れ帰り、狩り部(猟師)に鍛え上げる。ヤマタイ国がクマソを侵略した裏には、老いた卑弥呼が火の鳥の血を欲していたという事情があった。のちにヤマタイ国も、ニニギ率いる高天原族に滅ぼされ、ナギも猿田彦も戦死する。(wikipediaより引用)
登場人物
ナギ
クマソの少年。火の鳥に憧れている。グズリに裏切られて以降はヤマタイ国を恨むようになる。クマソ壊滅後、猿田彦に召使いとして引き取られ、そこで弓の腕を磨く。ヒミコを殺そうとしたことでヤマタイ国を発つ。
追放後、クマソに向かう。単身乗り込んだ火山で火の鳥と出会い、永遠の命は得られないと告げられる。なおも捕まえようとするが失敗。そんな折、グズリと姉ヒナクと再会。グズリとともにいる上、復讐せずに子供を作ってクマソを再生させようとする姉とは決別。同じく火の鳥を狙う天の弓彦との出会いの後、弓彦の忠告通りクマソを離れて、栄えているというマツロ国を目指す。
マツロ国のあったところで高天原の民に出会い、ウズメの助けにより殺されずに奴隷となる。ニニギノミコトがヒミコ亡き後のヤマタイ国を滅ぼそうとした際に猿田彦とともに高天原の民への反乱に加わる。劣勢になったので生存のための最後の手段として弓彦が射止めた火の鳥の遺骸の生き血を飲もうとするが、血は出ず、あえなく殺される。
猿田彦
ヤマタイ国の防人。ヒミコに忠誠を誓っている。強い。クマソを滅ぼした際にナギを拾い、召使いとして稽古をつける。その後、ナギがヒミコを殺そうとしたため、蜂に刺され、殺されそうになるがナギにより助けられ、その後はナギと行動を共にするようになる。蜂に刺された影響で鼻がひどいことになった。ナギのことは実の息子のように思っている。高天原の民の奴隷となったときにウズメの夫になる。ヒミコ亡き後のヤマタイ国を守る戦いでは火計により勝とうとするが雨を待たれて失敗。劣勢に立たされながらも戦い続けて敵を多数倒すが最後は大量の矢が刺さって死んだ。モデルは日本神話で邇邇芸命を道案内したという国津神、猿田彦。
ヒナク
ナギの姉。病からヒナクの命を救ったグズリと結ばれるがヤマタイ国のスパイだったグズリに村を滅ぼされる。グズリによって生かされ、一時は火山の熱水がわくところに身を投げるが、グズリに諭されて子供をたくさん産んでクマソを再興させることを決意。ナギと再会するころには5人以上は子供がいた。ナギとの再会後、火の鳥が起こした噴火に巻き込まれて子供を失って狂う。しかし、その後も子供を産み続けた。
グズリ
流れ者の医者としてクマソに潜入したヤマタイ国の男。その働きによってクマソを滅ぼしたが妻となったヒナクだけは生かした。噴火を生き抜き、火山の火の鳥の住処で生き続けた。やたらと医学に詳しい。仁なのかも。
天の弓彦
ニニギノミコトに滅ぼされた一族の生き残りで弓の名手。ヒミコに火の鳥討伐を命じられた。鉄の矢で火の鳥を仕留めるも、遺骸を持ち帰ったときにヒミコは死んでしまった。ニニギノミコトたちが進行してきた際にはヤマタイ国側で戦うが、最期は同じ一族の生き残りであるウズメを人質にとられて死んだ。
ヒミコ
ヤマタイ国の女王。占いによって国を治めてきた。ヒ永遠の若さを求めてクマソにいる火の鳥を求めて兵たちを大量に派遣するが、火の鳥が火山を噴火させたことであえなく失敗。その後、病に伏す(乳がん?)。死の時まで火の鳥の生き血を求め続けたが弓彦が火の鳥を捕まえてきた直後に生き血を飲むことなく死んだ。モチーフはもちろん邪馬台国の女王、卑弥呼。この卑弥呼には弟がいて補佐をしていたとか。
スサノオ
ヒミコの弟。姉の補佐をしていた。姉にはわりと反抗的(というか国も末期だったのでこれからのことを考えるにあたって意見が割れた結果か)。モチーフはスサノヲで、その姉はアマテラス。ちなみに、wikipediaによると「神話上、現在の皇室とは、姉弟間のアマテラスとスサノオの誓約でうまれた男神正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命とその子で天孫降臨をした天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命を経て、スサノオは男系上の先祖にあたる。」とのこと。
ニニギノミコト
高天原族の頭目。覇道を行くタイプの王だが、火の鳥を見て永遠の命には興味がないと発言する一面も。モチーフは現在の皇族の一代目神武天皇(実在性は怪しい)の祖父にあたる神、ニニギノミコト。
アマノウズメ
ニニギノミコトの奴隷のうちの一人。醜い女として見世物にされていたが、これは計算通り。本来はすごく美人で、身を守るために醜い風メイクをしていた。猿田彦に惚れ、結婚して子を宿す。モデルは日本神話に登場する女神アマノウズメ。日本最古のおd利己といわれており、その踊りで猿田彦の名前を明かさせたとか。
タケル
ヒナクとグズリの息子。クマソを発展させるために火山からの脱出を試みる。落ちそうになるも、火の鳥の応援により持ち直して外に到達する。
火の鳥
クマソの火山にとても長い間住み着いていた鳥。死んでも火とともに生き返る。多くの人が捕まえようとしては死んでいた(ナギの兄も死んだ)が鉄の矢ぐらいの文明力をもってすれば殺せる。ナギには不死になるのはダメだよ、タケルには頑張れ、ぐらいのことをほぼ一方的に言ってきた。
おまけ
- 本作は江上波夫騎馬民族征服王朝説に沿って書かれた。大雑把に言うと、韓国とかのほうからきた騎馬民族が天皇のルーツだよーという説。現在、この説は日本ではそこまで支持されてないが、騎馬民族の流入自体はあったらしい。また、韓国では、韓国半万年の歴史がうんぬんかんぬんみたいな文脈の中でこの説が都合よかったらしく支持されてる、らしい。(全部wikipediaの受け売り)
- 火の鳥にすがった者とその周りは死んで、頑張って生きているやつしか生き残らない、という結果でどっちも必死は必死なんだけどやっぱ不死にすがるのは違うよね?的な意思を感じてよかった。
未来編
あらすじ
西暦3404年。時間軸で考えた場合の火の鳥の結末にあたる作品。人類は25世紀を頂点として衰退期に入り、文明も芸術も進歩が少しずつ停止、人々は昔の生活や服装にばかり憧れを抱くようになり、すでに30世紀には文明は21世紀ごろのレベルまで逆戻りしていた。地球人類は滅亡の淵にあり、他惑星に建設した植民地を放棄し、地上は人間はおろか生物がほとんど住めない世界となっていた。人類は世界の5箇所に作った地下都市“永遠の都”ことメガロポリス「レングード」(ユーラシア中央部)「ピンキング」(満洲北部)「ユーオーク」(ニューヨーク付近)「ルマルエーズ」(マルセイユ付近)「ヤマト」(東京付近)に移り住み、超巨大コンピュータに自らの支配を委ねていた。しかし、そのコンピュータも完璧な存在ではなく、コンピュータ同士で争いが起き、全体主義体制を採る「ヤマト」と自由主義体制の「レングード」の対立から核戦争が勃発した。その結果、対立関係とは無縁だった残りの3都市までもがなぜか超水爆で爆発し、地球上に5つあった全ての地下都市が消滅。人類が滅亡してしまう。生き残ったのはシェルターに居た主人公の山之辺マサト、そして猿田、ロック、タマミのみであった。その後、山之辺マサトの意識は体外離脱し、火の鳥により、宇宙の構造と、人類の滅亡が生命の歴史のリセットを目的として実行されたことを告げられ、生命を復活させ正しい道に導くために永遠の命を授かる。他の者が次々と放射能の作用や寿命が尽きて死んでいく中で、山之辺マサトだけは永久に死ねない体のまま苦しみ、悶えながら生き続ける。途方も無い時間をたった一人で過ごす中で、マサトは地球の生命の復活を追究し続け、やがて一つの答えにたどり着く。(wikipediaより引用)
登場人物
山之辺マサト
二級宇宙飛行士。ムーピーであるタマミと秘密裏に暮らしていた。しかし、同期で上司のロックにそのことがバレて、タマミとともに逃亡する。地上に出たはいいものの、寒くて死にかけるが猿田博士に救われる。そうしてシェルターで働いたりロックと合流したりしてるうちにコロニーが消し飛ぶ。地球脱出だの何だのロックともめていると不意に火の鳥が現れてシェルターの中に侵入してきて、宇宙のビジョンを見せられるとともに地球再生を任され、不死となる。その後、地割れが発生し、それに伴いロックや猿田博士とも別れることになる。五百年ほど経つと不定形になったタマミも死んでしまう。その後、話し相手を求めてロボットを作ったり合成人間を作ったり新人類を作ったりしているうちに体は消えて宇宙生命(コスモゾーン)となり果て、新人類たちに神としてあがめられるようになる。最終的には火の鳥に取り込まれて火の鳥の中の数多の宇宙生命のうちのひとつとなる。
タマミ
マサトの恋人で不定形生物ムーピー。マサトとともにシェルターに入ってからは吹雪で弱った体を癒すために試験官の中に入る。その後シェルターが壊れたころ、マサトのためになるならばとかねてから猿田博士に強く頼まれていた生物再生のための実験の被検体となり、人型を失う。その後も生き続け、五百年経った頃、マサトとの最後のムーピー・ゲームをして死んだ。そして、火の鳥の中の宇宙生命のうちのひとつとなる。地球最後の男たち全員にモテている。
猿田博士
天才博士でひどく不細工。百年以上生きている。人の世で生きることがつらくなり、ロビタとともにシェルター内で合成人間を作り続けていた。結果は芳しくなく、試験管の外では生きていけない生命しか作れなかった。本編の一か月前に火の鳥に人類を救うものが来るといわれていたので、マサトとタマミを匿う。その後、合成生物たちの完成のためにタマミで実験することをタマミ自身に頼む。地殻変動によってシェルターが壊れたことによって放射線に体を蝕まれながらも実験は完遂させたが、ロビタは壊され細胞転換手術はできずタマミの覚悟に報いることができずに死に、その体はロケットで宇宙へ打ち上げられた。今回の猿田彦シリーズ。
ロック
生粋のメガロポリス市民でマサトの同期で上司。偉そうな奴。試験管ベビーとして生まれ、人工知能「ハレルヤ」に従って生きてきた。しかし、マサトをめぐって戦争が起こりそうになると、メガロポリスを逃げ出してシェルターにたどり着く。タマミとともに地球脱出しようとしたり、ロケットの使用のためにロビタを壊したりと場を引っ掻き回すだけ引っ掻き回したのち、自分の体が放射線により長くないことを知りショックを受けてどこかへ行って慟哭する。
火の鳥
今作では世界の終わりが見えていたため、地球の再生を成し遂げる男が無事にその責務を果たせるようにするためだけに動いていた。また、生命が過ちに気づいてくれるといいな、という考えが根底にあることが分かった。
おまけ
- SF研の部会として「火の鳥」を読む上で必要だった。
- AIが支配した未来世界という今でこそ使い古された設定を使っているが、これは1967年に描かれた漫画である。手塚治虫ってすごいな(小学生の作文か)。
ヤマト編
あらすじ
4世紀ごろの倭(日本)。古墳時代。主人公のヤマト国の王子ヤマトオグナは、父である大王からクマソ国の酋長川上タケルを殺すことを命じられる。その理由は川上タケルが真実を書いた歴史書を作ろうとしているからであった。大王は、自分たちは神の末裔であるとする嘘の歴史書を作ろうとしていたため、川上タケルがやろうとしていたことは不都合であった。オグナは川上タケルの妹であるカジカと出会い恋に落ちるが、迷いながらも父の言いつけ通りに川上タケルを殺す。タケルは死に際に「わしの名前をやろう。これからはヤマトタケルと名乗るがいい」と名前を譲る。愛したカジカに、仇として命を狙われることとなったタケル。二人の愛はやがて悲劇へと向かって行く。(wikipediaより引用)
登場人物
オグナ
ヤマトの第五王子。父に反抗的で王墓の建造にも反対していた。あるとき、川上タケルが真実の歴史書を書こうとしていることが父に都合のいい歴史書(=古事記)を書くのには都合が悪かったために討伐に遣わされる。そうしてたどり着いたクマソでカジカと出会う。カジカの案内でたどり着いたクマソでは川上タケルにもてなされ、クマソというところが好きになってしまい、おまけにカジカと恋仲になってしまう。しかし、古墳に埋められる人を救うために接触していた火の鳥の導きでヤマトの男として川上タケル討つことを決意する。クマソの長老のオジイの死に際して暗殺を行い、それは成功した。その際に川上タケルからヤマトタケルの名を授かる。その後、火の鳥の助けもあって追手を逃れ、火の鳥からはその血をもらう。帰ったヤマトで父の墓を建造する責任者に指名され、王墓の周りに生き埋めにされる人が出ないように尽力するも、牢に入れられる。牢から抜け出し、兄に人の代わりに埴輪を埋めることを提案するも拒否され、人柱の一人にされた。そして、こっそりつけてきていたカジカをはじめとする生き埋めにされる予定の人々とともに火の鳥の生き血をなめて、死ぬまで歌い続けることを決意。一年の後、カジカとともに最後の二人となって愛を確かめ合いながら死んだ。
モデルはヤマトタケル。剣で草を薙ぎ払って火を止めたり(草薙の剣の由来)、暴力装置として各地を転々としたりした、言わずと知れた我らが王。
川上タケル
クマソの王。人格者で強い。妹のおてんばに頭を痛めている。ヤマトの征服についてまとめた歴史書を書こうとしているためヤマトの王に命を狙われ、自分を殺しに来たオグナと出会う。自分を殺しに来たからと言って返り討ちにはせずにもてなし、クマソの地について教え、彼に悔いのない一生を生きるように説く。暗殺されても彼を憎むことはなく自分も授かった「ヤマト」の名を彼に授ける。モデルはヤマトタケルに討たれた熊襲の王、川上梟帥。
カジカ
おてんばなクマソの王妹。ヤマトから来たオグナには挑発的な態度をとっていたが、彼の人柄とその行動に触れていくうちに恋に落ちる。しかし、オグナが兄を殺したことでクマソの兵を率いてオグナを追うことになる。ヤマトへ逃がすも、彼女も単身ヤマトへ乗り込み、身分を偽って王墓を作る作業員となる。そして、オグナと再会し、兄の仇として殺そうとするもできなかった。その後、運悪く生き埋めにされることになり、オグナとともに火の鳥の生き血をなめて地中で歌を歌い続けた。そして一年の後、愛するものとともに死んだ。
オジイ
黎明編で火山脱出したあのタケル。前作のキャラが出てくる喜びが摂取できる。
火の鳥
自分が助けたタケル(オジイ)の作ったクマソには肩入れせず、気に入ったオグナの手助けをした。その時々に気に入った人を助けることがあるだけでこの国の味方、とかにはならないことがはっきりした。いい性格しやがるぜ。
おまけ
- 地中からうめき声が聞こえたっていう日本書紀の記述からのアイデアらしいが、漫画内で紹介されているあの古墳はもっと後年につくられたものらしい。
- 中学生の時に読んだ「白鳥異伝」のせいで日本神話に興味がある米村的にはとてもわくわくした。しれっと草薙剣の話を使ってて、バイブスアゲアゲだった。
- 歴史書は真実を伝えるものじゃないよねっていう内容があってこれって劇場版仮面ライダージオウOver Quartzer だよねと思った。
異形編
あらすじ
戦国の世(室町時代)。主人公の左近介は本来は女であったが、幼少のころより父に男として暴力をもって育てられた。その左近介の父は応仁の乱の功績で名をあげた残虐非道の男であり、左近介は父を憎んでいた。ある日、左近介の父の鼻に「鼻癌」と思わしき症状が現れ苦しんでいたところ、それを治せるという尼「八百比丘尼」が現れた。左近介と父は、まるで老いた左近介のような八百比丘尼の姿に驚く。父に恨みを抱いていた左近介は、治療を阻止するために、寺を訪れ八百比丘尼を殺す。だが、殺害を終えた左近介は不思議な力に阻まれ、寺から出られなくなる。八百比丘尼の治療を求める近隣住民たち、さらには人外の異形の者たちが次々と寺を訪れ、左近介は心ならずも比丘尼の身代わりとして治療に従事する羽目になるが、そこから恐ろしい因果応報が左近介に巡ってくる。(wikipediaより引用)
登場人物
左近介/八百比丘尼
嫡男として育てられた八儀家正の娘。厳しい稽古を受け続けたうえ、恋仲となった男を死なせたことから父を殺すことに決めたが実行できずじまいだった。しかし、父が鼻癌という死病にかかったためその治療をさせないことで殺そうとする。父を治療できるという八百比丘尼を殺すとなんと過去へと移動していて寺からは出られなくなり、八百比丘尼として生きざるを得なくなる。人々を羽根の力で救い続けて迎えた自分が生まれる日、夢枕に出てきた火の鳥の言うことを信じて今までよりも熱心に人々や妖怪を火の鳥羽根で治療し続ける。人殺しの罪を贖い終わり、下山できるようになり従者の可平を逃がす。そして自分が八百比丘尼を殺す日がやってきて…
モデルの八尾比丘尼は何らかの理由で不死になった尼僧。不死になったメジャーな理由としては人魚の肉を食べたこと。SIRENの八尾比沙子とか人魚の肉伝説単体で言えばちいかわとかで度々モチーフにされている有名な尼僧。
可平
左近介の従者。左近介を慕っていた。左近介とともに寺に閉じ込められる。やってきた妖怪には怯えっぱなしだった。左近介の罪の清算が終わると、主とともに下山できないことを悔やみながら寺生活で書き溜めた妖怪画とともに下山した。
八儀家正
左近介の父。鼻癌というギャグみたいな病のせいで死にかけ、八尾比丘尼を頼る。あの山はループしているものの左近介が八尾比丘尼を着る展開は変わらないと思われるためおそらくそのまま鼻癌で死んだ。今回の猿田彦枠。
火の鳥
本作では人殺しの罪を左近介に贖わせる役割だった。そもそももっと別に罪を贖わせるべき奴がいただろというのは言わないお約束。一応、ヒトをはじめとする生命にその罪深さを知らしめるために行ったことだから行動原理はぶれていない。
おまけ
- 無限ループの中で苦しみ、やがて悟って一人の尼僧、八尾比丘尼となっていく左近介の姿が結構好みだった(見た目じゃなくて生きざまの話)。
- 最初の八尾比丘尼はどこから生えてきたのか、という無限ループに特有の問いが頭に浮かぶ。もしかしたらこれはまどマギだったのかもしれない。魔法少女左近介…
最終更新:2024年03月27日 03:41