SF研読書会「ミミズクと夜の王」
担当 刺身
1. 概要
第13回電撃小説大賞・大賞を受賞。電撃文庫には珍しいストレートで童話的な作風が話題になった。大賞を取る以前は作者の個人ウェブサイトで一般公開されていた。ライトノベルとしては非常に異色で、挿絵が一切入っていない。また、『聖剣伝説』のメインビジュアルや企業用カレンダーのイラストを手がけている磯野宏夫による表紙イラストも、一般書籍のような印象を与える。
2. 著者&著作
・著者 女性?石川県出身。金沢大学文学部卒業。ペンネームは誕生石のルビーから。同人誌も書いていて、某同人ショップなどで委託されているようで・・・
・著作 ミミズクと夜の王(2007/02) 当作品 上記概要。
MAMA(2008/2) 「ミミズク~」とは逆に封印されていた「人喰いの魔物」とその封印を解いたことで魔物の母親となった少女の話。
3. 登場人物
・ミミズク
額に332の焼き印を押された少女。三白眼気味。「夜の王」に自分を食べて欲しいと願い、彼の元に通い続ける。(332→ミミズ? )
・フクロウ(夜の王)
月の瞳を持つ夜の森の絶対的な支配者。目元から頬に走る入れ墨のような複雑な紋様があり、鴉のような漆黒の翼を持っている。人間嫌いで、静かで綺麗なところを好む。ミミズクからは「フクロウ」というあだ名で呼ばれる。ツンツンデ(ry
・クロ
森に住む魔物で、出合ったミミズクに色々と親身になってくれる。コウモリのような一対の羽に、2対4本の腕、さらには大きく裂けた赤い口など、如何にも魔物という恐ろしい外見をしている。
・ダンテス
レッドアークの国王。灰色の髪と眼球を持つ。自分よりも国を取る秀でた国王で、傾いていた国を建て直した。ツン(ry
・アン・デューク
レッドアークの聖剣に選ばれた聖騎士。騎士団の象徴的な存在。
・オリエッタ
アンディの妻で、神殿に務める「剣の処女」。藍色の瞳を持つ。
・ディア
レッドアークの幼き王子。手足が薄く変色しており、生まれた時から動かす事が出来ない。その為、塔の一室に幽閉状態にある。
・リーベル
王家直属の魔術師団の団長。
4. あらすじ
ちょっとラリった少女、ミミズクは綺麗な存在と出会い、あたしのこと、食べてと言い出す。
目覚めたミミズクはクロと出会う。クロとの会話の中で人であることを何度も否定するミミズク。また月の瞳をもつ綺麗な存在が夜の王であることを知る。やっぱり王に食べてもらおうと王の屋敷へ向かい、会うが寝てしまう。
人の王と聖騎士との会話。聖騎士やる気なし。また、目覚めたミミズクは木の上にいる夜の王に、働くと言うが、ツンツンされる。さらには名前の由来を語るがツン(ry→王のことをフクロウと呼ぶことに
フクロウの描いた絵を見て感動するミミズク。フクロウのために煉獄の花の根を取りに行くことを決意する。怪我を負いながらも根を手にいれ、その帰りに人と出会い誘われるがフクロウの元へ向かう。根の見返りに誉められることを望むミミズク。フクロウに額の文字を不思議な不思議な文様に書き換えられる。
ミミズクの過去。人かっさばく。中に誰も・・・ 村が襲われる。男の人刺す。殺しちゃった?やっぱり喰われたい。人の国は魔王討伐へ。クロちゃんお仕事でしばらくいない。フクロウの過去。もとは人だった。討伐軍に館を焼かれ、絵も焼ける。ミミズクは人に「救出」される。
城で目覚めたミミズク、記憶を失っている。フクロウは捕えられ、魔力を吸い取られている。アン・デュークらと共に城下を巡るミミズク。その後王子と出会う。
王子は四肢が動かない。不幸対決しようとする王子。友達になる。王子とミミズクの交流。夜、月を探すミミズク。額の刻印は記憶封じの呪文。解呪するが記憶は戻らない。しかし森で出会ったおっさんの話を聞いて記憶を取り戻す。
フクロウの絵を焼いたアンに愛憎両方の感情を持つ。クロあらわる。フクロウはわざと捕まったままらしい。愛を知ったミミズク。クロのしていたお仕事は実は・・・フクロウの優しさを知る。人の王がフクロウから魔力を吸い出しているのは王子を治すため。騎士と乙女の過去と今。
儀式。ミミズクはフクロウのもとへ。抱き合う。魔力の詰まった水晶を割るアン。王子の手足を治すフクロウ。森へ帰るフクロウとミミズク。
ミミズクが選ぶ居場所はフクロウのいる場所。死んでも土となり、花となって、隣で咲く。
5. 感想
とりあえず、いきなり「イヒヒ」と笑いだす主人公に驚いた。いやイヒヒって・・・
それはともかくとしてこの作品のあまりの「ラノベらしくなさ」におどろいた。魔法の理論、どういった世界か、などなどについてさっぱり説明されていない。よく、魔法は~~力を用いてうんぬんかんぬんみたいなことが書かれているものだが、こういったものについて、読み手の常識?(ファンタジーだから魔法があって、魔物があって、中世ヨーロッパなんだろーなーという)に委ねられている。また挿絵がない(カバーの絵もアニメ調でない)ことも「ラノベらしくなさ」に拍車をかけているように思う。
個人的にはあまりこういった方向性の話は好きではないので、気に入ったとは言えないが、これを大賞に選ぶ電撃文庫の(無駄な)がんばりは伝わってきた気がする。
余談
この翌年の大賞である「ほうかご百物語」は萌え系の絵師を用いた作品だったり・・・
最終更新:2009年06月04日 23:52