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チラ裏:All_Fiction:SS:何処かに落ちていたメモ

楼観に問うた事がある。
『何故、剣を振るうのか?』と

アイツは、目を細めて
うっすらと笑みを浮かべて、こう答えたよ。
『道を極めたのなら、刀は抜くまでも無いもの』と
そう師に教わったのだと、そう言った。
いかに鞘から抜かずにおくか、その為に私は今も死にもの狂いで剣を振っている
そう答えたアイツは、何処か嬉しそうだった。


天魔に問うた事がある。
『何故、驕る事が無いのか?』と

意に介する事も無かったのか
あの人は少し困ったように笑い、こう答えたよ。
『ならば、何故あなたは遥か高みを目指すのですか?』と
昔を思い返すようにして、その人は言った。
弱さを経ていない強さなどないでしょう?
そう答えた空の王は、何処か寂しそうだった。


酒呑童子に問うた事がある
『何故、己を捨てることが出来るのか?』と

そう聞くと、天を見上げ
腹の奥底から嬉しそうに笑い、こう答えたよ。
『声を聞いた。』と
天を指差し、堂々と鬼神は言った。
我々の生きる道は、これまでも、これから先も…全て天により決められていて、それ故に完全に自由だ
己の生きる様を、己で決めた鬼は、何処か誇らしげだった。


杓凪華に問うた事がある
『何故、世界を巡るのか?』と

アイツは楽しそうに立ち上がると
両手を広げ、クルリと一回りして、こう答えたよ。
『心が凝り固まっていては見えないものも、力を抜いて素直に見れば、様々な姿を魅せる』と
天を仰いで、あのジプシーはこう言った。
全てを見たい。心を開いて受け止めるなら、この世の全ては美しいのさ
そう答えた世界を旅する放浪者は、何処か清々しかった。



…お前に、以前こぼした言葉がある。
その時俺は弱くて『弱いなぁ』と言ったのを覚えている

『例えば、心の奥底から『付いて行きたい』と思える相手が存在したとする。
それまでは独りでも平気だったのに、その者が傍にいて欲しいと思う程、自分にとって大きな存在。
そんな存在が目の前から消えたら…なんだろうな、悲しいんじゃなくて苦しい…
…だから、自分の傍に誰かが居て欲しいと、心の奥から本当にそう思う。
誰かに悲しいと、苦しいと伝えたくなる時がある。
けど、誰もいない
…部下や友とか、そんなんじゃ無い存在が…
俺と対峙出来る対等な存在が、欲しくなる。』


あの時、俺の言葉にお前はこう答えたよ
…私には関係無い、出来たことも、相手もいない』と
けどさ、気づいて無かっただろうけど
その時のお前は、とても悲しそうで、そしてとても綺麗だった。



楼観には、心の在り方を
天魔には、強さの意味を
酒呑童子には、守る理由を
杓凪華には、生き様を

そしてお前には、他の生物に対する感謝と愛情を教わった。



そんな友の大半を失い、ようやく気付いた事がある。

俺には、競える相手がいた。
己の全てをぶつけさせてくれる相手がいた。
だから…ここまでこれた。

…俺は、独りじゃ無かったらしい



生き物の心にはさ、引き目がある
不安、安堵、恐怖、崇拝、敵意、善意、憎悪、感謝、殺意、感動、執着…
何者かに対峙した瞬間、不安に引き目が揺り動けば
不安は敵意に変わり、恐怖にと簡単に傾く
逆も厄介だ、安堵、感動に揺り動けば
心は崇拝にと傾き、その性質を変える。
でも、その引き目に揺れ動く別れ道は、いつでも人の内側にある。
だから、強く生きる為には…
心の真ん中が一番いい

…例えば、全ての生物がそんな風に強くあれたら
誰かと対峙した時、それぞれが心を揺らすこと無く、真ん中であれたら…
きっと闘いは起こらない
闘う必要が無い、そう思わないか?

だが、そこに到達するまでに、きっと生物には争いが必要で
その答えが知りたいからこそ…
辿り付きたいからこそ、人は遥か昔から争い続けているのかも知れない


今の俺にはわからない事だらけだ
だから、まだ俺の争いは終われない。


このメモを見たら、お前はビャクレンがいた道場に戻れ。
お前の帰る場所はあそこだろう?
…帰る場所を作るんだ。




じゃあ最後に、ちゃんと顔をあわせて伝えたかったけど
できそうもないから、こんなメモで…
伝えたい言葉を伝える事にするよ


…ありがとう。
大好きだよ、九尾。
最終更新:2011年07月14日 00:50
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