「敵なら殺せ」
私が荒野で学んだ教訓だ。
常に片時も気が抜けなかった。いつの日も、銃を片手に。
抜かなきゃ死ぬ。何度そういう状況にめぐり合ったか数えきれない。
だから・・・これは、私の自衛の為の言葉。私が私であるための、言葉。
「敵なら殺せ」
ボクの居た世界じゃ、平野を歩けば敵にぶつかった。
いっつもクルマを駆って、そして勝って来た。それが当たり前。
でも・・・どうなのかな?殺すべき敵と、そうじゃない敵。
ここに来てから、そんな"敵"にたくさん会ってきた。
・・・殺すべき敵の基準って何なのかな?
「敵なら殺せ」
気づいたら全てを失っていた。
手に残ったのは奇妙なスーツと一丁の銃。それと抜け殻のような私自身。
あとは・・・こちらに銃を向ける、狂ったような兵士たち。
それしか無かった。そうしなきゃ、私が死んでいた。
まだこちらに銃を、剣を向ける奴がいる。
だったら殺さなきゃ・・・たとえそれが、誰であろうとも。
「敵なら殺せ」
あの時、私は満ち足りていたのかもしれない。
楽しい友達、優しい両親、愉快な学校。
・・・あの時奪われて初めて気づいた。その全ての掛け替えのなさに。
助かろうと決めた時、確かに私は「立ち向かう事にした」そう決めたつもりだった。
でも違う。本当は現実から目を背けてただけなんだ。
・・・ゾンビの中に、ひょっとしたら親友や知り合いが居たかもしれない。
でも、襲ってくるから殺した。それだけ。私は、私は・・・
・・・悪くないよね?
「敵なら殺せ」
ボスから教わった言葉ね。
とはいえ、あんまり流血沙汰が好きじゃなかったから、出来る限り殺害は避けたわ。
私は甘い、と言われたけど、正直甘いんじゃない、怖いだけよ。
・・・自分の手を汚すのが嫌だから、結局は保身。
よく優しいだの何だの言われるけど・・・お人好しじゃ、やっぱり世の中生きていけないわ。
「敵なら殺せ」
軍時代、教官から教わった。
今思い返すと、私はアイツらにとってその「殺されるべき敵」だった。
だが・・・妙な事もあるものだ、私を気に入り、釈放するなんて奇妙な奴が居た。
何故だ?敵をどうして味方に引き摺り込むんだ。裏切るかもしれないんだぞ?
・・・やはり、人間の感情、というのはまだまだ解らない事が多い。私も勉強不足だな。
「敵なら殺せ」
俺のモットーだ。逃げようが関係ねぇ。
敵にケツ見せる方が悪ぃんだ。また襲撃されても困るしな。
俺ぁそこまでアマちゃんじゃねぇしタマ落としたつもりもねぇよ。
傭兵稼業ってのは裏切りは日常茶飯事だ。だからこそ、不穏な芽はとっととぶっ放して摘みとるに限る。
お前は俺の敵か?だったら手加減無しで行かせてもらうぜ。
最終更新:2011年08月06日 00:24