Ruler and Dominator ◆GOn9rNo1ts
「弁明を聞こうか」
「弁明する事柄について、心当たりがないわ」
公安局、執務室。
東京の治安を維持するため活動を続けるその組織の、最も深き場所で。
静かに、睨み合いは始まった。
「それでは言い方を変えるとしよう。
昨日発生した執行者に関する顛末について、説明を」
「……貴女から執行者の発生を知らされた私は、執行官数名を連れて現場に急行。
対象を『秩序施す執行』(パラライザー)により無力化、拘束して本部に移送。以上」
「なるほど。確かにそれだけならば、君の行動は賞賛さえ受けるものだろう。
迅速な行動、怪我人も出さずに執行者を確保、大したものだ。
――――しかし、今、私が問題にしているのは君が『敢えて話していないこと』なのだよ」
監視官、常森朱は沈黙する。
「君は執行者の犯罪係数が300をオーバーしたにも関わらず説得を続け、300以下になってから鎮圧した。
執行ではなく、鎮圧を選んだ。大した活躍だったそうじゃないか。
人の口に戸は立てられぬよ、常森監視官。それが武勇伝ならなおさらだ」
「それの何が悪いことなの?たとえ――」
「たとえNPCだからといって、命をむやみに奪う必要はない。そう言いたいのかね、君は」
目は口程に物を言う。
朱は真っ直ぐにこの部屋の主、公安局局長である禾生壌宗を見つめ返した。
「君とて、現状を理解しているものだと思っていたがね。
私たちが現在相手にしている『執行者』は、今までのものとは危険度が違う。
万が一逃亡、いや、取り逃がさずとも町の中心で声高に主張されてみろ。
『この世界は偽物で、私たちは作られた存在なのだ』などと。
エリアストレスの拡大、などというレベルでは収まりきらない」
「だから、『この世界の真実に気付いてしまった』NPCは有無を言わさず執行するべきだと?」
「少し違うな。『聖杯戦争に悪影響を与える可能性のある存在』は誰であろうと、有無を言わずに執行するべきなのだ。
それこそ聖杯が『ルーラー』、
シビュラシステムに与えた役割なのだから」
この世界において、犯罪係数は『聖杯』の意志によって変化する。
この世界において、罪とは『聖杯戦争を阻害すること』に他ならない。
「そもそも、数百万の人が流動し全国各地に物品が流通する都、東京を隔離すること自体に無理があったのだ。
どれだけ嘘に嘘を塗り重ねようとも、どこかで必ず綻びが出る。
マスターやサーヴァント、こちらの管理しきれない存在がいるのならば尚更だ」
「要は、私たちは聖杯の尻拭い役というわけね」
「そう、気を悪くしないでもらいたいものだ。
貴重なリソースを割いて君を召喚しているのも、この状況下で一番『不慮の事態に対処できる』人物だと私たちが判断したためだ。
こちらとて、支援は惜しまんさ。執行官には選りすぐりのNPCをつけるし、君の希望通り敗退したマスターをこちらで保護する準備も整えつつある」
だからこそ、と釘を押す。
「今回のような対処法は困るのだよ。
都市伝説、謎の失踪、怪死。現時点でも市民たちのストレスは相当なものだ。
本日、全てのサーヴァントが出揃い、聖杯戦争が始まったことは聞いているな?よろしい。
これからは今までの比ではない規模の混乱が予想される。
執行すべき時は躊躇わず執行し、貴重な時間を無駄にしないよう心掛けたまえ」
あまり納得のいかぬ様子の朱に、『ルーラー』は駄目押しの一言を投げかけた。
「忘れるな、常森監視官。君は唯一、暴走したサーヴァントを執行できる存在だ。
宝具の使えぬNPCの執行官など、サーヴァントにかかれば魂食いの餌に過ぎない。
君が消えれば、私が新しい執行官、監視官を召喚する間にどれだけの被害が及ぶか、分からぬ君ではないだろう?」
君の愛する市民たちを守るために、まずは君自身を大切にしたまえ。
そんな、まるで血の通った通り文句を投げる。
「……最大限、努力はするわ」
「よろしい、下がりたまえ。これから忙しくなる。今日はもう休みたまえ」
「ずいぶん、人間のフリが様になってきたわね」
己の『使い魔』の精一杯の皮肉に、秩序の怪物は頬一つ動かさずに言葉を返した。
「サーヴァントとして召喚された以上、少なくとも聖杯は私たちを『人間』とみなしているようだね」
◇ ◇ ◇
常森朱が退出してから、幾ばくか。
誰もいないはずの、執務室で。
彼女は、誰かと何かを喋っていた。
「……ああ、分かっているさ。
『鉄砲玉』は最大限、使い潰さねばね」
「そちらの件は……既に準備が整っている。
殺すわけなどないだろう、貴重な『魔力タンク』を」
深い、深い、闇の中。
シビュラシステムは禾生壌宗の皮を、醜く歪ませた。
【クラス】ルーラー
【真名】シビュラシステム
【出典】PSYCHO-PASS -サイコパスシリーズ
【性別】不明
【属性】秩序・悪
【パラメーター】
筋力:- 耐久:- 敏捷:- 魔力:- 幸運:- 宝具:EX
【クラススキル】
真名看破:?
認識したサーヴァントの真名・スキル・宝具などの全情報を把握する。
シビュラシステムはドミネーターを通じて対象を認識し、把握する。
一方、常森 朱をはじめとする監視官、執行官の場合は腕時計型交信器よりシビュラを通じて情報が送信されてくるため、出会って即座に把握というわけにはいかない。
また、真名を秘匿する効果がある宝具を持っていれば、このスキルの効果を防ぐことが出来る。
【保有スキル】
免罪体質:B
シビュラシステムは犯罪係数が一定以上は上昇しない、約200万人に1人の特異体質者の集合体である。
同ランク以下の精神に干渉する宝具、スキル、その他諸々を完全にシャットアウトする。
魔力変換(電気):C
供給される電気を魔力に変化する。
シビュラシステムは生身の肉体を捨てているため、食事を必要としない。
『ルーラー』は東京の余剰電力を密かにシビュラシステム本体の設置されている設備に供給している。
執行命令:D
聖杯より与えられる索敵能力。執行者の発生を察知できる。
執行者の発生から監視官、執行官にその情報が届けられるまで幾ばくかのタイムラグがあるため、捜査が後手後手に回ってしまう欠点がある。
また、対象者が魔術的、科学的なジャミングを使用していた場合などは聖杯が執行者の発生を察知できない場合がある。
更に『帝都物語』の影響により東京は聖杯の管理が行き届かない場所に変貌しているため、正確な察知は難しいだろう。
秩序の番人:C
シビュラシステムは偽りの東京において『禾生壌宗』という名義で公安局局長の身分を持つ。
また、魔力を消費し公安局職員を使い魔として召喚することが可能。
但し、彼らは宝具を使用するために疑似サーヴァントレベルにまで高度な存在として召喚されるので、それ相応の魔力を消費し続けることになる。
更に、彼らは生前においてあくまでも鍛えた人間程度の力しか持たなかったため、戦闘力はサーヴァントに大きく劣る。
後述の宝具を使用しなければ相手にさえならないと思われる。
科学の叡智:B
シビュラシステムは有事の際に近未来の捜査道具であるドローン、ダンゴムシ等を遠隔操作で使用することができる。
このスキルのランクが高いほど、そのサーヴァントの持つ神秘性は薄れていく。
【宝具】
『神亡き正義に法は来たりて』(シビュラシステム)
ランク:E
種別:対罪宝具
レンジ:∞
最大補足:∞
シビュラシステムそのものがサーヴァント、『ルーラー』であると同時に宝具。
国を、人を、数値化した秩序によって統治したという逸話により、『ルーラー』と対峙したサーヴァントの属性が混沌である場合、
もしくは生前に大きな罪を犯していた場合は後述宝具の威力が上がる。
逆に、属性が秩序のサーヴァント、生前に善行を重ねていたサーヴァントに対して後述宝具の威力を大幅に下げる。
また、人々に真実を隠し続けながら日本を支配してきたシビュラシステムは数百の脳という巨大なサーヴァントの気配を外部に漏らすことなく活動することができる。
ランクがEなのは神秘という存在を排除し科学的合理性のみによって成り立つ宝具のため。
『執り行うは聖人の白』(ドミネーター)
『執り行うは罪人の黒』(ドミネーター)
ランク:E~EX
種別:対人宝具
レンジ1~3
最大補足:1
銃口を向けた相手の犯罪係数を計測し、その数値によって形態を変える近未来の拳銃。
原作では秩序の怪物たるシビュラシステムによる判断が行われていたが、今回の聖杯戦争では管理者たる東京聖杯の判断を基準に置き、対象の犯罪係数が変化する。
聖杯からのバックアップにより命中判定に大きく補正がかかる。
監視官が使用する場合の真名は『執り行うは聖人の白』
執行官が使用する場合の真名は『執り行うは罪人の黒』
形態
『秩序施す執行』(パラライザー)
電気ショックを与え対象を痺れさせる弾丸。ドミネーターより発射される。
聖杯により軽度の執行対象とみなされた場合、このモードが選ばれる。主に鎮圧用。
『秩序与える執行』(エリミネーター)
対象を内側から膨張するように破裂させる弾丸。ドミネーターより発射される。
サーヴァントの霊核そのものを破壊出来るため、当たり所が悪かった場合再生不可能。
聖杯により重度の執行対象と判断された場合、このモードが選ばれる。
『秩序齎す執行』(デコンポーザー)
元々は人間ではなく対物用。ドミネーターより発射される。
本来は対象にスイカ大の風穴を開ける程度の破壊力の弾丸。
しかしサーヴァントが超常の存在である以上、スイカ大の風穴では威力不足となる可能性がある。
そのため、今回は聖杯よりバックアップを受け威力は『無制限』である。EX級の宝具、耐久さえ貫き破壊することが可能。
それ相応の魔力はドミネーター使用者自身も消費するものとする。EX級を執行した場合、使用者の現界は保証できない。
エリミネーターでは対象を執行しきれないと聖杯が判断した場合、このモードが選ばれる。
【weapon】
携帯型心理診断鎮圧執行システム(ドミネーター)
詳しい性能は宝具の項参照のこと。
【人物背景】
西暦2112年の日本で運用されている社会制度。管轄は厚生省。
サイマティックスキャンにより読み取った人々の生体力場を解析しそれをPSYCHO-PASSとして数値化し
それをもとに精神の健康状態、個人の能力を最大限生かした職業適性を示し人々が最適で充実した人生を送れるように支援を行う包括的生涯福祉支援システム。
その本質は免罪体質者と呼ばれる他者への共感をせず物事を俯瞰して判断できる人間の脳を大量に使用して成り立つバイオコンピューター。
市民にこの事実は知らされていない。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯戦争を聖杯の意志に従って進行する(?)
最終更新:2015年02月05日 03:42