【二輪で行こう! 五島列島の旅】
第4話)隠れキリシタンのマドレーヌ販売機
《五島列島|下五島|奈留島|久賀島|福江島》
午前中に久賀島(ひさかじま)の五輪教会を訪れた後、そのまま福江港には戻らず、同じ福江島の奥浦港に向かう14:35発のフェリーに乗って戻ることにした。
久賀島・田ノ浦港から福江島・奥浦港に戻り、堂崎天主堂に立ち寄る
奥浦港は福江港より8kmほど北にあり、その近くには有名な堂崎天主堂があるのでそこに立ち寄ってから福江の町に戻るルートを組んだ。
久賀島の田ノ浦港は桟橋以外何もない港であったが、同じく奥浦港も備わっている設備は桟橋だけであった。1日2〜3回しか船が立ち寄らない港というのはこんなものなのであろう。
再び積んで来た電動アシスト自転車を漕いで3km程北上し、堂崎天主堂に到着。有形文化財の教会はレンガ造りの優美な姿を誇っていた。
久賀島の五輪教会は辺境とも呼べる場所にあり、周りには観光地らしい土産物屋など一切なかったが、さすがに福江の市街地から近いこの堂崎教会には周りにカフェ等があり、観光地らしさを醸し出していた。
そして教会土産といえば修道士たちが作るお菓子が定番だ。ここ堂崎教会の名物は近くの菓子工房が造るマドレーヌであった。
一通り教会見物を終えた後、天主堂の隣にあるカフェで優雅にマドレーヌをいただきながらティータイムを過ごそうと思って、カフェの前に行ってみる。すると
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まさかゴールデンウィークの真っ只中で営業していないとは思わなかったが、今日は定休日だったのでどうすることもできない。
オイラはとぼとぼと教会から駐車場まで歩いて戻る。するとそこに不思議な物体を発見した。
「堂崎マドレーヌの店」
と書かれた自販機である。その外壁は天主堂を模したレンガ調だが、「マドレーヌ」と書かれてはいるものの、その自販機の姿は普通のジュースのそれだ。何か変だ。
だが近づいて見ると3列あるボタンの一番下の並びだけマドレーヌが売られていた!! なるほど!! これならカフェがクローズでも名物が楽しめるぞ。
ただ飲料用自販機の中に無理やり製品を入れているため「マドレーヌは冷蔵のため固くなっていますので、常温にお戻しになり召し上がってください」と注意書きが記されていた。
そしてオイラは思った。ジュースの自動販売機のふりをしてマドレーヌを売る。つまりこれは隠れマドレーヌ販売機。その着想は仏教徒のふりをしながら密かにキリスト教を信仰した隠れキリシタンの伝統が根底にあるのではないかと。 - イヤ、そんなことないか -
最終更新:2022年05月22日 17:04