……and they lived happily ever after.(中編)

……and they lived happily ever after. ◆TDCMnlpzcc







 最初に、紫の絶叫が聞こえた時、小野塚小町は布団の中にいた。
 足首には申し訳程度のテーピング。気が付けば、体中傷だらけだ。
 早苗がおいて行ってくれた濡れたタオルが、傷に心地よい。
 そんな、久しぶりの休息に、心と体を休めていた時、悲鳴が聞こえたのだった。

「・・・・・・」

 続いて、銃声。応戦しているらしい、怒声が、響き渡る。
 その内容から、今霊夢が来ていること、紫が死んだこと、それを理解した。
 理解したところで、体が布団の外に出ることはない。
 この殺し合いが始まって以来、初めて小町は隠れたい、動きたくないと思った。

 戦場に顔を出せば、その時こそ選択をしなければならない。
 紫亡き後、今までの方針に従うのならば、霊夢を守るために戦わなければならない。
 だが、それは早苗やフラン、それに魔理沙を手に掛けなければならないことを意味していた。
 霊夢は、相変わらず好戦的だ。
 見逃すなどという選択をとることはないだろう。

 このまま、ここにいたらどうなるのか。
 いつの間にか決着がついてしまうのではないか?
 自分が手を汚さなくて済むのではないか?

 もう、小町には選ぶ気力が残っていなかった。
 進むも地獄、戻るも地獄。

 そう、初めから殺したくなどなかったのだ。
 映姫様の名前などを出して、他人のため、と責任を賢者と幻想郷に押し付けて、そして誰かがそれを認めてくれると思い、無理やり自分の心を抑え込んでいた。
 だが、結局気が付けば、賢者はその考えに反対し、守るべき博麗の巫女の方針は、つかめない。
 いつのまにか、小町のやることは、すべて空回りしていたのだ。

 彼方で響く、銃声も悲鳴も気にせず、布団に寝転がり、天井のシミを眺める。
 そんな自分に嫌気がさし、ため息をついた。

 もしかしたら、早苗たちは、小町の助けを待っているのかもしれない。
 枕の横に転がっている機関銃が、眼の端にとまった。
 これを使えば、早苗たちが助かるかもしれないのに。
 だが、小町は、霊夢が早苗たちに敗れ去ることを期待もしていた。
 そうなれば、また、何も考えず、着いていくことができる。敵対せずに済む。

 でも、戦いは終わらない。
 霊夢一人に、ずいぶんと手こずっているらしい。
 戦場から離れたこの部屋からでは、戦況が分からない。
 厭々ながら、小町はようやく身を起こす。
 襖の向こうに何が待っているのかも知らずに。




「ちょっと待った」
「・・・・・・?」

 目の前に広がる光景に、歩みを止め、ただ一人立っている霊夢に、声を掛けた。
 頭と体が離れた紫、首から血を流す早苗、太陽にあぶられ、立ち上がらないフランドール。
 今まで見てきた中でも、とびきりの地獄がそこにあった。
 魔理沙の姿は見えないが、無事であるとは考えにくい。
 助けに来るには、遅すぎた。

「遅すぎたみたいだね」
「小町、いまさら何?」

 思ったままを口にだし、小町は目を伏せた。
 自分の責任だ。多勢に無勢、大丈夫だろうと高をくくり、助けに行かなかった結果が、そこに広がっていた。
 ちらり、フランドールがこちらを薄目を開けてみているのに気が付いた。
 非難のまなざし、辛くなり、顔を背ける。
 ああ、あたいはこんなにも弱かったのか。
 選択肢は、もう霊夢についていくしか残らない。それで本当に良かったのか?
 考える時間は、もう残されていなかった。
 もう少し、時間があれば、考える時間があれば、この光景は帰られたかもしれないのに。

「なあ、霊夢」

 ここで、尋ねる。
 最後の懸念だ。
 紫は、幻想郷を守ろうと、考えていた。だが、霊夢はなにを思って、動いているのか。
 躊躇なく紫を殺したであろうその瞳からは、何の信念も読み取れない。
 霊夢、お前は何を思って、人を殺してきた。
 あたいとは違い、れっきとした信念で、目的を持って殺してきたのか?
 こちらの迷いを読んだかのように、霊夢が口を開いた。

「紫は殺した。最後に残る護衛対象は私しかいないでしょう」
「霊夢の目指す先に、あたいの求めるものはあるのかい?」

 いまさらな質問だ。
 ほんとならば、はるか昔に聞いておくべきだった質問。
 しかし、それはできなかった。
 守るべき対象から、あなたは間違っている、あなたの望むものをわたしは目指していない、そう突き離されるのが怖かった。
 現に、結局、紫からもさとりからも拒絶され、あたいの目的には、ひびが入ってしまった。
 言った後で、聞かなければよかった、そう思った。
 ここで返答次第では、また、選択しなければならない。
 霊夢は少し、納得のいかない顔で答えた。

「知らないわ。逆に聞くけれど、あなたは本当に、幻想郷を救いたいの?」
「もちろんだ。あたいは―――」
「なら、あなたはもう手遅れね」
「!?」

 霊夢は小町を突き離し、顔を遠くの部屋に向けると、再び歩き出した。
 あまりに冷たいその仕打ちに、小町の頭が熱くなる。

「おいっ!!」

 霊夢の背中に小町のトンプソンが向けられる。
 怒り、ではない、戸惑い、そして失望の表情が、そこにはあった。
 引き金に掛けた指が震え、息が荒くなる。
 霊夢もまた、紫と同じように、小町を突き離した。
 そして、紫とは違い、別の目的を与えることなく、放置した。
 早苗と過ごしてきただけに、その落差に驚き、失望した。
 少し前の小町ならば、まだ自分に言い聞かせて、霊夢の後をついて行けただろう。
 だが、今の小町には、怒りがあった。
 そして、最後の手段もあった。

 最後の手段。
 自分が、一人生き残り、主催者から力を貰い、幻想郷の秩序を維持する。
 ばかげている、賢者たちには一笑されるような考えだが、放送の後少し考えたその案を、深く検討することはできる。
 霊夢がいなくても、何とかなる。その事実が、小町の心を支える、柱となれる。

「お前は――えっ!?」

 引き金に指を掛け、最後に尋ねる。
 返答次第では容赦しない覚悟で、霊夢を呼び止めた。
 その時、まるで雲がかかったかのように、日が陰るのを感じて、太陽の方を振り向いた。 
 まだ低い太陽の方向から、何かが突っ込んでくる。

「・・・ッ!!」

 その影はどんどん大きくなり、次第に二つの人影へと姿を変えた。

 そのうちの一つから、一筋の光が、霊夢に向かって放たれた。
 慌てて、霊夢はかわすが、飛び込んできたレーザーは、霊夢の今までいた縁側を粉々に吹き飛ばした。
 破壊された障子と畳、そして縁側の欠片が火の粉と一緒にあたりに降り注ぐ。
 思わず、トンプソンを盾にして、小町はうずくまった。少し癒えてきたとはいえ、足の調子はまだ悪い。
 あれが自分の方に飛んできたらと思い、小町はぞっとした。

「博麗霊夢!!それに小野塚小町!!」

 近づいてくる箒から、誰かが飛び降りてくる。

「あなたたちの殺戮はここでわたしが止めてみせる」

 迎撃しようと小銃を構えた霊夢に向かって、さらに光弾が接近する。
 とっさに跳ねてかわし、霊夢は寺小屋の中を転がった。縁側から中に入り、その姿が小町の目から消える。
 邪魔が入ったせいで、問答を続けることはできそうにない。

「旧地獄、古明地さとりがペットの一匹。八咫烏をこの身に宿した霊烏路空」

 眩い太陽、その中心で、一羽の地獄烏が吼えている。
 小町はその元気さを、迷いのない咆哮を、素直に美しいと思った。
 自分も、本当はそうしたかったのだ。できることならば、人など殺していきたくはなかった。
 だが、間違った選択を、自分の手でしてしまったからこそ、今の自分がある。
 その責任を他人に押し付けることはできないだろう。

「殺されていった皆のかたき!!あなた達はこの太陽の力で塵も残さず消して上げる!!」



 霊夢の動きを封じるように弾幕が次々に打ち込まれ、寺小屋がきしむ。
 選択する機会は、たくさんあった。
 西行寺幽々子に出会った時、少し尋ねればよかったのだ。
 あたいがどうすればいいのか、いや、それすらせずに、あたいがやりたかったことを、行えばよかった。
 目を盗んで、殺すのではなく、きちんと、考えて、選択していけばよかった。
 ただ、今は後の祭りだ。

 自分の本能に従って、寺小屋の奥へと歩みを進める。
 後ろで、轟音が響く。霊夢は戦っているが、わざわざ助ける気など湧かない。
 ふと、気が付いて振り返ると、二対の眼が、こちらを見つめていた。

「悪い、あたいは、あんたらの味方じゃない」

 じゃあ、誰の味方なのか、そんなことは知らない。
 ただ、倒れていた早苗が、まだ生きていたことに驚き、どこかほっとしている自分がそこにいた。
 たぶん、それが本心。でも、一度見捨てた自分の居場所はここにない。
 訴えかけるような早苗の目を振り切り、寺小屋の奥へと歩いていく。



タタタッ!!

 銃声は鳴りやまない。
 それを、どこか遠くの雨のように感じながら、小町は歩き続けた。

 どん、ようやく寺小屋の勝手口に近づいたころ、背後で音を立て、霊夢が転がり出てくる。
 思わず、トンプソンを構えるが、一瞬で懐までもぐりこんだ霊夢に押され、引き金が引かれることはなかった。
 良くも悪くも覚悟が出来ている霊夢と、迷いがある小町、その差は、はっきりと出ていた。

「あなたはどちらの味方?」

 霊夢が、銃剣の先をこちらに向けながら、早口で言った。
 息が、荒れている。連戦の疲れが出ているらしい。

 小町が返答するまでもなく、妹紅とお空が、飛び出してくる。

「爆符「ギガフレア」!!」

 宣言と同時に、狭い廊下をぶち破り、炎の塊が現れた。
 バチバチと、激しく、壁が、屋根が燃え始める。
 一呼吸おいて、炎弾がこちらに向かって移動を始める。

 霊夢が慌てて、壁の向こうに消えるのが、視界の端に映った。

「おいおい」

 一方の小町は、足を痛めていて機敏に動けない。
 小銃や弾幕で迎撃できないのは、遠目で見ても簡単に分かった。
 かすめるように一発目の炎弾が通り過ぎ、勝手口が火に包まれた。
 軌跡から黒煙が吹き出し、視界が失われる。
 煙が逃げ場を失い、焼き焦げ、穴が開いた屋根から抜けていくのが、分かる。

 やるしかない。次の瞬間、小町の姿は屋根の上にあった。
 縦の距離を縮め、片足だけで跳びあがった。
 それだけだが、制限下であっても数メートルの距離を稼ぐのは難しくない。
 着地はしたものの。屋根は傾き、煙が吹き出し、安定はしない。
 崩れた一角から、二つの人影が走り出るのが、うっすらと見えた。
 なにぶん、煙で視界が悪い。霊夢の行方までは、分からなかった。


 視線を感じて、とっさに駆ける。
 今まで小町の頭があったところを、レーザーが横切った。
 冷や汗が、頬を伝う。
 ぴりぴりと足に電流が走る。
 足を止めたい。そう思っても、後ろから響く羽音から、逃げなければならない。
 できる限り距離を縮めて、屋根から飛び降りた。
 髪を放たれた炎弾が焦がす。

「待ちなさい!!」
「・・・」

 声が響き、再びレーザーが放たれる。今度は肩をかすめ、はるかかなたの家に刺さり、火花を散らした。
 足の痛みに負け、ついに小町は足を止めた。
 振り返ると、怒りの炎を目に宿した、お空の姿がそこにはあった。

「なぜ・・・」

 いったん口ごもり、お空が続けた。

「なぜ、さとり様を殺したの!?」

 悲痛な叫び、言うと同時に、お空の周囲で、妖力が膨れ上がる。
 お空の問いかけに、答える言葉を小町は持ち合わせない。

「殺そうとは思っていなかった。あたいは、逆にさとりを守ろうとしていたのさ」

 事故だった。その言葉に間違いはない。

「嘘。かもしれない」
「信じてほしいとは、言わないよ。もう、たくさん殺してきたからね。
 それに、あんたの主人を殺したのはあたいだ。それも確信を持って言えることさ」

 少し、自虐的に言い放つ。
 殺したのは事故だった。
 だが、そもそも無理やりにもさとりに近づき、妹紅を排除しようとさえしなければ起こらなかったはずの事故だった。
 お空は返答を聞き、しばらく黙って、うつむいた。
 少し無防備すぎる自分の姿に小町は気が付きながらも、トンプソンを持ち上げられないでいた。
 いまさら、卑怯だのなんだのと関係はないことだが、さとりの件については、まだ心の中で整理が付けられていなかった。
 だから、その整理を、目の前のお空が付けてくれるのではないか、そう、甘い期待も抱いていた。


「もし、もしもあなたが、私たちと一緒に、戦ってくれるのならば、わたしはあなたを殺さない」

 迷いの後、お空が発した言葉に、小町は少し驚いた。
 自分の抱いていた霊烏路空のイメージでは、こんな簡単に、主人の敵へ手を差し伸べるようなことはないはずだった。
 薄情なのか?そうではない。
 ただ、復讐よりも優先すべきものがある、そう理解した、早苗と似た力強い眼をしていた。
 その中には、幾ばくかの葛藤もあった。

 もともと感情を押し殺すタイプの妖怪ではない、ただの地獄烏なのだ。
 敵である小町を目にして、湧き上がる感情は、抑えきれない。

 お空の提案に、小町は一瞬たりとも迷うことはなかった。
 今回だけは、一瞬で選択できた。
 ただ、言葉を選ぶのに苦心し、口ごもる。

「答えて!!」

 お空が叫ぶ、その向こうで、銃声が響く。
 霊夢と妹紅が戦っているのか?お空の顔に焦りが浮かぶ。

「仲間には、なれない。一緒には、戦えない」

 なぜ、こんなときだけ、素直に選択できてしまうのだろうか。
 突き離されたお空が、驚き、一瞬後、武器をこちらに向けるのを、小町は余裕の表情で見つめた。

 ここで、殺された方が、楽だと、心の奥底で思ってしまったのかもしれない。

 自分は、怪我人で、罪人で、とても、こんな熱い眼をした仲間たちと、暮らしていくことはできないと考えたのだ。
 無理だった。今まで積み重ねた失敗が、素直に差し出した手をつかむことを拒否してしまった。
 目の前で、レーザーの光が収束するのが見えた。
 かわしようのない、至近距離でのレーザー。
 先ほどみた威力ならば、一瞬でこの体を両断してしまうだろう。
 達観して、眼を閉じる。馬鹿な行動だ。一貫した方針を持っていないことは、自覚している。
 本来ならば、生き延びて、先ほど立てた計画、自分だけが生き残ることを考えて、生きるべきなのだろう。
 馬鹿な自分に、笑えてきた。



「もう、いいよ」

 そのまま、笑って死ねるかと思ったのに、痛みも、何もなかった。
 ただ、興味を失ったように、目の前のお空が、宝塔を降ろし、顔を背けていた。

「お前を殺しても、さとり様は喜ばないから」

 言い捨てて、そのまま、寺小屋の方へと歩いて行った。
 無防備な、その後ろ姿は、小町をすっかり舐めていて、地面へ銃口を向けた機関銃のことなど気にも留めていない。
 一応、銃を構えて、すっかり自分に闘志が残っていないことを再び確認して、肩を落とした。
 自分には、去りゆくお空のことを、撃つことはできない。
 その時、屋根の上、視界の隅に、霊夢の姿が映る。

「・・・ああ」

 ああ、妹紅はやられたのか。
 不幸にも、お空が、屋根の上で銃を構える霊夢の姿に気が付く様子はない
 何気なく、良心か、はたまた自分の思い道理に動きそうにない霊夢へと苛立ちか、
 早苗たちを、紫に手を出したことへの怒りか、はたまた自殺願望の表れか、
 自然と小町の指は引き金を引いた。



 銃口の先には、霊夢の頭があった。



「・・・・・・ッ!!」

ダダダダダ―――

 声にならない悲鳴を上げ、霊夢が倒れこむ。弾は屋根を破壊し、空のかなたに消え去った。
 胴を狙えばよかったな、そう思いつつ、再び、照準を合わせる。
 今度は、能力も使おう。

 霊夢の白い和服、その中心。心臓の下を狙って、銃を構える。
 距離は、縮めてあった。
 離れたところで、お空がレーザーを放つのが見えた。
 それは、霊夢の小銃を切り裂き、銃剣を弾き飛ばした。

 今度こそ、ほぼゼロ距離、小町は銃の反動を押さえ、弾を撃ちだした――はずだった。

 カチッ、引き金を引こうとした指に、何かが絡まっている。
 目の前で、小銃の先端、斬り取られた銃剣がこちらに向けて振り下ろされる。

「ア゛ア゛ア゛アアアァァァ!!」

 肩に、刺さった、銃剣を見て、思わず小町の口から声がこぼれた。
 なぜ、どうして。
 はるかかなた、屋根の上から霊夢が飛び降り、こちらに駆け寄るのが分かった。
 応戦しようと、銃を向けて、引き金に掛けた指が折れているのにようやく気が付いた。
 どうして、あんなに離れた位置にいたのに、こちらの指がおられ、銃剣が突き刺さっているのか。
 分からず、困惑して、瞳孔が開く。

 一秒、二秒、三秒。

 たった数秒で駆けつけてきた霊夢が、先端の切れた小銃をこちらに押し付ける。

 タタタタタタタタッ!!

 弾が出なくなるまで、霊夢は引き金を引き続ける。
 小町の胸の中で、何かが爆ぜ、口から血が溢れる。

 どうしてこうなったのか。
 選択の間違い、その積み重ね。その結果、行くところまで行った末路がこれなのか。

 霊夢の方の向こう。お空が、口を開いて固まっているのが分かる。
 その眼に、小町を守れなかった罪悪感が浮かぶのを見て、小町は、なぜか安堵した。

「なあ・・・霊夢。」

 意外と、声は出た。
 しかし、内臓は傷ついているのだろう。声と一緒に、何か液体が口から溢れた。

「あたいたちの先に、未来はないよ」

 霊夢が眉をひそめる。その眼の中に揺れ動く感情。
 それを見極めようと、眼を細めたところで、小町の意識は、急に消えた。


 思い返すのは、最初、本当に最初の選択。
 人の死に詳しいが故に、簡単に選択してしまった修羅の道。
 スコープの先、狼天狗に夜雀、そんな些末な妖怪を捕えて、引き金を引いた。それも、二度も。
 この時、それをしなければ。小野塚小町のバトルロワイアルは、どのように進んでいったのだろうか?

 小町には、わからないし、誰にもわからない。
 もしかしたら、あそこで引き金を引かなければ、朝を迎える前に誰かに殺されていたのかもしれない。
 本当に、分からないのだ。

 だから、かもしれないが、小町は後悔しなかった。
 間違えていても、それが、いい結果につながることを信じて、目の前の、抗うものが、死なずに済むことを祈って。
 最後まで、選択はしなかったが、良心に従って、最善だけは目指した。
 それが、どのような結果を生むかは、知らずに。




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最終更新:2012年08月20日 16:09
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