『もう一つの闇』-2
作者・大魔女グランディーヌ
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無幻城***
ここは魔空空間と幻夢界、そして不思議時空、
三つの異空間が唯一交わる場――ポイントゼロ。
その果てに、超巨大な基地……通常の空間であれば
自重により崩壊するであろう奇怪な形状の要塞がそびえ立っていた。
これこそがGショッカー地球攻撃兵団統合司令部・無幻城である。
内部奥深くの長い長い、そして薄暗い回廊を抜けると、そこは
円卓の置かれた大広間であった。各所に
不気味な銅像や石像が装飾され、黒覆面の男たち=ショッカー戦闘員が
槍を持って警護にあたっている。
鮮血のように赤い絨毯を踏んで、村上峡児……いや、禍々しき白薔薇・
ローズオルフェノクは、天王路博史の化身=ケルベロスⅡと共に円卓の席に座る。
???「……ようこそ、偉大なるGショッカー最高幹部会・
十二邪将の諸君!!」
円卓の中央が輝き、暗かった広間を照らす。ホログラフで浮かびあがったのは、
双頭の鷲(頭の1つは鷲、もう1つは烏のそれである)に両側から
薔薇と蛇が絡み付いているエンブレム=Gショッカーの紋章だ。
それが明滅するたび、あの声が……かつてショッカーを、ゲルショッカーを、
デストロンを、ブラックサタンを、デルザー軍団を、ネオショッカーを、
バダン帝国を、クライシス帝国を支配し──GOD機関、ゲドン、ガランダー帝国、
ゴルゴム、フォグを影から操り──望月博士のネオ生命体計画を支援、
グロンギ族のゲゲルを煽り、「財団」とスマートブレイン社を使って
日本の政治経済の闇に深く食い込んでいる──
「あの声」が響いた!!
ホログラフの声に応じ、一斉に立ち上がり礼の姿勢をとる円卓の面々。
その内の2人、地獄大使とマシーン大元帥が高らかに叫ぶ。
地獄大使「我らが支配者……表裏六柱の至高邪神よ!!」
マシーン大元帥「十二邪将、揃いましてございます!!」
戦闘員たち「イーッ!!」
円卓の間の天空に浮かぶ3つのポリゴンが
回転しながら円卓の頭上にゆっくりと舞い降り、
そして其々のポリゴンに投影される表裏6人の老人達の顔から
次々と(聞くだけでも圧倒的な力を感じさせる)声が発せられる。
大首領の声「諸君、遠路よりの参集ご苦労である!」
創世王の声「見るがいい!!」
壁面が開き、大型モニターが出現する。
銀河系内外の未開発惑星が、ゴズマードの大船団と宇宙獣士の大部隊、
巨獣の群れにより次々制圧されていく。共和制が定着しかけていた
ボアザン星は息を吹き返した旧貴族派により再び戦乱に逆戻りし、
復興の進んでいたイガ星やハザード星、フリード星もまた無法地帯と化し、
高い戦闘力と科学力を誇るフラッシュ星・エメラルド星も星都陥落寸前まで
追いつめられていた……。
総司令の声「今やGショッカーの勢力は全宇宙にまで及んでいる……」
星王の声「この機に地球連邦軍、その背後にいる
ロゴスを壊滅させよ」
大魔神の声「そして太陽系を我らの手中に収めるのだ……」
闇の帝王の声「諸君の働きに期待する……!!」
同・モニター監視室***
人間体に戻り、部屋に案内された村上が、地下牢の様子を映した
モニターに見入っている。
地獄大使「フフフ、どうかね村上君」
村上「……ほう、これはこれは……剣鉄也にゲッターチームの面々ですか……
何故すぐに改造してしまわれないのです? 彼らのような心身優れた
人材なら、改造人間やオルフェノクの素体にはもってこいでしょうに」
地獄大使「ワシもそうしたいのはヤマヤマなのだが、暗黒大将軍がなかなか
首を縦にふってくれんのだ……拷問して情報を全て吐かせるのが先だ、とな」
村上「……なるほど。機体の方は?」
地獄大使「無論、操縦席に自律型AIを組み込んで破壊兵器として
使わせてもらう。マジンガーZやグレンダイザーが身動き取れぬ以上、
ロンド・ベル隊の戦力は半減していますからな」
村上「フフフフ……我々オルフェノクも
大首領に対し奉り全霊をもってご恩返しを……」
地獄大使「フフフフ、ハハハハ……そして我らが共通の憎き敵、
仮面ライダーも1人残らず……!!」
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その無幻城には大奥と呼ばれる男子禁制の区画が存在する。
Gショッカーに属する悪の女王・貴婦人たちの集う宮廷サロン――
――
闇女王同盟の後宮である。
闇女王同盟は、闇の後継者達を生み繋ぐための
神聖不可侵たる女達の園であり、
次期創世王擁立に関わるバトルファイトに参加できる
世紀王候補の選出にも絶大な影響力を有していた。
ガイ「よう! わざわざお招きいただいて感激だぜ!
闇女王同盟のお偉方ぁ!!」
レイ「………」
人類が進化する過程で、
別の進化を辿った高等生物「アシュ」より
生まれ変わった「クエスター」――
――怒りの鬼神ガイと大いなる獣レイの二人が、
御簾のかかった上座の前に立っている。
大声で挨拶したガイを、
上座の傍らに控えていたアマゾンキラーが制する。
アマゾンキラー「控えなさい! この場を何と心得ます!?
恐れ多くも闇女王同盟の後宮総取締役にして、
至高邪神にお仕えする巫女でもあらせられる
ヘドリアン女王陛下の御前ですよ!!」
ガイ「そう固い事言うなよ姉ちゃん」
アマゾンキラー「黙りなさい! そもそも男子禁制である後宮に、
お前たちアシュなぞを立ち入らせるのも異例中の異例!
無礼は許しません!!」
ヘドリアン「御簾を上げよ!」
御簾の奥の上座にいる人物から声がし、
後宮に仕える女官である女戦闘員がその指示通りに御簾を上げると同時に、
その場の下座にいた全員が畏まる。
アマゾンキラー「女王様!」
ヘドリアン「クエスターとやら、お前たちに望みどおり
世紀王候補の資格をくれてやるとして、その代わりの
報酬は何とするつもりじゃ?」
レイ「プレシャスを一つ、女王陛下のために献上しよう」
アマゾンキラー「当てはあるのですか?」
ガイ「あるルートから耳寄りな情報を手に入れたのさ!
まあ見てな!」
ヘドリアン「ホホホ…よかろう。
首尾よく宝を持ち帰れたなら、例の話、考えてやってもよい」
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極秘の会見を終えて、後宮より門外へと出るガイとレイ。
そこには広大な廊下が広がっている…。
ガイ「ところでレイ、リサーチの方は大丈夫だろうな?」
レイ「抜かりはない。ここ最近、サージェス財団は
ティターンズからプレシャスを引き渡すよう
しきりに圧力をかけられている」
クエスターは、サージェス財団が今まで集めてきたプレシャスを一時的に手放し、
地球至上主義者たちの目の届かない所に隠そうとしているという情報を
キャッチしていた。
レイ「そのうちの一つ、メリクリウスの器が
近々サージェスから錬金戦団に極秘裏の内に預けられる。
その引渡しの瞬間を狙って、俺たちがプレシャスを横取りする」
ガイ「錬金戦団……例の核鉄とかいう武器を使う連中か。
そんな奴らとサージェスの間に繋がりがあったとはな…。
だが所詮は俺たちクエスターの敵じゃねえ。事のついでに
ボウケンジャーと一緒に血祭りに挙げてやるとするか」
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●ショッカー正規軍・十二邪将→無幻城・円卓の間に参集。
●表裏六柱の至高邪神→ついに勢ぞろいし、地球圏制覇の号令を下す。
○グレート&ゲッターチーム→Gショッカー本部に囚われの身……。
●ヘドリアン女王→闇女王同盟内では後宮総取締の地位にあり、隠然たる勢力を誇る。
自らのさらなる権勢拡大に向けて、何人かの世紀王候補を背後から巧妙に使嗾しつつ、
数々の策謀をめぐらせている。
●クエスター・ガイ、クエスター・レイ→ヘドリアン女王に接触。
プレシャスを賄賂として献上する事を条件に、世紀王候補の資格を得られるよう、
女王から推挙してもらえる約束を取り交わす。
【今回の新規登場】
●ショッカー大首領(仮面ライダーシリーズ)
悪の秘密結社ショッカーの創設者にして支配者。暗黒星雲及び怪魔界の帝王。
これまで歴代仮面ライダーが戦ってきた全ての悪の組織共通の黒幕。
●GOD総司令=真のゼロ大帝(仮面ライダーX/仮面ライダーアマゾン)
GOD秘密機関及びゲドンの黒幕にして、ガランダー帝国の王者。
●星王バズー(電撃戦隊チェンジマン)
大宇宙を総て我が物にせんとする大星団ゴズマの支配者。
ホログラフにより宇宙空間に出現。部下に命令を下す。
真実の姿は惑星状の巨大な宇宙生命体。
●大魔神サタンゴース(巨獣特捜ジャスピオン)
銀河バイブルに復活を予言されていた巨獣帝国の王。マッドギャランの父。
●ミケーネ闇の帝王(グレートマジンガー)
地下勢力ミケーネ帝国の支配者。通常見せている溶岩と炎の塊のような姿から
発する熱は5万度といわれている。
●マシーン大元帥(仮面ライダーストロンガー)
デルザー軍団大幹部でミイラ男の末裔。ジェネラルシャドウの政敵。
●クエスター・ガイ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
アシュである「怒りの鬼神(きしん)」ガイが肉体を失ったのち、
ゴードムエンジンの力でサイボーグ・アシュ=クエスターとして生まれ変わった姿。
プレシャスを奪って世界中を暴れ回るためにクエスターロボを自らの手足のごとく操縦する。
高丘映士の父・漢人(からと)の命を奪った張本人。
●クエスター・レイ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
アシュである「大いなる獣(けもの)」レイが肉体を失ったのち、
ゴードムエンジンの力でクエスターとして生まれ変わった姿。
役割分担として主にメカニックを担当し、プレシャスを奪って
世界中を暴れ回るためにクエスターロボを開発する。
●アマゾンキラー(太陽戦隊サンバルカン)
ヘドリアン女王が銀河魔境から呼び寄せた、ベーダー一族の女戦士である行動隊長。
ヘドラー将軍と同等の力を持ち、女王に対する忠誠心は絶対である。
かつては「銀河無宿」の宇宙海賊として、イナズマギンガーと組んで暴れまわっていた
女海賊でもある。誇り高い立ち振る舞いと、丁寧な言葉遣いが特徴。
●ヘドリアン女王(電子戦隊デンジマン/太陽戦隊サンバルカン)
ベーダー一族の長で、機械帝国ブラックマグマの黒い太陽神に仕える巫女。
妖魔術の使い手であり、年齢は7600歳。ヘドロで汚く腐った世界を何よりも
望む一方で、自分の美貌には絶対の自信を持つ。
最終更新:2020年10月29日 10:28