本編144~147

『メタルウルフ再び! I am presidents of the USA!!』

 作者・大魔女グランディーヌ

144

米国・ワシントンDC・ホワイトハウス***


アメリカ合衆国最高権力の象徴――大統領官邸「ホワイトハウス」である。
その大統領執務室では、ここ最近、特に米国の権益を標的にした
南米諸国におけるテロの続発について、大統領以下関係閣僚や
スタッフが集まり対応策を協議していた。

グラント「対応策など最初から決まっている! 直ちに出兵して
 南米に点在するテロ組織の拠点を全て軍事制圧する。簡単な事だ」
ジョディ「南米諸国の主権を無視してまで…ですか?」
グラント「フッ…何を今更。貧乏な南米各国など、
 もはや独立国の体裁をなしていない、我がアメリカの保護国に等しい。
 それにこれは対テロ戦争だ。手段など選んではおれんよ。
 お解りかね、ミス・クロフォード?」
ジョディ「………」

タカ派で知られるグラント国防長官は、
ジョディ・クロフォード補佐官の制止する意見を退け、
大統領に直接談判する。

グラント「すでにご存知の通り、我が国の金融市場にも
 よからぬ影響が出始めています。閣下、速やかにご決断を」
マイケル「………」

マイケル・ウィルソン。第47代アメリカ合衆国大統領。
以前は軍人で、世界各地の紛争で活躍し、メダルオブオナーを授与されたほどの
国民的英雄である。

マイケル「ミスターグラント、あまり力ずくで
 有無を言わさずに相手をねじ伏せるのは
 僕の好みのやり方じゃないね」
グラント「まさかテロリストに屈するとでも?」
マイケル「そうじゃない。むやみやたらに紛争を拡大して、
 罪もない民衆に戦火が及ぶような事があってはならないと
 言っているんだ」
グラント「しかし貴方が常日頃から大事にしろと仰っている
 我がアメリカの自由と民主主義が脅かされているのですぞ」

しばし考え込んでから答えるマイケル。

マイケル「一日だけ時間をくれないか、国防長官」
グラント「…一日? いいでしょう。
 たった一日で解決するのでしたら喜んで」

無表情のまま退席して廊下へと出て行くグラント。
しかしその瞳は明らかに相手を小馬鹿にしたように笑っていた。
「たった一日で解決できるものならやってみろ」とでも言わんばかりに…。

ジョディ「どうなさるおつもりですか、大統領?」
マイケル「ジョディ、すまないが海軍に繋いでくれ。
 ちょっと出かけてくる。なに、今夜の内には帰ってくる」
ジョディ「承知しましたわ」

145
その日の夜……。

太平洋上・コロンビア近海***


最新鋭の特殊機動重装甲(パワードスーツ)を身にまとった人物が一人、
駆逐艦の艦上で、米海軍第7艦隊の司令長官ジャック・レディング提督――
――通称、Jからの見送りを受ける。
そのメタルウルフと呼ばれるパワードスーツに身を包んだこの人物こそ、
他ならぬアメリカ合衆国大統領その人であった!!

メタルウルフ「わざわざホノルルから来てもらって
 すまなかったね」

重厚な装甲服の奥から装着者の声が、電子音声のようになって聞こえる。 

J「いいえ閣下、我が合衆国海軍第7艦隊は
 いつでもどこへでも出撃可能な体制を整えております。
 今後も何なりとご命令ください」
メタルウルフ「心強いな。では提督、ちょっくら出かけてくる。
 30分くらいで戻るので、このままこの海上で待機していてくれ」
J「了解しました。ご武運を」


コロンビア国内・ジャングル奥地***


ここは南米でテロ組織としては最大規模の勢力を誇る
某革命軍の本拠地である。
夜陰に紛れて突然辺り一帯を爆音と衝撃が襲う!

テロリストA「何だ! いったい何の騒ぎだ!!」
テロリストB「むっ、誰だ貴様は!?」

最新式の銃火器で武装した凶悪なテロリストたちの前に
敢然と立ちはだかるメタルウルフ。

メタルウルフ「――さあ、楽しいパーティーの始まりだっっ!!」

146
翌朝……。

新宿・桐原コンツェルン本社***


桐原「――な、何だこれはああっ!?」

朝早く本社の総裁室にて、桐原コンツェルン総帥・桐原剛造は、
手に取った朝刊の一面を見て我が目を疑った。その記事の内容は、
南米に巣食う数多くテロ組織が昨夜一晩の内に謎の壊滅を遂げたというものだった。
勿論、壊滅したというのは、全てネロス帝国と繋がりのある組織もその大半に含まれていたのである。


ワシントンDC・ホワイトハウス・地下秘密格納庫***


一方、こちらは日本とはおよそ10時間の時差がある 
アメリカの首都ワシントンDCにあるホワイトハウス。
その敷地内の庭にある現大統領の父、ウィルソン元大統領の銅像の真下には、
大統領専用機エアフォース・ワンの秘密滑走路や各種メカニック修理ドックなどの極秘設備が存在していた。

ジョディ「昨夜はご苦労様でした。大統領。
 朝のニュース以降、金融市場も安定に向かっています」
マイケル「これで南米各国の民衆の反米感情も
 刺激せずに済むだろう」
ジョディ「ですが大統領。言うまでもないでしょうけど、
 これで万事解決するほどテロリストたちは甘い相手ではありません。
 問題の根源である貧困を解消しない限り、第2、第3のテロ組織が
 再び現れますよ」
マイケル「わかっているさ…」

目の前の脱ぎ捨てた自らのパワードスーツについた 
数々の銃弾の傷跡をまじまじと見つめる大統領。

マイケル「テロリストたちが使っていた武器は、これまでの旧型の武器とは 
 全く違っていた。おそらく背後にいるのはGショッカー」
ジョディ「CIAの報告や日本の内調からの情報どおりなら、 
 それを直接担っていたのは桐原コンツェルン――いえ、 
 ネロス帝国と呼ばれるGショッカー系の暗黒組織ですね」
マイケル「だが我々アメリカ人と第三世界の人々が
 真の意味で手を取り合い、テロを根絶する日が必ず来る。
 私は必ずそれを実現してみせる。
 なぜなら!私は!アメリカ合衆国大統領だからだ!!!」

147
○マイケル・ウィルソン→国防長官の強攻策を退け、
 その日の夜陰に紛れて南米に赴き、南米の民衆を一切巻き込んで 
 傷つけることなく、単身テロ組織を壊滅させる。
○J→自ら率いる第七艦隊を出撃させ、夜陰に乗じて メタルウルフ(マイケル)をコロンビア近海まで送り届ける。

【今回の新規登場】
○マイケル・ウィルソン(METAL WOLF CHAOS)
 第47代アメリカ合衆国大統領。以前は軍人で、世界各地の紛争で活躍し、
 メダルオブオナーを授与されたほどの国民的英雄。その功績を受けて、
 大統領になった。大学時代と軍時代は、副大統領と同期で友人関係にあった。
 副大統領の起こしたクーデターに対して、最新鋭の特殊機動重装甲を身にまとい、
 たった一人で敢然と立ち向かった。ことあるごとに「なぜなら私は
 アメリカ合衆国大統領だからだ!」を連発する口癖あり。
○ジョディ・クロフォード(METAL WOLF CHAOS)
 アメリカ合衆国大統領秘書官。ペンシルバニア大学政治学部を首席で卒業し、 若くして大統領秘書官になった才女。 クーデターが起きた際は、皆が混乱している中、 自ら大統領のオペレータ役を志願した。
○ジャック"J"レディング提督(魁!! 男塾/天より高く)
 米海軍第7艦隊司令長官。米海軍アナポリス海軍兵学校の出身で、元男塾留学生。
 最強のボクサーとして名高いキング・バトラーの息子であり、父を誇りとして ジュニアのJを通り名としている。
●ミスター・グラント(BLOOD+)
 現職のアメリカ合衆国国防長官。サンクフレシュ製薬を介して、
 ゴールドスミス・ホールディングスと黒い繋がりがある。

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最終更新:2020年10月29日 10:37