本編308~311

『公民権法』-3

 作者・キノコモルグ
308

東京・新宿区内某所***


マリナ「――!!」

その日もGUYSの関係先を洗うべく、
一人で走り回っていたカザマ・マリナであるが、
突然、背後から迫る殺気に満ちたバイクの走行音に気づいた。

マリナ「きゃっ!!」

身についている自身の優れた聴覚のおかげで、
間一髪避けることに成功するが、
そのバイクは再び自分の方向へと向かってきた。
その時、聞き覚えのある声が――。

コノミ「マリナさん、こっちです!!」
ジョージ「早くしろ!!」

マリナ「ジョージ!? コノミちゃん!?」

二人の必死の手招きで、バイクも入り込めないような
狭い路地裏へと逃げ込むマリナ。


某廃工場跡***


誰もいない廃工場の建物の中へと逃げ込んだ
イカルガ・ジョージ、カザマ・マリナ、アマガイ・コノミの3人。

マリナ「助かったわ、ありがとう。
 でもジョージ、スペインにいるんじゃなかったの?
 いつ日本に?」
ジョージ「サコミズさんのニュースを聞いてじっとしてられる
 訳ないだろ。スペインからすっ飛んで来たのさ」
コノミ「一人でサコミズさんの無実を証明しようだなんて
 水臭いですよマリナさん。わたしたちにも手伝わせてください」
マリナ「コノミちゃん…」

ヘルメットの男「お喋りはそこまでだ!!」

ジョージ「――!!」
マリナ「――!!」
コノミ「――!!」

声のした方向へと振り返ると、そこには先ほどの
バイクを運転していた男が立っていた。
ちなみにヘルメットを被ったままで顔はよく見えない。

ヘルメットの男「ある方からの依頼でな。悪いが死んでもらう」

ヘルメットの男は、カイザドライバーとカイザフォンを取り出すと、
それを腰に巻きつけて装着、変身コードを「913」と入力すると叫んだ。

ヘルメットの男「――変身!!」

Standing by!!
Complete!!

ギリシャ文字のΧ(カイ)を模した姿の装甲服姿――
――仮面ライダーカイザへと変身した。

ジョージ「くそっ!!」

そこらへんに落ちていた鉄パイプを拾い上げ、
果敢にカイザに打ちかかるジョージであったが、
カイザに軽くあしらわれる。

カイザ「フン!!」
ジョージ「うわぁ!!」

309

倒れたジョージを抱え起こすマリナとコノミ。

コノミ「ジョージさん、しっかりしてください!!」
マリナ「こんな奴、メテオールさえ使えたら!!」

今は民間人となった彼女らにメテオールを使うことは出来ない。
そうしている間にもカイザのフォンブラスターの銃口が迫る。

カイザ「くたばれ…」

???「待て!!」

カイザ「――!! 貴様…乾…巧!?」

カイザの凶行を止めようとする声。
先ほど街中ですれ違った草加の姿を見かけた
乾巧が追ってきたのだ。思わぬ再会に驚くカイザ。
そしてそれは乾巧の方も同じであった。

巧「草加…本当に草加なのか?」
カイザ「フフ…フフフ…フハハハハ!!
 こうなったらGUYSの元隊員などどうでもいい!
 乾、貴様から血祭りに挙げてやるぞ!!」

呆然と立ち尽くす巧に襲い掛かるカイザ。
巧も咄嗟にファイズドライバーを装着し、
ファイズに変身して応戦する。

Standing by!!
Complete!!

ジョージ「一体どうなってんだ…?」

目の前の出来事の予想外の展開に、ただ見ていることしか出来ない
ジョージ、マリナ、コノミの3人。

310

ファイズ「よせ草加! 俺はお前と戦うつもりはない!」
カイザ「甘いぞ乾! このくたばり損ないがっ!!
 俺が直々にあの世に送ってやる!!」

殴り合いの応酬をする両者。しかし体調の優れない巧=ファイズが
やがて劣勢へと追い込まれていく。

ファイズ「くっ…!!」
カイザ「止めだ!」

ファイズにカイザが止めを刺そうとしたその時、
パトカーのサイレンの音が周囲一体に響き渡った。
見れば警官隊がいつの間にかこの場を包囲している。

冴子「全員その場を動かないで!」
真理「草加君…もしかして本当に草加君なの??」

カイザ「真理!?」

警官隊の中に園田真理の姿を確認したカイザ。

カイザ「チッ…乾、命拾いをしたな!」

動揺を見せたカイザは警官隊の囲みを突破して立ち去った。

冴子「深追いは無用よ!
 ――あなたたち、怪我はない?」
コノミ「…はい、ありがとうございます」

ジョージたち3人に声を掛ける野上冴子署長。
一方、ファイズの姿から変身をといた巧は、
真理、啓太郎と共に黙ってその場から立ち去ろうとするが……。

冴子「待ちなさい、乾巧君」
巧「どうして俺の名前を!?」
冴子「あなたたちからも是非事情を聞きたいわ。
 このまま署までご同行願えないかしら?」
巧「………」

そしてその場から全員が立ち去った後、一人の人影が…。

茂「やれやれ、俺としたことが出るタイミングを逸しちまった。
 それにしてもあの青年はいったい何者…? 俺たち――仮面ライダーの
 姿にとてもよく似ていたが……」

311

●草加雅人→南雅彦の命令で、イカルガ・ジョージ、カザマ・マリナ、
 アマガイ・コノミの3人を襲う。途中止めに入った乾巧にも牙を向くが、
 園田真理に現場を見咎められ動揺し、撤退。
○イカルガ・ジョージ、カザマ・マリナ、アマガイ・コノミ→
 草加雅人=仮面ライダーカイザに襲われる。窮地を偶然乾巧に救われる。
○乾巧→草加雅人がイカルガ・ジョージ、カザマ・マリナ、
 アマガイ・コノミの3人を襲う現場に遭遇し、止めに入る。
○野上冴子→園田真理からの通報で、パトカーを率いて現場に駆けつける。
○城茂→事の一部始終を見ていた。仮面ライダーファイズの存在を知る。

【今回の新規登場】
○イカルガ・ジョージ(ウルトラマンメビウス)スペインリーグで活躍した実績を持つ元サッカー選手。摩擦熱でボールが炎を纏うほど強力な「流星シュート」を放つが、怪我の為、引退を余儀なくされた。ウルトラマンになることが夢という純真な青年だが、感情を吐露することを嫌っており、スタンドプレーに走ることも。非常に優れた動体視力を持ち、危険を事前に回避できる。また卓越した空間認識能力も有しており、メテオールショットの「アメイジング・トリプル」はジョージにしか使用できない。スタンドプレーの原因は、そのような特殊能力が、自分にしか見えないものを作ってしまうことによる、チームからの孤立であった。会話にスペイン語が混ざるキザ男だが、漢字で書けない「イカルガ」の名で呼ばれるのを嫌っている。実は海と宇宙が苦手。水泳が苦手なわけではなく、過去に海でろくな目に遭っていないのが、海を苦手とする原因らしい。ウルトラマンジャックの声を聴くことができ、メビウスを勝利に導いた。 

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最終更新:2020年11月08日 15:48