本編728~731

『最強最速の再会』-2

728

アステロイド・ベルトで起きた異変を、
地球のレーダーが探知してから数日後…。


茨城県・霞ヶ浦***


霞ヶ浦の上空に突如、巨大な異常寒波が発生した。
気温が氷点下まで下がり、冷たい雪と氷が辺り一面を覆い尽くす。
GUYS JAPANの科学力を尽くした観測の結果、
この寒波は単なる自然現象ではなく、怪獣の活動を原因としている可能性が高い事が判明。
人工衛星によるレーダーで、気候を操っている怪獣の居場所が探査された。


東京湾・DASH基地ベースタイタン***


Defense Action Squad Heroes――DASH。
ヒジカタ・シゲル隊長以下、トウマ・カイト、コイシカワ・ミズキ、
コバ・ケンジロウ、ショーン・ホワイト、
そしてアンドロイドのエリーの6名からなるDASHは、
東京湾・臨海副都心のベースタイタンに基地を構える、
GUYS JAPANに属する対怪獣・宇宙人専門地球防衛チームの一部隊である。

エリー「エリアJP-352に怪獣の出現を確認。
 デンジャーレベル5」

オペレーターを務めるエリーがレーダーを操作し、
寒波の中心にうごめく巨大な怪獣の影をキャッチ、
本部のスクリーンに映し出した。

ヒジカタ「非常態勢! DASH、出動!!」
カイト・ミズキ・ショーン・コバ「了解!!」

オペレーターを務めるエリーの報告を受け、
ヒジカタ隊長率いるDASHのメンバーは出動。
特殊戦闘機ダッシュバードを格納した空中機動母艦ダッシュマザーに乗り込み、
マッハ3で霞ヶ浦へ急行する。

ヨシナガ「……!」
エリー「ヨシナガ博士、どうかしましたか?」

エリーだけが残った本部に、他の隊員達と入れ違いに入って来た
DASH専属の怪獣生態学者ヨシナガ・ユカリ博士は、
スクリーンに映された怪獣の画像を見て思わず息を呑んだ。

ヨシナガ「ペギラ……!」

729

霞ヶ浦へ向けて関東上空を全速飛行するダッシュマザーに、
本部のヨシナガ教授からの通信が入る。

ヒジカタ「…ペギラ!?」
ヨシナガ@通信「ええ、ペギラ。南極に棲む冷凍怪獣よ。
 かつて南極の観測所を襲った怪獣で、
 日本にも現れて東京をまるで氷河期のようにしてしまった事があるわ」
ヒジカタ「エリー、アーカイブドキュメントからペギラの資料を調べてくれ」
エリー@通信「了解」

エリーはコンピュータを操作しアーカイブドキュメントのファイルを呼び出した。
GUYSのデータベースであるアーカイブドキュメントには、
歴代防衛チームがこれまで戦った幾多の怪獣・宇宙人の情報が収められているのだ。

エリー@通信「アウト・オブ・ドキュメントに同種の記録があります。
 レジストコード:冷凍怪獣ペギラ。
 南極に生息する怪獣で、かつて北極へ移動する際に日本を通過」
コバ「じゃあ、今度は南極に帰ろうとしているのか…?」
ショーン「地球温暖化のせいで、
 最近は北極も棲みづらくなっているのかもね」
ヨシナガ@通信「そして、北極と南極の間に位置する日本が、
 渡り鳥のように両極を旅するペギラの中継地点になっている可能性があるわね」
カイト「でもしばらく羽を休めるには、日本の気候はペギラには暖か過ぎる…」
ミズキ「それで大寒波を起こして、霞ヶ浦を南極みたいにしたってわけね」
トミオカ@通信「だが、そんな事を許しては茨城一帯が大被害だ。
 人々の命と生活を守るため、ペギラは何としても倒さなければならない。
 一刻も早く、ペギラを発見し撃滅するんだ!」
ヒジカタ「――了解!!」

UDF日本支部のトミオカ・ケンゾウ長官の指示により、
ダッシュマザーは大寒波の中へ突入。
荒れ狂う猛吹雪の奥に冷凍怪獣ペギラの姿を発見した。

ペギラ「ギャァァゥゥゥゥ―――!!」

カイト「怪獣発見!」
ヒジカタ「ダッシュバード1号、ダッシュバード2号、出撃!!」
ミズキ・コバ「了解!!」

ダッシュマザーの前面が開いて発進口が露出し、
ミズキとカイトが乗るダッシュバード1号、
コバとショーンが乗るダッシュバード2号が勢い良く前方へ飛び出す。

ヒジカタ「フォーメーション・アルファ3で攻撃を開始だ」

2機のダッシュバードが並列飛行しながらペギラにミサイルを発射!
だがペギラは怯まず、口から冷凍光線を吐いて暴れ続ける。

コバ「くっ…!? 機体のコントロールが効かない…!」
エリー@通信「ペギラの冷凍光線が反重力現象を発生させています。
 接近し過ぎると操縦が困難になり危険です」

地面からも凍りついた木や家や車などが重力を失い、宙へ舞い上がっている。
ただでさえ吹雪で飛行が困難な中、DASHは粘り強く攻撃を続けるが、
頑丈なペギラのしぶとさはそれ以上である。

ヨシナガ@通信「ヒジカタ隊長、ペギラを倒すには、やはりペギミンHが必要だわ」
ヒジカタ「ペギミンH?」
ヨシナガ@通信「ええ。南極だけにある苔から採れる
 ペギミンHという物質がペギラの弱点なの。
 過去にペギラが現れた時も、これを使って撃退しているわ」
ミズキ「でも、南極だけにある苔って…」
カイト「そんなの、今から採りに行ったんじゃいつまでかかるか…」
ヒジカタ「いや、その必要はないかも知れない。
 エリー、各種研究機関にペギミンHが保管していないか問い合わせてくれ。
 日本にもペギミンHがある可能性はあるんだ」
エリー@通信「了解」

730

ペギラによってすっかり氷に閉ざされてしまった霞ヶ浦。
だが、湖面を覆う氷に亀裂が走り、割れ目から火山の噴火のように水が噴き上がる。
そして氷を下から突き破り、水中からもう一匹の怪獣が姿を現した!

チタノザウルス「クワァァァァ――!!」

独特の甲高い鳴き声で咆哮したチタノザウルスは陸へ上がり、
ペギラに猛然と戦いを挑んだ。

カイト「怪獣がもう一匹…!?」
ヒジカタ「エリー、あの怪獣の情報は!?」
エリー@通信「アーカイブドキュメント参照――
 これもアウト・オブ・ドキュメントに同種の記録があります。
 レジストコード:水棲恐龍チタノザウルス」
ショーン「チタノザウルス?」
エリー@通信「かつて真船博士という人物に操られてゴジラと戦った恐竜の生き残りです。
 ただし、今回は何者かに外部からコントロールされている形跡はありません」
コバ「野生って事か…」
エリー@通信「本来は大人しく、戦いを好まない性質ともされています」
ミズキ「じゃあ、それがどうして…?」
ヨシナガ@通信「霞ヶ浦の湖底にずっと前から眠っていたとすれば…。
 ペギラに急に水温を下げられて、
 眠りを妨げられたとも考えられるわね」
トミオカ@通信「自分の縄張りを守ろうとしているんだろう。
 氷点下の気候はペギラにとっては天国でも、
 他の大抵の生き物にとってはたちまち凍死してしまう地獄だからな」
カイト「そうか、それで怒ってるんだ」

唸りを上げてペギラに突進したチタノザウルスは、
長い首のスナップを活かした頭突きでペギラを大きく後ろへ吹っ飛ばす。
仰向けに倒れたペギラもすぐに立ち直り、
再度突っ込んできたチタノザウルスの首に嚙み付いた。
流血が更にチタノザウルスの闘争本能を燃え立たせ、
怒ったチタノザウルスはペギラの羽に噛み付き返した。

エリー@通信「隊長、ペギミンHがありました。
 コスモアカデミアにあるサンプルが、間もなくこちらへ搬送されます」
ヒジカタ「よし! 着いたらダッシュライザーで発射できる状態にして
 すぐにこちらへ送ってくれ」
エリー@通信「それとチタノザウルスの弱点ですが、
 アーカイブドキュメントによれば超音波に弱い性質があります。
 超音波発生装置を自衛隊が用意して、そちらへ空輸するとの事です」
ミズキ「良かった。これで二匹とも何とかなりそうね」
トミオカ@通信「二つの作戦準備が整うまでは、
 そのまま二匹を戦わせ続けるんだ。
 野獣の闘争本能を利用して時間を稼ぎ、あわよくば漁夫の利を狙う」

そう言いながら手に汗を握るトミオカ長官。
凍てつく大地を揺るがしながら、二大怪獣の死闘は続く…。

731

○ヒジカタ・シゲル、トウマ・カイト、コイシカワ・ミズキ、
 コバ・ケンジロウ、ショーン・ホワイト→ペギラ出現の報を受け霞ヶ浦へ出動。
○エリー→ペギラと戦うDASHをベースタイタンからサポートする。
○トミオカ・ケンゾウ→ペギラと戦うDASHをベースタイタンから指揮する。
○ヨシナガ・ユカリ→ペギラと戦うDASHにベースタイタンから助言を送る。
●冷凍怪獣ペギラ→大寒波を起こしながら霞ヶ浦に襲来。DASHやチタノザウルスと戦う。
●水棲恐龍チタノザウルス→霞ヶ浦の湖底から出現。ペギラに戦いを挑む。

【今回の新規登場】
○トウマ・カイト(ウルトラマンマックス)
DASH隊員。学生時代に震災で両親を亡くし、その事から人の命を守りたいと思いDASHの入隊試験を受けたが、当初は不合格。災害ボランティアでの活動中に溶岩怪獣グランゴンと冷凍怪獣ラゴラスに遭遇して立ち向かい、ウルトラマンマックスと融合すると共に念願のDASH入隊も果たし地球を守る戦いに身を投じた。
コイシカワ・ミズキ隊員とはコンビを組んで出動する事が多く、数十年後の未来では彼女と結婚している。無鉄砲な所もあるが、大きな隣人愛を持つ純真な青年。

○コイシカワ・ミズキ(ウルトラマンマックス)
DASH隊員。強気ながら心優しい女性エースパイロットで、救護や料理の腕も優秀。
トウマ・カイト隊員とはコンビを組んで出動する事が多く、相棒として共に戦ってゆく内に
彼への恋愛感情が生まれ数十年後の未来では夫婦として結ばれている。
サトン星人の末裔という説が浮上した事もあるが、真相は不明。

○ヒジカタ・シゲル(ウルトラマンマックス)
DASH隊長。主にベースタイタンで指揮を執る。
常に冷静沈着で、厳格ながらも優しさやウィットにも富み、隊員達からの信頼は厚い。
実戦で見せる度量や技量も一流である。アナログの良さを愛し、
当初は嫌っていたロック系音楽に嵌るなど随所に人間味を見せる。

○コバ・ケンジロウ(ウルトラマンマックス)
DASH隊員。二丁拳銃を使いこなす射撃の名手で、隊員中で唯一、
個人専用モデルのダッシュライザーを持っている。
一方で戦闘機に乗ると運がなく、被撃墜率が高いというデータが出てしまっている。
失敗を恐れずに突き進む熱血漢。

○ショーン・ホワイト(ウルトラマンマックス)
DASH隊員。DASH日本支部では唯一の外国人隊員である。
主にメカニック・装備開発を担当する。
英語混じりの日本語を話す、明るいムードメイカー。

○エリー(ウルトラマンマックス)
DASH隊員。主にオペレーターを務めるアンドロイドで、DASHの中枢機能を司る存在。
人間の感情を理解するのは苦手で、抑揚の無い声で話すが、他の隊員達と仲間として
交流する内に人間らしい感情や行動も少しずつ見せるようになった。
戦闘時には上着を脱ぎ、アクティブモードにチェンジする。

○トミオカ・ケンゾウ(ウルトラマンマックス)
UDF日本支部長官。温厚な性格で人望も厚いが、必要とあらば断固とした決断も下す。
かつては優秀な戦闘機パイロットだったらしく実戦の腕も未だ健在。
趣味は盆栽で、剪定はさみを空に向けて掲げるという妙な癖がある。

○ヨシナガ・ユカリ(ウルトラマンマックス)
DASH専属の怪獣生態学者。怪獣に関する豊富な知識を活かしてDASHに的確な助言を送る。
また、隊員達の母親のような存在として精神面のサポートをする事もある。
学者になる前は『アンバランス』という特撮番組に出演する女優だったという噂もあるが、

真相は不明。

●冷凍怪獣ペギラ(ウルトラQ)
南極に生息する怪獣。両腕の翼で飛行し、口から零下130℃の冷凍光線を吐く。
南極の観測所を襲い、後には東京にも出現して首都圏を氷漬けにした。
南極の苔から採れるペギミンHという物質を苦手としている。
多々良島の有翼怪獣チャンドラーとは姿が酷似しており、亜種説も存在する。

●水棲恐龍チタノザウルス(メカゴジラの逆襲)
真船博士が発見した古代の恐竜の生き残り。
恐竜をコントロールする研究が非難され学界を追放された真船博士が復讐のため送り込み、
博士に操られてブラックホール第三惑星人のメカゴジラⅡと共にゴジラと戦ったが、
本来は戦いを好まない大人しい性質。尻尾の先は団扇状の皮膜になっており、
これを振って突風を発生させる。超音波に弱い。

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最終更新:2020年09月10日 05:06