『最強最速の再会』-3
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ペギラ「ギャァァゥゥゥ――!!」
チタノザウルス「クワァァァァ――!!」
DASHが攻撃を一旦中止し地上に降りてからも、
ペギラ対チタノザウルスの雪原の死闘は続いていた。
チタノザウルスはペギラの腕を掴み、怪力で引っ張ろうとする。
トミオカ「……!」
エリー「?」
モニター越しに戦いを見守るトミオカ長官の顔が一瞬強張ったが、
ペギラはチタノザウルスの腕を払いのけ、叩き返した。
ヨシナガ「チタノザウルスの腕力は、
レッドキングほどじゃありませんよ、長官」
トミオカ「う、うむ…」
エリー「お二人とも、何の話をされているのですか?」
チタノザウルスの長所は腕力よりも脚力である。
大地を蹴ってジャンプしたチタノザウルスはペギラに豪快な両脚キックを喰らわせた。
転倒したペギラもすぐに起き上がり、冷凍光線で反撃するが、
チタノザウルスは団扇状の尻尾を振って突風を起こし、冷凍光線を押し返す。
自分の冷凍光線が起こした反重力現象で、ペギラはバランスを崩し引っ繰り返った。
コバ「チタノザウルスが勝つ…?」
ヒジカタ「いや、この超低温下で、チタノザウルスもかなり体力を失っている。
早めに勝負を決めなければ、苦しくなるのはチタノザウルスの方だ」
その間に、空輸された超音波発生装置がダッシュバード2号に取り付けられ、
チタノザウルス撃退作戦の準備が整う。
カイト「隊長、俺が行きます」
ミズキ「カイト、私も一緒に行くわ」
カイト「いや、一人で大丈夫さ。任せてくれ」
ヒジカタ「…よし分かった。ここはカイト隊員に任せよう」
ショーン「流石、サムライボーイだ!」
志願したカイトはダッシュバード2号に乗り込み発進。
空からチタノザウルスに超音波を浴びせる任務に挑んだ。
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チタノザウルス「クワァァァァ――!!」
ペギラ「ギャァァゥゥゥ――!!」
ヒジカタ隊長の読み通り、寒さの中の戦いでチタノザウルスは体力を消耗していた。
体温が低下し、徐々に動きが鈍くなる。
対するペギラはこれを待っていたとばかり、次第に反撃の勢いを強めて行く。
そこへカイトのダッシュバード2号が、チタノザウルスに向けて超音波を発射。
チタノザウルスはもがき苦しみ、頭痛を覚えてふらつき始めた。
チタノザウルス「クゥゥ……クワァァァァ――!!」
ここぞとばかりにペギラは冷凍光線を噴射。
もはや尻尾で押し返す事も出来ず、
チタノザウルスは全身に冷凍光線を浴びて凍りつき、真っ白になって地面に倒れる。
カイト「やった!」
巨大な雪飛沫を上げ、雪原に巨体を沈めたチタノザウルス。
勝利を確信したカイトは超音波の発射を止め、
ダッシュバード2号でチタノザウルスの上を旋回する。
だがその時――。
ミズキ「カイト、危ない!」
カイト「うわっ!?」
死んだかに見えたチタノザウルスが突如、尻尾を真上に振り上げた。
咄嗟の回避も間に合わず、尻尾の先の団扇で叩き落とされるダッシュバード2号。
ミズキ「カイト――ッ!!」
煙を噴いて回転しながら、ダッシュバード2号は冷たい霞ヶ浦の水中へ墜落する。
死んだふりをしていたチタノザウルスは立ち上がり、
身震いして全身の雪を振り落とすと、
ミズキの叫びをかき消すように大きく咆哮した。
◇ ◇ ◇ ◇
霞ヶ浦の氷の下に墜落したダッシュバード2号。
冷たい水がたちまち機内に浸水し、操縦席のカイトは気絶した。
通常なら、死まで数秒とかからないであろう。
しかしカイトはすぐに不思議な温かさを感じた。
目を開けると、赤い光が自分を包んでいて、そこに巨人が立っている。
???「カイト……カイト……」
カイト「誰だ? 僕を呼ぶのは…」
???「カイト…私だ」
カイト「その声は、マックス…? ウルトラマンマックスなのか?」
マックス「そうだカイト。私は帰って来た」
カイト「マックス、この宇宙で今、一体何が起きてるんだ?
黄泉還り現象や、Gショッカーや
ロゴスの侵略、
そして今度は怪獣まで現れた…」
マックス「カイト……黄泉還りも、悪の組織の蠢きも、
そして怪獣の出現も、全ては地球だけの現象ではない。
同じ異変は宇宙の至る所で起こっているのだ。
宇宙連邦やウルトラの星も目下、その謎を解き明かすために動いているが、
未だに真実を掴めてはいない…」
カイト「ウルトラの星でも、分からない事があるのか…」
マックス「エンペラ星人や大星王バズー、フリーザといった宇宙の巨悪が
影で糸を引いているのは確かだ。
だが、彼らは恐らく氷山の一角、ただ表面に現れているものに過ぎない。
彼ら黒幕達をも影で操る、更に巨大な黒幕の存在に我々は気付き始めているが、
それが何者なのかはまだ誰にも分からない」
カイト「マックス、俺はみんなの命を守りたい。
一体どうしたらいいんだ!?」
マックス「君のその勇気に、共振する心を感じて私は帰って来たのだ。
カイト、再び私と一心同体となり、
地球と宇宙の平和を守るため共に戦おうではないか――!」
眩い光の中からマックススパークが現れ、
ゆっくりとカイトの掌に降りて来る。
それを力強く握り締めたカイトは、太陽のような一層明るい光に包まれ、
ウルトラマンマックスの姿に変身した!!
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チタノザウルス「クワァァァ――!!」
ダッシュバード2号を葬ったチタノザウルスはDASHに迫る。
DASH隊員達は地上からダッシュライザーで攻撃するがビクともしない。
ミズキ「この…カイトの仇――!」
ヒジカタ「駄目だ、効果がない。一時撤退だ!」
その時――。
霞ヶ浦を覆う氷が、眩しい光によって下から貫かれる。
その光に包まれて、水中から飛び立ったウルトラマンマックスが水面の氷を突き破り、
地上にその姿を現した。
マックス「デュワッ!!」
二大怪獣の間に颯爽と降り立ち、
ファイティングポーズを取るマックス。
ヒジカタ「ウルトラマンマックス…!」
ミズキ「マックス…じゃあ、カイトは!?」
溢れるマックスの光のエネルギーが、辺り一面の雪を溶かしてゆく。
まるで氷河期のようだった霞ヶ浦の湖畔一帯に、緑と暖かさが戻った。
マックス「デュワッ!!」
カイトと一体化して地球上で活動する肉体を得たマックスは、
強力なキックを繰り出してチタノザウルスを吹っ飛ばし、
続けてペギラを渾身のパンチでよろめかせる。
チタノザウルス「クワァァァァ――!!」
マックスの胸に頭突きを浴びせ、首のスナップで弾き飛ばすチタノザウルス。
だが零下での戦闘と超音波攻撃の効果で、その動きは確実に鈍っている。
飛び蹴りを見舞ったマックスはチタノザウルスの長い尻尾を掴んで振り回し、
ジャイアントスウィングで頭から地面に投げ落とした。
ペギラ「ギャゥゥゥ――!!」
マックスの背後から、ペギラが不意打ちの冷凍光線を放射。
倒れたチタノザウルスも尻尾で突風を起こし、冷気を暴風に変えて渦巻かせる。
低温に弱いウルトラ族のマックスは苦しみ、
胸のパワータイマーが点滅を始めた。
ヒジカタ「ウルトラマンが負ける…!?」
ミズキ「カイトー! 頑張ってー!!」
ショーン「Hey! あれを見て!」
ショーンが指差した空には、エリーの操縦するダッシュバード3号の姿があった。
着陸し、降りて来たエリーは他のDASH隊員達と合流、
アタッシュケースに入ったダッシュライザーのカートリッジを見せる。
エリー「ペギミンHをビーム状に射出するカートリッジです。
コスモアカデミアの協力で完成しました」
ヒジカタ「よし、これでペギラを倒すんだ」
コバ「よ~し、任せろ!」
ダッシュライザーにペギミンHのカートリッジを装填し、
コバはペギラに狙いを定める。
コバ「喰らえっ!」
DASH一の射撃の名手であるコバの放ったビームは一閃、
冷凍光線を吐いているペギラの喉元に命中した。
ペギラ「グェゥゥゥゥ――!?」
光の粒子となって熱と共に浴びせられたペギミンHにアレルギー反応を起こし、
痙攣して悶え苦しむペギラ。
その隙にマックスは立ち直り、翳した右腕のマックススパークにエネルギーを集中。
必殺のマクシウムカノンを発射した!!
ズドォォォ――ン!!
大爆発し、粉々に砕け散って消滅するペギラ。
ペギラが倒されたのを見て、敵わぬと判断したチタノザウルスは
霞ヶ浦の水中へ逃亡。そのまま湖底を掘り進み、地中から海へと逃れて行った。
マックス「ジャッ!!」
地上に並ぶDASH隊員達の方へ向き直り、
再会を喜ぶかのように大きく頷くと、マックスは空へ飛び立つ。
トウマ・カイトのウルトラマンマックスとしての戦いが、再び幕を開けたのである。
トミオカ「ウルトラマンが帰って来たか…」
戦いの終焉、そして始まりをモニター越しに見届けたトミオカ長官は、
感慨深げに大きく嘆息すると、無言のままベースタイタンの司令室を後にした。
その後ろ姿を見送って微笑しつつ、ヨシナガ博士もその後に続く。
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○トウマ・カイト→チタノザウルスに超音波攻撃を行なうが撃墜され、
ウルトラマンマックスと合体。ペギラとチタノザウルスを倒す。
○コバ・ケンジロウ→ペギミンHのビームでペギラを射撃。
○ヒジカタ・シゲル、コイシカワ・ミズキ、ショーン・ホワイト
→ペギラとチタノザウルスを攻撃。
○エリー→完成したペギミンHのカートリッジを霞ヶ浦まで届ける。
●冷凍怪獣ペギラ→ペギミンHのビームに弱り、ウルトラマンマックスに倒される。
●水棲恐龍チタノザウルス→ウルトラマンマックスに敗れ、海へ逃亡。
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○ウルトラマンマックス→地球へ降り立ち、トウマ・カイトと再び合体。
ペギラとチタノザウルスを倒す。
○トウマ・カイト→チタノザウルスに超音波攻撃を行なうが撃墜され、
ウルトラマンマックスと再び合体。ペギラとチタノザウルスを倒す。
○コバ・ケンジロウ→ペギミンHのビームでペギラを射撃。
○ヒジカタ・シゲル、コイシカワ・ミズキ、ショーン・ホワイト
→ペギラとチタノザウルスを攻撃。
○エリー→完成したペギミンHのカートリッジを霞ヶ浦まで届ける。
●冷凍怪獣ペギラ→ペギミンHのビームを受けて弱り、ウルトラマンマックスに倒される。
●水棲恐龍チタノザウルス→ウルトラマンマックスに敗れ、海へ逃亡。
最終更新:2020年09月10日 05:08