本編928~930

『サラジアの狂える魔人』-2

作者・凱聖クールギン
928

サラジア共和国***


サラジアは国内に多量の石油資源を有し、
湯水の如く生み出されるオイルマネーと、
それを投資して発達したテクノロジーにより繁栄している中東屈指の大国である。
しかし、その裏では黒い噂も絶えない。
この国の暗部にどれだけ深い闇があるか、まだ誰も正確には知らない――。

夜…。
無数のコンテナが積まれた港の倉庫の奥にトラックが止まり、
下りて来た二体の怪人をサングラスの男が出迎えた。

SSS9「約束のモノは用意したか」
ロビンケン「無論」

ネロス帝国・ヨロイ軍団爆闘士ロビンケンは、
アタッシュケースをエージェントSSS9に手渡して答えた。

ロビンケン「アメリカの石油メジャーの内部情報を記したファイルだ。
 奴らは中東の石油資源を意のままにしようとしている。
 今後、遠からず大きな動きがあるだろう。警戒しろ」
SSS9「情報提供に感謝する。
 我々も近いうちに動き始める。奴らの思い通りにはさせん」
マクンバ「そしてこいつが、
 俺様が四国でハントした古代昆虫メガヌロンだ。
 1億年前に絶滅した、今じゃ手に入らない超レア物だぜ」

獣忍マクンバが、トラックの荷台を開けて中を見せた。
防腐処理を施されたメガヌロンの死骸がトラックには積まれていた。

SSS9「大きいな…。
 貴重な研究材料として科学センターに収めさせてもらおう」
ロビンケン「では、報酬を」
SSS9「このバッグの中に入っている」

エージェントSSS9が札束の入ったバッグを手渡そうとした時、
コンテナの上から声がした。

スーパー1「そこまでだ! 死の商人ども!」
ロビンケン「貴様らは、仮面ライダー!?」
X「サラジアエージェントの足取りを追って
 アメールからこの国に潜入していたのだ!」
スーパー1「俺はアブラーダからお前達の噂を聞いて駆けつけた!」
SSS9「おのれ…。つけられていたか」
マクンバ「グルゥゥ…! これでも喰らえ!」

マクンバが矢を放って攻撃し、
その間にロビンケンとSSS9は急ぎトラックに乗り込む。

マクンバ「今だ! 早く走らせろ!」
X「待てい!」

トラックの荷台の上に弓を構えたマクンバを乗せながら、
アクセルを踏み込んだトラックは倉庫から離脱しようとする。

スーパー1「逃がさん!」

二人のライダーがトラックに飛び乗ろうとした時、
突然、黒い影が疾風の如く二人を斬りつけ、コンテナの上に着地した。
見ると、杖を持った黒衣の怪人が両眼だけを黄色く光らせ、
高みからこちらを見下ろしている。

スーパー1「お前は…!?」
X「まさか、中東で暗躍しているという黒装束の怪人……バルゴグか!」
バルゴグ「………」

無言のままコンテナから飛び降りたバルゴグは杖を構え、
二人のライダーに対し戦闘態勢を取った。

929

バルゴグ「………」
X「噂には聞いた事がある…。
 死神のような黒いスカーフに身を包み、
 ゾンビやゴーレムを異界から呼び出して操るという砂漠の魔人バルゴグ…!」
バルゴグ「よく知っているな。
 では、その噂が本当だという事を見せてやろう。
 出でよ! 異界に死せる幽鬼どもよ!!」

バルゴグの杖の先端から二筋の光線が放たれた。
光線はそれぞれ小型の時空クレバスを発生させ、
時空の向こう側からおぞましい二体のモンスターを召喚する。

グール「グゥゥ…!」
リーデット「ウォーン!」

召喚されたのは異世界の死者が怪物化した、
ゾンビ型モンスターのグールとリーデットであった。
Xとスーパー1は突如現れた敵に敢然と挑む。

リーデット「ウォーン!」
スーパー1「ぐぁぁっ…!! チェンジ・パワーハンド!」

リーデットに組み付かれ、生気を吸収されていくスーパー1だが、
パワーハンドの怪力でこれを振りほどき、必殺のパンチを打ち込む。
リーデットの腹に大穴が空き、そのまま全身が砂のように崩れていった。

グール「グォォ…!」
X「何だ、この息は…!? 眠ってしまいそうになる…。
 ライドル電気ショック!!」

グールの甘い息で麻痺状態になりかけたXは気力を振り絞り、
ライドルホイップをグールの胸に突き立て電撃を流した。
グールも敢えなく肉体が崩壊し、消滅する。

バルゴグ「ほう、思ったよりはやるな…!」
X「残るはお前一人だ!」
スーパー1「行くぞ! 
 チェンジ・冷熱ハンド! 冷凍ガス、発射!!」
バルゴグ「それがどうした…。メラミ!」

スーパー1の腕から噴射される冷凍ガスを、
バルゴグは呪文で杖から発した炎弾によって相殺する。

スーパー1「くっ…!
 チェンジ・エレキハンド! エレキ光線、発射!!」
バルゴグ「ギラ!」

エレキハンドから発射された電撃をも、
バルゴグは魔法で杖から閃光を放ち迎撃してしまった。

スーパー1「魔法の使い手か…!」
バルゴグ「それも、この世界にはない魔術体系のな。
 今のはまだまだ小手調べに過ぎんぞ」
X「俺が相手だ! ライドルスティック!」

棒状に変形させたライドルで攻めかかるXだが、
バルゴグは杖を棒術のように振るって対抗し、Xの攻撃をいなす。

バルゴグ「ポイズン!」
X「ぐっ!? どうした事だ。
 体が痺れて苦しい…!」
バルゴグ「魔法による毒が回り始めたのだ。
 動けば動くほど苦しくなる。
 さあ、今度はこちらの番だぞ」

動く度にダメージが増して膝を突いたXに対し、
バルゴグは左手に収納していたハンドジャックナイフを展開し襲いかかる。

バルゴグ「死ね!」
スーパー1「させるか! とぁーっ!!」
バルゴグ「フン!」

すかさず横から突きを入れてXを救ったスーパー1。
凶刃と化したバルゴグの左手と赤心少林拳の飛龍拳が激しくぶつかり合う。

スーパー1「ハァッ!!」
バルゴグ「ぐっ…!?」

一瞬の間隙を突いたスーパー1の手刀がバルゴグの右腕に炸裂。
バルゴグの黒衣の袖が破れ、中から傷ついたメカの肉体が露出した。

スーパー1「サイボーグ…!?」
バルゴグ「おのれ…。マヌーサ!」

バルゴグが呪文を唱えると黒い霧が現れ、二人のライダーを包んだ。
敵が視界を奪われている間に、バルゴグはコンテナの上へ飛び退る。

X「待て!」
バルゴグ「また会おう、仮面ライダー!」

黒いスカーフを翻し、コンテナの向こうへと飛び去ったバルゴグ。
二人は追ったが、その姿はもう消えていた。

X「あれが噂の魔道師バルゴグ…。恐ろしい相手だった」
スーパー1「あの魔法使いが、実は俺達と同じ改造人間だったとは…。
 ネロス帝国の連中を助けに現れたところを見ると、
 奴もGショッカーの怪人なんでしょうか?」
X「それは分からんな。
 だが、今までバルゴグに命を奪われた罪のない人々の数は計り知れない。
 俺達が倒すべき悪なのは間違いない」
スーパー1「中東の情勢が気がかりです。
 俺はアブラーダに戻って、イスマエル王子と連絡を取ります」
X「俺もしばらくはアダブに滞在して奴らの動きを見張ろうと思う。
 お互い、連絡を緊密に取り合いながら行動しよう」
スーパー1「はい!」

930

○仮面ライダーX&スーパー1→エージェントSSS9とロビンケンの取引現場を襲撃。
                    突如現れたバルゴグと戦うが逃げられる。
●ロビンケン&マクンバ→エージェントSSS9と取引を行なうが、仮面ライダーXらに妨害され退散。
●エージェントSSS9→ロビンケン&マクンバと取引を行なうが、仮面ライダーXらに妨害され退散。
●魔道師バルゴグ→エージェントSSS9とロビンケンの取引現場に突如現れ、仮面ライダーX&スーパー1と戦う。
●グール→バルゴグに召喚され出現。仮面ライダーXに倒される。
●リーデット→バルゴグに召喚され出現。仮面ライダースーパー1に倒される。

【今回の新規登場】
●アフマド・アルハザード=魔道師バルゴグ(闘争の系統オリジナル)
 サラジア共和国副大統領。

大統領の有能な補佐官としてサラジアの発展に尽くしてきた敏腕政治家だが、裏ではテロやスパイ活動などの陰謀を一手に担う闇の総帥でもある。諜報組織サラジア・シークレットサービスを配下として動かし、美人秘書NとRを常に傍に侍らせている。
 8世紀のアラビアの妖術師アブドゥル・アルハザードの末裔とも、生まれ変わりとも言われるが真相は不明。かつて一度死にかけたが村木國夫の改造手術を受け、サイボーグ怪人バルゴグとして蘇生した。その前半生は謎に包まれているが、ある極秘資料によれば生まれたのは第二次世界大戦前で、名を仁科宗禎という日本人だったと言われる。帝王ゴッドネロスの正体を知る数少ない人物。

●爆闘士ロビンケン(超人機メタルダー)
ネロス帝国・ヨロイ軍団爆闘士。
迷彩色のアーマーを纏い、罠を駆使したゲリラ戦を得意とする。

●グール(ドラゴンクエストシリーズ)
ゾンビ系モンスター。腐りかけの死体に魂が宿って怪物化した。
眠りの効果がある甘い息や呪いによって相手を攻撃する。

●リーデット(ゼルダの伝説シリーズ)
ゾンビ系モンスター。
死体があった場所の土が邪悪な魔力により、人間の姿となって動き出したもの。
敵が近づくと奇声を発して眼力で金縛りにし、抱きついて血を吸い体力を奪い取る。

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最終更新:2020年11月22日 13:46