本編1628~1633

『紅蓮の鳳凰を追え!』-2

作者・ホウタイ怪人
1628

メガロシティ***


連邦軍兵士A「ダメだ! ここは先は立ち入り禁止だ!」
連邦軍兵士B「指定された迂回路を通りなさい!」
男子生徒A「えーっ!? それじゃあかなり遠回りになって、
 急がないとマジで遅刻しちゃうじゃないか!」

メガロシティやヌーベルトキオシティ、そしてお台場の辺りは
コルベット准将の息のかかった地球連邦軍部隊があちこちに検問所を設置し、
銃で武装した兵士たちが街中でも目立つようになった。
軍の都合によって地下鉄やバスのダイヤも混乱。
周辺地域に暮らす住民の生活にも着実にマイナス面の影響が出始めていた。

男子生徒A「もーまいっちゃったぜ! おかげで登校時間に
 今までの二倍かかるようになっちゃったんだもんなあ!」
男子生徒B「ホント迷惑だよな!」
女子生徒「早く出て行ってくれないかしら!」

今朝、登校・出勤してきた海防大学付属高校の生徒や教員たちの間でも、
その事で不満が募り始めていた。当然その話は同じ学校に通っている
牧村光平たちの耳にも自然と入る。

光平「きっと俺のせいだ。俺がブレイバーズから逃げ回ってばかりいるから、
 他のみんなにまで迷惑が…」
優香「そんなことない! 光平くんは全然悪くなんかないよ!」
慎哉「弱気になるなよ光平。周囲の連中の言う事なんか気にしなけりゃいいんだ」
光平「………」

こうして光平たちが思い悩んでいる中…。


日本海溝・ブレイバーベース***


村中「シグフェルに直接呼び掛けるんですか?」
剣持「こうなったらそれしかないだろう。
 日頃のコルベット隊の横暴には、日本政府も相当に
 困り果てているそうだ。伊豆基地の岡長官の元にも
 毎日のように首相官邸から"何とかしてくれ!"の催促だ。
 もうこれ以上の猶予はない」
千恵「しかし今更シグフェルが我々の呼び掛けに
 応じるでしょうか?」
佐原「それでもやってみる価値はある。
 何かコルベット准将にも気付かれないように
 密かにシグフェルと安全且つ対等な立場で
 接触が取れる方法を考えよう」

シグフェルにしか理解し得ない筈の、暗号のようなメッセージを用意して
事前に接触場所を指定する事はできないかと思案する佐原博士たち…。

1629

ポイントゼロ・無幻城***


至高邪神謁見の間に進んだローズオルフェノク、ケルベロスⅡ、
そして両名に伴われる形でキャプテンゴメスも同席を許された上で、
表裏六柱の至高邪神のホログラフィが降臨する。

大首領の顔「ローズオルフェノクよ、その後の首尾は
 どうなっておる?」
総司令の顔「シグフェルは捕えたか?」

ローズオルフェノク@村上の影「残念ながら未だ…。
 何卒今しばらくのご猶予を」
ゴメス「Gショッカーの頂点に立つ表裏六柱の至高邪神よ、
 一つだけ質問をお許し願いたい」
ケルベロスⅡ「控えたまえキャプテンゴメス。恐れ多くも
 至高邪神に対し奉り無礼であろう!」

星王の顔「よい。直答を特にさし許す」

ゴメス「そもそもシグフェルとはいったい何者なのです?
 それにイーバとは?」

創世王の顔「シグフェルは、おそらく改造神(ゴッドサイボーグ)!」

ゴメス「…改造神(ゴッドサイボーグ)?」

大魔神の顔「宇宙創世のビッグバンにおいて失われたとされる
 禁忌の技術。それに手を染めたがために堕落の烙印を押された
 神々が存在したのだ」
闇の帝王の顔「もう太古の昔に葬り去られた物とばかり思っておったが、
 昨今の"黄泉がえり"や"時空クレパス"の騒ぎに乗じて再び世に出て来ようとは」

ゴメス「シグフェルは神なのですか?」

大首領の顔「…いや、シグフェルは"神を改造する技術"を施された、
 おそらく元はただの人間であろう」
総司令の顔「だが普通の人間が、改造神となるための施術に耐えられる筈がない。
 シグフェルの素体となった人間がどんな者なのか、興味が尽きぬな」

ゴメス「至高邪神よ、まもなく吉報をお届け出来ましょう。
 どうか今少しだけお待ちください」


同城内・十二邪将円卓の間***


ドクトルG「地獄大使、このまま村上の好きにさせてよいのか?」
ビルゲニア「奴め、天王路も仲間に引き込んで、いよいよシグフェルの捕獲に
 本腰を入れるつもりだぞ」
地獄大使「案ずるな。このまま村上にシグフェル捕獲の手柄を
 みすみす独り占めなどはさせん」

円卓の間で密談を進める他の邪将たち。
地獄大使は、シードラゴン三兄弟を呼び寄せた。

シードラゴンⅠ世「イィーチッ!」
シードラゴンⅡ世「ニィーッ!」
シードラゴンⅢ世「サァーンッ!」

地獄大使「行け! シードラゴン三兄弟!
 あとの手筈は分かっているな?」

1630

『週刊アップ』編集部の入居しているオフィスビル前***


優香「………」

沢渡優香は一人、以前会った仰木舞の所属している
週刊アップの編集部前を訪れていた。
光平が周囲の状況によって徐々に追い詰められているのを
感じた優香は、自分も光平のために何かしなければと思って
マスコミの動きを探ろうとここまでやって来たまではよかったが、
よくよく思い返せば、仰木舞とは少し会話を交わした程度で
正式な自己紹介をした訳ではない。下手をすると
もう向こうはこちらの事など忘れているかもしれないのだ。

どうやって編集部の中に潜り込もうかと、
ずっと道端で考えあぐねていると、
突然優香は女性に声を掛けられた。

舞「…あら、貴女は?」
優香「仰木…舞さん?」


『週刊アップ』編集部前***


優香「すみません。編集部の中にまで入れてもらえるだなんて…」
舞「いいのいいの♪気にしないで。せっかくここまで来てくれたんですもの。
 お茶ぐらい出すわ」
優香「本当にたまたま前を通りかかっただけなんですけれど…」

幸運にも編集部の中に入り込む事が出来た優香。
さて、どうやって"今現在マスコミがシグフェルについて
どこまで情報を掴んでいるのか"を探り出そうか…。

優香「私、海防大学付属高校2年の沢渡優香と言います」
舞「改めまして、仰木舞です。よろしくね♪」

二人は握手を交わした。

優香「ところで、仰木さんは今でもシグフェルの事を
 追いかけているんですか?」
舞「舞でいいわ。シグフェルの事は貴女も気になるの?」
優香「ええ、まあ…ちょっと」
舞「確かに報道に携わる者として、今でもシグフェルの追跡は
 続けているわよ。でもそれを直ちに記事にするかどうかは
 まだ保留ってところかな」
優香「保留…? 記事にしないんですか?」
舞「シグフェルだって人間ですもの。当然プライバシーの権利だって
 あるでしょうし、何か彼にも表に出て来れない深い事情が
 あるのかもしれない。私たちはまず記事にする前に、
 もし彼が何か困っている事があるのなら、手を差し伸べて
 助けてあげたいの」
優香「………」

世間ではシグフェルの事を"得体のしれない正体不明の存在"扱いしている人間が
ほとんどなのに、優香は初めて、しかもマスメディアの関係者の中に、
シグフェルを"一人の人間"として考えてくれている人間と出会えた。
この事は優香の心の中に大きな安堵感をもたらした。

1631

副編集長「舞ちゃ~ん! 八神さんが来てるよ~!」
舞「ハ~イ!」

来客を告げる副編集長の声に応答する舞。

優香「お客さんですか? それじゃあ私はそろそろこれで…」
舞「待って、せっかくだから貴女にも紹介するわ。
 冴子さ~ん、こっちです!」

舞の呼ぶ声に導かれて現れた来客の女性は、
優香にも見覚えのある人物だった。

冴子「あら、貴女は確か…?」
優香「この前の校門前で会ったリポーターさん!?」
舞「まあ、もしかして二人とも知り合いだったの?」

つい数日前に学校の校門前で、
登校中の優香を捕まえて質問攻めにしていた
有名TVリポーターである八神冴子は、仰木舞とは
同業者同士の縁でシグフェルに関する情報を
いろいろ共有・交換している関係にあった。
(無論、それは仰木舞が剣流星=超人機メタルダーの協力者、
同じく八神冴子も獣神ライガーの操縦者・大牙剣の協力者である
という――すなわち両名とも実はブレイバーズの関係者だという
事情から来ている事であったが…)

優香は舞に別れの挨拶をして編集部から出ると、
しばらくして後から冴子も追いかけて来た。

冴子「ごめんなさい、ちょっと待って!」
優香「何でしょうか? もしかしてまた何か質問ですか?」
冴子「いえ、そうじゃないの。この間はごめんなさい。
 しつこいって思ったでしょう?」
優香「あ、いえ…そんなつもりは…」
冴子「もしよければ少し先までご一緒してもいいかしら?」
優香「私は構いませんが…」
冴子「ありがとう」

街中の歩道を二人並んで歩く八神冴子と沢渡優香。

優香「冴子さんもシグフェルの行方を追っているんですよね?」
冴子「ええ、そうよ。舞さんから何か聞いた?」
優香「はい…その…いろいろと」
冴子「近頃のマスコミの報道過熱ぶりについて、
 貴女を含めた近隣住民の皆さんが不快な気持を抱くのも解るわ。
 私たち報道関係者の責任ね…。でも私たちは決して興味本位で
 シグフェルを追いかけている訳じゃない。今、彼の置かれている
 事情を理解して、もし私たちに出来る事があるのであれば、
 彼が普通の生活を送れるように手助けをしてあげたいだけなの。
 それだけは信じて」
優香「冴子さん…」

そしてこの日、八神冴子とも別れた優香は、
二人の報道ウーマンと出会った事で、
もしかしたら光平の苦境を和らげる事ができるかもしれないと
微かな希望を抱き始めているのだった。

1632

○佐原正光→シグフェルへの直接コンタクトを呼び掛ける事を計画する。
○剣持隊長→シグフェルへの直接コンタクトを呼び掛ける事を計画する。
○村中隊員→シグフェルへの直接コンタクトを呼び掛ける事を計画する。
○佐原千恵→シグフェルへの直接コンタクトを呼び掛ける事を計画する。
○仰木舞→週刊アップの編集部前で沢渡優香と再会。彼女に八神冴子を紹介する。
○八神冴子→週刊アップの編集部で、改めて沢渡優香と出会う。
●大首領→改造神(ゴッドサイボーグ)について語る。
●GOD総司令→改造神(ゴッドサイボーグ)について語る。
●星王バズー →改造神(ゴッドサイボーグ)について語る。
●創世王→改造神(ゴッドサイボーグ)について語る。
●大魔神サタンゴース→改造神(ゴッドサイボーグ)について語る。
●闇の帝王→改造神(ゴッドサイボーグ)について語る。
●ローズオルフェノク→表裏六柱の至高邪神から、改造神(ゴッドサイボーグ)について聞かされる。
●ケルベロスⅡ→表裏六柱の至高邪神から、改造神(ゴッドサイボーグ)について聞かされる。
●キャプテンゴメス→表裏六柱の至高邪神から、改造神(ゴッドサイボーグ)について聞かされる。
●ドクトルG→村上峡児にシグフェル捕獲の手柄を独り占めさせまいと、他の邪将たちと密談。
●地獄大使→村上峡児にシグフェル捕獲の手柄を独り占めさせまいと、他の邪将たちと密談。
●剣聖ビルゲニア→村上峡児にシグフェル捕獲の手柄を独り占めさせまいと、他の邪将たちと密談。
●シードラゴンⅠ世→地獄大使の命令で出撃する。
●シードラゴンⅡ世→地獄大使の命令で出撃する。
●シードラゴンⅢ世→地獄大使の命令で出撃する。

○牧村光平→連邦軍の出動やマスコミの過熱報道で、精神的に追い詰められている。
○朝倉慎哉→精神的に追い詰められている牧村光平を励ます。
○沢渡優香→仰木舞と再会。彼女の紹介で八神冴子とも出会う。

1633

【今回の新規登場】
●シードラゴンⅠ世(仮面ライダー)
 ショッカーの発電怪人。右手の触覚には1万2000ボルトの高圧電流が流れている。
 左手の形状は鋏。鳴き声は「イーチ!」

●シードラゴンⅡ世(仮面ライダー)
 ショッカーの発電怪人。右手の触覚には1万2000ボルトの高圧電流が流れている。
 左手の形状はスパイク。鳴き声は「ニーッ!」

●シードラゴンⅢ世(仮面ライダー)
 ショッカーの発電怪人。右手の触覚には1万2000ボルトの高圧電流が流れている。
 左手の形状は三つ叉の鋏。鳴き声は「サーン!」

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最終更新:2020年12月03日 08:19