『地球の騎士「天凰輝」誕生』-1
作者・ホウタイ怪人&ユガミ博士
1742
ギガントホース・艦橋司令室***
渡された情報ファイルをまじまじと見つめている
ザンギャック地球派遣艦隊の司令官ワルズ・ギル。
その手はわなわなと震えている…。
ワルズ・ギル「まさかシグフェルの正体が、こんな地球人のガキだったとはな…」
以前にGODのキングダークと合同で行った東京制圧作戦は、
突如何の前触れもなく現れた謎のヒーロー・シグフェルの前に
完膚なきまでに叩きのめされてしまった。
黄泉がえり現象により再びこの世に復活した自分の復帰戦が、
自分より年少の地球人の少年たった一人によって黒星をつけられたのだ。
今もワルズ・ギルの怒りは尋常ではなかった。
ワルズ・ギル「ダマラス! 我が栄光あるザンギャック帝国の再起を掛けた一戦が、
こんな辺境の惑星の鼻垂れ小僧一匹によって汚されてしまったのだぞ。
お前はなんとも思わんのか!?」
ダマラス「お怒りはごもっともでございます」
ワルズ・ギル「ならば早急に手を打たんか!」
周囲に当たり散らすワルズ・ギルに、参謀長ダマラスは冷静に進言する。
ダマラス「殿下、ここはキアイドーに任せてみるべきかと存じます」
ワルズ・ギル「…キアイドーだと?」
宇宙の賞金稼ぎキアイドー。これまでに150もの凶悪な賞金首を打ち倒し、
1億ザギンを超える報酬を受け取っている実力者でもある。
その狂気じみた闘争心は、あのキャプテン・マーベラスことゴーカイレッドすら
恐怖と敗北感を深々と植え付けて震え上がらせたという。
ワルズ・ギル「なるほど、確かに奴なら適任かもしれんな…」
成田空港・国際線ターミナルロビー***
光平を取り巻いていた一連の問題がとりあえず収束し、
彼の当面の進むべき道も決まった事を見届けたフィリナは、
フランスへ帰ることになった。成田まで見送りに来た光平たち。
フィリナ「これからは、このナジブをあなたとの連絡役にするわ。
彼は信頼できる男よ」
別れ際に、光平はフィリナから
一人のアルジェリア人男性を紹介された。
フィリナの会社での側近らしい。
ナジブ「ナジブと申します。フィリナ様からお話は伺っております。
何かお困りの際は、どうぞなんなりと仰せつけくださいませ。光平様」
光平「…そんな、様だなんて!? 俺の事はただ"光平"でいいですよ(汗」
ナジブ「………」
フィリナ「じゃあ光平、
ブレイバーズではいろいろと大変な事もあるだろうけど、
あなたならきっとやり抜く事が出来ると信じてるわ。頑張ってね」
光平「ああ、フィリナも気をつけてな」
慎哉「フィリナさんもお元気で」
優香「また日本に遊びに来てください」
こうしてフィリナは日本を飛び立ち、フランスへと帰って行った。
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光平「じゃ、フィリナを見送った事だし、俺たちも家に帰るか」
ナジブ「御車をご用意しましたので、私が皆さんをお送り致します」
フィリナを見送った光平達は、成田空港を出てナジブが用意した車で
家に帰る事にした。光平達を乗せたナジブの車は、高速道路に入る。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
光平「・・・・・・・」
優香「どうしたの?光平くん」
光平「いや、こうして見るとこの辺も結構荒れているんだなぁと思って・・・・」
慎哉「この辺はガストレアや幻獣が出現したっていうからな」
高速道路から見える景色は、ガストレアや幻獣といった前大戦の影響による
荒らされた景色だった。あまり気に留めていなかった光平だったが、
ブレイバーズに入り、改めてこの荒れた景色を見て、この景色がまた起きないように
戦っていこうと内心、決意する。だが、その時・・・・・。
――キキィッ!!
優香「キャッ!!」
慎哉「うわぁ!」
光平「どうしたんですか?ナジブさん!」
ナジブ「目の前に人が!」
突然ナジブが急ブレーキをしたので、車の中で慌てる3人。ナジブが
指差す方を見ると、赤いエイリアン―賞金稼ぎキアイドーだった。
キアイドー「貴様がシグフェルか」
光平「お前は何者だ!」
キアイドー「俺の名はキアイドー。ザンギャック帝国から貴様を始末するように
依頼を受けてな。貴様の命を貰い受ける」
車から降りた光平はキアイドーと対峙する。キアイドーは自身の名を名乗り、
剣を光平に向けた。
ナジブ「下がってください。こいつは危険です!」
キアイドー「俺が用があるのは、そこのガキだけだ。だが俺の邪魔をするのなら
貴様も斬るぞ!」
光平「―!」
ナジブは光平を守ろうと前に出て、ファイティングポーズをとるが
キアイドーは「邪魔をするのなら斬る」と殺気を放つ。キアイドーから
発せられる殺気を受けて、光平に緊張が走る。
光平「下がってください、ナジブさん。俺が戦います」
ナジブ「しかし・・・・」
光平「俺よりも慎哉と優香を守って下さい。お願いします」
ナジブ「・・・・分かりました。光平さんも気を付けて」
光平はキアイドーと戦う事を決め、ナジブに慎哉と優香を守ってもらうように頼む。
光平の決意を察したナジブは了承した。
優香「光平くん・・・・」
光平「心配すんなよ。俺は大丈夫だから」
慎哉「必ず戻ってこいよ!」
心配する優香と慎哉をナジブに託して、光平はキアイドーに目を向けた。
優香、慎哉、ナジブの3人は車の影に身を潜めて事態の成り行きを見守る。
キアイドー「別れの挨拶は終わったか?終わったのなら早くシグフェルに
変身しろ!」
光平「何だとっ!?」
キアイドー「俺は退屈が一番嫌いなんだ。そんな俺の虚しさを埋めてくれるのは
金と戦いだけだ。聞けば貴様は圧倒的な強さを持つというじゃないか。
貴様は俺を楽しませてくれるか?」
光平「ふざけるな!翔着(シグ・トランス)!!」
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キアイドーと対峙した光平はシグフェルに変身する。シグフェルは
炎の手刀「フレイムアーム」でキアイドーに斬り込んでいくが、
キアイドーは容易く受け流してしまう。
シグフェル「(全部、受け流してしまうなんて何て強さなんだ!)」
キアイドー「この程度か?」
シグフェル「何を!だったら、これならどうだ。フレアセイバー!!」
余裕な態度をとるキアイドーにシグフェルは炎に包まれた右手の掌から
フレアセイバーを具現化する。そして一刀両断しようと構えるが・・・・・。
キアイドー「遅い!」
シグフェル「ぐわぁ!!」
だが、シグフェルがフレアセイバーを振り下ろすよりも早く、キアイドーは
その剣でシグフェルを斬る。その凄まじさにより、シグフェルは倒れてしまった。
シグフェル「ぐぅぅぅ・・・・」
慎哉「光平!」
優香「光平くん!」
ナジブ「危険です!行ってはいけません」
倒れた光平を心配して駆けつけようとする慎哉と優香だが、ナジブは
2人の身を案じて引き留める。
キアイドー「期待して来てみれば、貴様の強さはこの程度か。
つまらん。あの赤い海賊はもっと俺を楽しませてくれたぞ…!」
シグフェル「くっ…!」
キアイドー「これでは俺の退屈はちっとも治らん。
貴様など殺す価値もない」
シグフェル「・・・・ま・・・・待て!」
キアイドー「しつこいぞ。それ以上、無様な事をすれば
本当に殺してやろうか?」
シグフェル「――!」
キアイドー「ふん!」
シグフェルは倒れながらもキアイドーになお挑もうとした。しかし、
キアイドーの更なる殺気を受けて、シグフェルは倒れた。
そしてキアイドーは倒れ伏すシグフェルに見切りをつけると、刀を鞘に納め
その場を後にする。この時キアイドーに惨敗した光平は初めて死の恐怖を
経験し、挫折を味わうのであった。
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●司令官ワルズ・ギル→シグフェルを打倒する為、キアイドーを差し向ける。
●参謀長ダマラス→シグフェルを打倒する為、キアイドーを推挙する。
●賞金稼ぎキアイドー →ワルズ・ギルからシグフェルを打倒するように依頼され、
シグフェルを叩きのめすが、仕留めずに帰還する。
◯牧村光平/光凰輝シグフェル→フィリナを見送った帰りにキアイドーに
襲われる。シグフェルに変身して戦うが、敗北する。
◯朝倉慎哉→フィリナを見送った帰りにキアイドーに襲われる。
◯沢渡優香→フィリナを見送った帰りにキアイドーに襲われる。
◯フィリナ・クラウディア・アルシャード→フランスに帰国する。別れの際、光平達にナジブを紹介する。
◯ナジブ→連絡役としてフィリナから光平達に紹介される。
光平達を家に送る為、車を運転していたがキアイドーに襲われる。
【今回の新規登場】
●賞金稼ぎキアイドー(海賊戦隊ゴーカイジャー)
宇宙帝国ザンギャックが雇った宇宙一の賞金稼ぎ。これまで150もの
凶悪な賞金首を打ち倒し、1億ザギンを超える報酬を受け取っている
実力者。細身のソードを武器に様々な宇宙の体術を駆使した戦いを行い、
全身を覆うアーマーは赤熱磁場でコーティングされ、あらゆる弾丸を弾き返す。
退屈を嫌う戦闘狂で、かつてキャプテン・マーベラスに恐怖と敗北感を
植え付けた事がある。
◯ナジブ(闘争の系統オリジナル)
フィリナの秘書兼ボディガードを務めるアルジェリア人の青年。
武術の達人。主にフィリナと日本で暮らす光平との間の連絡を取り持つ繋ぎ役。
最終更新:2020年12月03日 08:43