true tears (アニメ) まとめwiki内検索 / 「比呂美のダブルデート奮闘記」で検索した結果

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  • 比呂美のダブルデート奮闘記
    ...quot; 比呂美のダブルデート奮闘記 冬の休日、いつものような嫁いびり、ではなく、家のお手伝いで働く比呂美 の姿があった。その日は"おばさま"の機嫌がいいようで厳しいという感じで はない、どちらかというと優しい。比呂美は逆に警戒していた。 (な、何かあるのかな?) ちょっとビクビクしながらお手伝いしていると、玄関に誰かが来たような気 配がした。 「こんにちはーっ」 「こんにちは!眞一郎君いますかぁ?」 愛子と三代吉であった。愛子の服装は"デート仕様"、三代吉は普段どおりで あるが、ちらちらと愛子の方を見ている。 「おおー、愛ちゃん、三代吉ぃ」 眞一郎が早速出迎えて話している。しばらくした後、比呂美を呼んだ。 「おーい、比呂美ぃ。ちょっと、こっち来てー?」 呼び出しとあれば仕方ない、"おばさま...
  • hiromiss
    ...でお買い物 13:比呂美のダブルデート奮闘記 14:比呂美、大喧嘩 15:比呂美スレ的 第1話 改訂版 16:比呂美スレ的 第3話 改訂版 17:ある日の出来事 18:眞一郎の脳内劇場2 19:ゲームと質問 20:セカイノナミダ 最後だけ替え歌 21:愛子の失恋 22:女の戦い 23:お手伝いのお手伝い 24:遊園地デート 25:仲上家の騒々しいひな祭り 26:休日の過ごし方 27:夜店めぐり 28:終業式イベント 29:麦端祭り当日 30:置いてかないで? 31:第5話を最終回にしました。 32:思い出の交換 33:新年度の始まり 34:新年度の始まりの続き 35:新年度の始まり-3 36:新年度の始まり-4 37:新年度の始まり-5 38:新年度の始まり-6 39:新年度の始まり-7 40:新年度の始まり-8 41:新年度...
  • 比呂美の嫉妬
    注意書き ttの世界観にない仕掛けを入れています。我慢できない人は読まないでください。 勢いで、ラフとして書いた、一発ネタです。細かい矛盾つぶしはしていません。 バイトシリーズの時間軸とは違い、独立した短編です。設定等も関連ありません。 時間的には、2年生(平成23年)の初夏あたりになります。 BX-01 比呂美の嫉妬(独立) (コンタクト、忘れちゃった…)  そろそろ日が沈もうとする頃、比呂美は近所の商店街にケーキを買いに来て いた。  メガネもコンタクトも忘れてしまったせいで、少し離れた所がボヤけて見え ている。気をつければ支障はないし、部屋に戻るのも面倒だったため、そのま ま出てきてしまったのである。  比呂美の眼は、それほど良くはない。日常生活が不可能なほど見えないわけ でもないが、免許は裸眼では取れないだろう。  ふと視線を上げた彼女は...
  • 比呂美のバイト その8
    【そんなの聞いてない…】 比呂美のバイト その8(ver0.7β) 「ただいま」  夕方遅く、裏口から眞一郎の声が聞こえた。帰宅したようだ。  ほんの少し遅れて、表玄関に比呂美の澄んだ声が響いた。そんなに他人行儀 にすることはないのにといつも感じるのだが、今までの経緯を考えると仕方が ないのだろう。  迎えに出た理恵子を驚かせたのは、比呂美が普段身につける事のないコート を着ていた事だった。だが、彼女には見覚えのあるコートでもあった。あれは 湯浅夫人のコートだ。 「お帰りなさい。荷物は運び出せた?」  コートの事には何も触れず、少女に問う。 「はい。無事に。トラックのおじさんにお世話になりました。鍵、お返ししま す」  比呂美は白い手のひらに小さな鍵を乗せて差し出した。  眞一郎は制服のままだが、比呂美は着替えているようだ。アパートに寄って からこちら...
  • 比呂美のバイト その6
    【私は…満足してるわ…】 比呂美のバイト その6  比呂美の言う"倉庫"の中は、確かに倉庫然としていた。  小さな二部屋の中には様々な家財道具が所狭しと並べられている。通路は確 保されているものの、布団一枚置くスペースもない。水まわりには使用感がな く、ゴミもない。生活の気配は全くなかった。  掃除自体は行き届いている。空気もよどんでいないから、きちんと換気も行 われている。おかげで倉庫等に特有のカビ臭さも無いのは立派な管理だとは言 える。  だが、この部屋自体が完全に荷物を置くだけの場所、つまり"倉庫"として使 われているのは明らかだった。  実家の近所なため、建物そのものにもちろん見覚えはある。だが、眞一郎の 中で、この建物に何らかの意味を持つ記憶はない。友人知人が住んでいた事も ないし、もちろん比呂美が母親と住んでいた家とも違う。  それでも...
  • 比呂美のバイト その1
    【バイト、しようと思うの】(その1)  それは、晴天の霹靂だった。  眞一郎と比呂美が付き合いはじめて10日。学校帰りに比呂美のアパートに 寄るのは眞一郎の日課となっていた。  バスケの練習があるため、普段の比呂美の帰りは遅い。最初の頃はアパート や学校の外で彼女の帰りを待っていたのだが、結局、学校の図書室で時間をつ ぶした後、一緒に下校する事で落ち着く事になった。  わざわざ時間を合わせてまで一緒に登下校など、当人達以外にとっては無駄 な事にしか見えないだろう。だが今は、並んで歩くだけでも心がときめいたり 安らいだりしてしまう。そういう幸せを二人は満喫していた。 「熱いねぇ…」  呆れたように評したのは、他人の事は言えない三代吉である。 「店員がこんなに熱くて、客入るのかよ」とは眞一郎の弁。あからさまに虫の ついた看板娘など、看板にならないからだ。  冷やかし混じりの忠告を受けてから、...
  • 比呂美のバイト その7
    【置いてかないで…】 比呂美のバイト その7(改) 「比呂美?」  眞一郎が棺と比呂美が居る部屋に戻ろうとドアを開けた時、比呂美は入って くる自分を"見て"いた。比呂美が動いている…? 「ごめんな。帰りが遅くなった」  彼女はまたすぐに顔を伏せた。それが自分の言葉に反応してのものかどうな のか、眞一郎にはわからなかった。  目にすがるような光が浮かんでいたように見えたのは、気のせいだろう…。 彼女とはそこまで何かを期待できる関係ではないのだ。  眞一郎は比呂美の隣に座り、穏やかに語りかけた。 「覚えてるか? お前、子供の頃、絵本が好きだっただろ」  返事はない。  わかっている事だ。構わず続けた。 「おばさんに『ママ、本読んで』ってよく言ってたよな」  持って来た一冊の絵本を比呂美の前に置く。 「ほら、これ。お前が大好きだった絵本。俺が遊びに行くと、いつも持ってた」...
  • 比呂美のバイト その3
    【私、迷惑かけてるのに】 比呂美のバイト その3  バイト宣言を受けて大いに悩んでしまった眞一郎に比べ、比呂美の様子は、 昨日までとほとんど変わらなかった。教室内でも普通。部活も普段通りにこな し、眞一郎に色々と話しながら下校するその様子は、まるで何事もなかったか のようだった。 (比呂美にとっては、小さな事なのかな…)  眞一郎は、下校途中の坂道でそっとため息をつき、自分の中の悩みに戻って いった。父に言われた事。三代吉のヒント。…4番。考える事が多かった。  だから、眞一郎をそっと見つめる比呂美の瞳に、以前に似た危うい色が浮か んでいた事に、彼が気付く事はなかった。  アパートについた時、比呂美はいつもと少しだけ違う行動をとった。制服の まま、着替える事なく、バスタブに湯を張りはじめたのである。 「今日はシャワーじゃないのか?」  微笑むだけで、...
  • 比呂美のバイト その12
    【こういうの似合わないと思ってたのに】 比呂美のバイト その12  麦端神社の鳥居をくぐった女子高生が、参道に居た巫女に手を振った。 「お、居た居た。比呂美ィ~」  小走りに近寄ってきたのは、朋与だ。  その後ろにはさらに二人。三代吉と愛子。こちらは肩を並べ、ゆっくりと歩 いてくる。  参道の上、袴姿で雪かきをしていた比呂美が振り返る。昨晩少しだけ降った 雪が、境内を白く染めていた。 「朋与」  親友の顔を見て、比呂美の顔が少しだけほころぶ。巫女装束を身にまとう姿 を知り合いに見られるのは、ちょっと気恥ずかしかった。 「ほんとにやってたんだ、巫女さんのコスプレ」  朋与がおどけて言った。 「コスプレじゃないったら」 「でも、さすがバスケ部のエース。雪かきする姿が決まってる」 「掃除にバスケは関係ないでしょ」  笑って、比呂美は話しながら雪かきを再開す...
  • 比呂美のバイト その11
    【それはないです、比呂美さん…】 比呂美のバイト その11 (いやこれは反則だろう…)  初めて仕事着で出てきた比呂美を見て、眞一郎は内心で激しいツッコミを入 れた。初めて仕事着を着用する、バイト仲間の女の子達は、お互いに見せ合っ て、似合うだの綺麗だの、やいのやいの言っている。 「あ、眞一郎くん。似合う?」  比呂美がくるっと回ってみせた。  ひいき目に見なくとも、仕事着を着た比呂美は群を抜いていた。普段から背 筋がきちんと伸びていて、スタイルが良い事もあって、やたらに良く似合うの だ。  眞一郎は思わずぼーっと見惚れてしまい、上司が咳払いして彼を正気づかせ た。 (なんだか、これだけで十分元は取れているような気が…)  全く本末転倒な話である。が、眞一郎も男だ、仕方が無い。  業務中で自分で出来ないがゆえに、三代吉をカメラマンとして引っ張りだそ う...
  • 比呂美のバイト その2
    【なんだ、もうフラれたのか?】 比呂美のバイト その2 「あの事故はアイツが悪いんじゃないか。あんな雪の日にバイクで二人乗りな んて、するほうがおかしいんだ。アイツが事故るのは勝手だけど、ちょっと間 違ったら、お前、死んでたんだぞ」  なんで、ここでまた4番が出てくるんだ。眞一郎は焦り、困惑していた。  二人の日々が壊れていくような不安が襲って来る。 「それでも、あの事故の責任は私にあるの」  比呂美の顔には、気後れも迷いも、欠片も存在していない。 「アイツが払えって言ったのか?」 「ううん。いらないっていわれちゃった。でも、そんなわけにいかないから」 「何十万もするんだろ。そんな、大変だよ。第一、部活はどうするんだよ」 「しばらく休むわ。今はそんなに厳しい時期じゃないから。まずはこの冬休み、 がんばってみる」 「でも…」 「もう決めたから」  こうなると比呂美の決心は動かない。それは引...
  • 比呂美の停学 中編 眞一郎帰宅
     true tears  SS第八弾 比呂美の停学 中編 眞一郎帰宅 「それ以上は言わないで」  眞一郎が帰宅して報告したことは、停学中の比呂美が予測していた。  理由を説明しようとする眞一郎を比呂美は遮って、夜に眞一郎の部屋に再び訪れる。  眞一郎の告白は比呂美の想定を上回る現状だった。  互いに決意をして、ふたりの関係はゆるやかに変化してゆく。  第十話の内容を予想するものではありません。  与えられた情報から構成してみました。  今後の展開は未定ですが、純との決別と眞一郎とのすれ違いは描きたいと思います。  できるだけ明るい展開を心掛けてはいます。  前作の続編です。  true tears  SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/Fil...
  • 比呂美のバイト その9
    【…怒らなかったんですか?】 比呂美のバイト その9 「ずっと秘めてきた湯浅君の気持ちを知って、主人は随分悩んだわ。 …でも最後は別れて湯浅君の背中を押した。彼女を返してあげたの ね」  返したって…。何、それ。モノみたいに。  比呂美は、眞一郎が4番との取引の対象として自分を扱った事を 思い出していた。口には出さないが、それは眞一郎との間に残る、 大きなしこりだった。 「母にとって、父は何だったんですか」  では、父と母の愛は幻想だったと言うのか。比呂美の声に隠しき れない険が混ざる。大切な思い出が壊れてしまいそうで怖かった。 「彼女は華やかな人だった。湯浅君は地味でね。二人が結婚すると 聞いて皆驚いたものよ。でもね」  理恵子はそこで一旦言葉を切った。比呂美は黙って続きを待って いる。 「湯浅君は、彼女が別の人とつきあっている時でさえ、いつも相談 ...
  • 比呂美のバイト その5
    【うらやましいぞこいつ】 比呂美のバイト その5  両親に話した翌日、バイトの面接はあっけないほど簡単に終わり、二人揃っ て採用となった。  元々良く知った場所である。仲上の名が後押ししたのも間違いない。そこだ と聞かされた時に眞一郎は渋ったが、代案が出せるわけでもなかった。  採用する立場から見た時、誰もが認める美しく気立ての良い比呂美に対し、 自分の人員としての魅力が大きく欠けている事を、眞一郎は良く知っていた。 その場所でなくては、都合よく二人そろって採用される事もなかっただろう。 それはわかっている。  それでも、仲上家の名が影響してくる職場である事に、多少の抵抗を感じざ るをえない。その眞一郎に、比呂美は言った。 「甘えなければいいの。おじさんやおばさんの顔をつぶさないよう、逆に顔を 立てられるように頑張れば、皆にプラスになるはずよ」  女は、強...
  • 遊園地デート
    =9話の少し後くらいのお話です。 ="お手伝いのお手伝い"のちょっと後、です。 遊園地デート ある日の夕食後、比呂美は眞一郎と居間でお茶を飲んでいた。 「…」 「…」 二人の間には会話が多くない。どことなく落ち着かない様子で、比呂美がちら ちらと眞一郎の顔を見ている。 覚悟を決めて比呂美が口を開いた。が、その口調はたどたどしい。 「あ…あの…、眞一郎くんは…今度の休みの日…、時間…あるの?」 「えっ?、日曜?」 「うん…そう…」 「えーと…、特に…何も予定ないなぁ。絵本のアイデアでも考えようかなぁ?」 「…」 「…何?」 「あ、あのね…。それなら…、あのね…」 まだ勇気を振り絞っている最中のようで、なかなか切り出せないでいた。 「うん…」 「あのね…。これ…、貰ってね?…、今度の日曜日…までなの…」 「何?これ?」 ...
  • 比呂美のお色気大作戦
    =このSSでは、3人が同時アタック中としています。なるべく面白くするために。 =愛子の呼び名を"愛子ちゃん"にしています。本編では比呂美と話す場面が =まだないので、仮設定です。気に入らない場合は置換(愛子→愛)してください。 比呂美のお色気大作戦 ある日の午後。 比呂美は学校の廊下を歩いていた時に、とんでもない光景を目にした。 「眞一郎~」 石動乃絵が勢いを付けて眞一郎に抱きついてきたのだ、彼の死角から。 「うわわわっ!」 (あっ!また石動乃絵がっ!!!) 比呂美は自分でも抑えきれない怒りに全身を震わせる。 「眞一郎~」 「うわっ!ヤメロって!離れろっ!」 …ぷにっ…ぷにっ…ぷにっ…ぷにっ…ぷにっ…ぷにっ… <何の音?、ご想像におまかせします。この後の擬音も全てです> 石動乃絵は自分が何をしているかわかっていないが、客...
  • 比呂美のバイト その4
    【かなわないなあ…】 比呂美のバイト その4 「眞ちゃん、あなたは駄目よ」  仲上の母はとっておきの笑顔で言った。  それなりに年齢は出ているものの、元々美しい母である。その笑顔の迫力は 尋常ではない。 「なんでだよ!」  気圧された眞一郎は、反発してみせるのがせいぜいだった。 「成績悪すぎるもの。バイトなんかしたらどうなるか」  声からも表情からも怒りや不快感は全く感じられない。不機嫌さのかけらも ない。  それであるがゆえに、なおさらその言葉は重かった。  事実、眞一郎の成績は悪いのだ。  比呂美の顔がほんのわずかに陰るのを感じ、眞一郎は焦った。 「あなたがこの先どんな進路を選ぶにしてもね。今の成績では学びたい事も学 べないし、行きたい所にも行けないわ。もし好きな女の子が出来たとしても、 責任を示す事もできないでしょう」  母はそこまで言う...
  • 乃絵と比呂美のあいだに
    「ある日の比呂美」が放置状態なのにアレなんですが… 自分の精神安定の為に、仮想最終回「乃絵と比呂美のあいだに」を書き始めてしまいました。 内容は…… 比呂美ENDの最終回です。乃絵派の方にはお薦めできません。 12話までの眞一郎の行動を、最大限好意的に解釈しています。 非エロです。エッチなシーンは全くありません。 「ある日の朋与」から繋がる世界です。朋与が無駄に活躍します。 思わせぶりな題名に意味はありません。適当に付けました。 7割くらい書けてますので、本編より先に結末へ辿り着けると思います。 殆どの方は興味ないと思いますので、どうぞスルーしちゃって下さい。 救急病院の待合室に、石動純が駆け込んでくる。 眞一郎はその姿を見つけると、ソファーから立ち上がった。 「乃絵の…乃絵の様態は?」 純の動揺はかなりのものだったが、それでも乃絵...
  • 比呂美のバイト その13
    【わかるな、眞一郎】 比呂美のバイト その13 「比呂美!」  眞一郎が走り寄り、10歩ほどの位置で止まった。 「眞一郎くん…」  比呂美はその姿を見てハッとし、目を伏せた。石動純と一緒にいる所は、ど うもあまり見られたくはなかったらしい。 「あのさ…」  眞一郎が近づこうとした所で、比呂美が言った。 「何でもないから。4番はちょっと用事があって、伝えにきてくれただけで…」  少し慌てたその言葉は、今の眞一郎の耳には言い訳めいて聞こえていた。 (4番…だと…?)  態度には表さないが、石動純は甚大な精神的ショックを受けていた。  4番である、4番。石動さんでも純くんでも、乃絵のお兄さんでもなく、4 番。いくらなんでもそれはないだろう。  純は、有体に言ってよくモテた。言い寄って来る同年代の女の子には不自由 した事がなく、乃絵に抱いた禁断の想いと性...
  • 乃絵と比呂美のあいだに3
    前乃絵と比呂美のあいだに2 「ただいま」 朝からショッピングモールに画材を買出しに出掛けていた眞一郎は、昼食に間に合うように家に帰宅した。 玄関には見覚えのあるブーツ……というか、この家でブーツを履く人間は一人しかいない。 いつもは右に曲がる廊下のつき当たりを、左へ曲がって酒売りカウンターの方へ…… パソコンの置いてある所を覗いて見ると、やはり彼女はそこにいた。 「ただいま」 「あ…お帰り、眞一郎くん」 帳簿を打ち込む手を止めて、眞一郎に向き直る比呂美。 春休みになってから、比呂美は仲上酒造の経理を頻繁に手伝うようになっていた。 バスケ部の練習に行く以外は、ほとんど仲上家にいると言ってもいい。 誰に命令された訳でもないのに何故……と思わないでもないが、その事を比呂美には訊かない。 比呂美には比呂美の考えがあるのだろう。 開いてくれた...
  • 乃絵と比呂美のあいだに2
    前乃絵と比呂美のあいだに 病院へ行くには、竹やぶのトンネルを抜けて海岸通りに出るのが一番早い。 (眞一郎くん!!) 逢いたい、今すぐ眞一郎に逢いたい!! 比呂美の両脚は普段以上の力を発揮して、悪路を駆け抜けていく。 ……その時…… …………ガサガサッ…ガサッ……ザザッ………… 右側の竹やぶが不穏な音を立てて揺れ、何か塊の様なものが滑り降りてくる。 「!!」 バスケで鍛えた反射神経が反応して、頭が命じるより早く、比呂美の身体は止まった。 塊は人だった。見覚えのあるライトグリーンのコート………… 「比呂美っ!!」 息も絶え絶えの眞一郎が、比呂美の視界に飛び込んでくる。 突然のことに呆然としている比呂美を抱きしめようとする眞一郎だったが、 何かが彼の心にブレーキを掛け、その動作を止めさせる。 比呂美には、それが眞一郎の答えだと思え...
  • 仲上比呂美の第一歩・前編
    第一回 True Tears 比呂美ショートストーリー    『仲上比呂美の第一歩・前編』                                            作 レンビンダミナ  比呂美との結婚式を翌日に控えた今日という日。俺、仲上眞一朗は、局所的に集まってきた親戚達の相手に奔走していた。  「お前のおしめを換えたこともあるんだぞ」なんて言われても、覚えているはずもなく。 それ以外にも初めて見るような人達が一同に会するのも、こういったイベントならではの特徴なのかもしれない。  昼間からドンチャンガヤガヤの大騒ぎの大宴会の中、俺はあちらこちらに呼ばれ祝福されつつ、お酌をしてまわるのに必死だった。  そんな時、比呂美が追加のつまみと料理を持って部屋に入ってきた。  「眞一朗、一人にしてごめんね。お義母さんがこっちはいいから眞一朗のところについ...
  • 比呂美の停学 前編 仲上家
     true tears  SS第七弾 比呂美の停学 前編 仲上家 「俺も決めたから」  停学中の比呂美には情報が不足する。  朋与からのメールや電話だけでは、状況がわかりずらい。  眞一郎と乃絵との姿を見て、比呂美は嫉妬しながら確認できた。  昨晩、比呂美が眞一郎の部屋を訪れたことにより、ふたりの関係が変わりつつある。  第十話の内容を予想するものではありません。  与えられた情報から構成してみました。  今後の展開は未定ですが、純との決別と眞一郎とのすれ違いは描きたいと思います。  できるだけ明るい展開を心掛けてはいます。  前作の続編です。  true tears  SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4366.txt.html...
  • 比呂美のバイト その10
    【問題は彼女じゃない。夫でもない】 比呂美のバイト その10 「後になって、二人の関係は、そんなに継続的なものではなかった事がわかっ たの。でも、あなたが家に来た頃は、まだ確かではなくて…」  理恵子の声は、沈んでいた。比呂美を苦しめた自覚があるからだろう。  間違いではあっても、「嘘」ではなかった。当時、彼女は本当にその疑惑で 苦しんでいた所だったのだ。  だがそのせいで、比呂美は自分の想いを過度に封じた。仲上の人々とぎこち ない関係を築くことになった。イスルギノエに入られもした…。  単なる間違いで済まされる問題ではない。  だからといって、理恵子の立場や心情を考えれば、簡単に確かめ、信じられ る問題でもないはずだ。夫が「あの時だけだ」と言ったところで、どうしてそ れを信じられるだろう…。  理恵子はそれ以上は語らない。比呂美に時間を与えてくれているよう...
  • 比呂美の眞一郎部屋訪問
     true tears  SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」  退学中の比呂美は帳簿を付けながら眞一郎を待っていた。  学校で噂になっている眞一郎と比呂美の関係。  仲上家では眞一郎の両親の目がある。  比呂美は決意して、もう一度、眞一郎の部屋に向かう。  ふたりが話せる唯一の場所に。  第十話の内容を予想するものではありません。  まだまだ本編はもつれそうで、やきもきした展開が続くでしょう。  眞一郎が真心の想像力で余計なことをしそうな気がしますので、  SSとしては積極的になった比呂美を描いてみました。  音楽を訊きながら帳簿を付ける作業をしていた。  眞一郎くんが帰宅すると、通り過ぎてくれるのを願いながら。  眞一郎くんは私に何も言わないようにしてくれていたけれど、私から声を掛けた。  おばさんとお...
  • 比呂美と眞一郎のどきどき初デート
    比呂美と眞一郎のどきどき初デート 比較的安定した天気の、ある冬の休日。 比呂美は通っている学校とは家と反対側にある小さな公園で待っている。 もちろん眞一郎を、である。しかも、初デート。 今日は幸運なことに一日中眞一郎の時間を確保することができた。既に昼過ぎではある が、時間は十分にある。 眞一郎の母の監視があるため、休日に外出するのは簡単ではない。そのため比呂美はあ る"手"をうっておいた…  ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 家の手伝いをしている間、"たまたま"眞一郎の母が近くにいる時、友達の朋与から電話 があったのである。 「あ、何?朋与?どうしたの?」 「うんうん、わかった。じゃあ、行くね」 「おばさま、すみません。ちょっと部活の事で集まりがあるので出...
  • ある日の比呂美14
    比呂美と眞一郎……そして朋与の運命の日から、数日が過ぎた。 朋与は結局、あの日から病欠ということで学校を休み、二人と顔を合わせることは無かった。 比呂美が部活でキャプテン代行を務めた以外は、普段と変わらない日常が流れ、そして日曜日がやってきた…… ………… ブラインドが開くシャッという音と、その隙間から差し込む光が、眞一郎に目覚めを強要した。 (休みなんだから……まだ寝てたっていいだろうに……) どうせ母だろうと見当をつけると、眞一郎は「ううん…」と低く唸って侵入者の要求に抗う。 昨晩は新作の下書きに夢中になって、深夜の四時まで作業をしていたのだ。 今が何時かは知らないが、まだ起きるつもりはなかった。 ………… …………パラッ………… ………… 作業机の方から、画用紙をめくる音が聞こえる。 (……ん……なんだよ……) 例え母親...
  • 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い
     true tears  SS第十弾 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い 「全部ちゃんとするから」  純と決別をしようとしたが、新たな提案を持ち掛けられた。  比呂美にとって保留したくなるものだった。  だが純との唯一の相違点は、眞一郎からの抱擁への解釈だ。  比呂美は眞一郎の意図を探ろうとしつつ、新たな段階へ移行しようとする。  ふたりの関係は交わる事無く、さらに変わってゆく。  第十話の内容を予想するものではありません。  与えられた情報から構成してみました。  雑誌によるネタバレあらすじは含めておりません。  できるだけ明るい展開を心掛けてはいますが、今回は無理でした。  第九話の抱擁に関するイメージを壊してしまう危険性があります。  さらに強敵になった比呂美を描いています。  前作の続編です。  true tears  SS...
  • ある日の比呂美2
    前ある日の比呂美1 アパートまでの道のりを、比呂美はひたすら走り続けた。 眞一郎の視線を感じると何故かもつれる自分の脚が、雪で覆われた悪路を難なく駆け抜ける。 ……今、眞一郎は自分を見ていない…… 全く転ばない事がその証明のように感じられて、比呂美の心に追い討ちを掛ける。 たどり着いた自室の前で、半分泣きそうになりながらポケットを漁る比呂美。 鍵を取り出してドアを開ける事すら、もどかしい。 部屋の中へと逃げ込んでブーツを脱ぎ捨てると、水道からコップに水を注ぎ、一気に飲み干す。 「…………ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……」 呼吸はなかなか整わず、精神と肉体の両方に、どんよりとした疲労感が広がっていく。 照明と暖房のスイッチはすぐそこにあるのに、手を伸ばす気にすらならない。 ………… ………… (……どうしよう……どうしたらいいの……) ...
  • 39スレ目の比呂美の食事の妄想
    879 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/30(金) 21 13 40 ID JG+xm207 テレ東で、ホタルイカ取ってますね。 比呂美が好きかな。 880 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/30(金) 21 27 08 ID ulkXD7FI 比呂美は和食より洋食派と見た 881 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/30(金) 21 55 31 ID WV+eu9lj 洋食でしょう 11話の朝食もトーストにベーコンエッグだったし 882 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/30(金) 21 57 14 ID IJAatPpB 最終話もシチューだったもんな 883 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/30(金) 22 18 16 ID A1d1gWQW ああ…ブリ大根はやっぱりママンから...
  • ある日の比呂美8
    前:ある日の比呂美7 眞一郎は、下着代わりのTシャツとトランクスだけを身に着け、バスルームから出た。 さっきまで点いていた部屋の明かりは消されていたが、真っ暗で何も見えないというわけではない。 弱まった雪雲の隙間から差し込む月光が、室内を蒼く塗装し、神秘的な雰囲気を醸し出している。 テーブルの上には、二人で食べたシチューの皿がそのまま…… そして部屋の隅に、先ほど自分が脱ぎ捨てた服がきれいに畳んで置かれていた。 「眞一郎くん」 頭上、斜め上の辺りから自分を呼ぶ声。 期待や喜びとは違う『何か』を秘めた透明な声音が、「来て」と短く告げる。 眞一郎も同じ様に「うん」と短く答え、ロフトへと続く階段を登る。 浴室から漏れた湿気とエアコンの暖気で、下よりも少し暖かな彼女の寝所。 たどり着いたその世界で、比呂美は眞一郎を待っていた。 「…………」 ...
  • ある日の比呂美7
    前:ある日の比呂美6 比呂美が目を覚ますと、時計の針は七時を差していた。 シチューの仕込みを終えたあとで時間を持て余し、ウトウトし始めたのは六時過ぎ…… どうやら一時間ほど、テーブルに突っ伏して眠ってしまったらしい。 「………………」 覚醒しきらない頭に、先ほどまで見ていた夢の断片が浮かぶ。 ……誰か……自分の大切な誰かが泣いていた……気がする…… (……眞一郎くん?…………それとも他の……誰か……) それが何者だったか考えれば考えるほど、夢の記憶は心の内へと落ち込んで行き、やがて気にならなくなってしまった。 ………… すっかり暗くなっていた室内に明かりを点けようと、座椅子から立ち上がる比呂美。 ふと、窓の外を見ると、街灯に照らされて舞い降りる白いモノが目に入る。 (……雪……) ……またか、と比呂美は思った。 良くも悪くも、自...
  • ある日の比呂美9
    前:ある日の比呂美8 (危ないところだった) 比呂美が行為を中断してくれなかったら…… その先を考えるとゾッとする。 どこまで堪え性が無いんだ、と自分を内心で罵倒しつつ、眞一郎は比呂美を刺激することに意識を集中させた。 比呂美から見て右側に身体を横臥させ、指の腹で陶磁器のような肌の感触を味わう。 「……ん……んん……」 瞼を硬く閉じたまま、右へ左へと顔を動かして身悶える比呂美を観察する。 鎖骨や腰骨のような『飛び出た部分』に触れると、彼女の身体は強く反応するようだ。 逆に腰より下、まだショーツに覆われている局部に刺激が近づくと、恥ずかしさからか理性が回復するらしい。 太腿の前面から内側に手をスライドさせると、比呂美はパチッと眼を開き、自分を見つめてくる。 怒っているとも懇願しているとも取れる眼差し…… 眞一郎はそれを、「順番が違うでしょ」と...
  • 44スレ目の比呂美の視線
    16 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/01(水) 16 22 44 ID 4iaSP2oT 比呂美が「クソ以下」とか言われて内心ムスっとしてるところ見てみたいな 17 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/01(水) 17 20 26 ID xq984ZGT 16 この2パターンが予想される 18 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/01(水) 17 27 29 ID 8qkHUvYq 左かな 19 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/01(水) 18 01 39 ID YpUsu1J8 右は仲上家、眞一郎仕様ってとこか なんかわろたw   21 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/01(水) 18 08 19 I...
  • 33スレ目の比呂美の嫉妬の妄想と「形のない二人」の考察
      428 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/08(火) 19 32 55 ID JfprenDc 二期かー。 またすれ違いは勘弁なw 今度こそ引き裂きで終わるかもしれんし 429 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/08(火) 19 40 23 ID FCAqB6Dv もし2期があっても、もう比呂美と眞一郎中心の話にはならないだろうね。 2人の話はあとは幸せになるだけだし。 新主人公達の後ろでラブラブイチャイチャしてる2人は出るかもしれないけど。 すれ違いとかはないっしょ。1話から13話までは何だったんだよってなるし。 でもそういうアニメも・・・いやいやいや。 430 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/08(火) 19 41 24 ID JOaSWs7v 二期はいいよ ゲームでニヤニヤさせてくれ 433 名無しさん@お腹いっ...
  • 比呂美の停学 後前編 純との決別
     true tears  SS第九弾 比呂美の停学 後前編 純との決別 「交換条件はどうでもいい」  停学中の比呂美は、眞一郎が帰宅してから石動家に赴く。  純と再会してバイク事故の謝罪と弁償をしようとする。  純から新たな提案を持ち掛けられて、比呂美は判断を保留する。  眞一郎からの想いが不確実なものへと変わりつつある。  第十話の内容を予想するものではありません。  与えられた情報から構成してみました。  眞一郎とのすれ違いである後後編を、第十話放映までに描きたいと思います。  できるだけ明るい展開を心掛けてはいます。  前作の続編です。  true tears  SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4366.txt.html ...
  • ある日の比呂美10
    前:ある日の比呂美9 顎と首筋にキスの雨を降らせながら、眞一郎の右手が少しずつ、『最後の壁』を秘部から遠ざけていく。 横縞模様の小さな布切れが膝まで下ろされたところで、比呂美は下肢を曲げて、自らそれを取り去った。 「…………」 何も言わずに、その先の行為に進むことを宣言してくる眞一郎の瞳。 比呂美は唇を重ね、そのまま流れるように眞一郎の肌をついばむことで承認を与える。 緩い力で閉じられた股間に、ゆっくりと侵入していく眞一郎の手の平。 比呂美の陰部は華奢な身体に比例する小ぶりなサイズで、大きくはない眞一郎の手でも、全体を包むことが出来た。 先程のお返しとばかりに、眞一郎は比呂美の外陰部をゆるゆると擦り上げはじめる。 「……ん……」 初めて局部に受ける異性からの刺激に、比呂美の唇は眞一郎の肌を味わう作業を中断させられてしまう。 少しずつ熱と潤み...
  • ある日の比呂美11
    前:ある日の比呂美10 首を横に振って欲望を払い除けようとする眞一郎を、比呂美は真っ直ぐに見つめていた。 自分が差し出した甘い誘惑…… それが導く牡として抗いがたい欲求と、眞一郎は闘っている。 「駄目だ!……約束しただろ!」 …………ちゃんと避妊はする………… 行為を始める前……交替でシャワーを浴びる前に、眞一郎と比呂美はそう決めていた。 自分たちも、周りの人たちも、誰も悲しませないために『ちゃんと』しようと。 …………だが………… 「大切な夜なの。一度だけの……大事な夜なの。……お願い……」 眞一郎との初めての繋がりを邪魔されたくない…… 今の比呂美の頭の中には、その事しかなかった。 ……重ねられた愛撫で思考が曇っているわけではない。 ………仲上の体面、破壊されるかもしれない未来、学校生活、『おばさん』の叱責………  そんなものを全て...
  • ある日の比呂美1
    「ある日の朋与」、「乃絵と比呂美のあいだに」を読んでから読むのをお奨めします。 「眞ちゃん!いい加減に起きないと遅刻するわよ!」 仲上家の長い廊下の端から、甲高い声がする。 何度か眞一郎に呼びかけていた『おばさん』だったが、結局諦めて居間に戻ってきた。 「まったく……」 『おばさん』は食卓について『おじさん』に愚痴り始める。 「春から3年だっていうのに……毎晩遅くまで何してるんだか」 「前にも言っただろ。眞一郎は眞一郎。好きにさせるさ」 それじゃ困るんです、と『おばさん』は声を荒らげる。 一年前なら萎縮して身体を震わせるところだが、今はそのようなこともない。 それどころか、比呂美は心の中で『おばさん』に賛同していた。 (そうそう、私の人生設計にも関わります) 内心で茶々を入れた事など欠片も感じさせず、涼しい顔で黙々と食事を続ける比呂美。...
  • 眞一郎の比呂美の部屋深夜訪問
     true tears  SS第十五弾 眞一郎の比呂美の部屋深夜訪問  流れに乗って、日付が変わる前に投下しました。  まだプロットの段階でしたが、少し書いてみました。  第十二話に入らないかもしれない場面です。  私は眠れぬ夜を迎えている。  とうとう膝を抱えて顎を乗せている。  それでも寂しさは紛れてくれない。  眞一郎くんと石動乃絵のことが気になってしまう。  部屋に入れて合鍵を渡してキスをしているのに、一種間も待っているのに、 ちゃんとしている気配がない。  ふたりが会っているという話すらも聞かない。 「何をしているの?」  眞一郎くんに訊くことができずにいる。  おばさんに言われて、眞一郎くんの部屋に着替えを運んだ。  机の上には『雷轟丸と地べたの物語』という題の絵本があった。  あれはきっと石動乃絵のための絵本。  私には一枚の絵だけ...
  • ある日の比呂美3
    前:ある日の比呂美2 翌日、眞一郎は最悪な気分で朝を迎えた。 時計を見ると、まだ起床時刻より三十分も早い。 だが、眠る事が出来ないというのに、これ以上ベッドに入っているのは苦痛でしかなかった。 気だるさの残る体を起こして目覚ましのスイッチを止め、一階の洗面所へと向かう。 歯を磨いている間、眞一郎は鏡に映る情けない男の顔を、苛立ちをもって眺めていた。 コイツをぶっ飛ばしてやりたい…… そんな衝動に駆られる。 (……また同じ事を繰り返してる……俺は……) 比呂美の涙を拭うと誓ったくせに…… 誤魔化して……また泣かせて…… 欲望に負けて…… その上……錯乱して…朋与のことまで…… (…………なにが……『おぎゃあ』だよ……) 自分は何も変わってない……生まれ変わってなんかいない…… 歯ブラシを動かす手が止まり、自分への怒りが身体を震わせる。 ...
  • ある日の比呂美4
    前:ある日の比呂美3 《あら、お夕食もいらないの?》 「あの……練習試合が近くて……ミーティングが長くなりそうなんです」 比呂美は仲上の家に、夕食を断る電話をしていた。 おばさんに教わった料理の練習もしてみたいし、などと、もっともらしい事も付け加える。 《……わかったわ。もし自分で作る時間が無かったら言いなさい。おかずだけでも持って行ってあげるから》 ちゃんと食べるのよ、と最後に釘を刺し、おばさんは電話を切った。 (…………) 自分が嘘を吐いていることに、おばさんは気がついている。……そう比呂美は思った。 今までどれ程忙しくても、眞一郎の側にいる時間を削ったことのない自分が、 急によそよそしい態度を取れば、おかしいと思わないはずがない…… それでも……おばさんは素知らぬフリをしてくれる…… その心遣いが胸に沁みた。 ………… 今、比...
  • ある日の比呂美16
    「朋与。ちょっとフザケすぎ!」 比呂美は朋与の用意したスポーツドリンクをラッパ飲みしつつ、眉をハの字に曲げて抗議した。 勝負を始めてから開く一方の点差に焦り、早々に脱いでしまったコート。 自分がへたばっている隙に、その中から勝手に携帯を取り出して、眞一郎に電話するなんて…… …………悪戯の域を超えている………… 「バ~カ。そんなんじゃないから、心配しなさんな」 僅かに不安の色を見せる自分の瞳に気づいたのだろうか? 朋与はカラカラと明るく笑って、手にしたペットボトルの中身を飲み干した。 「小遣い稼ぎよ。……ヒヒヒ」 唇を片方だけ吊り上げ、悪巧みをしていますと表情で語る朋与は、まるで時代劇の悪代官のようだった。 お主もワルよのう、と思わず言ってやりたくなる。 「さて! 次、行ってみようか!」 パンと弾けるように立ち上がると、朋与は脇に置いていたボ...
  • ある日の比呂美・疾走編
    「んん…… ねぇ、上になるから……」 正常位で組み敷かれていた比呂美は、前後運動をつづける眞一郎を一旦押し留めた。 「あんまり……感じないか?」 「ううん、違うの。 何ていうか……いろいろステップアップしたいなぁって」 乱れた呼吸を整えながら、比呂美は上体を起こした眞一郎に追随する。 俗に言う《対面座位》の形で濃厚なキスを交わしてから、そのまま体重を掛けていくと、 二人の位置は《正常位》とは真逆の《騎乗位》に収まった。 「この体位のときはねぇ、上下じゃなくて、前後に動くといいんだって……」 囁くやいなや、比呂美は陰茎を膣肉で深々と咥え込んだまま、言葉どおりの動きをしてみせる。 くい、くい、と腰をいやらしく振ると、恥骨同士が擦れ合い、陰毛が絡まるシャリッという音がした。 「うぁっ」 新しい体位が生む圧力が心地良かったのか、眞一郎の喉が低く鳴る。 ...
  • ある日の比呂美・番外編
    166 さんの紹介画像に刺激されて、短編を書いてしまいました ハッピーエンドで終わる予定の、「ある日の比呂美」から数ヵ月後のお話です くだらない内容ですが、よろしかったら読んでやってください 「……今日は……そのままして……」 そう言った瞬間の眞一郎の眼の輝きを見て、比呂美は思った。 (……今日は…きっと激しくなる……) スキンを使わずに『ナマ』でセックスするのは、『初めての時』以来だ。 興奮するな、という方が無理だろう。 「ひ、比呂美っっ!!」 いつもは優しく行為をスタートさせる眞一郎が、今日はとても荒々しい。 落ち着いて、いつもみたいに優しく…と比呂美はブレーキを掛けようとする。 しかし眞一郎は、口先では「分かってる」「優しくする」を連呼するが、もう自身を制御出来ない状態なのは明らかだ。 (もう……しょうがないな) 心の中で...
  • 31スレ目の服の比呂美の色に関する妄想
    757 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/04(金) 23 04 27 ID B1CBnGTO じゃあ考察頼む。 比呂美のパジャマ、なぜ公式のレモンイエローに紫入れたんだ? 759 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/04(金) 23 08 23 ID Hh/cAG37 757 なんでだろうな、でも紫という色を比呂美の服装に 意図的に増やしてるような印象がある。多いよな紫 760 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/04(金) 23 09 10 ID XIziTL4B 青系の紫とピンクが比呂美のイメージカラーなんだと思うよ。 普段、人と接する時は青から紫のあたりの色。 ピンクは眞一郎と二人の幸せな時の色。 今後はピンクが増えるんじゃないかな。はい考察終わり。妄想スタート。 761 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 200...
  • ある日の比呂美12
    前:ある日の比呂美11 (激しく動くのはマズい…) 陰茎を大きく出し挿れするのも駄目だ、と眞一郎は頭の中で、自らに禁止事項を課す。 まずは比呂美の苦痛を、これ以上拡げないこと。 そのためには、裂傷を擦らないように深くペニスを沈めたまま、小刻みに動かして刺激するしかない。 しかも、痛みを抑えるだけでは不十分なのだ。……比呂美を……少しでも気持ち良くしてやらねばならない……  (これで比呂美が『良く』なるかは……分からないけど) 正直、自信は無いが迷ってもいられない。出来ることをしなければ。 なによりも、比呂美がそれを望んでいる。 ………… ゆっくりと、そして慎重に、眞一郎は陰茎の位置をずらし始めた。 体重を掛けて、比呂美の恥骨の硬さを感じられるくらいに、局部を密着させる。 埋め込んでいる分身の先で、意識的に子宮を一段深く圧してやると、比呂...
  • ある日の比呂美・番外編2-3
    前:ある日の比呂美・番外編2-2 眞一郎の両肩に手を置いて、そこを支点に比呂美は身体を動かし続ける。 楕円から八の字へ…… 胸の先にある桃色の小肉が、縦横無尽に眞一郎の背で踊った。 「気持ち……いい?」 「……あぁ…………うっ!」 瞼を閉じて身体を小刻みに震わせる眞一郎の痴態が、比呂美の心を熱くさせ、その口元を緩ませる。 だが、そんな比呂美の優位は長く続かなかった。 攻撃に使用している部位は女にとって……比呂美にとって最も『感じやすい』部分。 性感の激しい高揚と限界が比呂美の神経に襲い掛かり、少しずつ意識を混濁させていく。 「…はっ……はぁ……はぁ……」 感じはじめていることを眞一郎に悟られないように、漏れ出る嬌声を押さえ込もうとする比呂美。 しかしそれは、湧き出す悦楽の前では無駄な抵抗でしかない。 程なく、比呂美の声は比呂美自身の制御...
  • ある日の比呂美5
    前ある日の比呂美4 眞一郎の口から吐き出された息が、一瞬だけ彼の周りを白く染めて、すぐに消える。 「……寒っ」 ブルッと身体を震わせて、手の平で肩の辺りを擦ってみるが、コートの上からではあまり効果は無かった。 ……比呂美の部屋の前で彼女を待って、もう一時間になる。 夕食には来ないだろうと思っていたが、こんな時間までどこにいるのだろう…… ……何かあったら……と心配になる。 だが、電話には多分出てくれないだろうし、闇雲に探し回っても出逢える確率は低いだろう。 (ここで帰ってくるのを待つしかない) 筒状になっているコートの襟に首を埋め、壁にもたれ掛かったその時、ポケットの中で携帯が暴れだした。 (! ……比呂美) 急いでそれを取り出し、開いてみる。 しかし、画面に表示されていた文字は「着信 野伏三代吉」だった。 落胆しつつ、通話ボタンを...
  • 仲上比呂美の第一歩・後編
    前仲上比呂美の第一歩・前編 第二回 True Tears 比呂美ショートストーリー    『仲上比呂美の第一歩・後編』                                            作 レンビンダミナ  「眞一朗!」  俺の名前を呼んで、勢いよく背中に抱きついてきた少女――訂正――女性は石動乃絵だ。 高校の頃のごたごたで一時疎遠になっていたのだが、比呂美と一緒に進学した大学でなぜか乃絵とばったり再開。 俺と乃絵の学部が同じだったこともあって、俺達はまた自然と話しの出来る関係へと戻っていった。  大学卒業後の乃絵は、どういうわけか大手の出版社に就職。そこに俺の作品を売り込んだのも、実は乃絵だったりする。 乃絵のおかげで運良く作家としてデビューできることになったのはいいが、俺についた担当編集者は、まるで狙ったかのごとく 石動乃...
  • @wiki全体から「比呂美のダブルデート奮闘記」で調べる

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