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つかさのアルバイト

200X年12月24日夜、 私は大宮駅近くの居酒屋の個室にいた。
2~3人向けの掘りごたつがある個室で、
私は独り、さっきからケータイをパカパカと開いたり閉じたりしている。
世間はクリスマス・イブ、他の部屋はカップルばかりだが私には関係ない。

「・・・柊様ですね?こちらになります」
「お姉ちゃん、待った?」

店員に導かれ妹の つかさ が部屋に入ってくる。

「ううん、そんなに待ってないわよ。急に呼び出してごめんね。
 ・・・店員さん、生中1つお願いします」
「あ、生中もう1つ!
 ・・・よかった、バイトが少し長引いちゃって」
「つかさ、あんたビール飲めたっけ?」
「えへへ、最近だいぶ飲める様になったんだよ」
「ふぅん・・・」
「それよりお姉ちゃん、京都から帰ってくるの明日じゃなかったの?
 急に電話くれて、大宮にいるって言うからびっくりしちゃったよ」
「まぁ、ちょっと、ね」
「失礼します、中ジョッキ2つお持ちしました」

部屋に入ってきた店員により、私たちの会話は一旦途切れた。

「つかさ と会うのも夏休み以来ね。
 それじゃ乾杯!」
「うん、お姉ちゃんと2人で過ごすイブの夜に乾杯!」
「お互いイブの夜に縁が無いわね・・・」

つかさ が楽しそうに私の前でジョッキを傾けている。
しかし私は彼女に切り出さないといけないことがある。
ジョッキの底のビールを飲み干し、私はつかさを正面から見据えた。

「ねえ、つかさ、バイト上手くやってるの?」
「うん、ファミレスのバイト、大変だけど楽しくやってるよ」
「来年短大卒業だったわよね?」
「うん、調理師の免許とるつもりなんだよね」
「へぇ、ところでこれは何なのか説明してくれるかな?」
「え、お姉ちゃん、どうしてそれを・・・」

私がバッグからDVDのパッケージを取り出し、つかさ の顔色が変わる。
もっとも つかさ が慌てるのも無理はない。
私が取り出した『MIKAKO~禁断の課外授業~』というアダルトDVD、
そのジャケット写真でセーラー服をはだけさせて写っている女性は
私の前にいる つかさ、その人なんだからー。

「出てるビデオ、これだけじゃないわよね?」
「・・・お姉ちゃん、このこと他に誰かに伝えたの?」

つかさ は直接の返答を避け、一番気になっているであろうことを逆に私に尋ねてきた。

「ううん、まだ話してないわ。
 でもこの冬休みにお父さんやお母さんに相談しようかとも・・・」
「やめて!」

私の言葉を遮り、つかさ は俯いた。

「もしこの仕事をもうやめるなら、このことは私の胸の中に留めておくつもり」
「・・・もし、やめなかったら?」
「そしたら実家のみんなや、あと こなた達にも相談して、
 つかさ がこの仕事をやめるように説得するわ」
「やめて、それだけはやめて、お姉ちゃん!」
「じゃあ、今から私にこの仕事をやめること、約束してちょうだい」
「・・・」
「え?」
「・・・いやだ、やめない」

顔を上げた つかさ は私が見たことがないような表情をしていた。
強い意志を込めた瞳に、私は少し気圧された。

「ねえ つかさ、こんな仕事続けてていいと思ってるの?」
「・・・」
「今、少しお金が入ったからって、これから先、後悔するわよ?
 つかさ、お願いだから私に仕事やめるって約束して?」
「・・・」
「つかさ、なんとか言いなさいよっ!」
「・・・」
「分かったわ、私 つかさ のこと明日お父さんとお母さんに話す」

何も言わず私を見つめ続ける つかさ から目を反らし、
私は立ち上がり部屋を出ようとする。
その肩が つかさ に強く掴まれる。

「何よ、つかさ、離しなさいよ」
「お姉ちゃんに一体何が分かるの?」

そのまま つかさ は私を壁に強く押し付けた。

「私は生まれてからずっとお姉ちゃんの後ろを歩いてきた」
「・・・つかさ」
「勉強でも何でもお姉ちゃんと比べられるばかり」
「・・・」
「その中でようやく見つけた、私の生き甲斐が、この仕事なんだよ」

私の肩を押さえる つかさ の手の袖口からブレスレットが覗いた。
光る宝石が、高価なものであることを伺わせる。
そういえば今日着ている服も、地味だけど相当なものかもしれない。

「つかさ、取り敢えず座ろうか。
 あ、生中2つ追加で・・・」

物音に心配して様子を見に来た男性店員に私は酒の追加を頼む。

「1つ取り消し、ウイスキーをロックで」

つかさ がそれを上書きする。
ウイスキーなんて飲むんだ・・・。

「かしこまりました。
 ・・・って、あの、もしかしてMIKAKOさんじゃないんですか」
「そうですけど、プライベートなので」

つかさ は私が見たことの無い様な妖艶な表情で店員を睨みつけた。
しかし店員は何とも言えない嬉しそうな表情を浮かべ、下がっていった。
もしかして つかさ は既に有名になってるんだろうか?
そういえば、このDVDもビデオ店の棚のお薦めコーナーで見つけたっけ・・・。

「そもそもさ、お姉ちゃん。なんでこのDVD持ってるの?」
「それ、は・・・」
「もしかして自分を慰めようとして大人なビデオ屋さんにでも行ったの?」
「・・・」
「ふふ、図星、か。まぁいいの、いつかはバレると思ってたし。
 しかしまさか、うちで一番優等生なお姉ちゃんに一番最初にバレるなんてね。
 あ、お姉ちゃん、ちょっと煙草吸っていいかな?」

そう言うと つかさ はバッグからピースインフィニティを取り出した。
長い煙草にジッポーのライターで火を点ける。
つかさ の口から吐き出された紫色の煙が、私を甘い香りで包み込んだ。

「お待たせしました。ウイスキーとビール、
 それとMIKAKOさんにチーフの方からチーズ盛り合わせの差し入れです」
「ありがと」
「それで、失礼ですがサインの方、お願いしていいでしょうか?」

つかさ は渡された色紙に無愛想な表情で店宛に達筆なサインを書くと、
上目遣いでそれを男に差し出した。

「あ、ありがとうございました・・・!」

店員は顔を真っ赤にしながら色紙を手に取り、下がっていった。
女の私でもどきっとするような表情、
少なくとも私の知っている つかさ と同じ人間だとは思えなかった。
アルコールが入ったからか、つかさ の態度はさっきまでより随分大きくなっていた。

「安酒だね、これ。バルサミコ酢ぅ」
「つかさ・・・煙草1本貰えるのかな?」
「お姉ちゃんも煙草吸うんだぁ」
「殆ど吸わないけど、マイセンの1mgのを一時期、ね」

もう煙草でも吸わないとやってられなかった。
8mgのインフィニティは私の吸っていたマイセンのワンより遥かに重く、
頭がくらくらして激しくむせ込んだ。

「お姉ちゃん、大学入るまで私はずっと日陰にいたんだよ。
 大学合格のときもお姉ちゃんは京大の法学部で周りからチヤホヤ、
 名前も聞かない短大に行った私なんていつも蚊帳の外だったんだよ」
「つかさ・・・」
「でもお姉ちゃんは大学に入ってからも私のことをいつも心配してた。
 私はそれが凄く鬱陶しくてストレスだったの」
「・・・違う、大学入ってから私も寂しかったの。
 寂しかったから つかさ と話したくて・・・」
「勝手なこと言わないでよっ!」
「・・・!」
「そんなのお姉ちゃんの勝手な都合じゃない。
 お姉ちゃんが京都に行ってくれたから、私はお姉ちゃんからようやく解放されるかと思ってた。
 でもお姉ちゃんは私を解放してくれなかった。
 お姉ちゃんが電話してくるたびに、私は自分の惨めさが身に染みたの」

何も言い返せなかった。

「そんな中で、この業界にスカウトされたの。
 最初は安いギャラの企画物にしか出させて貰えなかった。
 辛いこともいっぱいあった。
 でも仕事してる間はお姉ちゃんの呪縛から逃れられた。
 そうやって、ようやくここまで上ってきたんだよ。
 もうお姉ちゃんに邪魔されたくないの」
「邪魔って・・・そんな・・・
 私は つかさ の将来のことが心配で・・・」
「だからそれが邪魔なんだって。
 物わかり悪いね?お姉ちゃん。
 だいたいエロビデオ買いに行くのがやっとの女子大生に私の何が分かるっていうの?ねぇ?」

そう言いながら つかさ は私の側に席を移動してきた。
つかさの身体が触れる。ショートカットから覗くうなじが艶かしい。

「誤解しないでね、お姉ちゃんのこと嫌いなんじゃないんだよ。
 むしろ大好きだよ。
 お姉ちゃんと、こなちゃんと、ゆきちゃんと、
 4人で過ごした高校のときの時間はとっても楽しかった。
 MIKAKOって、ゆきちゃん、お姉ちゃん、こなちゃんの名前の頭文字を取ったんだよ。
 お姉ちゃんのこと、今でも大切な存在だとは思ってる。
 でも私の邪魔をすることは許せない」
「・・・」
「それにね、私もお姉ちゃんのこと心配なんだ。
 どうせさ、お姉ちゃん、まだ男の人知らないんでしょ」
「それは・・・」
「もったいないね、こんなにいい身体してるのに。
 胸だって私よりおっきいのにね。この身体1人で弄んでるんだ、かわいそう」
「つかさ、やめなさいよ、あっ・・・」

つかさが私の胸を触る。思わず声が漏れる。

「スカートの中も触ってみよっかな。
 うわぁ、凄く濡れてるね。お姉ちゃんエッチだね」
「や、やめてよ。うっ・・・」

つかさが私の下着の中に何かを入れる。
細かい振動が私の秘部を刺激した。

「つ、つかさ、何なのこれ?」
「うわぁ、お姉ちゃん顔真っ赤だよ?大丈夫?
 店員さん、お会計お願い。カード使えるよね?」
「かしこまりました。もうお帰りですか?」
「ちょっと連れが具合悪いんだよね。付き添ってくれる?」
「かしこまりました」

これ、ローターってヤツだろうか?
すぐに取り出そうと思ったのに店員を呼ばれて身動きが取れない。
居酒屋から出るときは私の太腿の内側を愛液が滴り落ちそうになっていた。

「お姉ちゃん、今度はホストクラブで飲もうね、ね?」
「つかさ、これ止めてくれない?」
「あ、忘れてたよ。あはは、お姉ちゃんには刺激が強すぎたかな?

そういうと つかさ は手元のリモコンで私のローターを止めた。
下着の中から出したかったが、人目につきそうで怖い。

「ねえ、お姉ちゃん、私ともっといいことしない?」

つかさ が耳元で囁く。
私は首を振ったが、すぐに股間に細かい振動が伝わり、私は反射的に首を縦に振り直した。

それからのことはよく覚えていない。
私は つかさ に導かれるままに近くのホテルに入り、
一晩中 つかさ のテクニックでイかされ続けた。
実の妹の前で股を広げるのは恥ずかしかったが、成熟した私の身体は快感に正直だった。

翌朝、湿ったシーツの上でぐったりとする私を見下ろしながら、つかさ は私に言った。

「お姉ちゃん、一晩中エッチな声出して、凄くかわいかったよ。
 いっぱい汗かいたし、少しダイエットできたかもね」
「・・・」
「これで私の仕事、少し分かったかな?
 まだ分かんないだろうなぁ、あはは。
 とにかく私の仕事、お父さんたちに未だ他言しないでね。
 他言したら、この写真、こなちゃんたちに見せちゃおうかな」
「・・・絶対、他言しないわ」

つかさ のケータイには全身を真っ赤に染めて喘ぐ私の写真が納められている。

「でも つかさ、私が黙ってても、きっといつかバレるわよ」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。
 短大卒業するまでバレなければいいんだから。
 それじゃあね、今度はホストクラブで飲もうね。
 それでまたエッチなことしようね?」
「・・・遠慮するわ」
「ホントは、またしてほしいんでしょ?身体は正直だよ?」

つかさ はタオルでまた濡れてきてしまった私の局部を拭き取り、
エアシューターから戻ってきた領収書を受け取って部屋を出て行った。

私は静かに、こう呟いた。

「・・・ビッチ」

         おしまい

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最終更新:2008年05月18日 04:09
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