(悠月が紗奈の住むアパートの一室に入る)
紗奈「…………」
悠月「結局、卒業式も来なかったわね
あなたのここに置いておくわね」
紗奈「…………」
悠月「ご飯食べてる?
何か作りましょうか?」
紗奈「…………」
悠月「と言っても、冷蔵庫も空みたいね
まずは買い物かしら
何が食べたい?」
紗奈「…………」
悠月「簡単な物でいいわよね
適当に買ってくるわ」
紗奈「…………ほっといてよ」
悠月「なんて?」
紗奈「……ほっといてよ」
悠月「…………
どうして?」
紗奈「もうほっといてよ!
なんで!なんであんなことがあったばかりなのにそんな顔ができるの?
なんで平気な顔ができるの?
私には分かんないよ!」
悠月「…………
それだけかしら?」
紗奈「それに……
悠月を見ると思い出すの
戻らない日常を思い出すの
忘れたくても、悠月のせいで忘れられない
もしあの時こうだったらって想像が勝手に膨らんで止まらなくなる
悠月だけじゃない、この部屋も、この街も
楽しかった、輝いていたはずの想い出がたくさんあったのに
今は全てが色褪せて、私を逃がしてくれない
だから、もうほっといてよ
私の前に姿見せないでよ」
悠月「…………」
紗奈「…………」
悠月「そう……
ならもう来ないわね
今日もこのまま帰らせてもらうわ」
紗奈「…………」
悠月「私も平気ではないわよ
日常が音を立てて崩れ去ったわ
紗奈が言うように前よりこの街が、世界が色褪せて見えるかもね
でも、立ち止まっていられないでしょ?
立ち止まっても誰も待ってくれないわ
私は勝手に進んでいく世界に置いていかれることの方が怖いの
だから、平気そうな顔をした仮面を被ることにした
うつむいたままでも歩き続けることを選んだの
それだけよ
あなたはあなたで答えを出したらいいわ
立ち向かっても、逃げても、忘れ去ってもいい
どんな答えでも私は味方よ
ずっとあなたを見守る
最後の約束なんだから勝手に守らせて貰うわね」
紗奈「…………」
悠月「またね
連絡待ってるわね」
(悠月は静かに部屋を後にし、部屋の中には悠月のものと思われる足音がかすかに響く)
紗奈「…………」
悠月「結局、卒業式も来なかったわね
あなたのここに置いておくわね」
紗奈「…………」
悠月「ご飯食べてる?
何か作りましょうか?」
紗奈「…………」
悠月「と言っても、冷蔵庫も空みたいね
まずは買い物かしら
何が食べたい?」
紗奈「…………」
悠月「簡単な物でいいわよね
適当に買ってくるわ」
紗奈「…………ほっといてよ」
悠月「なんて?」
紗奈「……ほっといてよ」
悠月「…………
どうして?」
紗奈「もうほっといてよ!
なんで!なんであんなことがあったばかりなのにそんな顔ができるの?
なんで平気な顔ができるの?
私には分かんないよ!」
悠月「…………
それだけかしら?」
紗奈「それに……
悠月を見ると思い出すの
戻らない日常を思い出すの
忘れたくても、悠月のせいで忘れられない
もしあの時こうだったらって想像が勝手に膨らんで止まらなくなる
悠月だけじゃない、この部屋も、この街も
楽しかった、輝いていたはずの想い出がたくさんあったのに
今は全てが色褪せて、私を逃がしてくれない
だから、もうほっといてよ
私の前に姿見せないでよ」
悠月「…………」
紗奈「…………」
悠月「そう……
ならもう来ないわね
今日もこのまま帰らせてもらうわ」
紗奈「…………」
悠月「私も平気ではないわよ
日常が音を立てて崩れ去ったわ
紗奈が言うように前よりこの街が、世界が色褪せて見えるかもね
でも、立ち止まっていられないでしょ?
立ち止まっても誰も待ってくれないわ
私は勝手に進んでいく世界に置いていかれることの方が怖いの
だから、平気そうな顔をした仮面を被ることにした
うつむいたままでも歩き続けることを選んだの
それだけよ
あなたはあなたで答えを出したらいいわ
立ち向かっても、逃げても、忘れ去ってもいい
どんな答えでも私は味方よ
ずっとあなたを見守る
最後の約束なんだから勝手に守らせて貰うわね」
紗奈「…………」
悠月「またね
連絡待ってるわね」
(悠月は静かに部屋を後にし、部屋の中には悠月のものと思われる足音がかすかに響く)
(紗奈からの電話を知らせる着信音が悠月の部屋に響き渡る)
悠月「ふぅ…ちょっと緊張するわね
…………
もしもし」
紗奈「やっほー!久しぶり!!
元気だった?
私はねぇ、最近やっと……」
悠月「ちょっと!
いきなり大きい声出さないでよ
ビックリしたじゃない」
紗奈「あっ
ごめん、ごめん」
悠月「元気みたいね」
紗奈「(苦笑い)
おかげさまで、かな
……あの時はえっと、その…」
悠月「いいわよ、気にしてないから
で、何のようかしら?」
紗奈「ありがと
えっと…そのね
今度、結婚式するんだけど来てくれない?」
悠月「結婚?
誰が式をあげるの?」
紗奈「私と和也だよ」
悠月「どういうこと?
和也は……」
紗奈「うん、分かってる
分かってるから大丈夫
でね!
日程は4月1日なんだけど来れそう?」
悠月「4月1日?
何曜日かしら??」
紗奈「えっとねぇ、土曜日だよ
もしかして仕事とか…何か予定ある?」
悠月「空いてるわよ
土曜なら仕事も休みだしね」
紗奈「えっ!?
なら!!!」
悠月「えぇ、行くわ
4月1日、空けておくわね」
紗奈「ホント!
良かったぁ、断られるかと思ってた」
悠月「(笑い声)
あなたと彼の結婚式なんでしょ?
仕方ないから付き合ってあげるわよ」
紗奈「ありがと!
あとね…
次の土曜とか空いてたりする?」
悠月「今週の?
確か…夜なら空いてたかしら」
紗奈「なら、ふたりで飲みに行かない?
ほ、ほら、会うの久しぶりだし
だからね、次会うのが結婚式とかだと…ね?」
悠月「あー………そうね
ご飯でも行く?」
紗奈「(食い気味に)行く!」
悠月「(小さく笑う)6時からでいいかしら?」
紗奈「うん!」
悠月「場所は……そうね
"いつもの場所"でというのはどうかしら?」
紗奈「えっ!?
い、"いつもの場所"?」
悠月「そう、"いつもの場所"
私達がまた会うにはいい場所じゃない?
(聞こえない声で)本気なら来れるでしょ」
紗奈「……そう、だね
"いつもの場所"で6時に待ち合わせで決定!
なら、4月1日と次の土曜よろしく
またね!ありがとう!」
悠月「…切れちゃった
少しいじわるだったかしら
でも、先に変なこと言って驚かせたのはあなたよ
お返しってことで許してね」
悠月「ふぅ…ちょっと緊張するわね
…………
もしもし」
紗奈「やっほー!久しぶり!!
元気だった?
私はねぇ、最近やっと……」
悠月「ちょっと!
いきなり大きい声出さないでよ
ビックリしたじゃない」
紗奈「あっ
ごめん、ごめん」
悠月「元気みたいね」
紗奈「(苦笑い)
おかげさまで、かな
……あの時はえっと、その…」
悠月「いいわよ、気にしてないから
で、何のようかしら?」
紗奈「ありがと
えっと…そのね
今度、結婚式するんだけど来てくれない?」
悠月「結婚?
誰が式をあげるの?」
紗奈「私と和也だよ」
悠月「どういうこと?
和也は……」
紗奈「うん、分かってる
分かってるから大丈夫
でね!
日程は4月1日なんだけど来れそう?」
悠月「4月1日?
何曜日かしら??」
紗奈「えっとねぇ、土曜日だよ
もしかして仕事とか…何か予定ある?」
悠月「空いてるわよ
土曜なら仕事も休みだしね」
紗奈「えっ!?
なら!!!」
悠月「えぇ、行くわ
4月1日、空けておくわね」
紗奈「ホント!
良かったぁ、断られるかと思ってた」
悠月「(笑い声)
あなたと彼の結婚式なんでしょ?
仕方ないから付き合ってあげるわよ」
紗奈「ありがと!
あとね…
次の土曜とか空いてたりする?」
悠月「今週の?
確か…夜なら空いてたかしら」
紗奈「なら、ふたりで飲みに行かない?
ほ、ほら、会うの久しぶりだし
だからね、次会うのが結婚式とかだと…ね?」
悠月「あー………そうね
ご飯でも行く?」
紗奈「(食い気味に)行く!」
悠月「(小さく笑う)6時からでいいかしら?」
紗奈「うん!」
悠月「場所は……そうね
"いつもの場所"でというのはどうかしら?」
紗奈「えっ!?
い、"いつもの場所"?」
悠月「そう、"いつもの場所"
私達がまた会うにはいい場所じゃない?
(聞こえない声で)本気なら来れるでしょ」
紗奈「……そう、だね
"いつもの場所"で6時に待ち合わせで決定!
なら、4月1日と次の土曜よろしく
またね!ありがとう!」
悠月「…切れちゃった
少しいじわるだったかしら
でも、先に変なこと言って驚かせたのはあなたよ
お返しってことで許してね」
悠月「あの子やっぱり遅いわね
時間ぴったりに来たのは失敗だったかしら
そうねぇ、7時…いいえ、8時までに来なかったら帰ろうからね」
時間ぴったりに来たのは失敗だったかしら
そうねぇ、7時…いいえ、8時までに来なかったら帰ろうからね」
紗奈「ごめ~ん!
待った?」
悠月「ええ、すっごく待ったわよ」
紗奈「……ごめん」
悠月「(笑い声)
嘘よ
私もさっき来たばかり
全然待ってないわ」
紗奈「もう!
それなら「今来たところよ」とか言ってよ!
本気で謝ったのに」
悠月「…………
だいぶ瘦せたわね」
紗奈「うん、痩せた」
悠月「ちゃんと食べてる?」
紗奈「うん、食べてる
………
って、もう!お母さんみたいなこと言わないでよ
ほらっ、行こ!」
悠月「そうね
行きましょ…って引っ張らないで!
ちゃんと行くから」
待った?」
悠月「ええ、すっごく待ったわよ」
紗奈「……ごめん」
悠月「(笑い声)
嘘よ
私もさっき来たばかり
全然待ってないわ」
紗奈「もう!
それなら「今来たところよ」とか言ってよ!
本気で謝ったのに」
悠月「…………
だいぶ瘦せたわね」
紗奈「うん、痩せた」
悠月「ちゃんと食べてる?」
紗奈「うん、食べてる
………
って、もう!お母さんみたいなこと言わないでよ
ほらっ、行こ!」
悠月「そうね
行きましょ…って引っ張らないで!
ちゃんと行くから」
悠月「ふう…
寝ちゃったわね
今日はよく頑張ってたみたいだし、
起きるまでのんびり飲んでいようかしら」
寝ちゃったわね
今日はよく頑張ってたみたいだし、
起きるまでのんびり飲んでいようかしら」
紗奈「ん?あ………ごめん、寝ちゃってた
おはよ~」
悠月「何がおはよ~よ!
人の気も知らないで!」
紗奈「ゆ、悠月?
もしかして…かなり酔っぱらってる?」
悠月「うるさい!
私がどれだけ心配したと思ってるの
連絡も全く返さなかったし」
紗奈「ご、ごめん」
悠月「やっと連絡してきたかと思ったら和也と結婚式あげるとか
急に聞かされるこっちの身にもなりなさいよ!
冗談かと思ったら本気みたいだし
あなたはいつもそうやって私を振り回して
ばぁか!」
紗奈「えーっと、
落ち着いて、ね?」
悠月「昔からそうよ
何でも私を巻き込んで
静かな大学生活しようと思ってたのに、あなたのせいで結局有名人よ
同窓会に行くと、毎回あなたのこと聞かれるし
本当にめんどくさい
好奇心で首を突っ込まないで欲しいわよ
………ごめん、ちょっとトイレ」
紗奈「大丈夫、かな?
でも、お酒飲むとああなるのは相変わらずなんだ
変わってなくて良かった」
おはよ~」
悠月「何がおはよ~よ!
人の気も知らないで!」
紗奈「ゆ、悠月?
もしかして…かなり酔っぱらってる?」
悠月「うるさい!
私がどれだけ心配したと思ってるの
連絡も全く返さなかったし」
紗奈「ご、ごめん」
悠月「やっと連絡してきたかと思ったら和也と結婚式あげるとか
急に聞かされるこっちの身にもなりなさいよ!
冗談かと思ったら本気みたいだし
あなたはいつもそうやって私を振り回して
ばぁか!」
紗奈「えーっと、
落ち着いて、ね?」
悠月「昔からそうよ
何でも私を巻き込んで
静かな大学生活しようと思ってたのに、あなたのせいで結局有名人よ
同窓会に行くと、毎回あなたのこと聞かれるし
本当にめんどくさい
好奇心で首を突っ込まないで欲しいわよ
………ごめん、ちょっとトイレ」
紗奈「大丈夫、かな?
でも、お酒飲むとああなるのは相変わらずなんだ
変わってなくて良かった」
紗奈「あっ、おかえり
大丈夫?」
悠月「ええ
ごめんなさい、少し落ち着いたわ」
紗奈「……心配かけてごめんね?」
悠月「たまに連絡くれればいいわよ
あと、そこの水取って」
紗奈「はいはい、どうぞ」
悠月「ありがと」
紗奈「そろそろ帰る?」
悠月「ええ…気持ち悪いし」
紗奈「飲み過ぎだよ」
大丈夫?」
悠月「ええ
ごめんなさい、少し落ち着いたわ」
紗奈「……心配かけてごめんね?」
悠月「たまに連絡くれればいいわよ
あと、そこの水取って」
紗奈「はいはい、どうぞ」
悠月「ありがと」
紗奈「そろそろ帰る?」
悠月「ええ…気持ち悪いし」
紗奈「飲み過ぎだよ」
悠月「入るわよ」
紗奈「どう?似合う??」
悠月「ええ、似合ってるわよ
馬子にも衣装ってところかしら」
紗奈「それ褒めてる!?
どちらかというとばかにしてるよね?」
悠月「褒めてるわよ
これは和也も惚れ直すかもね」
紗奈「そう…だといいな
今日は、その……」
悠月「あなたの思い付きに巻き込まれるのには慣れてるわ
だから、気にしないでいいわよ」
紗奈「ありがと
あーあ、悠月と結婚したら幸せなんだろうなぁ」
悠月「今からでも私との結婚式にする?」
紗奈「今日は和也と結婚式あげる日
だから悠月との結婚式はまた今度ね」
悠月「はぁ…
私は2番目の女なのね」
紗奈「え?女では悠月が一番だよ」
悠月「はいはい、ありがとね」
紗奈「なんか雑じゃない!」
悠月「ふふふ
……もう2年経つのね」
紗奈「うん
………早かった…ような気がする」
悠月「懐かしいわね
2人の結婚式とか始めは想像できなかったわよ」
紗奈「ホントに
大学で出会って、仲いい友達~って感じだったもん
講義終わりに"いつもの場所"でってたくさん遊んだなぁ」
悠月「そしたら、いつの間にか2人が付き合ってるのよ
私が入る隙間なくなるかと心配したわよ」
紗奈「そんなわけないじゃん
友情は不滅なのです!」
悠月「そういいながら「友達やめる」とか言われたような気がするわね
あれは傷ついたわ」
紗奈「そ、それは仕方ないって!
だって、私をのけ者にしてひそひそ何かやってるんだもん
2人で楽しそうに買い物してるとこ見ちゃったし……」
悠月「あれは和也に協力してくれって頼まれたから、
あなたの誕生日の準備してただけよ
全然信じてくれなかったけどね」
紗奈「だってぇ
いつも「誕生日なんてどこが特別なの?他の日と何も変わらないわ」とか言ってるからぁ
悠月が私の誕生日を祝ってくれたことなかったし
それはすぐに信じられなくても許してよ」
悠月「ふふふ
あれだけ大喧嘩したのに、結婚式に来てるなんて…
紗奈みたいな人を親友っていうのかしらね」
紗奈「今親友って言った!?
私のこと親友だって!
えへへ、親友かぁ」
悠月「だらしない顔してるわよ
これはさすがに和也も幻滅しちゃうわね」
紗奈「喜んでるだけですぅ
和也はこんな私も好きって言うから大丈夫なの」
悠月「はいはい、お熱いことで」
紗奈「冷たいなぁ
そうやって冷めてるから彼氏できないんだよ?」
悠月「最近、彼氏いないだけよ
大学のころ彼氏いたの知ってるでしょ?」
紗奈「知ってるけど、卒業してすぐ分かれたんじゃないの?
悠月は変な男とばかり付き合うからそうなるとは思ってたけどね」
悠月「それは…
仕事始めてから色々あったのよ」
紗奈「ふ~ん、今度詳しく聞かせてもらうから」
悠月「気が向いときにね
そろそろ時間よ」
紗奈「うん!行こっか
……茶番みたいだけど、私は本気だから
最後まで、側にいて」
悠月「大丈夫
ほら、今日の主役はあなたよ
そんな不安そうな似合わない顔してないでしっかりしなさい」
紗奈「うん!ありがと
………まじめな顔してたのに似合わないは酷いんじゃないかなぁ」
悠月「何か言った?」
紗奈「ううん、何でもな~い
ほら行くよ!」
紗奈「どう?似合う??」
悠月「ええ、似合ってるわよ
馬子にも衣装ってところかしら」
紗奈「それ褒めてる!?
どちらかというとばかにしてるよね?」
悠月「褒めてるわよ
これは和也も惚れ直すかもね」
紗奈「そう…だといいな
今日は、その……」
悠月「あなたの思い付きに巻き込まれるのには慣れてるわ
だから、気にしないでいいわよ」
紗奈「ありがと
あーあ、悠月と結婚したら幸せなんだろうなぁ」
悠月「今からでも私との結婚式にする?」
紗奈「今日は和也と結婚式あげる日
だから悠月との結婚式はまた今度ね」
悠月「はぁ…
私は2番目の女なのね」
紗奈「え?女では悠月が一番だよ」
悠月「はいはい、ありがとね」
紗奈「なんか雑じゃない!」
悠月「ふふふ
……もう2年経つのね」
紗奈「うん
………早かった…ような気がする」
悠月「懐かしいわね
2人の結婚式とか始めは想像できなかったわよ」
紗奈「ホントに
大学で出会って、仲いい友達~って感じだったもん
講義終わりに"いつもの場所"でってたくさん遊んだなぁ」
悠月「そしたら、いつの間にか2人が付き合ってるのよ
私が入る隙間なくなるかと心配したわよ」
紗奈「そんなわけないじゃん
友情は不滅なのです!」
悠月「そういいながら「友達やめる」とか言われたような気がするわね
あれは傷ついたわ」
紗奈「そ、それは仕方ないって!
だって、私をのけ者にしてひそひそ何かやってるんだもん
2人で楽しそうに買い物してるとこ見ちゃったし……」
悠月「あれは和也に協力してくれって頼まれたから、
あなたの誕生日の準備してただけよ
全然信じてくれなかったけどね」
紗奈「だってぇ
いつも「誕生日なんてどこが特別なの?他の日と何も変わらないわ」とか言ってるからぁ
悠月が私の誕生日を祝ってくれたことなかったし
それはすぐに信じられなくても許してよ」
悠月「ふふふ
あれだけ大喧嘩したのに、結婚式に来てるなんて…
紗奈みたいな人を親友っていうのかしらね」
紗奈「今親友って言った!?
私のこと親友だって!
えへへ、親友かぁ」
悠月「だらしない顔してるわよ
これはさすがに和也も幻滅しちゃうわね」
紗奈「喜んでるだけですぅ
和也はこんな私も好きって言うから大丈夫なの」
悠月「はいはい、お熱いことで」
紗奈「冷たいなぁ
そうやって冷めてるから彼氏できないんだよ?」
悠月「最近、彼氏いないだけよ
大学のころ彼氏いたの知ってるでしょ?」
紗奈「知ってるけど、卒業してすぐ分かれたんじゃないの?
悠月は変な男とばかり付き合うからそうなるとは思ってたけどね」
悠月「それは…
仕事始めてから色々あったのよ」
紗奈「ふ~ん、今度詳しく聞かせてもらうから」
悠月「気が向いときにね
そろそろ時間よ」
紗奈「うん!行こっか
……茶番みたいだけど、私は本気だから
最後まで、側にいて」
悠月「大丈夫
ほら、今日の主役はあなたよ
そんな不安そうな似合わない顔してないでしっかりしなさい」
紗奈「うん!ありがと
………まじめな顔してたのに似合わないは酷いんじゃないかなぁ」
悠月「何か言った?」
紗奈「ううん、何でもな~い
ほら行くよ!」
悠月「お疲れ様
終わった…わね」
紗奈「……うん」
悠月「どう?」
紗奈「どうって言われてもなぁ
ドレスも着れて楽しかったし、
最高の想い出になったよ
でも、吹っ切れたかは分かんないや
スッキリはしたけどね」
悠月「そう
そんなもんよね」
紗奈「そうそう
もうあれからから2年経つでしょ?
いつまでもくよくよしてられないし、
これを区切りにして前に進むよ」
悠月「そうしなさい
あの頃のあなた見てられなかったし、
今の方がいいわよ」
紗奈「そんなに酷かったかなぁ?
正直あんまり覚えてないんだよね」
悠月「酷かったわよ
何日も部屋にこもって出てこないし、
やっと姿見せたと思ったら私を見ると和也のこと思い出すみたいで拒絶されたわね
たまに近況報告がてら連絡しても全く返信ないし
まぁ、既読で生きてるの分かったからよしとするわ」
紗奈「その連絡助かったなぁ
なんかね……ずっと部屋にいたとき独りぼっちになったような、
世界から取り残されて、歯車の一員から外れてしまったような気がして
でも、それのお陰で孤独がまぎれたの
実は最近も読み直してたんだよ」
悠月「そんなの読み返さないでよ
何か恥ずかしいこと書いたかしら」
紗奈「ん~書いてなかったと思うよ
てか!途中から書くことなくなって日記代わりにしてたでしょ!!
たまに仕事の愚痴とかまぎれてたよ」
悠月「べ、別にいいでしょ
どうせ読んでないだろうって適当に書いてたの
そんなに書くことないのよ!」
紗奈「これからも送ってよ
あれ読むの面白いから」
悠月「嫌よ
前みたいに話せるようになったんだから直接聞きに来なさい」
紗奈「仕方ないなぁ、そうする
……あんなこと言ったのに側にいてくれて、見守っててくれてありがと」
悠月「私が勝手に彼との約束を守ってるだけよ
感謝しなくてもいいわ
それより、早く和也のところ行かないと暗くなるわよ」
紗奈「そろそろ行こっか
ねぇ、和也喜んでるかな?」
悠月「さあ、喜んでるんじゃない
彼、卒業したら結婚考えてたみたいだし」
紗奈「え!?
そうなの!
学生だったし結婚はまだ早いかなって、そういう話しなかったから知らなかったや」
悠月「ええ、ほら一緒にご飯行った時だったかしら
悠月が寝てるときにね
酔っぱらった調子でそんなこと言ってたわよ」
紗奈「へーそういう話もいつか聞かせてね」
悠月「はいはい
ていうか、まただらしない顔してるわよ」
紗奈「今日は1日花嫁だからいいの!
なんたって嘘ついてもいい日なんだもん」
悠月「エイプリルプールだものね
でも、よくこんなの思い付いたわね」
紗奈「突然だったから
区切りっていうのかな
私が立ち直ったよって、前に進み始める日ってことで盛大にやりたくて
和也との最後の想い出になるし」
悠月「最高の想い出になった?」
紗奈「もちろん!
親友とも仲直りできたし、最高だったよ」
悠月「親友?誰のことかしら
紗奈って私以外に友達いたの?」
紗奈「悠月のことだってば
さっき親友って言ってくれたじゃん!」
悠月「そんなこと言ったかしら」
紗奈「もう照れちゃって
絶対覚えてるくせに!」
悠月「ほら、ふざけてないで早く行くわよ」
紗奈「あー誤魔化した
素直じゃないんだから
そんなんじゃ私みたいに結婚できないぞ
あーあ、早く悠月のドレス姿見たいなぁ」
悠月「ちょっと!今日のは無しでしょ
花婿がいない結婚式だったでしょうが」
紗奈「でもドレス着たもんね」
悠月「着るだけなら私だっていつでもできるわよ」
紗奈「式もあげたよ
彼氏のいない悠月にはこれはできないかなぁ」
悠月「できるわよ
すぐにいい男見つけて結婚式に呼んでやるんだから」
紗奈「本当かなぁ
次の私の結婚式の方が早かったりして」
悠月「(笑い声)」
紗奈「(笑い声)」
紗奈「あー笑った
こんなに笑ったの久しぶり
一生忘れない1日になりそう」
悠月「……ねぇ、最後にこれだけ聞かせて
『あの時、あそこにいたのが彼で良かった』?
車道に飛び出したボールを子供が追いかけなかったら、
あなたが彼の腕を掴んで止めていたら、
それだけのことで結果は変わってたかも知らないわよ」
紗奈「良くはなかった…かな?
他の人でも助けられたならそれでいいし、
助けるのが和也である理由なんてなかったよ
でもね、和也は…彼はそういうとき反射的に助けちゃう、動いちゃう
止めたりしたら助けられなかった時にずっと抱え込んで悔やむから
私を恨んだりしないで、ずっと自分を責めると思う
もろくて優しい人なの
そんな人だから好きになった
そんな人だから忘れられない
だからね『あの時、あそこにいたのが彼でなければ良かった』って思ってるよ
でも『あの時、あそこで彼が動いて良かった』
私が大好きになった人はそういう人だもん
それにあの子も助かったしね」
悠月「ふふ、変わったわね
失う悲しみを経験し、這い上がった人は美しいだったかしら
まさにその通りね」
紗奈「今は這い上がってる途中だから、
これからもっと美しくなるよ
刮目して見よってね」
悠月「はいはい、しっかり見させてもらうわね」
紗奈「さぁ、早く和也のとこに行こ!」
終わった…わね」
紗奈「……うん」
悠月「どう?」
紗奈「どうって言われてもなぁ
ドレスも着れて楽しかったし、
最高の想い出になったよ
でも、吹っ切れたかは分かんないや
スッキリはしたけどね」
悠月「そう
そんなもんよね」
紗奈「そうそう
もうあれからから2年経つでしょ?
いつまでもくよくよしてられないし、
これを区切りにして前に進むよ」
悠月「そうしなさい
あの頃のあなた見てられなかったし、
今の方がいいわよ」
紗奈「そんなに酷かったかなぁ?
正直あんまり覚えてないんだよね」
悠月「酷かったわよ
何日も部屋にこもって出てこないし、
やっと姿見せたと思ったら私を見ると和也のこと思い出すみたいで拒絶されたわね
たまに近況報告がてら連絡しても全く返信ないし
まぁ、既読で生きてるの分かったからよしとするわ」
紗奈「その連絡助かったなぁ
なんかね……ずっと部屋にいたとき独りぼっちになったような、
世界から取り残されて、歯車の一員から外れてしまったような気がして
でも、それのお陰で孤独がまぎれたの
実は最近も読み直してたんだよ」
悠月「そんなの読み返さないでよ
何か恥ずかしいこと書いたかしら」
紗奈「ん~書いてなかったと思うよ
てか!途中から書くことなくなって日記代わりにしてたでしょ!!
たまに仕事の愚痴とかまぎれてたよ」
悠月「べ、別にいいでしょ
どうせ読んでないだろうって適当に書いてたの
そんなに書くことないのよ!」
紗奈「これからも送ってよ
あれ読むの面白いから」
悠月「嫌よ
前みたいに話せるようになったんだから直接聞きに来なさい」
紗奈「仕方ないなぁ、そうする
……あんなこと言ったのに側にいてくれて、見守っててくれてありがと」
悠月「私が勝手に彼との約束を守ってるだけよ
感謝しなくてもいいわ
それより、早く和也のところ行かないと暗くなるわよ」
紗奈「そろそろ行こっか
ねぇ、和也喜んでるかな?」
悠月「さあ、喜んでるんじゃない
彼、卒業したら結婚考えてたみたいだし」
紗奈「え!?
そうなの!
学生だったし結婚はまだ早いかなって、そういう話しなかったから知らなかったや」
悠月「ええ、ほら一緒にご飯行った時だったかしら
悠月が寝てるときにね
酔っぱらった調子でそんなこと言ってたわよ」
紗奈「へーそういう話もいつか聞かせてね」
悠月「はいはい
ていうか、まただらしない顔してるわよ」
紗奈「今日は1日花嫁だからいいの!
なんたって嘘ついてもいい日なんだもん」
悠月「エイプリルプールだものね
でも、よくこんなの思い付いたわね」
紗奈「突然だったから
区切りっていうのかな
私が立ち直ったよって、前に進み始める日ってことで盛大にやりたくて
和也との最後の想い出になるし」
悠月「最高の想い出になった?」
紗奈「もちろん!
親友とも仲直りできたし、最高だったよ」
悠月「親友?誰のことかしら
紗奈って私以外に友達いたの?」
紗奈「悠月のことだってば
さっき親友って言ってくれたじゃん!」
悠月「そんなこと言ったかしら」
紗奈「もう照れちゃって
絶対覚えてるくせに!」
悠月「ほら、ふざけてないで早く行くわよ」
紗奈「あー誤魔化した
素直じゃないんだから
そんなんじゃ私みたいに結婚できないぞ
あーあ、早く悠月のドレス姿見たいなぁ」
悠月「ちょっと!今日のは無しでしょ
花婿がいない結婚式だったでしょうが」
紗奈「でもドレス着たもんね」
悠月「着るだけなら私だっていつでもできるわよ」
紗奈「式もあげたよ
彼氏のいない悠月にはこれはできないかなぁ」
悠月「できるわよ
すぐにいい男見つけて結婚式に呼んでやるんだから」
紗奈「本当かなぁ
次の私の結婚式の方が早かったりして」
悠月「(笑い声)」
紗奈「(笑い声)」
紗奈「あー笑った
こんなに笑ったの久しぶり
一生忘れない1日になりそう」
悠月「……ねぇ、最後にこれだけ聞かせて
『あの時、あそこにいたのが彼で良かった』?
車道に飛び出したボールを子供が追いかけなかったら、
あなたが彼の腕を掴んで止めていたら、
それだけのことで結果は変わってたかも知らないわよ」
紗奈「良くはなかった…かな?
他の人でも助けられたならそれでいいし、
助けるのが和也である理由なんてなかったよ
でもね、和也は…彼はそういうとき反射的に助けちゃう、動いちゃう
止めたりしたら助けられなかった時にずっと抱え込んで悔やむから
私を恨んだりしないで、ずっと自分を責めると思う
もろくて優しい人なの
そんな人だから好きになった
そんな人だから忘れられない
だからね『あの時、あそこにいたのが彼でなければ良かった』って思ってるよ
でも『あの時、あそこで彼が動いて良かった』
私が大好きになった人はそういう人だもん
それにあの子も助かったしね」
悠月「ふふ、変わったわね
失う悲しみを経験し、這い上がった人は美しいだったかしら
まさにその通りね」
紗奈「今は這い上がってる途中だから、
これからもっと美しくなるよ
刮目して見よってね」
悠月「はいはい、しっかり見させてもらうわね」
紗奈「さぁ、早く和也のとこに行こ!」
*