AIST(産総研)式認知的加齢特性検査

認知症検査に用いられる従来の検査および認知心理学の実験的研究の結果をもとに認知症ではない正常レベルの高齢者における認知機能を評価し、被験者をスクリーニングするために作成された。

検査方法

プランニング機能(日常行動系列問題,課題切り替え問題)、注意機能(視覚探索問題)、作業記憶機能(鏡文字問題)の各機能を測るための問題からなる。

この検査は,紙と鉛筆を用い集団で実施できること,被験者の知能や全般的な記憶力の低下が影響しないこと、短時間(30分以内)で実施できること、健常な高齢者の軽度な機能低下の検出が可能なことを、満たすべき要求事項として作成されている。

ここでの言葉の定義

1.プランニング機能
現時点での行動目標を達成するのに必要な下位目標を適切に設定し、行動の進行に合わせて下位目標を更新し、その目標が達成されたら次の新しい下位目標を設定する,というサイクルを、逐次的に実行していく機能。

2.注意機能
ノイズ情報の中からその時点での行動の目標に合った情報を選択する機能。

3.作業記憶機
ある一連の作業が行われる間だけ情報を保持しておく機能。ある情報を、作業の目的に合わせて記憶の中だけで加工する機能も含まれる。
日常生活では、作業記憶は行動目標の保持などに関与しているため、作業記憶の機能低下は,行動目標の健忘(ゴール健忘)などを引き起こす。


参考・引用文献
「高齢者を対象とした駅の案内表示のユーザビリティ調査:認知機能低下と駅内移動行動の関係の分析」北島宗雄,熊田孝恒,小木元,赤松幹之,田平博嗣,山崎博(2008
最終更新:2008年10月10日 10:28