ユーザビリティと営業
はじめに:
人間工学や
ユーザビリティといった言葉が、ちょこちょこと商品名に表れるようになって、5年くらいたつでしょうか?(現在は2009年、たしかボクが大学2年の頃に、ERGoNoMixというシャーペンがペンテルから出ていた。)
21世紀に入ったくらいから、企業規模によらず意識されはじめたユーザビリティですが、実のところ、プロジェクトとして会社の中で動いていることがまだまだ少ないのではないでしょうか?
それは大きな企業、小さな企業、関係なく当てはまることだと思います。
特に、コンシューマー向けでないサービスを提供している企業。その理由は、BtoBで扱われる専門性の高い製品は、使いにくいものを使えていることが、ユーザである専門家の1つのスキルであり、自尊心に繋がっているからです。使い勝手の悪いモノを使いこなせる優越感を持っているユーザなので、製品の使いづらさに対して、それを悪いことと判断しないのです。ユーザビリティを会社に取り入れたいと考えてる複数の知人の話から、そういった話はちょくちょくでます。
しかし、専門性の高い製品だろうとユーザビリティを高める必要はあるのです。例えば、新人教育の速度を落としたり、専門スタッフがいないと製品が動かせないといった非効率を引き起こす原因となるからです。
さて、話をタイトルに戻します。今回は「ユーザビリティと営業」についてです。最初に触れたように、ユーザビリティという言葉の認知度が高まり、企業も意識するようにはなってきました。しかし、実際には動けていない。なぜでしょうか?
問題は企業においてお金を管理するキーパーソンが、ユーザビリティを高めることで起こる金銭的なメリットを感じられないからだと思います。さらに、ユーザビリティ調査を専門とする企業側からにしても、顧客企業のキーパーソンにどういった営業をすれば良いのかあまり解っていないからだと思います。
だから、動けないのです。
マーケティング・チームや製品の開発チーム、デザイナーは、ユーザのことを考えたモノ作りが大切だとすでに気がついており、多くの人たちがユーザビリティへの大切さを理解しています。
しかし、マネージメントする人たちにとってはどうでしょう。
ユーザビリティはどのくらいの利益に繋がるのか?余計な手間と時間、コストをかけた効果がきちんと表れるのか?
そういった判断ができないので、頭ではユーザビリティが良いことだと解ってはいても、利益に繋がるか解らないので、本格的な取り組みには踏み出せないのではないでしょうか。
ここで”営業”ですが、この観点からユーザビリティを考えた時、クライアントにどうアプローチしたらいいでしょうか?これはすごく難しい問題です。
ボクがユーザビリティ関係の書籍を読んでいて、製品開発チームやデザイナに対して、その必要性とメリットを伝えている本はたくさんありますが、企業のマネージャーに対してかかれた書籍はまだ見ていません。(ボクの勉強不足もあるので・・・、マネジメント系の書籍にはキーパーソンが納得のいく説明が書いてあったりするのかもしれません。)
たまに、製品をユーザビリティ的な改善をして売り上げがアップした商品の話などが雑誌であったりしますが、本当にユーザビリティの改善だったのかは少し疑問に思ったりしています。
つまるところ、利益的な観点でユーザビリティを語ってくれるモノがまだ少ない、もしくは無いのだと思います。
ユーザビリティに先進的に取り組んできた企業の中には、利益換算するような指標や仕組みがあると思いますが、それすら無理やりだしているのではないかと思っています。
でなければ、頭のいい人がこれだけいる世の中で、この問題を解決するうまい話が出てこないのはおかしいからです。
では、どうやったら利益的なメリットを打ち出せるでしょうか?
もしくは、利益以外でキーパーソンを納得させられるコトとはなんでしょうか?
しばらく、この問題について考えてみたいと思います。
続く。
最終更新:2009年04月15日 07:03