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羽根あり道化師
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羽根あり道化師

氷の国

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ayu

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第二章・氷の国

          1

びゅうと、木枯らしが吹いた。
ちらりと何か、白い物が頬を冷たく掠めていったような気がしたが、それはすぐに見えなくなった。
ラディウスはわずかに濡れた頬を手の甲で撫で、前を見た。カツンコツンと小粋なブーツが石畳を鳴らす。

『今お前が目を覚ましたと同時に、ディストレスのココロは砕け、飛び散った』

ラディウスは魔女の言葉を反芻し、くっと視線を上げた。
空は、これでもかと苛々するほど青かった。
「…ディストレス」
白い息を吐き、ラディウスは呟く。
「もう少しだから、待っていて」
どうかわずかでも、この祈りが届きますように。
この思いが伝わりますように。

          ・

ほんの一時だったんだけどね、僕に旅の仲間が出来たんだ。
ほら、あの時の“レッド・キャット”。僕のブローチを盗って行った、あの赤ずきんだよ。ナラティヴを出る時に走ってきて、いきなり腕をつかまれてね、一緒に連れて行って欲しいって言ってきたんだ。ずっと一人で旅をしていたから、なんだか楽しかったな。隣に話し相手のいる旅って初めてだったから。ああいうのもたまには良いものだね。別れの時は、少し寂しかったけれど。
それで、その赤ずきんなんだけど、なんか急に家に帰りたくなったんだって。家出同然で家を出て、もう絶対に帰るもんかと思っていたらしいんだけど、僕のこの髪を見て弟さんに逢いたくなったらしいよ。なんでも、彼女の弟さんが僕のと同じような明るい金色の髪だったらしくて、懐かしくなったんだって。
あ、そうそう。あの鳥のブローチも返してもらったんだ。銀色の、青い瞳の奴だよ。せっかくだからもう泥棒稼業から足を洗うんだって言ってさ。でもまあ、そのままあげちゃったんだけどね。





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