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羽根あり道化師
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羽根あり道化師

星の国②

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ayu

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「ラディウスみぃつけた!」
茂みの中に隠れていたラディウスを見つけ、ディストレスは声を上げた。
「…」
「ラディウス?」
ぶすっとした表情で茂みの中から這い出してきたラディウスの顔を、ディストレスはひょいっと覗きこんだ。
鮮やかな緑色の瞳に、ラディウスの姿が映り込む。
小枝か何かに引っ掛けてしまったのだろうか、ラディウスの白い頬には、幾つかの小さな引っ掻き傷が出来ていた。
「どうかしたの、ラディウス。怪我をしたせい…とかじゃないよね?」
それはいつものことだから、と続けようとしたディストレスを睨みつけると、ラディウスはつんと唇を尖らせた。
「だから“ラディ”って呼んでっていーっつも言ってるでしょ!?“ラディウス”なんてまるで男の子の名前じゃない!」
そう叫ぶラディウスに、ディストレスはくすりと笑う。そしてラディウスの頭にくっついているたくさんの葉っぱを一つ一つ丁寧に取り払った。
「“ラディウス”って可愛い名前だと思うけどなあ。良いんじゃない?そんなに気にするようなことじゃないよ」
「あたしが嫌がること分かってるくせに“ラディウス”って呼ぶんだから」
もう知らない、とラディウスは唇を尖らせるだけじゃ飽き足らず、ぷくんと頬を膨らませた。白い頬に、わずかに朱がさす。可愛いなあと、ディストレスは口には出さずに心中で呟いた。
「僕は結構気に入っているんだけどな、“ラディウス”って名前。良く似合っていると思うよ」
「何よ。男勝りだって言いたいの?」
「さて、どうだろう?」
少しだけ意地悪く言って、ラディウスの金色の頭をわしわしと撫でまわした。本当は愛しくて仕方がないのだ。“ラディウス”という男の子のような名前まで含めて、ラディウスの全てが愛しい。この一時が、嬉しくて堪らない。
ラディウスはまだ不服そうに唇を尖らせ、頬を膨らませている。
「意地悪。もう良いよ。――ね、ディストレス」
「ん?」
「こっち来て、ここ座って」
「ん」
訳も分からないまま言われた通りに座ると、ラディウスは二カッと歯を見せて笑い、ディストレスの横にすとんと腰をおろした。そしてそのままディストレスの肩に頭を乗せ、寄りかかる。懐っこくて、まるで犬のようだとディストレスは思った。ふりふりと左右に振れる尻尾がないのが不思議なくらいだ。
ラディウスの長い金髪が流れ、ディストレスの肩にさらりと掛かった。その感触に、ディストレスはうっとりと笑む。
「ラディウス、重いよ」
「知ってらあ」
クスクスと笑い合いながら、そのまま夕方まで一緒に過ごした。ぐしゃぐしゃにもつれてしまったラディウスの髪を見て、ディストレスはそれを手櫛で梳いた。
まるで割れ物を扱うかのように、優しく撫でるように髪を梳く。
「綺麗な金髪だね。癖が無いから、すぐサラサラになる」
ラディウスの髪に触れるたび、ディストレスは優しく目を細める。
本当に、いとおしそうに。





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