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すっきりと晴れ渡る青空。
馬の上で、セレネちゃんはにこりと笑う。
「二日間、お世話になりました」
ルナの体に腕を回した格好のまま、ぺこりと頭を下げる。
「イイよ。その間、家事とかほとんどやってもらっちゃったしネ。返って有り難かった。それじゃあ、気をつけて」
ルナも無言で頭を下げ、そして手綱を取った。ゆるやかな歩みを始め、その姿はやがて見えなくなる。
馬の上で、セレネちゃんはにこりと笑う。
「二日間、お世話になりました」
ルナの体に腕を回した格好のまま、ぺこりと頭を下げる。
「イイよ。その間、家事とかほとんどやってもらっちゃったしネ。返って有り難かった。それじゃあ、気をつけて」
ルナも無言で頭を下げ、そして手綱を取った。ゆるやかな歩みを始め、その姿はやがて見えなくなる。
「…バァーカ。」
二人の姿が見えなくなって、俺は笑った。
クスクスクス。
「ねェ、これでイイの?アーリマン」
サク、と雪を踏む音。
それと同時に、黒髪に黒い軍服の好青年然とした長身の男が家の影から姿を現す。
「あぁ、上出来だ」
クスクスクス。
笑いが止まらない。その中で、俺は呟く。
「…貪欲な鸚鵡、不滅の孔雀。そして…」
クスリと笑い、アーリマンはその後を続ける。
クスクスクス。
「ねェ、これでイイの?アーリマン」
サク、と雪を踏む音。
それと同時に、黒髪に黒い軍服の好青年然とした長身の男が家の影から姿を現す。
「あぁ、上出来だ」
クスクスクス。
笑いが止まらない。その中で、俺は呟く。
「…貪欲な鸚鵡、不滅の孔雀。そして…」
クスリと笑い、アーリマンはその後を続ける。
「自由気ままな渡り鳥」
それに、俺は頷く。
「渡り鳥ってのはイイよねェ。
彼等の中には国境なんて厄介なモノは無いんだ。自由に、行きたいところに行けるんだから」
「君の中にだってないだろう?ワンダーフォーゲル。君もいつだって、どこの国にも行くことが出来るんだから」
「まあ、仕事の内容にもよるけどネ。…それにしても、今回はなかなか楽しい仕事だったネ」
「それは良かった」
「敵対する者同士から同時に仕事が来るなんてあんまりないよ」
「本当に」
匿って欲しいと言って来るヤツがいた。
そいつ等を捜して欲しいと言って来るヤツがいた。
両方を取ったら、追う方が有利になった。
ただそれだけの話。
「ホントは俺、ルナのコトキライだったんだよね」
「だろうな」
俺はまた、クスリと笑う。
「本当に、“渡り鳥”ってのはイイよねェ」
「全くだ」
「仕事という大義名分のもとにキライな人間を堕としてやれるんだ。こんなにお得な仕事、なかなかないよ」
アギナルドもまた、クスリと笑う。
「…俺の勘は良く当たるんだ」
「知ってるよ」
「お前のそういう性格も、実は大分前から気付いていた」
「だろうネ」
「本当にあいつのこと嫌いだよな」
「俺は夜と金持ちと顔のイイ男はキライなんだ。アーリマンも含めてネ」
「それはどうも」
晴れ渡る青空。
日の光が新雪に反射して、きらきらと光る。
光の中には影がある。
光の外には影ばかり。
貪欲な鸚鵡は饒舌で、不滅の孔雀は栄華を極める。
「ねェアーリマン、俺にぴったりだと思わない?」
「あぁ、ぴったりだ」
俺達はクスクスと笑う。
「渡り鳥ってのはイイよねェ。
彼等の中には国境なんて厄介なモノは無いんだ。自由に、行きたいところに行けるんだから」
「君の中にだってないだろう?ワンダーフォーゲル。君もいつだって、どこの国にも行くことが出来るんだから」
「まあ、仕事の内容にもよるけどネ。…それにしても、今回はなかなか楽しい仕事だったネ」
「それは良かった」
「敵対する者同士から同時に仕事が来るなんてあんまりないよ」
「本当に」
匿って欲しいと言って来るヤツがいた。
そいつ等を捜して欲しいと言って来るヤツがいた。
両方を取ったら、追う方が有利になった。
ただそれだけの話。
「ホントは俺、ルナのコトキライだったんだよね」
「だろうな」
俺はまた、クスリと笑う。
「本当に、“渡り鳥”ってのはイイよねェ」
「全くだ」
「仕事という大義名分のもとにキライな人間を堕としてやれるんだ。こんなにお得な仕事、なかなかないよ」
アギナルドもまた、クスリと笑う。
「…俺の勘は良く当たるんだ」
「知ってるよ」
「お前のそういう性格も、実は大分前から気付いていた」
「だろうネ」
「本当にあいつのこと嫌いだよな」
「俺は夜と金持ちと顔のイイ男はキライなんだ。アーリマンも含めてネ」
「それはどうも」
晴れ渡る青空。
日の光が新雪に反射して、きらきらと光る。
光の中には影がある。
光の外には影ばかり。
貪欲な鸚鵡は饒舌で、不滅の孔雀は栄華を極める。
「ねェアーリマン、俺にぴったりだと思わない?」
「あぁ、ぴったりだ」
俺達はクスクスと笑う。
「……渡り鳥には『舶来の鳥』って意味もあるんだよ。…ねェ、ファド、マリア王女」
第五章真実を言及へ