いつだって彼の的確な判断力をもってすれば、全ての出来事は的中するのである。
いや、そのはずだった。
4章 紋章の魔術
エリザベスとエリウッドがルナシェイドに訪れて、4日が経った。
自国にいたころは勉学を嫌がっていた双子であったが、リオンの教える歴史や文学、帝王学などは二人を惹きつけてやまない。クリストファーはその様子に心から敬意を示していた。
また、剣術の時間になれば講師が交代する。
剣を持つことすらままならないリオンに双子が軽い剣を選んでやったり、力のいれかたから、ようやく一太刀を振りかぶるところまできている。そして、くたくたになりながらもリオンが心底うれしそうに笑うのだ。
自国にいたころは勉学を嫌がっていた双子であったが、リオンの教える歴史や文学、帝王学などは二人を惹きつけてやまない。クリストファーはその様子に心から敬意を示していた。
また、剣術の時間になれば講師が交代する。
剣を持つことすらままならないリオンに双子が軽い剣を選んでやったり、力のいれかたから、ようやく一太刀を振りかぶるところまできている。そして、くたくたになりながらもリオンが心底うれしそうに笑うのだ。
「リーオーンーっ!町に遊びにいこーよ!」
「今ならークリスがいないっ!」
「あはは…、じゃあ少しだけ。僕も行きたい」
「今ならークリスがいないっ!」
「あはは…、じゃあ少しだけ。僕も行きたい」
その日の午後は、クリストファーは公務で双子の見張りをすることはかなわなかった。その情報は双子に決して流してはいけないとの指示を彼はしていたのだが、そんなことが二人に通用するはずがなかったのである。
当然のように平民の服装に着替えると、3人は軽々と城壁を乗り越えて町へ向かって走って行った。
当然のように平民の服装に着替えると、3人は軽々と城壁を乗り越えて町へ向かって走って行った。
「今日はどこに遊びに行く?」
「町には楽しいものがたくさんあるけど、もう大体見終わっちゃったよなー」
「あ…それじゃあ、森に案内しようか?」
「町には楽しいものがたくさんあるけど、もう大体見終わっちゃったよなー」
「あ…それじゃあ、森に案内しようか?」
リオンが控えめに二人に提案をする。彼の話によると、真っ青な色の湧水の泉がある森があるとのことだ。
3人は足取り軽やかに森へと入っていく。
3人は足取り軽やかに森へと入っていく。
時を同じくして、ルナシェイドの魔法管理局にクリストファーはいた。自国の姫と王子を見張ることよりも今は大切なことが彼にはあったのである。
管理局勤務の魔術師たちが真剣な面持ちで書類を片手にせわしなく歩き回っている。最高責任者の者が額に汗を浮かべながら彼に現在起こっていることを伝えるべく走り寄ってきた。
管理局勤務の魔術師たちが真剣な面持ちで書類を片手にせわしなく歩き回っている。最高責任者の者が額に汗を浮かべながら彼に現在起こっていることを伝えるべく走り寄ってきた。
「クリス様、この書類を・・・」
「・・・やはり、魔力の増幅が観測されていますね・・・」
「このままでは・・・」
「・・・ええ、魔力が集積した場所で大規模な爆発・・・ともなり空間のゆがみの発生、時空間が歪めば、時の流れも・・・」
「現在、集積箇所の確認を急いでいます。ルナシェイド城近郊というのはわかっているのですが・・・」
「未然に防ぐ手立ては」
「現在は・・・残念ながら。少なからず余波はあるでしょう」
「・・・やはり、魔力の増幅が観測されていますね・・・」
「このままでは・・・」
「・・・ええ、魔力が集積した場所で大規模な爆発・・・ともなり空間のゆがみの発生、時空間が歪めば、時の流れも・・・」
「現在、集積箇所の確認を急いでいます。ルナシェイド城近郊というのはわかっているのですが・・・」
「未然に防ぐ手立ては」
「現在は・・・残念ながら。少なからず余波はあるでしょう」