MMR-マガヅンミステリールポルタージュ-

第壱拾弐話

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第壱拾弐話 今にも落ちてきそうな空の下で


グチャリ!ヌルーン!グチャグチャ ドチャ!グチャン!

「?・・・・・・」

ドシャッ!グチャン!グチャン ドシャッ!パリーン グチャン!グチャッ ドシャドシャ


店で羊羹を食べていたらそんな音が聞こえてきました。なんだかうるさいし、生理的にいやな音でして、料理を食べられないんですよね。
そうこうしている間にも音は止まりません。どうやらテーブルの下から聞こえてきているようです。

グチャ グチャ グチャン グチャ!

覗いてみるとそこで目をマスクで覆ったおまわりさんが何かをしていました。何をしているか少し気になったので聞いてみることにします。

「ああ・・・・・・・・そんなところで・・・・・」
おまわりさんはスッとこちらを向いてきます。

「何をしてるんですか?おまわりさん。」

「食事中すまないネー・・・・・今・・・・・・捜査中でネー・・・『指紋』を探していマース。昨夜向かい側の歩道で強盗があってネー。被害者は豆腐で殴られたんデース。割れて飛び散ってネー・・・・・でも歩道には破片が全部そろっていないンデース。」

そういいながら再び作業に戻っていきます。

「とくにこう握る部分がネー・・・犯人がここに何か捨てたっていうんで、この豆腐捨て場にあると思ってネー・・・・・『指紋』が取れるはずなんだデスヨー・・・その部分を捜しているんデース。」

なんと気の遠くなる話でしょうか。それに豆腐に指紋なんて残るのでしょうか。

「・・・・・・・・・・そんな中から探す気ですか?」
「・・・・・・・・仕事だからネー。」

グシャ グシャン

「ああ・・・・・その・・・・なんでしょうか・・・・・・」
「What?」
「いや・・・・その、参考までに聞きたいんですが・・・ちょっとした個人的な好奇心なんですが・・・・もし見つからなかったらどうするんですか?『指紋』なんてとれないかも・・・・・いや・・・それよりも見つけたとして、犯人がずる賢い逆転してくる弁護士とかつけて無罪になったとしたら・・・・・あなたはどう思って・・・・そんな苦労をしょいこんでるんですか?」

それより豆腐で人が殺せるんですか?まあそれはややこしそうなので置いときましょう。

「そうデスネー・・・わたしは『結果』だけを求めてはイマセーン。『結果』だけを求めていると、人は近道をしたがるものデース・・・・・・近道したとき真実を見失うかもしれナーイ。やる気もしだいに失せてイキマース。」

おまわりさんは目に決意を宿らせて言う。マスクしているだろっていうツッコミは無しで。

「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っていマース。向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くデスヨネ?向かっているわけだからネー・・・・・。違うカイ?」

「・・・・・・・うらやましいですよね・・・・・・以前私は誰かが好きだったんです・・・・会ったときから・・・・ずっと・・・その人のそばに・・・・いたかったんだ・・・・かつてあなたのような『意志』をいだいていたことがありました・・・でもだめにしてしまいました・・・・わたしって人間はくだらない女です。なんだって途中で終わっちゃう。いつだって途中でだめになるんですよね・・・・」

そこでわたしは思い出した。マライヤさんへの敵意の果てに鬼になった陳腐(笑)な姿を。そして私はもう戻れないのかと思った。

「そんなことはないヨ・・・・・豆腐」
「えっ?・・・・・・・・・」
「Youはりっぱにやってるじゃないデスカ・・・・・・。『意志』は同じデース・・・・・・Youが豆腐になったばかりのときにいだいていたその『意志』は・・・・今・・・・・Youのその心の中に再び戻っているのデース・・・・豆腐」

「!!な、何で私の名前を・・・じゃない、あだ名を知っているのですか?・・・・そういや・・・あなた・・・前にどこかで会った事が・・・・・ある。」

そこで私はMMRのみんなのところに帰らなければならないと思いだして、その場所に行くためのバスを探しました。

「どこに行くんデスカ、豆腐?」
「あのバスに乗るんです・・・・みんなのところに戻らなくては・・・・」

そして私は唐突に目の前にいるこの人のことを思い出しました。

「あ・・・・あなたは・・・・!!そうだ!!あなたは!!」

そう、この人は・・・・

「あなたは私が子供のとき私を助けたせいで死んでしまった・・・・・・・!!」
「豆腐・・・りっぱにナリマシタネー・・・・そう・・・ワタシが誇りに思うくらいりっぱにネー・・・・・・・・・」

そこでわたしは目を覚ましました。ここは保健室でしょうか。薬品のにおいがぷんぷんします。

「やっと目を覚ましたわね。」

「あ、あなたは!!いままで体育の時間が書かれていなくて登場すらしてなかったから保健体育の先生になった八雲紫せんせーじゃないですか!!」
「説明セリフありがとう。で、あなたは何でここにいるか分かってる?」

といわれてもちんぷんかんぷんだ。

「全然記憶に無いです。なにが起こったんですか?」

紫せんせーはハアッとため息をつく。

「あなたがなんか狂暴になっちゃったからクラスのみんながボコボコにして気絶させたの。
放課後までずっと寝ていたのよ?」

外を見ると確かに夕方だ。こんなに寝ていたとは・・・・たぶん私はDIO様かパピヨンさんクラスの実力者に本気でボコボコにされたってことになりますよね。でも全然記憶に無いんですけどね。

「なんとなく把握したので帰ります。さようなら~」
「さようなら、豆腐。モララエル先生にあまり迷惑かけないようにしてね。」


この人はなぜかモララエル先生に対して弟をかわいがるように甘い。でもそのときの私にはそれがあんなことになるとは思いませんでした。


なんとも疲れた日だったなぁ。でもあれは・・・・・夢・・だったのかなぁ・・・。そしてあの人は・・・・・。でも夢だとしても大切なことが分かったような気がします。


私は・・・・・


「豆腐・・Youはリッパにやったのデース・・・・そしてYouは真実を見つけたのデース・・・後は『向かおうとする意志』だけデース・・・・大切なのは・・・そこなのデース・・・・」


 萌 え ニ ラ 先 輩 が 好 き な ん だ


「そうですよね・・・・サイクロプスさん」
                         第壱拾弐話 ~Fin~

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