異端☆天使
「さぁて、みんな。アニメごっこでもするか」
「また、異常者がおかしな事を言い出したよ!!」
ハンター組織――本部に存在する施設の一つ会議室。
「また、異常者がおかしな事を言い出したよ!!」
ハンター組織――本部に存在する施設の一つ会議室。
珍しい事で、いつも閑散とした部屋に、数人のレプリロイドと一人の人間が居た。
「いい加減にしてくれ、イーグリード。お願いだから」
広い額を押さえる老体――Dr.ケイン。
別の手には、白い錠剤が詰まった瓶が握られている。
広い額を押さえる老体――Dr.ケイン。
別の手には、白い錠剤が詰まった瓶が握られている。
「会議中に妙な発言はやめてくれ。非番時に暴れるのはやめてくれ」
「――断る」
老人の必死の懇願を一蹴するのは、鷲型のレプリロイド――イーグリードだ。
長い髪を一房垂らした女が、腕を組み、ケインの発言に鼻を鳴らす。
「――断る」
老人の必死の懇願を一蹴するのは、鷲型のレプリロイド――イーグリードだ。
長い髪を一房垂らした女が、腕を組み、ケインの発言に鼻を鳴らす。
会議室の空気が凍る。
だが、健気な事に今日のケインは諦めなかった。
だが、健気な事に今日のケインは諦めなかった。
「幼いレプリロイドに手を出すのは、やめてくれ。ハンターの評価を下げるのは、やめてくれ」
「――断る」
イーグリードの取り付く島もない態度に、他のレプリロイドの顔がひきつる。
「――断る」
イーグリードの取り付く島もない態度に、他のレプリロイドの顔がひきつる。
そうか、とケインは呟き、隣に座る少女から注連縄を奪う。
丁寧に編まれた茶褐色の縄を、天井の照明の梁に引っ掛けた。
丁寧に編まれた茶褐色の縄を、天井の照明の梁に引っ掛けた。
「ケイン博士、死なないでー!!」
縄を取られた少女――マックが、円形の机に立とうとする上司を引き止める。
後ろからの抱擁を、ケインは奇声をあげながら振りほどこうとした。
縄を取られた少女――マックが、円形の机に立とうとする上司を引き止める。
後ろからの抱擁を、ケインは奇声をあげながら振りほどこうとした。
「さっ、老人は放っておいて……アニメごっこだ」
暴れる二人から視線を剥がし、イーグリードが拳を掲げながら熱弁する。
暴れる二人から視線を剥がし、イーグリードが拳を掲げながら熱弁する。
「キャラクターに感情移入し、なおかつその役に成りきる……これほどの精神鍛錬はあるまい!!」
「どこが……だよ……」
鳥型の狂気に、小柄な少女が常に物憂げな顔を歪ませる。
「どこが……だよ……」
鳥型の狂気に、小柄な少女が常に物憂げな顔を歪ませる。
「ハンターにとって、アニメごっこは謂わば必要不可欠な訓練なのだよ、みんな!!」
「……おい、どっから話が飛んだ」
机に肘をつく、桃色の髪を生やした女が頬を引き攣らせた。
だが、イーグリードに異見するつもりはない。付き合った経験が、彼女を傍観させる。
「……おい、どっから話が飛んだ」
机に肘をつく、桃色の髪を生やした女が頬を引き攣らせた。
だが、イーグリードに異見するつもりはない。付き合った経験が、彼女を傍観させる。
「アニメとか観ないのですよー。――下らない」
組んだ両足をデスクに載せる、ベレー帽をかぶった態度の悪い少女が鼻を鳴らす。
組んだ両足をデスクに載せる、ベレー帽をかぶった態度の悪い少女が鼻を鳴らす。
「ふるめたるぱにっく……? ってDVDを!! 家で!! 見つけました!!」
「あれは別なのですよ。って、何で知ってんだよ、バカメレオン」
「バカメレオン!? ひ、ひどすぎる!!」
頭から湯気を出しながら抗議する少女と、それを蹴りつけるベレー帽の少女。
「あれは別なのですよ。って、何で知ってんだよ、バカメレオン」
「バカメレオン!? ひ、ひどすぎる!!」
頭から湯気を出しながら抗議する少女と、それを蹴りつけるベレー帽の少女。
「今日のアニメはこれだぁああ!!」
いつもながら協調性がなく、思い思いに行動する同僚にひるまず、イーグリードが叫ぶ。
彼女の手には、四角いフォルムを持つパッケージが握られていた。
いつもながら協調性がなく、思い思いに行動する同僚にひるまず、イーグリードが叫ぶ。
彼女の手には、四角いフォルムを持つパッケージが握られていた。
<ギャラクシーエンジェル>
「――これは酷い」
会議室に居る全てが異口同音。
バカメレオンと呼ばれた少女――カメリーオですら、自分の捉えどころの無い性格を変更した。
会議室に居る全てが異口同音。
バカメレオンと呼ばれた少女――カメリーオですら、自分の捉えどころの無い性格を変更した。
「アルちゃんから紹介されてねぇ、私は感動したんだ……!!」
「感動と、私たちがそれに成りきる理屈は何だ」
全身から力を抜けるのを感じながら、桃色の髪の女が嘆息する。
「感動と、私たちがそれに成りきる理屈は何だ」
全身から力を抜けるのを感じながら、桃色の髪の女が嘆息する。
「理由? ――私のためだよー」
「死ねばいいのに、アルマージ」
名をオクトパルドというベレー帽の少女が、この場に居ない同僚の死を願った。
「死ねばいいのに、アルマージ」
名をオクトパルドというベレー帽の少女が、この場に居ない同僚の死を願った。
「マンドリラーは、フォルテ役ね」
「意味が解らん」
マンドリラーと呼ばれた女が、拳を机に叩きつける。
白い円形のデスクは鈍い音をたて、ひしゃげた。
「意味が解らん」
マンドリラーと呼ばれた女が、拳を机に叩きつける。
白い円形のデスクは鈍い音をたて、ひしゃげた。
「はい、拳銃」
「はぁ? だから、何で私がやらなきゃならないんだよ!」
椅子を跳ね飛ばしながら、立ち上がる。
抗議は無視された上に、黒の凶器を手渡され、青筋を立てるマンドリラーは声を荒げた。
「はぁ? だから、何で私がやらなきゃならないんだよ!」
椅子を跳ね飛ばしながら、立ち上がる。
抗議は無視された上に、黒の凶器を手渡され、青筋を立てるマンドリラーは声を荒げた。
「それだよ、マンドリラー。もっと女を捨てて、吼えてくれ!!」
奇声をあげて喜ぶイーグリード。
奇声をあげて喜ぶイーグリード。
「オクトパルドは、ミントな」
「意味が解らないので、死にやがれなのですよー。この、クソ鳥!」
両手を振り上げての抗議。
オクトパルドは、かろじて丁寧な言葉を使いながらも、唾を飛ばすほどの勢いで罵声を吐いた。
「意味が解らないので、死にやがれなのですよー。この、クソ鳥!」
両手を振り上げての抗議。
オクトパルドは、かろじて丁寧な言葉を使いながらも、唾を飛ばすほどの勢いで罵声を吐いた。
「清純さに隠れた、腹黒さ……これだよ!!」
「ファック!! 素晴らしく大きなお世話なのですよー、畜生」
汚い言葉ですら、イーグリードの趣向の糧となる。
「ファック!! 素晴らしく大きなお世話なのですよー、畜生」
汚い言葉ですら、イーグリードの趣向の糧となる。
会議室のレプリロイド達は、もう全てを諦める事にした。
「アイちゃんは、ヴァニラね」
「ばにら……? アイスの……事?」
少女は小首を傾げ、イーグリードの言葉を反芻する。
「ばにら……? アイスの……事?」
少女は小首を傾げ、イーグリードの言葉を反芻する。
「もう、キャラに成り切っている!? その調子で、どんどんユニークなセリフを言うんだ、アイちゃん!!」
顔をしかめ、不快感を露にするアイこと、アイシー・ペンギーゴ。
顔をしかめ、不快感を露にするアイこと、アイシー・ペンギーゴ。
「うざい……。神に誓って……いつか……お前を……殺すからね……」
「きゃー、可愛い!!」
自分の身をかき抱き、イーグリードが全身で喜びを表した。
「きゃー、可愛い!!」
自分の身をかき抱き、イーグリードが全身で喜びを表した。
「カメリーオは、ミルフィーユだ。空気読めないあたりとか、最適な役すぎて、怖すぎるぞ!! いぇい」
「はーい!! リオちん頑張ります!! ラッキー!! ラッキー!!」
プライドという言葉を持たない、カメリーオが安産型の尻を振った。
タイトルを見た時と態度が違うのから、彼女が一番、環境に対する適応能力が高いのかも知れない。
「はーい!! リオちん頑張ります!! ラッキー!! ラッキー!!」
プライドという言葉を持たない、カメリーオが安産型の尻を振った。
タイトルを見た時と態度が違うのから、彼女が一番、環境に対する適応能力が高いのかも知れない。
「おぉケイン、お前はウォルコット中佐だからな」
「あぁ、良いよ。…………部下に振り回される上司――完全に私だろうな」
疲れた顔をしたケインが首肯し、了承した。
そして再度、自殺を敢行する。
「あぁ、良いよ。…………部下に振り回される上司――完全に私だろうな」
疲れた顔をしたケインが首肯し、了承した。
そして再度、自殺を敢行する。
「ぎゃー!! ケイン博士、死なないでー!!」
悲鳴をあげ、それを止めるマック。
悲鳴をあげ、それを止めるマック。
「さぁて、イレギュラーエンジェル隊出動だ!!」
■辞任
2週間前から、先日までのハンター職員の暴走について。
2週間前から、先日までのハンター職員の暴走について。
- ハンターの予算で、意味不明な部隊を作り上げる。
- F-2戦闘機を『紋章機』と落書き。
- 命令無しに、遺産の発掘。
- 命令無しに、遺産の使用。
- 遺産を暴走させる。
これらに対して、それ相応の罰則を処す。
対象者に減棒と降格。
書類が届き次第、本部に報告せよ。
対象者に減棒と降格。
書類が届き次第、本部に報告せよ。
追伸:ふざけるな
ハンター本部
「あれ? ランファは何処だ?」
「知るか!!」
イーグリードの問いに、〝全員〟が書類を破りながら叫んだ。
「知るか!!」
イーグリードの問いに、〝全員〟が書類を破りながら叫んだ。
その数日後、辞令の恨みをエックスを引き金に、イーグリードがパンドラスイッチ事件を引き起こす。
<了>
65 :アンラッキー・ヒッキー :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 19:43:21.20 ID:5ZnbllJn0
アンラッキー・ヒッキー
アンラッキー・ヒッキー
「アールちゃん! あーそーぼー」
削りだされた横穴。
周りの光景すべてが茶色の岩壁となる通路に、不自然に扉が設えている。
ハンター職員――イーグリードが、鉄で出来たドア越しに声を張り上げた。
削りだされた横穴。
周りの光景すべてが茶色の岩壁となる通路に、不自然に扉が設えている。
ハンター職員――イーグリードが、鉄で出来たドア越しに声を張り上げた。
鈍色の戸が、ぎぎ、と音をたて開く。
通路に吊るされる粗末なランプが、出てきた人物を淡く縁取らせた。
通路に吊るされる粗末なランプが、出てきた人物を淡く縁取らせた。
「あ、イーお姉ちゃん……こ、こんにちは」
覇気の無い顔をする小柄な少女が、身長のため見上げなら現れる。
その姿にイーグリードは片手をあげ挨拶し、微笑んだ。
覇気の無い顔をする小柄な少女が、身長のため見上げなら現れる。
その姿にイーグリードは片手をあげ挨拶し、微笑んだ。
「すばらしいアニメだったよ。ヴァニラちゃんとかミントさんとか」
少女の頭を優しく撫で、肩に下げたトートバッグから取り出したのは、角ばったケース。
少女の頭を優しく撫で、肩に下げたトートバッグから取り出したのは、角ばったケース。
「そ、そう……? よ、良かった、楽しんでもらえて」
少女は撫でられる感触に目を細めながら、それを受け取る。
パッケージには宇宙を背景に、五人の少女達が笑みを浮かべていた。
少女は撫でられる感触に目を細めながら、それを受け取る。
パッケージには宇宙を背景に、五人の少女達が笑みを浮かべていた。
66 :アンラッキー・ヒッキー :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 19:44:09.61 ID:5ZnbllJn0
「あはは。オ、オープニングは嫌いじゃないんだけどね、今期」
笑みに肩を揺らし、少女は人差し指を立てた。
イーグリードは苦笑気味に口元を歪ませると、両手を軽く広げる。
笑みに肩を揺らし、少女は人差し指を立てた。
イーグリードは苦笑気味に口元を歪ませると、両手を軽く広げる。
「今日も電気街を回ろうじゃないか」
貸し借りをしたアニメーションの話は、一旦切られる。
次に提示された話題は、買い物への誘いだった。
貸し借りをしたアニメーションの話は、一旦切られる。
次に提示された話題は、買い物への誘いだった。
「新作で〝ペンギン姫の虜~極地部隊の制服幼女~〟ってゲームが出るんだ」
イーグリードが鼻息荒く、己の欲望を満たす存在に想いを馳せる。
汚れを纏うイーグリードに嗜好と、ゲームの名称だが、それに対して少女は特に気にした風もない。
イーグリードが鼻息荒く、己の欲望を満たす存在に想いを馳せる。
汚れを纏うイーグリードに嗜好と、ゲームの名称だが、それに対して少女は特に気にした風もない。
だが、別の何かに顔を曇らせる。
「ご、ごめんね……きょ、きょうはお仕事があるんだ……」
可愛らしい唇から出たのは、誘いへの断り。
そうなんだ、と呟くイーグリードも顔を翳らせて、それが少女を慌てさせた。
可愛らしい唇から出たのは、誘いへの断り。
そうなんだ、と呟くイーグリードも顔を翳らせて、それが少女を慌てさせた。
「ご、ごめんね……あ、あたし……ぐ、愚図で、あんまりお仕事回されないから……」
両手をせわしくなく振りながら、言い訳を紡ぐ少女。
申し訳ない思いを、顔いっぱいに広げ、頭を上下に振り続けて謝罪をする。
両手をせわしくなく振りながら、言い訳を紡ぐ少女。
申し訳ない思いを、顔いっぱいに広げ、頭を上下に振り続けて謝罪をする。
67 :アンラッキー・ヒッキー :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 19:45:54.89 ID:5ZnbllJn0
「……こ、こんな時に仕事しなきゃ、解雇されちゃうんだ」
とうとう涙まで溜め、少女はイーグリードを見上げ、許しを請うた。
「……こ、こんな時に仕事しなきゃ、解雇されちゃうんだ」
とうとう涙まで溜め、少女はイーグリードを見上げ、許しを請うた。
謝罪に返されるのは抱擁。
背の高い身体から生える両腕が、小柄な少女を抱きしめる。
背の高い身体から生える両腕が、小柄な少女を抱きしめる。
「あ……。ご、ごめんね……イーお姉ちゃん。ほんと、ごめんね……」
安堵し身を任せる少女が、顔をイーグリードの胸に強く押し付けた。
安堵し身を任せる少女が、顔をイーグリードの胸に強く押し付けた。
イーグリードは微笑み、
「死ねばいいのに、ケイン」
上司を呪った。
「死ねばいいのに、ケイン」
上司を呪った。
――少女の名は、アーマー・アルマージ。
イーグリードの唯一の理解者だ。
イーグリードの唯一の理解者だ。
「よ、よろしくお願い……し、します!」
真昼の都市。
冬の太陽が、アスファルトを弱く照りつける。
真昼の都市。
冬の太陽が、アスファルトを弱く照りつける。
68 :アンラッキー・ヒッキー :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 19:48:12.58 ID:5ZnbllJn0
「誰だこの子」
十字路の真ん中で展開する、ハンターの職員がアルマージを見つけ、隣へ耳打ちした。
「誰だこの子」
十字路の真ん中で展開する、ハンターの職員がアルマージを見つけ、隣へ耳打ちした。
「第9機甲部隊隊長だよ」
細長いフォルムを持った銃の調子を確認するハンターが、ちらりと少女を見やり、簡潔に答えた。
ほう、と職員の男が感動したような声をあげる。
細長いフォルムを持った銃の調子を確認するハンターが、ちらりと少女を見やり、簡潔に答えた。
ほう、と職員の男が感動したような声をあげる。
赤く光る単眼の視線は、無遠慮にアルマージの股間へ。
装甲の下は半裸。――白いテープが一枚だけ宛がわれた股間に、卑猥な目が集中する。
装甲の下は半裸。――白いテープが一枚だけ宛がわれた股間に、卑猥な目が集中する。
「なるほど、確かに隊長の貫禄があるな!!」
アルマージの装いに、ハンターは大仰に頷いた。
アルマージの装いに、ハンターは大仰に頷いた。
「アルマージ隊長、今回の任務は制圧です」
それを尻目に、真面目なハンター等は任務への準備を着々とこなしていた。
他のハンターが携帯型の端末を手にしながら、少女に近づく。
それを尻目に、真面目なハンター等は任務への準備を着々とこなしていた。
他のハンターが携帯型の端末を手にしながら、少女に近づく。
「地下水路に、大量のアメンホッパーが出現。エリア7まで、水道に異常が発生しています」
小さな頭を、見下ろす形になる職員。
階級は少女が上なのだが、背丈だけをみると、彼らは親子と呼べる差がある。
小さな頭を、見下ろす形になる職員。
階級は少女が上なのだが、背丈だけをみると、彼らは親子と呼べる差がある。
「暴走しているのでしょう。アメンホッパーは、目に付くもの全てを破壊しており、事態は深刻です」
ハンターは端末の画面をアルマージに向け、真新しいマンホールを映す。
ハンターは端末の画面をアルマージに向け、真新しいマンホールを映す。
70 :アンラッキー・ヒッキー :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 19:50:27.87 ID:5ZnbllJn0
それは鼻先にある物と同じだった。
数体の黒いボディが円形の蓋を取り囲み、様々な器具を設置したり、各々の装備を点検していた。
数体の黒いボディが円形の蓋を取り囲み、様々な器具を設置したり、各々の装備を点検していた。
そして、状況を聞いていたアルマージが口を開く。
「――ち、地下怖い……」
任務の了解は、恐怖にかられた声。
任務の了解は、恐怖にかられた声。
場が沈黙する。
けして大きい声ではなかったのだが、全てのハンターの動きを止めるには十分だった。
けして大きい声ではなかったのだが、全てのハンターの動きを止めるには十分だった。
「なんかゆってる!!」
ハンターの一人が器用な事に、メットから冷や汗を垂らすと、後ずさった。
ハンターの一人が器用な事に、メットから冷や汗を垂らすと、後ずさった。
「た、隊長? あの何か言いましたが、大丈夫なんですか?」
説明をしていたハンターが何とか硬直から解け、部隊長である筈の少女に問う。
説明をしていたハンターが何とか硬直から解け、部隊長である筈の少女に問う。
「あ、あたりまえだよ……! お、お誘いを断ってまで、はるばる来たのに……」
両腕を振り回し憤慨するが、怒りは言葉のみ。
アルマージの顔は青ざめていた。
両腕を振り回し憤慨するが、怒りは言葉のみ。
アルマージの顔は青ざめていた。
とても任務を遂行できるものではない心理状態だと、その場に居る全員が感じた。
71 :アンラッキー・ヒッキー :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 19:51:46.27 ID:5ZnbllJn0
「で、でも……こ、怖かったら許さないんだからぁ……!」
理不尽が周囲を襲う。
理不尽が周囲を襲う。
「なんかゆってる!!」
「駄目っぽいぞ!! この子!!」
寒空の下、見放されたと言っていいハンター等の悲鳴が唱和した。
「駄目っぽいぞ!! この子!!」
寒空の下、見放されたと言っていいハンター等の悲鳴が唱和した。
[From:アルマージ re: 本文:こ、怖かったです。やっぱり、お姉ちゃんと買い物にいってきます。]
ぐしゃり、と携帯が握りつぶされる。
「ケイン博士……どうして、あの子が隊長なんですか?」
「…………不幸な事に彼女は強いからだよ、エックス君」
「…………不幸な事に彼女は強いからだよ、エックス君」
<了>
413 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:38:11.01 ID:dJFSD/dI0
Eagle's day
Eagle's day
肌寒さを感じさせる風が、薄手のコートの裾をはためかせる。
背の高い女はそれを押さえながら、石の床を歩んだ。
背の高い女はそれを押さえながら、石の床を歩んだ。
青空が眩しい。
陽光に目をしばたかせる女性――ストーム・イーグリードの出勤する姿だ。
陽光に目をしばたかせる女性――ストーム・イーグリードの出勤する姿だ。
「あそぼー、黒ミケ猫。ロシアンブルー」
革のブーツをスキップさせながら、機嫌良く歌を口ずさむ。
弾む身体に合わせて、肩から下げたクリーム色のトートバックが揺れた。
革のブーツをスキップさせながら、機嫌良く歌を口ずさむ。
弾む身体に合わせて、肩から下げたクリーム色のトートバックが揺れた。
「ネコニャンダンス……」
笑顔のイーグリードの視界に、前を横切る紙袋を抱えた少女が入った。
女の顔が輝く。
笑顔のイーグリードの視界に、前を横切る紙袋を抱えた少女が入った。
女の顔が輝く。
「アイちゃーん!! 愛してるよー!!」
両手を広げ走る鷲型のレプリロイド。
薄赤のルージュを引く唇が、愛の告白を紡いだ。
両手を広げ走る鷲型のレプリロイド。
薄赤のルージュを引く唇が、愛の告白を紡いだ。
415 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:41:09.38 ID:dJFSD/dI0
「…………ふっ」
小柄な少女は意味ありげな笑みを浮かべ、女の言葉を無視すると、足早に去る。
小柄な少女は意味ありげな笑みを浮かべ、女の言葉を無視すると、足早に去る。
「何故なんだー!! アイちゃーん、何故にホワーイ!?」
ブースターを背負う少女の背中へ、イーグリードの悲痛な声。
彼女の叫びが虚しく公園に響き渡った。
ブースターを背負う少女の背中へ、イーグリードの悲痛な声。
彼女の叫びが虚しく公園に響き渡った。
「早いな、イーグリード」
消沈し、イーグリドは首をがっくりと落とす。
しかたなく仕事場に向かいだす彼女に、低い男の声がかけられた。
消沈し、イーグリドは首をがっくりと落とす。
しかたなく仕事場に向かいだす彼女に、低い男の声がかけられた。
「あ、私の守備範囲以前の問題の存在」
右手から現れた老人に、イーグリードは舌打ちする。
右手から現れた老人に、イーグリードは舌打ちする。
「重役出勤をし続ける〝タコ〟に比べて、君は感心だな」
白髪が後ろに流れる男は、挑発を綺麗に受け流し、嫌味のない微笑みを送る。
白髪が後ろに流れる男は、挑発を綺麗に受け流し、嫌味のない微笑みを送る。
女は裏拳を放ち、老人のねぎらいの言葉を叩き落した。
行動それ自体は抽象的で、意味は無いのだが、男はさすがに顔をひきつらせる。
行動それ自体は抽象的で、意味は無いのだが、男はさすがに顔をひきつらせる。
「さ、始末書を出せ。本部からの催促が酷い」
湧き上がる怒りを丁寧に折り畳み、皺の寄る手を差し出す。
老人の手の平が求めるのは〝数週間前に提出される〟筈の書類。
湧き上がる怒りを丁寧に折り畳み、皺の寄る手を差し出す。
老人の手の平が求めるのは〝数週間前に提出される〟筈の書類。
416 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:43:05.57 ID:dJFSD/dI0
「あ」
イーグリードが漏らす失念の声。
老人を襲う嫌な予感は、巨大な鳥の形をしていた。
イーグリードが漏らす失念の声。
老人を襲う嫌な予感は、巨大な鳥の形をしていた。
どうした、と男が声をかけるより早く、
「――ぱたぱた」
イーグリードが羽ばたく。
「――ぱたぱた」
イーグリードが羽ばたく。
「おぉぉいい!? 待て、空へ逃げるな!!」
大きな翼を上下し、イーグリードの身体はゆっくりと青い空へ。
真下で無意味に腕を伸ばす老人を、嘲弄する顔で見下ろした。
大きな翼を上下し、イーグリードの身体はゆっくりと青い空へ。
真下で無意味に腕を伸ばす老人を、嘲弄する顔で見下ろした。
「さらばだ」
別れの言葉は短い。
別れの言葉は短い。
「本部への報告はどうなる!? 待て、イーグリード!!」
離別を惜しむ老人の姿は、恋人にすがる諦めのつかない男のそれだった。
離別を惜しむ老人の姿は、恋人にすがる諦めのつかない男のそれだった。
「エンジェル隊とかやらの書類を、誰も出してないんだよ!! 待て!!」
「ぱたぱたー」
イーグリードは高く高く、舞い上がった。
「ぱたぱたー」
イーグリードは高く高く、舞い上がった。
「待ってー!!」
気持ちの良い空の下、幸薄い老人を救うものは誰も居ない。――神ですら。
気持ちの良い空の下、幸薄い老人を救うものは誰も居ない。――神ですら。
417 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:47:28.83 ID:dJFSD/dI0
「やれやれ、老人め」
下に広がる風景を楽しむように、緩慢に空を飛ぶ鷲。
朝から自分を不快にした上司へ不満を吐きながら、下界を眺める。
下に広がる風景を楽しむように、緩慢に空を飛ぶ鷲。
朝から自分を不快にした上司へ不満を吐きながら、下界を眺める。
現在の瞳に映る光景は、軒が連なる商店街。
赤いレンガで構成する、吹き抜けた通りを、一定の間隔で商店が立ち並ぶ。
昼前の気だるい時刻は、周囲を閑散とさせ、とても静かだ。
赤いレンガで構成する、吹き抜けた通りを、一定の間隔で商店が立ち並ぶ。
昼前の気だるい時刻は、周囲を閑散とさせ、とても静かだ。
平和な商店街を脅かし、静寂を打ち破る者。
住民達に奇異な視線を受けながら、奇声と点滅する様々な光が前進する。
近くで見ようと、イーグリードは高度を下げた。
近くで見ようと、イーグリードは高度を下げた。
「り、り、り、リオのカーニバル!!」
くねくねと踊り、羽細工を付けた衣装を着込むのは――彼女の同僚だった。
くねくねと踊り、羽細工を付けた衣装を着込むのは――彼女の同僚だった。
「本当にこれが仕事なのか、カメリーオ。どう考えてもおかしいだろう」
その後ろを追う、全身で眩い光源を放つマンドリル型のボディ。
ぺかぺかと光るライトが、商店街の住民の目を、眩しさに細めさせた。
その後ろを追う、全身で眩い光源を放つマンドリル型のボディ。
ぺかぺかと光るライトが、商店街の住民の目を、眩しさに細めさせた。
「ケイン博士が、この街を楽しく盛り上げろって言いましたー!! り、り、り、リオのカーニバル!!」
尻尾の生えた形の良い尻を振り、少女がサンバを踊る。
羞恥心が無いのか、下から乳房が見える胸当てを付けていても、その動きは激しい。
尻尾の生えた形の良い尻を振り、少女がサンバを踊る。
羞恥心が無いのか、下から乳房が見える胸当てを付けていても、その動きは激しい。
419 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:48:57.08 ID:dJFSD/dI0
「せーかいはまるーい、せかーいはひとーつ!!」
「おい!! その歌は危険だ!! 変えろ!!」
商店街を進み、暴れる二人。
「おい!! その歌は危険だ!! 変えろ!!」
商店街を進み、暴れる二人。
「遠い、この空が世界を分かち!! そして、生まれる新世界!!」
「おい!! カプコンはカプコンだけど、それはおかしい!!」
「おい!! カプコンはカプコンだけど、それはおかしい!!」
イーグリードは鼻を鳴らし、
「お気の毒な子」
その場を去った。
「お気の毒な子」
その場を去った。
空飛ぶ女の旅は続く。
子供が集まる玩具屋に、イーグリードは翼を進めた。
成長期前の甲高い笑い声が、店の前で微笑ましく響く。
子供が集まる玩具屋に、イーグリードは翼を進めた。
成長期前の甲高い笑い声が、店の前で微笑ましく響く。
無感情に少年達を、空から見下ろす彼女は挙動不審な影を見止めた。
店先で遊ぶ少年達に、トレンチコートを羽織った銀髪の女が、物欲しそうな目を注いでいる。
手には、クワガタの顎を模した刃の玩具。
手には、クワガタの顎を模した刃の玩具。
421 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:52:10.36 ID:dJFSD/dI0
イーグリードは見間違いか、と首を傾げながら近づく。
店の反対側の壁から半身を出す、怪しげな女が所在無く身体を揺らしていた。
イーグリードは見間違いか、と首を傾げながら近づく。
店の反対側の壁から半身を出す、怪しげな女が所在無く身体を揺らしていた。
「入れて欲しいなら、入れて欲しいと言えば? と、忠告を」
自分の顔を翳らせる影と突然の声に、コートの裾を翻しながら反転し、素早く身構える少女。
己の失態に舌を打ち、玩具では無い真剣が入ったブーメランを取り出す。
自分の顔を翳らせる影と突然の声に、コートの裾を翻しながら反転し、素早く身構える少女。
己の失態に舌を打ち、玩具では無い真剣が入ったブーメランを取り出す。
「不不不……みたね」
らしくなく、少女の頬は少しだけ赤く染まっていた。
らしくなく、少女の頬は少しだけ赤く染まっていた。
「……言いにくいんだが。君は、キャラを確立した方が良い。変態なら変態のまま生きろ」
返すイーグリードの言葉は厳しい。
返すイーグリードの言葉は厳しい。
「カメレオンの方が、まだマシだ」
暗殺を生業としていた彼女が、生きていた中で言われた事のない侮辱だった。
羞恥の赤から、怒りの赤へ。
暗殺を生業としていた彼女が、生きていた中で言われた事のない侮辱だった。
羞恥の赤から、怒りの赤へ。
「……これでも精一杯生きているのに、なんたる言い草!! 殺してやろう!!」
怒りを動力に、白い腕が薙いだ。
風切り音をたて、ブーメランが牙を剥く。
怒りを動力に、白い腕が薙いだ。
風切り音をたて、ブーメランが牙を剥く。
「ぱたぱた。さよなら」
閃光の速さで放たれた凶器を交差する、鷲の高度を上げながらの蹴りが、女の胸板に叩き込まれる。
閃光の速さで放たれた凶器を交差する、鷲の高度を上げながらの蹴りが、女の胸板に叩き込まれる。
「ぐあっ!」
イーグリードは、吹き飛ぶ同僚を尻目に空高く舞った。
イーグリードは、吹き飛ぶ同僚を尻目に空高く舞った。
422 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:53:29.26 ID:dJFSD/dI0
「クロスチャンネル?」
またも見つけた同僚の肩に、イーグリードは遠慮なく手を置く。
またも見つけた同僚の肩に、イーグリードは遠慮なく手を置く。
「えひゃ!? きゃあああああああああああああああああああああああああ!?」
悲鳴で反応する少女の背は、鷲型の女の腰しか無い。
悲鳴で反応する少女の背は、鷲型の女の腰しか無い。
入り口前で、籠に入れられ販売されるゲーム。
二人が出会ったのは、テレビやパソコンのゲームを扱う店の前だ。
二人が出会ったのは、テレビやパソコンのゲームを扱う店の前だ。
「やっ、アルちゃん」
朗らかに笑い、イーグリードは片手をあげ、振り向く少女に挨拶する。
その手で、小さい頭を撫でた。
朗らかに笑い、イーグリードは片手をあげ、振り向く少女に挨拶する。
その手で、小さい頭を撫でた。
「イ、イーグリードお姉ちゃん……? びっ、びっくりしたよぉ……」
少女は両手を胸の前で組んで、身を震わせた。
驚いたものの、その顔に怒りも抗議も無い。
少女は両手を胸の前で組んで、身を震わせた。
驚いたものの、その顔に怒りも抗議も無い。
「まだやってなかったんだ」
「う、うん……評価が良かったから……い、今更やってみようかなぁ、なんて」
お互いに共通する趣味に、二人は話に花を咲かせる。
彼女等の趣味は不純ではあるが、笑い合う表情は、純粋そのものである。
「う、うん……評価が良かったから……い、今更やってみようかなぁ、なんて」
お互いに共通する趣味に、二人は話に花を咲かせる。
彼女等の趣味は不純ではあるが、笑い合う表情は、純粋そのものである。
423 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:54:42.60 ID:dJFSD/dI0
「お、お姉ちゃんは何してるの?」
「空中散歩」
羽を一振りし、短く答えるイーグリード。
「空中散歩」
羽を一振りし、短く答えるイーグリード。
「そ、そうなんだ……」
少女が邪魔をしてしまったと、顔を申し訳なさで歪めた。
こっちが邪魔したよ、と首を振って否定し、イーグリードは幼い身体を抱きしめる。
少女が邪魔をしてしまったと、顔を申し訳なさで歪めた。
こっちが邪魔したよ、と首を振って否定し、イーグリードは幼い身体を抱きしめる。
「き、気をつけてね……こ、今度、また遊ぼうね?」
抱擁を受け止めながら、少女が耳元で囁く。
抱擁を受け止めながら、少女が耳元で囁く。
「ありがと、アルちゃん。絶対だよ?」
少女の身体を優しく引き剥がし、イーグリードは頷いた。
そして、それじゃ、と呟くと巨大な翼を広げる。
少女の身体を優しく引き剥がし、イーグリードは頷いた。
そして、それじゃ、と呟くと巨大な翼を広げる。
小さな少女に見上げられながら、突然イーグリードは親指を立てた。
「あ、アルちゃん。親友は――」
「――み、見返りを求めない」
「――み、見返りを求めない」
イレギュラーは何処にでも姿を現す。
磯香る港ですら、その例には漏れない。
磯香る港ですら、その例には漏れない。
425 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:56:30.60 ID:dJFSD/dI0
日光浴のつもりか、サングラスを付けた童顔の女が、背もたれの低い椅子に寝転んでいた。
女が空から近寄るイーグリードの姿を見付け、サングラスを鼻先にずらす。
女が空から近寄るイーグリードの姿を見付け、サングラスを鼻先にずらす。
彼女の服装は、フリルを付けたどこかの制服。
だらしない姿勢のまま挨拶する女に、いつも着用していたベレー帽は無い。
だらしない姿勢のまま挨拶する女に、いつも着用していたベレー帽は無い。
「ミントさん……気に入ってたんだな、そのキャラ」
「なかなか良いキャラなのですよー。お淑やかさ、そして名門の名」
前髪をかきあげる女の顔は、自分の服装にひどく満足していた。
イーグリードも満更でもない顔をして、出所不明の制服を空からチェックする。
「なかなか良いキャラなのですよー。お淑やかさ、そして名門の名」
前髪をかきあげる女の顔は、自分の服装にひどく満足していた。
イーグリードも満更でもない顔をして、出所不明の制服を空からチェックする。
「私にぴったりなのですもの。メイモーン!」
無遠慮な視線に気を悪くした風もなく、女はむしろ両手をあげて、よく見えるようにした。
無遠慮な視線に気を悪くした風もなく、女はむしろ両手をあげて、よく見えるようにした。
「そういや、アニメでもスクール水着を着てたな」
「何か言いましたかー?」
イーグリードは独り納得した。
彼女の独白に、フリルの女が小首を傾げる。
「何か言いましたかー?」
イーグリードは独り納得した。
彼女の独白に、フリルの女が小首を傾げる。
「いや。――頑張って」
否定し、そして、よく解らない激励をイーグリードは送る。
否定し、そして、よく解らない激励をイーグリードは送る。
「どうもなのですよー」
奇妙な事に女は、その意味を解った様で、白い手袋に包まれた手をあげ礼を言う。
奇妙な事に女は、その意味を解った様で、白い手袋に包まれた手をあげ礼を言う。
428 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 17:01:01.92 ID:dJFSD/dI0
「ふぅ……ハンターには、女を捨ててる奴が多い。ぱたぱた」
今度こそ彼女に聞こえないように呟き、イーグリードは赤みのかかる青き空へと還った。
「ふぅ……ハンターには、女を捨ててる奴が多い。ぱたぱた」
今度こそ彼女に聞こえないように呟き、イーグリードは赤みのかかる青き空へと還った。
「ただいまー」
元気良く、帰宅の挨拶をする。
ハンターから与えられた私宅。
空中要塞にも寝泊りする部屋はあるのだが、イーグリードは地に着く寝所を好んでいた。
元気良く、帰宅の挨拶をする。
ハンターから与えられた私宅。
空中要塞にも寝泊りする部屋はあるのだが、イーグリードは地に着く寝所を好んでいた。
バッグを投げながら、部屋へと進む。
「ただいま、ゼロ。良い子にしてたかい?」
君の悪い猫撫で声の先には、椅子に括り付けられ、猿轡を嵌められた少女の姿。
君の悪い猫撫で声の先には、椅子に括り付けられ、猿轡を嵌められた少女の姿。
「今夜も一緒に寝ようね」
「んーっ! んっー! んっー!」
「んーっ! んっー! んっー!」
「ケイン博士、ゼロ知りません?」
「知るかぁあああああああああああ!! あ、もしもし本部ですか……書類は早急に――」
「知るかぁあああああああああああ!! あ、もしもし本部ですか……書類は早急に――」
429 :Eagle's day :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 17:01:53.00 ID:dJFSD/dI0
<了>
<了>