――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所の艦・研究室。
ヴィクトルが検査をするという事で船へ向かったボク准尉。
服を脱がされて上半身裸となり検査用ポッドに入っている。
研究員A「以上で検査終了です。」
研究員B「身体、魔力値、共に異常なし。」
ヴィクトル「結構、検査を終了する。」
ボク「・・・。」
検査ポッドが停止し、外に出るボク准尉。ヴィクトルが問いかける。
ヴィクトル「調子はどうかね?ボク准尉。」
ボク「大丈夫ですよ・・・先生。」
ヴィクトル「・・・その様子だと彼女達にあの姿を見られたという感じですね?」
ボク准尉は縦に頷いた。
ヴィクトル「良いか、ボク准尉。君は人間として捨てたのだ。」
ボク「・・・。」
ヴィクトル「君がネウロイに対する復讐心と強大な魔力で君を育てたのだ。」
ボク「・・・そんな事を言う為にボクを呼び止めた訳じゃないでしょう。」
キッと睨むボク准尉。ヴィクトルはクククッと笑う。
ヴィクトル「ああっ、そうだったな・・・ほれ。」
赤い液体が入っていたパックを渡す。ボク准尉は乱暴にとる。
ヴィクトル「それと、接近戦用の武器も作っておいたからいつでも持っていくがよい。」
ボク「・・・あんな姿になっても使いたくないよ。」
そう言い残して出て行く。
研究員C「Dr.ヴィクトル。ミーナ隊長、坂本少佐、バルクホルン大尉、シャーリー大尉、宮藤軍曹がお見えになりました。」
ヴィクトル「ああっ、直ぐそちらに行きますよ・・・」
――――――――――――――――ロマーニャ基地・港・ロシア魔導開発研究所艦の入口
ヴィクトル「ボンボヤージ。我がロシア魔導研究所の艦にヨーソロー。」
ミーナ「今日はボク准尉の武器とストライカーの説明を聞きに来ました。」
ヴィクトル「そうでしたな。・・・では、こちらへ。」
ミーナ達は船の中へと案内された。
バルクホルン「珍しい事もあるなリベリアン。お前が参加するなんて。」
シャーリー「んっ?ちょっとだけ気になる事もあるからさ。勘という奴かな・・・」
――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所艦の内部・整備室
ヴィクトル「この艦の一階がボク准尉のストライカーと武器の整備と開発を行っておる。」
宮藤「・・・随分と広いですね。」
ヴィクトル「ああっ、彼が安全に戦えるよう整備をしているのでしてな。」
クドクドと説明している中、バルクホルンとシャーリーは艦を見渡す。
この艦を見渡すと、ストライカーは勿論、銃や剣などの武器が製造されていた。
バルクホルン「(本当に色々な武器が製造されているな・・・。)」
シャーリー「(まるでこの艦全体が武器工場だな・・・。)」
ヴィクトル「では、ボク准尉のストライカーを説明しよう。」
運ばれて来たボク准尉のストライカーである。横に赤い三本のライン、カラーリングが黒である。
ヴィクトル「これが【Su-5ソニック】である。
膨大な魔力にも堪え切れる最新の魔導エンジンを小型化して搭載し長時間でも飛べる事が可能。
次世代のジェットストライカーと並ぶロシアのストライカーユニットなのだ。」
宮藤「このストライカーが・・・?」
ヴィクトル「ちなみにこれらの設計と開発は吾輩がやっとの思いてけやり遂げたのだ。あの頃は、苦労したものだ・・・」
グスンッとハンカチで涙を拭いている。
ヴィクトル「見苦しい所をお見せしてすまん。次にボク准尉が使っていた二丁のカスタムショットガンだ。」
坂本「あの時は、ネウロイを至近距離から撃っていたな。」
ヴィクトル「コイツは連射性、高火力と優れ物の一品。名は〈ベルゼブブ〉と呼んでいるがな。」
ミーナ「ベルゼブブ。暴食の罪で魂と死者を操る蝿の悪魔ね。」
ヴィクトルの武器に名前をつける所が悪魔崇拝者と呼ばれる所以なのだろうか?
ヴィクトル「他に何か聞く事は無いかね?」
シャーリー「ボク准尉の、アノ姿について聞きたい事があるんだが、良いか?」
珍しくシャーリーの発言だった。しばらくの沈黙が続く。
ヴィクトル「・・・まぁ、いいでしょう。別の部屋でお話ししましょう。」
――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所艦・ヴィクトル私室
本棚や書類が多くある部屋だった。
本のタイトルが「魔術百科」、「魔界異聞録」、「悪魔事典」などと気味の悪い物ばかりだった。
ヴィクトル「彼の資料はそちらで渡されたとおりですがね・・・」
ミーナ「まずは、ボク准尉がオラーシャ出身というのは?」
ヴィクトル「ええっ・・・それは本当ですよ。母方がロシア、父方がオラーシャ人ですがね。」
バルクホルン「ハーフだったというわけか・・・ご両親は?」
ヴィクトル「ネウロイの攻撃で父が亡くなり、母は奇跡的に助かりましたが意識が戻らなくてね。
私が彼を保護して検査していくうちにウィッチとしての素質が解り、彼を育てましたよ・・・。
そう・・・普通までは・・・ね。」
坂本「普通までは・・・?」
ヴィクトル「彼が
初めてネウロイと戦った時だった。
大軍勢のネウロイ相手にたった一人でボク准尉は戦った。
だが・・・苦戦を強いられてボク准尉はボロボロ。
その時だ。ボク准尉が突然、あの恐ろしい姿を変えて自分の鮮血で武器を作り、
魔力が付き果て様ともネウロイのコアを喰らう事によって魔力を回復してネウロイを叩き潰した。」
坂本「たった一人でネウロイを・・・」
ヴィクトルは不気味に笑いこう言った。
ヴィクトル「彼は自分の血を浴びた姿を見て、他の者からこう呼ばれ恐れられた・・・"スカーレット・ウィッチ"とな。」
容易に想像がつく。
たった一人でネウロイの大群を血で作った武器で破壊し、コアを貪るように喰らう。
あの恐るべき悪魔の姿。
ヴィクトル「彼はロシアの英雄ですよ。
大国にいる人々だって彼の事を褒め称えていた。
吾輩が育てた自慢のウィッチなのだ!!」
まるで子供のように笑うヴィクトル。
ミーナ「・・・一つ聞きたいのですが、ボク准尉があの姿になるのは?」
ヴィクトル「自分の生命力が危うい時にあの姿になるのだが、それ以上は解らんな。
それに、固有魔法だってあの姿にならんとできぬそうだしな・・・。」
坂本「・・・そうですか。」
ヴィクトル「さて・・・説明はこれでおしまいだ。
ああっ、それから本国から弾薬が支給されているから使っても構わんぞ。
とは言っても、数に限りがあるからな・・・」
ミーナ「お気づかいどうもありがとうございます。では、失礼します。」
――――――――――――――――ロマーニャ基地・執務室
坂本「・・・ボク准尉の事だが、少しだけ見えてきたな。」
ミーナ「そうね。これであの幼さで非公式の撃墜数の謎が解ったという感じね。」
バルクホルン「だが・・・あのヴィクトルは何か、隠しているようだな。」
ミーナ「もう少し広く情報を集めてみましょう。」
坂本「・・・うむ。」
バルクホルン「そうだな・・・・・・。」
――――――――――――――――ロマーニャ基地・ボク准尉の部屋
月の光に照らされるボク准尉。
眠れないのか、窓の外を見ていた。
ボク「・・・。」
フッと自分の手を見ると・・・あの時の光景がフラッシュバックした。
両の手が血だらけ。大きな黒い翼。敵を刈る事の楽しいという気持ち。
月の光りが自分を祝福するかのように照らされた。雪が降っていたあの時の光景。
あれが・・・自分なのか?あれでは・・・ネウロイ以上の化け物。
ネウロイのコアを貪り、狂気的にネウロイを壊す。
でも、同情はしない。アイツ等が父を奪い、母を奪い、そして・・・・・・。
ボク「・・・・ッ」
歯を食いしばって泣くのを堪える幼き少年の姿だった。
最終更新:2011年01月08日 15:30