アットウィキロゴ

第9話 白き海の堕天者



闇が支配する空を、4人は徐々に高度を上げながら飛び続けている

雲の下は闇で、光源はストライカーユニットに付いた航空灯のみだ。

エイラ「もうすぐ、雲の上に出るぞー。」

ボク「はい。」

四人は雲に突入して上昇する。

ボク「うわぁ・・・・・」

辺り一面が白い雲。月明かりに照らされた白と暗い空には無数の星が輝く世界である。

ボク「普段は星空を見ていたけど・・・こんなに凄い風景が見れるなんて・・・」

エイラ「随分と嬉しそうダナ」

ボク「それは、嬉しいですよ。こんな風景が見れるなんて・・・感動の一言です。」

エイラ「さっきは怖いと言ってなかったか?」

ボク「あっちは一人で夜空を飛んでましたから・・・でも、今は・・・」

ハイデマリー「今は・・・?」

ボク「エイラさん、サーニャさん、ハイデマリーさんが居るからな。寂しくないですよ。」

サーニャ「・・・ふふふっ」

ボク「・・・変な事だったかな?」

エイラ「おまえ、去年の宮藤と全く同じこと言っているゾ」

ボク「へぇー・・・そうか。あっ、感動してる場合じゃなかった。ネウロイを捜さないと。」

ハイデマリー「・・・何も反応がありませんね。」

サーニャ「・・・こっちにも何も反応がありません。」

二人は魔導針を展開するが、何も反応が示さなかった。

結局・・・その日の夜、ネウロイは現れる事は無かった・・・。

――――――――――――――――――――エイラ&サーニャの部屋

ボク「・・・結局、ネウロイは現れなかったね。」

エイラ「なぁ、カールスラントに現れたネウロイってどんなだったんだ?」

テーブルでタロット占いをしているエイラ。

ハイデマリー「・・・そうですね。蛇の様な形をしていたような。」

サーニャ「・・・蛇ですか?」

ハイデマリー「ええっ・・・頭や腰に羽が生えていた蛇の形をしたネウロイでした。」

ボク「・・・羽の生えた蛇・・・。」

以前、ヴィクトル博士から貰った悪魔事典でなんかそういう堕天使がいた様な・・・。

ダメだ、頭がボーっとしてきた・・・

ボク「もう駄目です・・・寝ます・・・。」

フラフラとソファーに倒れこみ、眠ってしまった。

サーニャが毛布をかける。

エイラ「・・・こいつ、寝ている時は可愛いな。」

ハイデマリー「・・・そうですね。」

寝ているボク准尉の頭を撫でるハイデマリー。

ハイデマリー「本当なら、私がネウロイを倒さないといけないのに・・・ごめんなさい。巻き込んでしまって。」

サーニャ「・・・いいえ、平気ですよ。」

エイラ「そうだぞ。逃がしたネウロイを倒せばいいからナ。」

サーニャ「そうだ。ここの露天風呂はとても広いんですよ。ハイデマリーさんも入りませんか?」

ハイデマリー「ええっ。でも・・・ボク准尉は・・・」

エイラ「ボクは今は寝ているから大丈夫ダロ。」

ハイデマリー「そうですね。起こすのも可哀相ですし・・・」

エイラ「んっ・・・・?」

ピッとタロットカードを引いたのはアルカナのNo15.悪魔の逆位置を示していた。

サーニャ「エイラ?」

エイラ「今行く。」

三人は後に風呂場へ向かう。

――――――――――――――――――――

殺セ。殺セ。

憎イ、敵ハ殺セ・・・。

父ヲ奪ッタ。母ヲ奪ッタ。敵ヲ全テ殺セ・・・。

(いやだ!!そんな事をしたくない!!)

オ前ガ拒絶シテモ、ソノ呪ワレタ姿カラ逃レル術ハ無イ。

(呪われた・・・姿・・・)

血の海から、黒く悪魔の翼を持った人が現れ、両頬を触りニヤリッと笑う。

――――――――――――――――――――

ボク「ハッ・・・!!」

ガバッと起きる。息を荒くして汗だくだった。

シャーリー「大丈夫か?」

ボク「シャーリーさん・・・?」

シャーリー「なんだか、魘されている声が聞こえたから心配したよ。」

ボク「他の皆さんは・・・?」

シャーリー「風呂場に行くと言ってて、ボクが部屋で寝ているというから・・・」

ボク「そうですか・・・」

シャーリー「何があったんだ・・・?」

ボク「怖い夢を見ました・・・何かが僕に語りかけて、そして・・・」

シャーリーに抱きつく。ガタガタと震えていた。

ボク「僕が僕で無くなりそうで怖い・・・」

シャーリー「大丈夫・・・ボクはどんな事があっても私が傍にいるから・・・」

優しく微笑み背中を撫でる。

――――――――――――――――――――夜・高空
今日も夜の空を飛び、ネウロイを捜す。

相変わらずの真っ白な雲海が広がっていた。今宵は満月だ。

四人は並んで夜を飛び続ける。

ボク「今日こそは見つけないと・・・。」

エイラ「・・・なぁ、一つ聞いても良いか?」

ボク「なに?」

エイラ「・・・お前のあの姿って、いつ頃からなれたんだ?」

ボク「・・・。」

ハイデマリー「・・・どういう事なんです?」

サーニャ「・・・ボクくんは、悪魔の様な姿になるんです。最初は芳佳ちゃんを庇って怪我を負った時に・・・」

ボク「・・・あれは、2年前の話。今宵も満月が輝いていた時かな。」

空に輝いている星々と満月を見て語る。

ボク「夜にネウロイの軍勢が攻めてきた時だった。
   仲間達が次々とストライカーを壊されて落ちて行き、
   たった一人で戦ったけど、もう駄目かと思ったその時だった。」

ボク「体中、物凄く熱くなり、感覚も研ぎ澄まされてネウロイの軍勢をたった一人で倒した。
   そして、鏡に映った姿を見て驚いたよ・・・まるでネウロイ以上の化け物だとショックを受けたよ・・・」

エイラ「・・・。」

サーニャ「・・・。」

ハイデマリー「・・・。」

ボク「けど・・・ここに来てから、少しだけはあの姿を好きになれたかもしれない。」

サーニャ「どうして・・・?」

ボク「ここにボクの居場所が出来た。
   シャーリーさんが僕を優しく抱きしめて仲間と言ってくれた事が嬉しかったから。
   勿論、501の人たちの皆さんにも感謝しています。」

エイラ「そうか。良かったナ。」

和んでいるとサーニャとハイデマリーの魔導針が反応する

ハイデマリー「・・・ネウロイの反応。」

サーニャ「シリウスの方角に、ネウロイと思しき飛行物体1。こっちに接近してくる・・・」

ボク「なに・・・!?」

サーニャ「・・・・来ます!!」

ゴゴゴゴゴッと白い海が荒れて白い柱が生まれる。

雲海から現れたのは翼を持った大型の翼蛇のネウロイ、その姿を見てボク准尉は思い出したのだ。

ボク「・・・・サマエル。」

エイラ「えっ?」

ボク「神の毒、毒を持つ輝かしい者とも呼ばれるユダヤの堕天使・・・」

ネウロイの口と思われ部分が開きビームが放たれる。

四人は回避し、迎撃するが・・・ネウロイ再びは雲に潜り込んだ。

ハイデマリー「雲に隠れるなんて・・・」

エイラ「あのネウロイ随分と頭が回る奴だな・・・!!」

未来予知でネウロイが次にどこを攻撃するのか見えた。

エイラ「サーニャ!!ボク!!右に避けろ!!」

雲からビームが発射されるが、ボクとサーニャは右へと旋回して回避する

サーニャ「!!」

ボク「くっ!!」

サーニャはフリーガーハマーのトリガーを引いてロケット弾を発射するが、外した。

雲海からあのネウロイが出現した。頭を天に向けて歌を歌いだした。

ネウロイ【―――――――――――♪♪】

ハイデマリー「あのネウロイ・・・」

サーニャ「歌を歌っている・・・?」

エイラ「去年、現れたネウロイも同じように歌を歌っていたナ・・・」

ボク「そうな・・・!!?」

ボク准尉は息を荒くして、胸を抑える。
なんだろう、苦しい。
あのネウロイの歌を聞くと・・・抑えていた何かが出てきそうだ。
長く聴いてると取り返しがつかなくなりそうだ!!

ボク「――――!!!」

ボク准尉は例の姿になって、翼蛇ネウロイに接近する。

ボク「やめろー!!」

二丁のショットガンを構えるが、翼蛇のネウロイは雲海に潜り歌を歌う。

ボク「歌うな!!」

追跡しつつ撃つが、・・・厚い雲でネウロイにダメージを与える事が出来ない

ハイデマリー「ボクくん、危ないです!!戻ってきてください!!」

エイラ「世話のかかる奴ダナ!!」

三人は後を追うのだが・・・ネウロイは尻尾の先端部分を切り離した。

切り離した尻尾から同時に小型ネウロイが60機が生まれた。

ハイデマリー「分担された・・・!?」

サーニャ「・・・あのネウロイはボクくんが狙いだというの?」

エイラ「・・・数が多すぎるナ。」

エイラはロマーニャの基地に連絡を入れた。

エイラ「こちら、エイラ!!ネウロイが増援してきた!!急いで来てくれ!!」

増援が来るまで、小型ネウロイ達を迎え撃つ。

ハイデマリー「そこっ!!」

MG42を構えて発砲。迫りくる小型のネウロイを3体撃ち落とす。

小型ネウロイたちはビームを放つが未来予知で回避する

エイラ「そらよっと」

反撃して小型ネウロイを次々と撃ち落とす。

一方、ボク准尉は一人で大型のネウロイと対峙していた。

冷静さが欠けて闇雲に攻撃をしている

ボク「僕の心をかき乱さないでくれ!!そんな歌を歌うな!!」

頭を押さえて苦しい表情で叫ぶ。

エイラ「!!ボクよけ――」

エイラが何か言いかけたその時、ネウロイが大きな口を開けて散弾ビームを放った。

ボク准尉の翼、両腕、両足、腹と撃ち貫かれて夥しい鮮血がボク准尉の体を汚す。

ボク「グッ、ウウッ、アアアア・・・」

ガハッと吐血をし、グラリッと倒れそのまま堕ちて行く。

エイラ「ボ、ボク!!!」

ハイデマリー「あ、ああっ・・・」

サーニャ「い、イヤアアアアッ!!!!」

サーニャの悲鳴が夜空に響き渡る。
――――――――――――――――――――

嫌だ・・・怖い・・・苦しい・・・

これ以上・・・痛い思いは・・・嫌だ・・・

戦いたくない・・・

奪わないで・・・奪わないで・・・

ボクが残っている・・・人間を・・・奪わないで!!!!

――――――――――――――――――――
鮮血がボク准尉の周りにグルグルと漂いやがて赤い球体へとなった。

その時、赤い球体がグニャグニャと歪みだし、鏡が割れた様に赤い球体が弾け飛んだ。

中から現れたのは金色の髪、腰の翼が黒から真紅へと染まった。

覗く歯は、鋭くなっている。

目がゆっくりと開くと鮮血の如く真紅に染まっている。

ボク准尉は金色と真紅の悪魔へと変わり果てた。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年02月28日 18:57
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。