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第11話 壊れゆく想い



――――――――――――――――――――ロマーニャ基地・滑走路

ハイデマリー「では、私は基地に戻ります。」

ミーナ「気をつけてね。」

エーリカ「元気でねー。」

バルクホルン「この戦いが終わったら、我々も本国を取り戻すべく必ず手伝うからな。」

ハイデマリー「・・・それから、ボクくんの事ですが・・・」

ミーナ「解っているわ・・・彼の事を任せて下さい。」

ハイデマリー「彼にはとても辛い事があったと思います。だから、一人ぼっちにさせないでください・・・」

かつて、たった一人で背負いこんで戦ったからこそ言える言葉。

ハイデマリーは今のボク准尉は昔の自分と似ていた。

エーリカはニッと笑う。

エーリカ「解っているよ。あいつも大事な仲間だからね。」

ハイデマリーはニコッと笑った後、敬礼しカールスラントの輸送機に乗る。

三人も見送りの敬礼をする。

輸送機は離陸し、カールスラントへと向かった。

――――――――――――――――――――医務室

シャーリー「・・・ボク。」

あの夜の戦いの後、ボク准尉は力を使いはたして眠ってしまった。

魔力にも身体にもなにも異状が見られず、3日経っても起きなかった。

宮藤、バルクホルン、シャーリーと看ていた。

宮藤「シャーリーさん。ボクくんは・・・」

シャーリー「まだ、起きないんだ・・・。」

しばらくの沈黙が続く。

シャーリー「あの時・・・」

宮藤「?」

シャーリー「あの時、ボクの目が一瞬だったけど目が紅く染まっていたんだ・・・」

バルクホルン「何っ?」

シャーリー「宮藤が夕食の時に呼びに行った時あっただろう。
      一瞬だったけど、ボクの目が紅く染まったんだ・・・その時は、ただの気のせいだと思っていたよ。でも・・・」

ギリッと拳を強く握る。

シャーリー「あんな姿になってしまう予兆を見逃してしまった!!私がもっと早くボクの異変に気付いていたら、こんな事には!!」

バルクホルン「リベリアン・・・。」

普段は楽観的なシャーリーがここまで憤る姿を初めてみた宮藤とバルクホルン。

その時・・・

ボク「・・・・うっ、うーん。」

シャーリー・宮藤・バルクホルン「「「!!」」」

ボク准尉がゆっくりと瞼をあけた。

ボク「・・・シャーリーさん・・・宮藤さん・・・バルクホルン大尉・・・」

シャーリー「ボク!!心配したぞー!!」

宮藤「ボクくん!!良かった、目が覚めて!!」

ボク准尉が微笑んだその時だった。

ボク「うっ!!」

蹲り胸を抑えて、息を荒くし苦しい声をあげる

ボク「ぐっ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」

シャーリー「ボク!?どうしたんだ!?」

バルクホルン「一体何が起きたんだ!?」

ボク「へ・・・や・・・に・・・」

シャーリー「なんだ!?」

ボク「僕の・・・部屋・・・クローゼット、赤い液体の・・・パックを・・・取って・・・」

宮藤「私、取ってきます!!」

宮藤は医務室を飛び出て、ボク准尉の部屋を目指す。

シャーリーは苦しがっているボク准尉の手を両手で握る。

――――――――――――――――――――ボク准尉の部屋

ボク准尉の部屋を開けてクローゼットまで走る。

宮藤「クローゼットの中!!」

クローゼットを開けるとそれは輸血に使うパックが6つ入っていた。

宮藤「これね!!」

その内の一つを取り、ボク准尉の部屋から出る。リーネと合流する

リーネ「芳佳ちゃん?どうしたのボク准尉の部屋から出て?」

宮藤「リーネちゃん!!ボクくんが目を覚まして苦しがって・・・」

リーネ「ボクくんが目を覚ましたの!?でも、苦しがっているのはどうして・・・」

宮藤「だから、クローゼットの中にこのパックを取りに行っての!!私、急いで戻るね!!」

リーネ「あっ、私も行きます!!」

宮藤とリーネは急いで医務室へと戻る。

――――――――――――――――――――医務室

ボク「カ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

ボク准尉の悶え苦しむ悲痛な叫び声が響き渡る。

シャーリー「ボク!!しっかりしろ!!」

バルクホルン「くっ!!宮藤はまだか!!」

二人ががりで暴れるボク准尉を押さえるのだが、子供とは思えないほど力だった。

ようやく宮藤が戻ってきた。後ろにはリーネが心配そうに見ている。

宮藤「ボクくん、これですか!?」

宮藤がパックを見せるとボク准尉は乱暴にとり、封を開けて赤い液体を中身を全て飲み干す。

ボク「ハァ…ハァ…ハァ…。」

あれほど暴れていたのが嘘の様に治まり、またベットに横になる。

シャーリー「ボク・・・大丈夫か?」

ボク「・・・はい。」

呼吸を整えてコクリッと頷く。

バルクホルンはボク准尉が飲んだパックを拾い見る。

バルクホルン「・・・ボク准尉、これは一体何だ?」

ボク「・・・薬。あの姿になった後・・・苦痛が襲ってくるんだ・・・。」

宮藤「えっ・・・!?」

ボク「・・・必ず、あれを飲まないといけないってヴィクトル先生が言ってたんだ・・・」

シャーリー「なんで・・・なんで、そんな大事な事を黙っていたんだよ・・・。」

ボク「・・・ごめんなさい。心配をかけたくなかったから・・・。」

そう言うとボク准尉は目を閉じて再び眠り始めた。スースーと寝息をかいている。

リーネ「寝てしまいましたね・・・。」

シャーリー「・・・ボク。」

――――――――――――――――――――談話室

宮藤とリーネは引き続きボク准尉の看病をしている。

残りのメンバーはボク准尉が飲んだ謎の液体を調べる。

ミーナ「・・・これが?」

バルクホルン「ああっ、ボク准尉が飲んでいた物だ。本人が言うには薬と言ってたが・・・」

坂本「あの姿になった後、苦痛が襲ってくるというリスクを背負っていたとはな・・・」

エーリカ「で、これがボク准尉のクローゼットの中に入っていた物だよね。赤いね。」

ボク准尉の部屋から中身が入っているのを一つ持ってきた。

ミーナ「・・・開けてみますね。」

パックの封を開けて、中身を別の容器に入れる。

坂本「液状はドロドロとはしていないな・・・。むしろ、水と同じ感じか?」

ペリーヌ「匂いは・・・しませんわね。」

エーリカ「あの姿とこの液体の色で吸血鬼と連想したけど、違うみたいだね。」

シャーリー「ボクはそんな子じゃないよ・・・」

ルッキーニ「シャーリー、どったの?」

エイラ「・・・いつものだったら、笑って冗談を言うのにナ。」

サーニャ「・・・うん。」

シャーリー「今はそんな気分じゃないんだ・・・。」

バルクホルン「んっ・・・?パックの裏に何か書いてあるな?」

坂本「なんて書いてあるんだ?」

バルクホルン「"マグネタイト"と書かれているな・・・」

ミーナ「マグネタイト?それが・・・この液体の名前なの?」

???「これ以上の探索は其処までにしてもらいましょうか。」

声がする方を見ると研究員たちと一緒にヴィクトルの姿である。

ミーナ「Dr.ヴィクトル!!」

ヴィクトル「それはボク准尉の大事な物ですぞ。勝手に持ち込んでは困りますな。」

バルクホルン「先程、ボク准尉は苦しそうに悶えてこの薬を飲んだ所です。」

ヴィクトル「ふむ・・・そうですか。(あれ程、人目には気をつけるようにと言ったのに・・・)」

シャーリーは席をたちヴィクトルの前に立つ。

シャーリー「・・・あんたは何か知らないか?」

ヴィクトル「何をですかな?」

シャーリー「ボクの身に一体何が起きているのかを・・・」

ヴィクトル「それを知ってどうするのかね?君達には関係のない話だ。彼は最高の"兵器"だからな。」

シャーリー「・・・!!!」

その言葉でシャーリーは怒り、ヴィクトルを殴ろうとしたがバルクホルンが抑える。

バルクホルン「やめろ!!シャーリー!!」

シャーリー「離せ!!」

ヴィクトル「リべリオン出身者は陽気な者がいると聞いていたが・・・随分と違うな。」

ヴィクトルは涼しい顔をしていた。

ミーナ「失礼ですがDr.ヴィクトル。ボク准尉が兵器とはどういう事なんですか?」

ヴィクトル「これは失礼、少々言いすぎましたな。」

クックックッと不気味に笑う。

エーリカ(最初に見た時、なーんか気にくわないけど、ここまで言うなんて・・・)

エイラ(人としてじゃなくて兵器扱いなんて酷いじゃナイカ!!)

サーニャ(・・・酷い事を言う・・・)

ルッキーニ(うじゅ~、嫌な奴~。)

ヴィクトル「おっと、そうでした。ボク准尉の事ですが寝る場所を我が艦で寝かせる報告をしようとここに寄ったんですがね。」

坂本「なに・・・!?」

ヴィクトル「彼の容体を詳しく調べないといけませんからね。ちょっとした検査ですよ。」

後ろから宮藤とリーネの姿が現れた。二人とも俯いていた。

バルクホルン「宮藤!リーネ!」

宮藤「すみません。止めようとしましたが・・・」

リーネ「ボクくんが・・・連れていかれました・・・」

シャーリー「そんな・・・。」

ヴィクトル「心配せずとも、しばらく休ませたらボク准尉は元気に戦線復帰できますよ。」

そう言い残しヴィクトルと研究員たちは談話室を出て行くのだった。

バルクホルンは抑えていたシャーリーを解放する

バルクホルン「・・・シャーリー、お前らしくなかったぞ。」

シャーリー「すまない・・・。」

シャーリーは力無くそう言い、椅子に座り考え込む。

なんで、ボクの事になると私は、なんで怒るんだ?

いつもだったら黙っていればよかったのに・・・

仲間として心配しているから?

それもあるけど・・・でも、ボクを考えると・・・胸がチクチクと痛む。

そうか、私は・・・ボクの事が・・・

――――――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所の船・研究室

調整槽にボク准尉が入っていた。

酸素マスクを着けてゴボコボッと泡が立っていた。

様々な機械音が鳴り魔力値を検査している最中だ。

ヴィクトル「これは・・・凄いぞ・・・」

ボク准尉の魔力値を計測しその結果を見て見て驚くヴィクトル。

ヴィクトル「となると・・・そろそろ武器の替え時かも知れんな。この報告書を開発部に。」

ペラッと武器リストと書かれた報告書を研究員に渡す。研究員は部屋を出る。

一人残されたヴィクトルはニヤリッと笑う。

ヴィクトル「ボク准尉。君にはまだまだ、戦って貰わねばならん・・・。それが吾輩を呪う様な事になっても・・・」


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最終更新:2011年01月15日 21:24
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