――――――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所の艦・入口
ヴィクトル「さてさて、団体でどうしたのかな?」
呼ばれて来て見れば501のウィッチーズたちがいた。
ミーナ「当然、このような事をして申し訳ありません。ですが・・・どうしても話があるのです。」
ヴィクトル「・・・話とな?」
坂本「ボク准尉の事と貴方の事だ。それに貴方が前に"マロガレ"という魔力の石を研究しているのを思い出してな。」
その言葉を聞いて、表情を変えるヴィクトル
ヴィクトル「・・・何故、そうまでして無茶をするのかな?」
バルクホルン「ボク准尉は我々の仲間だからだ。」
エーリカ「あんな可愛い子を変な事をされていると黙って、いられないからね。」
宮藤「お願いです。ボクくんと会わせて下さい!!」
リーネ「私達はボクくんを助けたいんです!!」
ヴィクトル「・・・愛されているな、ボク准尉は・・・。」
やれやれとため息が出る。
ペリーヌ「どうなんですの?」
ヴィクトル「ボクと会わせる前に・・・話をしよう。吾輩と彼の秘密をな」
――――――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所の艦・ヴィクトル私室
ヴィクトルは自分の椅子に座り、501のメンバーはソファーに座る。
ヴィクトル「吾輩とボク准尉はな、ネウロイに復讐の為に今日まで生きていたのだ・・・。」
ミーナ「復讐、ですか?」
ヴィクトル「ボク准尉の母もこの魔導開発の研究者の身でな。
同期のオラーシャの研究員と結婚したのだ。幸せな家族だった・・・
だが、旅行先でネウロイの襲撃に合い父を失い、母は奇跡的に助かったが意識は戻らず。
ボク准尉は一度に失う物が多すぎた。」
坂本「前に一度、その話を聞きましたが・・・しかし、ヴィクトル博士までネウロイの復讐をする理由は?」
ヴィクトル「・・・ボク准尉の母はな。吾輩の娘だからだ・・・」
一同『えええええええええええええっ!!!!?』
衝撃の告白。501のメンバー驚愕の声をあげた。
宮藤「そ、それじゃあ!!ヴィクトル博士はボクくんの!?」
リーネ「お祖父ちゃんということなんですか!?」
ヴィクトル「ボク准尉はそれを知らない。それに吾輩の事をお祖父ちゃんと呼ばれる資格は無いのだから・・・」
ペリーヌ「どういうことですの?」
ヴィクトル「・・・時に坂本少佐。君は"マロガレ"についてどれくらい知っているのかね?」
坂本「ロシアで発見された勾玉の様な形をした魔力が宿った霊石。扶桑では"宿魂石"とも呼ばれた代物。
しかし・・・危険がある為、あれを使えるウィッチはいなくヴィクトル博士が保管していると宮藤博士から聞いた事がある。」
ヴィクトル「それから吾輩は"マロガレ"を研究していた最中に幼いボク准尉がそれを触れてしまったのだ。
"マロガレ"から光を放ちボクの体へと入ったのだ。直ぐに検査をしたら彼がウィッチとしての能力が開花したのだ。」
ミーナ「ボク准尉にそんな事が・・・」
ヴィクトル「そして、ボク准尉はあの悪魔の姿へとなれる様になった。
あの姿は第一段階をデーモンと呼び、あの姿になった時
初めて固有魔法が使えるようになる。
身体・魔力が向上し性格も好戦的になるというオマケ付きでな。」
サーニャ「・・・この間の金色の髪に真紅の翼の姿は?」
ヴィクトル「・・・異状にまで伸びている魔力値とこの間の戦闘で自身の命に危機にさらした時に更なる力を身につけたのだろう。」
エイラ「更なる力?」
ヴィクトル「第二段階、その名はルシファー。新しく火炎を操る固有魔法を得たな。
おそらくボク准尉本人も気づいていないと思うが力を溜めて進化の時を待っていたのだ。
まるで、羽化の時を待つ蝶の様にな。」
バルクホルン「では、ボク准尉がネウロイを喰らうのは・・・?」
ヴィクトル「あの姿を維持するにも膨大に魔力を喰らう上に"血の錬術"を使う。
だから、ネウロイのコアを喰らえば半永久に戦う事だって可能だ。
そして、ボク准尉が飲んでいる薬、"マグネタイト"は魔力と体力を回復させる為のエナジーポーションだ。
あの姿になった後、反動でボク准尉の体が悲鳴をあげてるのだからな・・・」
ヴィクトルは夜空の景色を見て語る
ヴィクトル「表沙汰はウィッチとして活躍しているが裏では悪魔と呼ばれた少年。吾輩のせいでボク准尉の人生どころか人間を奪った愚かな祖父だ・・・。」
シャーリー「あんたは、自分の孫を戦いの道具に仕立てたなのか!?まだ幼いボクを・・・!!」
ヴィクトル「吾輩だって最初はそうしたくなかった。彼は父を亡くし、目覚めぬ母を待ち続けた。
不幸は重なり、あの子は悪魔の様な力を身に付けてしまいネウロイと戦う道しか残されていなかった・・・」
宮藤「そんなの、そんなの悲し過ぎます!!」
リーネ「ボクくんはまだ幼いんですよ!!少しでも優しく接してあげれば苦しむ事も・・・」
ヴィクトル「では、聞くが?
お前達はあの子がどれほど辛い思いをしていたのか解るのか?あの子が背負っている重さを解るのか?
ボク准尉はな人との関わりを自ら閉ざし、ネウロイと戦う事を選んだのだ。
吾輩は肉親として接するのを止めて、ボク准尉を徹底的に教育した。あの子を兵器として扱いしかなかった。
例え、恨まれる様な事があっても・・・・。」
ルッキーニ「うじゅ・・・ボク、かわいそう・・・。」
シャーリー「・・・。」
――"だから、一人の方が気が楽なんだ・・・それで、皆を傷つかなくてすむのなら・・・"
いつかボク准尉があの姿に悩み苦しんでいた事を思い出す。
ルッキーニと同じ様にはしゃいでも良い歳なのに自分を押し殺してまで戦いに明け暮れる道を選んだ。
そんな彼に私が出来る事は・・・。
――――――――――――――――――――ロシア魔導開発研究所の艦・上甲板
ボク「・・・・・・。」
夜空に星が輝いている。でも、寂しい夜。まるで・・・今のボクの心だ。
黒く塗り潰されて閉ざされたあの時と同じだった。
今回のはどうなんだ?
別の姿に変わり果てて、まるで悪鬼羅刹の様に敵を破壊していた。
狂気に笑う自分の姿を思い出して・・・
ボク「・・・もう、人間として戻れない所まで来ちゃったんだ。」
膝を抱えて、眼を閉じて涙を流した。
シャーリー「こんな所にいたのか・・・」
ボク「・・・・シャーリーさん。」
シャーリー「体は、大丈夫か?」
ボク「・・・ええっ、大丈夫ですよ。」
シャーリー「隣りに座っても良いか?」
ボク「・・・良いですよ。」
シャーリーはボク准尉の隣に座る。
シャーリー「ヴィクトル博士がよくここにいると、聞いたよ。それから過去の事も・・・辛い思いをしたんだな・・・」
ボク「ええっ・・・最初はあんな姿になってもこの場所を守りたいと思っていた。でも・・・!!」
ギリリッと歯を食いしばる。
ボク「今度のは前よりも凶暴で!!暴君の如く破壊する!!この力は誰かを守る力だと思っていたのに!!」
頭を抱えて抑え込んでいた物が一気にはきだされた。
ボク「僕はこのまま一人で戦って戦って、最後は死ぬんだ!!!」
パシンッと乾いた音が響いた。
シャーリーがボク准尉の頬を引っぱたいたのだ。
シャーリー「・・・私が前に言ったの言葉を覚えているか?私はどんな事があっても傍にいるって。」
ボク「・・・なんで、なんで、そうまで僕の事を構うんですか?」
シャーリー「最初は面白い子だと思ったよ。
だけど、ボクが過去の出来事で悩み苦しんでいるのを知って支えてあげようと決意したんだ。
それから・・・どうしてか、胸がチクチクしててそれが何なのか、今日までは解らなかった。」
ボク「・・・。」
シャーリー「私は・・・"ボクの事が好きだ"」
ボク「・・・シャーリー、さん。」
"好き"という言葉。ボクでも、それがなんなのか解っている。
ボク「・・・何処がいいの?僕はこんなにも血に汚れているのに・・・」
シャーリー「それはな、気弱でも勇気があって優しくて温かい。小さいながら頑張っている姿に好きになったんだよ。ボクはどうなんだ?」
ボク「・・・僕も、僕もシャーリーさんの明るい性格に何でも楽しそうに打ち込んでいる姿が好き、です・・・。」
シャーリーはニコッと笑いボクの唇と自分の唇を重ねた。
シャーリー「んっ・・・」
ボク「んっ!?・・・」
お互い目を瞑り、抱きしめ合った・・・。
しばらくして、ボクは唇をシャーリーから離すと銀色の糸が繋がっていた。
何分と言う時間だが二人にとっては何時間も感じた。
ボク「シャーリー・・・さん・・・。」
シャーリー「ボク・・・私は何があってもお前を離したりしないからな。」
ボク「・・・はい。」
二人はもう一度、お互いの唇を重ねた。
夜空に流れ星が流れて二人を祝福していた。
最終更新:2011年02月28日 18:57