シナリオ 7月23日(月曜日)・そのB2
恐怖のリサイタル
HRも無事終了。
生徒も岐路に着き、ぼくも職員室へと戻っていた。
しかし……HRはなかなかビシッと決まったな。
この調子で頑張って、なんとか正規の職員に……
奏「セーンセ」[pcm]
真緒「お? まだ帰ってないのか?」[pcm]
奏「うん。それよかさ、センセ今暇?」[pcm]
真緒「今は暇じゃないなぁ……やる事がいっぱいあるし」[pcm]
奏「じゃ、ちょっと来て!」[pcm]
真緒「……いや、だから用事がだな」[pcm]
奏「いいから! ね!」[pcm]
真緒「………」
奏「ねぇセンセ!」
真緒「……分かった分かった。で、どこに行くんだ?」[pcm]
奏「音楽室!」[pcm]
真緒「お、音楽室……」[pcm]
……嫌でも昨日の事を思い出してしまう。
北上だって思い出してしまうだろうに、わざわざどうして……
奏「センセ?」[pcm]
真緒「あ、いや……音楽室だよな?」[pcm]
奏「そだよ」
真緒「な、何をするんだい?」
奏「え!?」
真緒(な、なにその反応……)
真緒(まさか……)
奏「えへへ、あのね」
真緒「き、北上、生徒と教師でそんな……」
奏「アタシの歌が完成したんだ!」[pcm]
真緒「え?」[pcm]
奏「あたしの詩にさ、ティーチャー音河が曲をつけてくれたんだ」
真緒「あ、歌……」
真緒(ぼ、ぼくは何を考えて!)
奏「センセ?」
真緒「あ、うん」
奏「とにかく来て!」[pcm]
真緒「はいはい、分かったから」[pcm]
音河先生が曲をね。
どうりでにらんでくるはずだ。
北上の事だ、きっと無茶を言ったんだろう。
だから寝る間も削られて……
お気持ちお察ししますよ音河先生……
いやでも、音河先生もアレだから、意外と楽しんでたりするんじゃないのか?
いや、方向性が違うのかな……
どちらかと言えば岸岡寄りのアレだしな。
奏「センセ!」
真緒「あ、ああ、すまん」
音河先生がいるものかと思ったけど、音楽室には誰もいなかった。
真緒「なぁ北上、曲って?」
奏「へへ、ちょっと待ってて」
と言って北上は奥へと消えていった。
ギターを持ってなかったから、取りに言ってるんだろうか。
という事は、引き語り?
でも音河先生が作ったんなら、ピアノ曲になるんじゃないのかな。
あ、それだとロックじゃないな。
……ま、すぐに分かる事だ。
どちらにせよ歌ってくれるんだろう。
そういえば、出会いの時いきなり聞かされそうになったっけ。[pcm]
八十記が言うにはとんでもない音痴らしいけど、
一度も聞いた事がないんだよな。
怖いもの見たさというかなんというか、一度聞いてみたかったからちょっと楽しみだ。それにギターの腕前もだな。
奏「お待たせセンセ!」[pcm]
真緒「ん、いや」
ま、こんな可愛らしい声だ。
音痴だとしてもたいした事はないだろう。[pcm]
奏「ちょと待っててね。もう準備終わるから」[pcm]
真緒「ああ……って、それ」[pcm]
奏「お待たせ」[pcm]
真緒「ああ…ってラジカセ?」[pcm]
奏「そだよ?」[pcm]
真緒「え? ギターは弾かないの?」[pcm]
奏「え、これ? もちろん弾くし」[pcm]
真緒「あ、そうなんだ」[pcm]
真緒「でも楽しみだよ。北上の歌聴くの初めてだからさ」
奏「最初逃げたし」[pcm]
真緒「逃げたというか、連れ去られたんだけどな」[pcm]
奏「もういいけどさ。んじゃセンセ」[pcm]
真緒「うん」
北上がラジカセのスイッチを押す。
数秒後、ピアノの伴奏が流れ始めた。[pcm]
弾いてるのは音河先生だろう。
さすがというか綺麗な旋律だ……[pcm]
出だしはロックというよりクラシック。
でも、ロックロックと言ってるからここから激し──[pcm]
奏「○△$%~♪」[pcm]
真緒「………」[pcm]
奏「■☆★○△$%ぐぁ~♪」[pcm]
真緒(こ、これは……)
奏「■☆★○△$%どぉ~♪」[pcm]
真緒(や、やめろ、止めるんだ北上ぃい)
……お、音痴ってレベルじゃない。
これはもう騒音と言ってもいい……
耳が……痛い。
手でふさいでも駄目だ。[pcm]
こんなの……住宅地で歌ってたら訴えられるぞ。
頭も……痛い。
クラクラ……する。
な、なんてこと……
八十記の言葉は真実だったのか……
真緒「あ……あぁ……」
歪んでいく景色……
これは……蜃気楼?
ぼくの記憶はそこで途切れた……
最終更新:2010年07月13日 21:47