シナリオ 北上ルート 7月30日(月曜日)・その1
理想と妄想と現実と……
理想と現実。
その落差が大きいと人は落ち込んだり挫折したり
夢を諦めたり……
あれから毎日欠かさず練習を続けているぼくと北上だが……
この所、一抹の不安を覚える。
そう、それは──
奏「セーンセ! セーンセ!」
真緒「──あ、なに?」
奏「もーちゃんと聞いててよね!」
真緒「ごめんごめん」
奏「アタシの歌、どんどん上手くなってるでしょ?」
真緒「あ、ああ……」
奏「へへ、ライブ楽しみだね。アタシの歌で皆度肝を抜かすよ!」
真緒(違う意味でなら間違いなく……)
奏「なに?」
真緒「あ、いや、そうなれば良いなって」
奏「なるよ!」
ライブまで後一ヶ月後。
寮祭の事を聞けば聞くほど心配になっていく。
八十記があんな風に言っていたし、
所詮学園のお祭りなんだからぼくも大した事ないと
思っていたけど……
色んな人に聞いてみて、本当に規模の大きい祭りだという事が分かった。
とても初ライブで選択するような場所じゃ無いとぼくは思い始めていて……
集客数百や二百の会場でやってきたアマチュアがいきなりアリーナライブ!
って感じだろうか。
経験があるならまだ良いものの、ぼく等は即席のバンドだ。
おまけに野外……室内と比べ難度は高い。
真緒「はぁ」
奏「センセ? 元気ないよ?」
真緒「あ、何でもないんだ」
奏「そ? 疲れたなら休んでていいよ」
真緒「うん……じゃあちょっとだけそうしようかな」
奏「アタシは練習するから。元気になったらまたセッションしよ」
真緒「ああ」
ギターを下ろして、それからぼくも腰を降ろした。
北上は相変わらず楽しそうに歌っている。
何の不安もない様子で本当に楽しそうに……
そんな北上を眺めながらふと思う。
ライブの後も同じように歌えているのだろうか、と。
もし大勢の前で赤っ恥をかいてしまったら、歌う事を止めるかもしれない。
それ所か、音楽自体を嫌いになるかもしれない。
さらに言うなら、この多感な時期だ。
もっと酷い事にもなりかねない……
北上や莉緒たちはああいう感じだから大丈夫だとは思うけど、
それでも不安になる。
今から辞退しようなんて言っても、北上は許さないだろうしな。
なんとか成功すればいいけど今のままじゃ……
いや、まだ時間はある。
一ヶ月で何とか何とか人前で歌えるレベルにまでは……
自分の事ギターを完璧にして、北上のボイトレにぼく付き合うようにして……
最終更新:2010年07月13日 22:21