シナリオ 北上ルート 8月6日(月曜日)・その1
沈黙は嫌いの合図
真緒「はぁ……」
朝起きてすぐ漏れるため息。
その理由は北上だ。
昨日、あれから寮に戻ってきた北上に話しかけてみてもまた無視。
いつもなら隣に座ってくる夕食も、昨日はこれみよがしに距離をおいて座る始末。
そんなぼくと北上のせいで、夕食は重苦しい雰囲気だった。
真緒「はぁ……」
ライブ出る事になって、前以上に仲良くやれてきてると思ったのにな……
自分のせいとはいえ、無視されるのはきつい。
莉緒とは違って、北上はなついてくれていた分余計に……
とはいえ、落ち込んでいても何も変わらない。
今日も無駄足になるだろうけど……練習場に顔を出すか。
重い足取りで練習場に着く。
案の定、北上はすでに来ていた。
そしてまた、ぼくの姿を一瞬確認してそっぽを向く。
真緒「北上、おはよ」
奏「………」
真緒(ぬぅ……負けないぞ)
真緒「なぁ北上、話をちゃんとしよう」
奏「………」
真緒(……きついな)
真緒(でも、話さないことには)
奏「………」
真緒「昨日も言ったけどぼくは決して」
真緒「あ」
北上が走り去って行った。
いや、逃げられたというべきだろうな。
ぼくは追いかけることも出来ず、ただ呆然と走っていく北上を見つめる事しか出来なかった。
何だかんだ言っても、北上になつかれていたから大丈夫だろうって思ってた。
だから少し日が立てばいつもの北上に戻るんじゃないかって。
今まで北上が怒っても、すぐに機嫌は治ってた。
だから今回もってそうどこかで……
でも、今回ばかりは違うみたいだ。
彼女は本気で怒っていて、それで、本気でぼくは嫌われた。
さすがにショックで悲しくなってくる。
ぼくはこれからどうしたらいいのか……
真緒「………」
せえら「………」
メイド長「お嬢様、先ほどから黙っておられますけどどうかしましたか?」
せえら「別になんでもにゃーです」
メイド長「……責任を感じてらっしゃるのですか?」
せえら「………」
メイド長「お嬢様だけが感じることはありませんよ。私にも責任があります」
せえら「で、でも、ワタクシのせいで……」
メイド長「いえ、あれは不可抗力です。それに」
せえら「な、なんですの?」
メイド長「結果的に北上さんに聞かれてしまいましたが、おそらく要先生なら遅かれ早かれ言っていたと思います」
せえら「………」
メイド長「ですから少し早くなっただけで、むしろその方が二人にとって良い事だと私は思いますよ」
せえら「そ、そうかしら?」
メイド長「はい、遅くなればなるだけ言い出しにくいですしね」
せえら「そうですわね……」
メイド長「今は見守りましょうお嬢様」
せえら「……ありがとうメイド長」
メイド長「そんなお言葉……私の方こそお嬢様に申し訳なく思っておりますのに」
せえら「いいえ、いつもメイド長には助けられてますわ」
メイド長「お、お嬢様……わたしは、わたしは」
せえら「ど、どうしましたのメイド長??」
メイド長「お嬢様、ご無礼を承知でお願いいたします」
せえら「な、なにかしら? め、目が怖いですわよメイド長」
メイド長「抱きしめさせて下さい!」
せえら「なな!?」
メイド長「ああ……お嬢様」
せえら「ちょ、ちょっと、痛いですわよ!?」
最終更新:2010年07月13日 22:52