シナリオ 寺井ルート 7月25日(水曜日)・その2
パントマイム
寮長「おはようございます」[pcm]
真緒「お、寮長。良い所に」[pcm]
寮長「はい?」[pcm]
真緒「いや、寮長がいないなぁって思ってた所だったんだ」[pcm]
寮長「ふふ、そうだったんですか」[pcm]
寮長「私は寺井さんの所に行っていたんですよ」[pcm]
真緒「莉緒の様子はどう?」[pcm]
寮長「ええ、お腹空いたから降りると言ってましたし、そろそろ」[pcm]
真緒「本当?」[pcm]
寮長「ええ」[pcm]
真緒「そうか……良かった」[pcm]
寮長「噂をすればですね。来ましたよ先生」[pcm]
真緒「あ……莉緒」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
莉緒だ。[pcm]
たった一日顔を見なかっただけなのに、ずいぶん久しぶりな気がする。
寮長「寺井さん、おはようございます」[pcm]
莉緒の眼が赤いのに気がついた。[lr]
腫れぼったいような眼。[lr]
もしかして……泣いていた?[pcm]
莉緒「さっきも言ったじゃない」[pcm]
寮長「あら? そうでした?」[pcm]
莉緒「ええ」[pcm]
寮長といつもの様に会話をしてる。[pcm]
……いつもの様に?[pcm]
真緒「莉緒、おはよう」[pcm]
莉緒「……あ、うん、おはよ」[pcm]
寮長「………」[pcm]
莉緒「それじゃ食べてくるわ」[pcm]
ぼくに言ったのか寮長に言ったのか分からない、
ほとんど一人ごとみたいにそう言うと莉緒は逃げるように奥へと消えていった。[pcm]
真緒「………」[pcm]
やはり気まずいんだろう。[lr]
ぼくに目を合わせる事もなかったな。[pcm]
奥へ行った莉緒を目で追う。[lr]
八十記や北上たちが莉緒に話かけている。[lr]
そして莉緒も笑いながらそれに答えていた。[pcm]
笑っている。[lr]
笑ってはいるけれど……[pcm]
ぼくには、無理をして明るく振舞っているように思えた。[pcm]
いつものあの笑顔じゃない。[pcm]
寮長「先生」[pcm]
真緒「あいつ、無理してるな」[pcm]
寮長「………」[pcm]
真緒「あんな不自然な莉緒……見てられないよ」[pcm]
寮長「普段どおりに振舞おうと努力してるんですね」[pcm]
真緒「分かってる、分かってるけど」[pcm]
なぜだろう。スッキリしない。[lr]
あのぎこちない莉緒を見てると胸がモヤモヤする。[pcm]
いつもの自然な莉緒に戻って欲しい。[lr]
そのためには、あの時の事をまず話し会って、それから──[pcm]
寮長「先生、今はそっとしておいてあげましょう」[pcm]
ぼくの気持ちを見透かすように寮長が言った。[pcm]
寮長「先生がいるここへ来ただけでも大変な勇気がいったと思いますし」[pcm]
真緒「でもぼくは莉緒と話がしたい。じゃないと莉緒はあんなままだよ」[pcm]
寮長「お気持ちは分かりますけど……寺井さんはまだ」[pcm]
真緒「だめ、なのか」[pcm]
寮長「ええ、気持ちの整理がついてるとは言えないと思います。だからしばらくは」[pcm]
真緒「………」[pcm]
寮長「先生……」[pcm]
真緒「分かった、しばらくはそうするよ。[lr]
それで莉緒が整理してくれるなら……」[pcm]
寮長「………」[pcm]
真緒「………」[pcm]
莉緒は、岸岡と口喧嘩をしながら八十記や北上にも怒鳴りちらしてる。
事の成り行きを知らない岸岡たちからすれば、いつもの莉緒だろう。
いや、いつも以上にはしゃいでいる……[pcm]
あんな不自然な莉緒、見ていたくないな……[pcm]
真緒「寮長、よろしく頼むよ」[pcm]
寮長「え、はい」[pcm]
ぼくは食堂を後にした。[pcm]
最終更新:2010年07月12日 00:19